携帯電話 その2 スマートフォンへの転換

最近の携帯電話会社によるニュースリリースやテレビなどでも目にするようになりましたが、携帯電話は大きな転換期を迎えています。
スマートフォンへの転換です。
新製品はスマートフォン一色です。

そもそもスマートフォンと従来の携帯電話(以下、携帯電話と呼びます)とは何が違うのでしょうか。
大きな違いといえば、基本的には携帯専用メールアドレスが使用できないこと(今は別の仕組みで使えるようになってきてはいますが、あくまでも別の仕組みです)と携帯電話専用のサイトを見ることができないことです。
要はスマートフォンはパソコンだということです。

携帯電話でしか見れないサイトを閲覧できたとしても会員登録できません。
携帯電話の場合、メールアドレスや個体識別番号など個人情報に近い情報が吐き出されているため、事業者にとっては商売しやすいのです。それゆえ、パソコンよりも出会い系サイトやワンクリック詐欺のターゲットになりやすいのです。また、携帯電話だと高い確率でメールを閲覧してもらえるの、メールアドレスを登録することで多くの特典を受けることもできるのが特徴です。

携帯電話でパソコンと同じWebサイトをみることができる従来の仕組みは「PCサイトビューアー」です。各社とも定額上限が1000~2000円程度高い設定になっています。
それ以前では、WILCOMのZEROという機種がスマートフォンの走りで、一部マニアには人気でした。

なぜ、普及しなかったかというと、PCサイトは情報量が多く、パケットが大量に必要で、なおかつ、通信速度や高速で処理できる性能も必要です。
それが第3世代(3G)以上の通信の実現と、手軽で安価なWi-Fi(無線)の出現と、何よりも技術革新により小さい端末に多くの機能が装備されることにより、スマートフォンが表舞台に出始めました。

その背景として私が考えるのは、従来の携帯電話のビジネスモデルは限界に来ていて新しいビジネスモデルを構築しなければ利益を上げて生き残れなくなってきたのではないのではないかと思ってます。
携帯電話会社間の通信料の競争と、端末価格と通信料とが切り離されたこと、そして、通話料さえも無料通話の幅が広がってきて利益があげにくくなってきている。
ソフトバンクが早い段階で今後はスマートフォンの時代であるとし、i-phoneに力を入れた結果、業績や契約件数などで一気に成功したことも他社の脅威になったのでしょう。
i-phoneは発売当初こそ問題が多く一部のユーザーのアイテムだったのですが、i-phone3GSが発売されるころから一般化し、アプリなどの斬新な機能や、無料のWi-Fiスポット(マクドナルドなど)の普及など、一部ユーザーから一般のユーザーのアイテムへと変貌しました。

今後はスマートフォンの機能競争や価格競争なども予想され、相談員としては、スマートフォンの知識をある程度つけておく必要があると思います。

次回は、相談員としてスマートフォンで押さえておきたいポイントとどんな苦情相談が寄せられそうかということについて書きたいと思います。

※参考として、6月30日に書いた記事、「音声収入からデータ通信収入へ(日経産業新聞2010/6/30)」も参考にしてください。

(平成22年11月8日 初稿)
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携帯電話 その1 はじめに

消費生活相談と携帯電話は切っても切れない関係です。

携帯電話の前身といえば、ポケベルでしょう。
その後、自動車電話や商売人向けにかばんのような大きな携帯電話が誕生しました。
私は医者である友人に見せてもらったことがあります。
しかし、料金は高く、一般人が使うものではありませんでした。

転機が訪れたのは、平成7年の阪神淡路大震災でしょう。
ライフラインである電話が普通となり、公衆電話に行列ができました。
そして、表舞台に立ったのが携帯電話です。
基本料も通話料も高く、メール機能もついていない単なる電話機でしたが、普及し始めました。
15年ほど前のことでしょう。その後i-modeによるメール機能や端末の0円販売など一気に普及しました。
基本料の割引サービスや2年縛りによる大幅割引など、複数の事業者による価格やサービス競争が始まり、普及していくと同時に、パケット料金のトラブルやWEBでのトラブル、詐欺など、みなさんのよく知るところとなっています。

携帯電話の普及に伴って、さまざまな消費者トラブルが消費者センターに持ち込まれるようになって10年もたっていないと思います。
消費者トラブルの分野としては新しいものになると思います。
若者やビジネスマンは携帯電話を持つようになりましたが、主婦層にはまだまだという時代でした。
そして、主婦層に近いのが、消費者センターの相談員です。
相談員も普通に携帯電話を使うようになったのは、ここ3年ほどではないでしょうか。
当時は携帯電話の相談があっても、「私は使ってないので詳しくはわかりませんが」という枕詞は許された時代ですが、今や、そんな恥さらしな言葉を言うことはできません。

スキルアップ講座では、携帯電話に関するさまざまな知識や問題について、継続的に解説していきたいと思います。

(平成22年10月21日 初稿)

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