相手を否定する
日本人は相手を否定する傾向が強いように感じます。
相手の行動や意見に対して、認めるのが嫌なのでしょうか、ほめることが苦手なのでしょうか。
そして、認めてしまうと敗北感や劣等感を抱くのでしょうか。
とにかく、日常的に「否定」がまわりに渦巻いています。
政治の世界でも、とにかく対立するグループの意見は、まず「否定」から始まります。
与党と野党は対立するので、どこが政権をとっても、この構図は変わりません。
相手を認めて一緒に前向きに考えることができません。
したがって、いつになっても政策が前に進みません。
子育てでも、子どもの意見を否定し、大人の意見を押し付けます。
親は良かれと思っているのでしょうが、それでは子どもの立場に立っておらず、いつしか距離を置かれるようになります。
子どもをほめるのがとても苦手な日本人です。
前置きはこのぐらいにして、相談現場に目を移します
とにかく相談者は自分の「主張を認めてほしい」ということを求めます。
その主張が正しいこともあれば間違っていることもあります。
相談員として、どのような心構えを持って対応すればいいのでしょうか。
以前にも紹介したバランス理論にもよくにています。
相談現場では、すべて思い通りにいくとは限りません。
どうしても相談者の主張を否定しなければならない場面が出てきます。
しかし、その否定の仕方によっては、その対応自体が苦情に発展することがあります。
相手の言動に対する否定の対応・反応としては3種類考えられます。
この2種類は読んで字の如しですので、使いやすいと思います。
まあ、①をストレートに使うことはあまりないと思うのですが、②を使うことは日常ではないでしょうか。
しかし、①も②も最終的には相手を否定することになり、おさまらない相談者の感情(怒り)の矛先を相談員の対応にむけてくることがあります。それがセンターや相談員への苦情に置き換わることもあります。
そうなるのはバランス理論でも説明したとおり、自然な行動です。
では、どのように否定を伝えたらよいのでしょうか。
①と②の相談の流れを簡単に書くと
相談者の話を聞く→相談者の気持ちを理解する(YES)→事象自体は否定する(BUT)→相談者は怒り出す→何らかの解決方法や相談先を示す(AND)
実は最終的に「AND」が追加されるのです。
どちらにしても、結局は何らかの対応策を示してあげないと納得しませんし、示すことになると思います。
そこで私がおすすめする方法は、「→事象自体は否定する→相談者は怒り出す→」を省略するのです。
すなわち、「YES→BUT→AND」から「BUT」を省略します。
どっちにしろ、解決方法を提案することになるのなら、怒りがないほうがお互いに気持ちよく相談をすすめることができます。
センターの範疇でなくて、ほかの機関を案内する場合でも(悪い言い方では、ほかに振る場合でも)
BUT・・・それは消費者センターの業務範囲ではありません。
AND・・・それなら~が詳しい情報や事例を持っているので、的確な解決策をアドバイスしてくれますよ。
理屈は分かると思います。しかし、簡単そうで難しいです。
なぜなら日本人は日常的に否定することに慣れているからです。
口癖のように、「YES→BUT」を使ってしまいます。
発想の転換です。
同じ表現でも相手を怒らせずに対応でき、その結果として顧客(県民・市民・町民)満足度を高めることができます。
応対研修の分野に入ると思いますが、まずは日常会話から練習していけばいいのではないでしょうか。