カテゴリー別アーカイブ: 国民生活研究

国民生活研究 2011年6月号

カテゴリー:国民生活研究 投稿日:

①【論文】保証人保護をめぐる諸問題 -追補 震災と保証債務について-
酒井 恵介(弁護士)

・保証について民法の説明かをまじえて丁寧に詳しく解説されています。
・真剣に熟読すれば、かなりの勉強になりますが、26ページものの論文なのでなかなか読めません。
・構成を抜き出しておきます
第2 「保証」とは
第3 「信用保証」をめぐる問題について
第4 「賃貸保証」をめぐる問題について
第5 「保証人ビジネス」をめぐる問題について
第7 追補 東日本大震災と保証債務について

②【論文】地方消費者行政強化に向けた課題について
野本 守利(群馬県会計局審査課長(前生活文化部消費生活課長))

・群馬県の消費者行政やの現状や相談員の待遇等についてリアルに解説されています。
・特に、相談員の身分等についての解説はぜひとも読んでおくべきですね。
・構成を抜き出しておきます
第2 群馬県の消費者行政強化の取り組み
第3 消費生活相談員の処遇問題
第4 国民生活センターの見直し問題-「国民生活センターの地方消費者行政への支援」
第5 財源問題-「地方消費者行政に対する国の支援の在り方」
この中で特に相談員に関することについて取り上げます

・相談員の任用の法律的な根拠について大別して3つのパターンで整理
①特別職非常勤職員(地公法第3条第3項第3号)
②一般職非常勤職員(地公法第17条)
③臨時的任用職員(地公法第22条第2項又は第5項)
群馬県は①に規定する嘱託員として任用。
1年以内の任用期間で更新という考えではなく、新たに任用する形での継続採用になっている(勤務条件の変更があっても、更新ではないので、新たな条件で納得して採用となる)。←この考え方は勉強になりました
・任用に際して、平等取扱の原則があり、公募し、能力の実証を経て任用すべきだが、相談業務を担える人材が不足しているので公募等をせずに任用してきた。平成21年度以降は基金活用により相談員要請講座を実施し人材が豊富になってきたことから公募等の手続きも検討。
・平成21年度から、相談員の能力や姿勢を評価する「相談員評価制度」を導入し、客観的な能力の実証を確保している。背景として、22年度から「主任消費生活相談員制度」を導入し評価が必要になった。
・雇止めについて国の通知等の解釈を元に解説
・外部委託の是非について
・常勤化への要求のうち専門職採用について
今後、消費生活専門相談員、消費生活アドバイザー及び消費生活コンサルタントの各々の資格が消費者庁等の下で統一され国家資格化し、しかも高等教育機関等で、「消費生活」関係のカリキュラムが必須となるなど、劇的な環境変化があって、初めて人事当局と実質的な協議が始められると考えている。
・報酬問題について、群馬県では現行の報酬体系では「天井」に達しており、更なる処遇改善するには嘱託職員全体の処遇改善が必要
・研修
非常に限られた人員体制の中で、研修を企画、立案する職員は他の業務の兼務をしながら実施するという限界から、研修内容が限定的になってしまう傾向がある。
消費者の相談内容が高度化・複雑化している中で、研修内容についても、法律知識だけでなく、あっせんの交渉のノウハウやスキルを身につけられるような実践的な研修が必要になっており、相談業務の処理に熟知した専門的な立場からの企画、立案が必要となっている。

※相談員の身分や待遇について思うところがありますので別途記事にしたいと思います。

国民生活研究 第51巻第1号(2011年6月)
年4回発行 定価620円(税込み)

国民生活研究 2011年3月号

カテゴリー:国民生活研究 投稿日:

①【論文】リコールに関する法制度について -食品を中心に-

・リコールは国が命令をかけて強制的に実施する場合もありますが、ほとんどは自主的な事業者の措置です。ここでは食品のリコールについて詳しく解説しています。
・また、本文を読むのがしんどくても、「はじめに」という1ページ分は食品に限らず製品についてのリコールの考え方を簡単にまとめていますので勉強になります。

②【論文】消費者契約法4条の新たな展開(3・完) -「誤認類型」・「困惑類型」をめぐる議論と裁判例の動向-

・前号までは、「誤認」についての解説でしたが、完結となる今号は「困惑類型」、不退去・退去妨害についての解説です。
・あまりにも長いので興味のある方は本誌をお読みください。
・基本的に「逐条解説」にもとづき説明されています。著者が賛同する部分もあれば不足する部分も指摘しています。

・「退去すべき旨の意思表示」の有無が判断されるが、この意思表示がゆるく広くとらえられている。
・ただし、意思表示の証明は消費者がしなければならない。
・裁判例自体が少ないが、消費者には有利な結論が出ている。
・「退去妨害」についてもおおまかに「不退去」と同様な考え方になっている。
・最後に多数の裁判例のダイジェスト版が掲載されています。

③【研究ノート】大学生は契約、クーリング・オフをどの程度、理解できているのか
・予想通りの結果ですね。近年は携帯電話やネット通販など従来にもまして「契約」する機会が多いにもかかわらず知識が伴っていません。
・著者が指摘するように、小さいころからの学校教育が必要と思います。

国民生活研究 第50巻第4号(2011年3月)
年4回発行 定価620円(税込み)

国民生活研究 2010年12月号

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①【論文】消費者契約法4条の新たな展開(2) -「誤認類型」・「困惑類型」をめぐる議論と裁判例の動向-
宮下 修一(静岡大学大学院法務研究科准教授)

・前号は、誤認類型の「不実告知」と「断定的判断の提供」の解説でしたが、今号は「故意による不利益事実の不告知」です。
・眺望を売りにしたマンションを購入したが、近くに眺望をさえぎる建物が建ち、事業者は知っていた、という事例が教科書にはよく出てきますね。
・この論文を読むと、そうそう単純に契約取り消しできるものではないと感じました。

・消費者契約法4条2項は「故意による不利益事実についての不告知」があった場合に、消費者に契約取消権を付与するもので、5つの要件を必要とする。
(1)事業者による勧誘
(2)契約の重要事項等に関する消費者の利益になる旨の告知、(2)かつ(3)
(3)当該重要事項に関する消費者の不利益となる故意による不告知の存在
(4)消費者の誤認
(5)不実告知と誤認、誤認と意思表示との因果関係の有無
ポイントは(3)の故意による不利益事実の不告知
さらに、(2)かつ(3)の双方の要件を同時に満たすこと
・それぞれの要件や具体的な事例を逐条解説の事例と比べながら解説しています。
・(3)はあるが(2)がないというのもありますので、適用範囲が狭くなります。
・重要事項については、最高裁平成22年3月30日判決で限定的に解釈されています。
・商品先物取引などを元に解説しています。
・「故意」の解釈についても詳しく解説されています。
・最後に多数の裁判例のダイジェスト版が掲載されています。

②【論文】建物賃貸借契約における更新料支払特約と消費者契約法10条
城内 明

・更新料条項は有効とする判決が続いていたが、平成21年7月23日以降、地裁や高裁でむこうとする判決が相次いでいる。現在、最高裁に進んでいるものもあり、その判断が注目されている。
・20ページをこえる論文ですが、じっくり読むと面白いです。
・更新料特約では、地域差があり、京都で多い。
・更新料の法的性質について様々な議論がある
(1)家賃の補充(賃料の一部前払い)
(2)賃借権強化の対価
(3)更新異議権放棄の対価/紛争解決金
(4)賃借権設定の対価
それぞれについて、判例などを元に詳しく解説されており、なるほどと勉強になりました。たとえば、家賃の補充と考えた場合、解約時に返金がないという特約なので家賃とはみなされない、など。
・賃貸人と賃借人に情報力や交渉力の格差はあるのか
・そもそも10条の信義則違反に該当するのか
・最後に、更新料約款の差止請求が可能なのか、について述べられており、現在のところ、一般的な話ではなく、個別の事情を考慮した話になるので難しいのでは、などについて言及しています。

国民生活研究 第50巻第3号(2010年12月)
年4回発行 定価620円(税込み)