情報収集

くどい長文の記事になりますが、ご容赦ください。

現場の最前線で相談業務についている相談員は、あらゆる相談に対応するために日々勉強していく必要があります。
そのための情報収集は日常業務ともいえます。
さて、みなさんはこの情報収集をどの程度していますか?

はっきりいって、情報収集(勉強)に費やす時間は、そんなに多くはないと思います。
仕事中は、電話相談・来所相談対応、相談者との直接対応が終われば事業者への連絡対応、そしてPIO-NETへの入力。
これだけの通常業務でも精一杯ではないでしょうか。
もちろん、相談員の数が多く比較的余裕があるセンターもあれば、相談員が少なく常に相談対応していなければならないセンター、あまり相談がないセンターなど、それぞれの事情もあると思います。

国民生活センターからの直結の情報として、いわゆる丸急が相談情報と製品情報の2種類の冊子でまとめられ各センターに送付されていました。
今はPIO-NETからネット上のPDFファイルとしてみることになりますが、忙しい業務の中、以前に比べて見る回数が減ったのではないでしょうか。
これが紙ベースの資料との違いですね(書籍と電子書籍のようなもの)。
印刷も可能ですが、思いっきり透かしが入ってしまいますし、個人で印刷するのは気が引けてしまいます。

また、都道府県の統括センターからFAX等で送付される様々な緊急情報などもあります。
そして、国センなどが主催する研修や都道府県地域レベルの内部研修への参加。
相談員や職員との情報交換。

消費者関連雑誌として、月刊国民生活と消費者情報。
月刊国民生活は無料で全国のセンターに送られていましたが今はWEB版になっています。
(WEB版も印刷されて簡単に製本して送付されているようですがWEB版にしたのに意味不明)
関西消費者協会が発行する消費者情報も、各自治体で購入する予算が確保されているとはいいにくいですね。

あとは、個人の積極的な情報収集として、ネットで消費者庁や経産省、NITEなどのHPを閲覧すること。
ネットの情報は膨大な量ですよね。

以上の例をあげただけでも情報量は多く、目の前に5教科の参考書が3年分積み上げられて、やる気があってもやる気をなくしてしまう子どもの気持ちのようになってしまいます。

仕事時間中にも情報収集はできますが、手をつける時間がない、研修に参加させてもらえない、HPを閲覧する余裕がない、ネット閲覧自体ができない、などの状況があります。

それでは、仕事以外のオフタイムにどれほどの時間が割けるでしょうか。
子育てや家事などに追われて自分の時間は少なくなり、リラックスタイムでテレビを見たりすると、あっという間に寝る時間。
家にあるパソコンで、遊びではなく仕事に関するHPを閲覧して情報収集することを継続するのは、なかなか難しいのではないでしょうか。

そして大きな問題として、そこまでの時間をさいて勉強するほどのモチベーションがあがる見返り(賃金)をもらっているかといえば行政の正規職員とは程遠いものです。
社会正義だけでモチベーションを保っていることも少なくありません。
やっぱり、給料が高ければ勉強しよう・しなければと思いますし、給料が安ければそこまでしなくても、と思うのは自然です。
このサイトを閲覧されている相談員は、かなりモチベーションの高い相談員だと思います。

このような情報があふれる中で、行政情報を簡潔に重要度に分けてまとめて知ることができる方法はあるでしょうか?
国民生活センターのメールマガジンがあります。
私も登録していますが、あまり見ていません。
なぜなら、量が多く何でもかんでものせて、リンクをはっているだけで、整理されているとはいいにくいからです。
メールマガジンは国民生活センターだけでなく、NITEなど縦割り行政そのものの数だけあります。
読みきれません。
そして、何よりも、公的なメールマガジンは情報に格差をつけにくく、平等に扱ってしまうため、重要度が高いものと低いものとが混在して並んでしまいます。
執筆者の努力には敬服しますが、効果を検証する必要もあると思います。

そこで、このスキルアップ講座のサイトで定期的に情報をまとめることをしてみようかなと思っています。
あちこちに散らばっている行政情報から取捨選択して、情報をまとめるのです。
これまでにも気になる情報は特別に取り上げてきました。
もちろん、その選択の基準は私個人の感性になるのがデメリットかもしれません。
みなさまとGAPがあるかもしてません。
しかし、そのデメリット以上のメリットがあるのではないかと思います。
個人で運営しているからこそ可能だと思います。

特に、情報収集に限界がある地方のセンターの一人相談員や、都会のセンターの相談員でも参考にしたい場合などがあると思います。

最近の消費者行政や消費者問題にふれる中で、現実には相談員個人個人の情報格差をひしひしと感じています。
携帯電話がスマートフォンに、ソシアルゲームのアイテム課金に、ネットオークション、ネット通販など、油断すると全くついていけず、ついていけなければ相談対応も満足にこなすことができなくなり、相談員自体が成り立たなくなってしまいます。

現在、相談員の資格の位置付けについて消費者庁で議論されていますが、現実離れした議論になっているような気がしてやみません。

ということで、
積極的に自分自身のスキルアップに努めているモチベーションの高い相談員のために、このサイトが情報収集の1つの核としての役割を担えるように、「行政情報の収集とまとめ」を目的のひとつに追加しようと思っています。
(また、このサイトの記事の量も膨大になってきたので整理する必要もでてきています。)

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消費者庁長官の記者会見(6月13日分)

消費者庁のHPに、週に1回、消費者庁長官の記者会見の要旨が公表されています。
もともとは消費者庁の大臣等の記者会見の要旨なのですが、私たちに一番近い消費者庁長官の話が興味深いです。
記者との質疑応答もあり、なかなかなまめかしいです。

以前に書いた「相談員の窓」でも一部抜粋しましたが、最新の消費者庁の政策動向についてコメントされるので勉強になります。
今後は記者会見での気になる話題について取り上げようと思います。

消費者庁HP
http://www.caa.go.jp/
トップページの新着情報からでもリンクしています。
トップ > 活動について > 大臣等記者会見
http://www.caa.go.jp/action/kaiken/index.html

福嶋消費者庁長官記者会見要旨(6月22日公表)
(平成24年6月13日(水)14:01~14:47 於)消費者庁6階記者会見室)
http://www.caa.go.jp/action/kaiken/c/120613c_kaiken.html
貸与検査機器等による検査結果の報告、医療機関ネットワーク事業で収集した事故情報

394台、279自治体への貸与を決めて、実際に配備が済んでいるのは224台179自治体
自家消費作物を中心に検査が実施されており、基準値以下でも低いといえない数値や基準値超過も出ている。
→検査結果について記者から細かい質問あり
※(私のコメント)貸し出した検査機器で基準値を超えるものが出たらどうするのかという議論が貸し出しのときにありましたが、現実の話として表に出てきました。ネガティブ情報としか受け止められないのがつらいところですね。ただし、自家消費作物で基準値超過がでているということは消費者にとっても無視できない情報だと思います。たとえば、知人や親族から自家作物をもらったのだけれども不安である、などの相談があるかもしれません。今回の情報がどのような形で消費者に知らされるのでしょうか。

質疑応答(一部抜粋)


集団的被害の回復制度のことなのですけれども、法案はどんな状況でしょうか。

すみません。前回お話ししたのと基本変わらないですが、とにかく1日でも早く出したいということでやっています。
ただ、色々な難しい論点。難しいというのは法文にする上で、色々検討しないといけないことが、やればやるほど出てきているということもあります。せっかく やるならきちんと実効性のあるものにしたいと思いますので、解決の時間ですとか、あるいは悪質業者への対応ですとか、そういったものをきちんと実効性のあ るものにしていく。欲張っていると言えば欲張っているのかもしれませんが、そういう検討をきちっとやっていいものにしたいと思います。そこで色々な論点で 検討を続けているということです。


コンプガチャの件なのですが、7月から禁止されますけれども、監視体制というか、消費者庁としてさせないために、どういうふうに目を光らせていくのか、教えていただけますか。

コンプガチャだけの特別な監視体制をつくるわけではありませんが、消費者庁が改めて法解釈から運用基準を打ち出したわけですから、きちんとそれが守られているかどうか、表示対策課を中心にして、万全の監視をしていきたいと思っています。

表対課の方がせっせとゲームを携帯片手にやるということなのですか。

大手が止めるということははっきりさせましたので、基本的にはそれを信頼はしていますけれども、万一それ以外のところであるというような場合については、きちんと見ていきたいし、特にアンテナを高くしていきたいと思っています。
これだけ社会的にも問題意識が広がりましたので、もしそういうものが監視の目をくぐって行われていたら、また情報提供なども、今までよりもずっとあるので はないかと思いますので。ちょっとこれだけというわけにはもちろん表対課もいかないわけですけれども、ここまでやった以上は、実はざるでしたというわけに はいきませんので、きちんとやりたいと思います。

相手を否定する

日本人は相手を否定する傾向が強いように感じます。
相手の行動や意見に対して、認めるのが嫌なのでしょうか、ほめることが苦手なのでしょうか。
そして、認めてしまうと敗北感や劣等感を抱くのでしょうか。
とにかく、日常的に「否定」がまわりに渦巻いています。

政治の世界でも、とにかく対立するグループの意見は、まず「否定」から始まります。
与党と野党は対立するので、どこが政権をとっても、この構図は変わりません。
相手を認めて一緒に前向きに考えることができません。
したがって、いつになっても政策が前に進みません。

子育てでも、子どもの意見を否定し、大人の意見を押し付けます。
親は良かれと思っているのでしょうが、それでは子どもの立場に立っておらず、いつしか距離を置かれるようになります。
子どもをほめるのがとても苦手な日本人です。

前置きはこのぐらいにして、相談現場に目を移します

とにかく相談者は自分の「主張を認めてほしい」ということを求めます。
その主張が正しいこともあれば間違っていることもあります。

相談員として、どのような心構えを持って対応すればいいのでしょうか。
以前にも紹介したバランス理論にもよくにています。

相談現場では、すべて思い通りにいくとは限りません。
どうしても相談者の主張を否定しなければならない場面が出てきます。
しかし、その否定の仕方によっては、その対応自体が苦情に発展することがあります。

相手の言動に対する否定の対応・反応としては3種類考えられます。

①「NO」「BUT」
そのままストレートに否定する
NO・BUT・・・それは違いますよ
②「YES→BUT」
相手の主張を認めて受け入れるものの、否定する
YES・・・おっしゃることは良く分かりますが、そうかもしれませんけど、
BUT・・・実はそうではないんですよ、違いますよ

この2種類は読んで字の如しですので、使いやすいと思います。
まあ、①をストレートに使うことはあまりないと思うのですが、②を使うことは日常ではないでしょうか。
しかし、①も②も最終的には相手を否定することになり、おさまらない相談者の感情(怒り)の矛先を相談員の対応にむけてくることがあります。それがセンターや相談員への苦情に置き換わることもあります。
そうなるのはバランス理論でも説明したとおり、自然な行動です。

では、どのように否定を伝えたらよいのでしょうか。

①と②の相談の流れを簡単に書くと
相談者の話を聞く→相談者の気持ちを理解する(YES)事象自体は否定する(BUT)→相談者は怒り出す→何らかの解決方法や相談先を示す(AND)
実は最終的に「AND」が追加されるのです。
どちらにしても、結局は何らかの対応策を示してあげないと納得しませんし、示すことになると思います。

そこで私がおすすめする方法は、「→事象自体は否定する→相談者は怒り出す→」を省略するのです。

すなわち、「YES→BUT→AND」から「BUT」を省略します。

③「YES→AND」
相手の主張を認めて受け入れて、代替案を提案する
YES・・・おっしゃることは良く分かりました。
AND・・・それを解決するために、~のような方法を取ったらどうでしょうか。

どっちにしろ、解決方法を提案することになるのなら、怒りがないほうがお互いに気持ちよく相談をすすめることができます。
センターの範疇でなくて、ほかの機関を案内する場合でも(悪い言い方では、ほかに振る場合でも)
BUT・・・それは消費者センターの業務範囲ではありません。
AND・・・それなら~が詳しい情報や事例を持っているので、的確な解決策をアドバイスしてくれますよ。

理屈は分かると思います。しかし、簡単そうで難しいです。
なぜなら日本人は日常的に否定することに慣れているからです。
口癖のように、「YES→BUT」を使ってしまいます。

発想の転換です。
同じ表現でも相手を怒らせずに対応でき、その結果として顧客(県民・市民・町民)満足度を高めることができます。
応対研修の分野に入ると思いますが、まずは日常会話から練習していけばいいのではないでしょうか。

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