ウェブ版 国民生活 2012年6月号【創刊準備号No.2】

6月15日に6月号が公表されました。「創刊準備号」となっていますが、いつ準備が終わるのか気になっています。
前回も書きましたが、これだけのものを作るのにかなりの経費がかかっていると思うのですが、読者にとってはありがたいことに無料で公開されています。
完全な赤字事業を公に説明できる理屈は考えていると思うのですが、事業仕分けされないのか心配です。

2012年6月号【創刊準備号No.2】(2012年6月15日発行)
http://www.kokusen.go.jp/wko/index.html
【主な目次】
生活知識情報
【事例で学ぶインターネット取引】第1回 オンラインゲーム
【海外ニュース】
相談現場に役立つ情報<相談現場で働く方向け>
【苦情相談】事例1 ミネラル成分の溶出が極めて少ない入浴剤
【苦情相談】事例2 ラジウム温泉と同等の効能をうたった浴用岩石と岩塩
法律知識
【暮らしの判例】建物賃貸借契約における更新料条項を有効とした事例
【暮らしの法律Q&A】マンションの階上の部屋の音がうるさい場合は?
論点
消費者の文化・メンタリティ的側面 一生活者の目から見た海外


生活知識情報
生活の中で役立つ注意情報や知識を紹介します。

事例で学ぶインターネット取引
苦情相談が増え続けているインターネット取引について事例を挙げながら解説します。

第1回 オンラインゲーム[PDF形式](824KB)
【執筆者】原田 由里(一般社団法人ECネットワーク 理事)
ネットを利用して遊ぶオンラインゲーム。中でも携帯電話やスマートフォンで利用するソーシャルゲームは、急激に売り上げを伸ばしている一方、トラブルも増加しています。今回はトラブルの内容と背景、考え方について検討します。

海外ニュース
海外の消費者問題にかかわる情報をいち早くお届けします。

海外ニュース(2012年6月号)[PDF形式](903KB)
[イギリス]スーパーの鶏肉を独自に検査
[アメリカ]運転中の携帯電話使用は危険
[ドイツ]消費者に身近な商品テスト誌
[EU(欧州連合)]日本産食品の輸入規制がますます厳格に

相談現場に役立つ情報 <相談現場で働く方向け>
相談現場で必要な知識、相談解決に役立つ情報をお届けします。

苦情相談
消費生活センターに寄せられた相談をもとに、問題点や解決方法について考えます。

事例1 ミネラル成分の溶出が極めて少ない入浴剤[PDF形式](733KB)
事例2 ラジウム温泉と同等の効能をうたった浴用岩石と岩塩[PDF形式](693KB)
【執筆者】独立行政法人国民生活センター 商品テスト部
入浴剤、浴用岩石と岩塩の表示と成分の問題について、相談解決のためのテストを行った事例を紹介します。

法律知識
判例情報や相談現場などで関心の高い消費者関連法について解説します。

暮らしの判例
消費者問題にかかわる判例を分かりやすく解説します。

建物賃貸借契約における更新料条項を有効とした事例[PDF形式](776KB)
【執筆者】独立行政法人国民生活センター 相談情報部
居住用建物の賃借人が、賃貸借契約における定額補修分担金条項および更新料条項は消費者契約法10条に違反するため無効であるとして、賃貸人に対し、支払い済みの更新料等の返還を請求した事例を紹介します。

暮らしの法律Q&A
暮らしの中の疑問について、法律の専門家が考え方のヒントを紹介します。

マンションの階上の部屋の音がうるさい場合は?[PDF形式](768KB)
【執筆者】山村 行弘(萩谷法律事務所)

イチオシ!国民生活センター発表情報

今度は“カンボジアの土地使用権”!依然続く劇場型勧誘-「リゾート地」「農地」の投資話にご用心-(2012年5月24日公表)

論点

消費者の文化・メンタリティ的側面 一生活者の目から見た海外[PDF形式](951KB)
【執筆者】古畑 欣也(独立行政法人国民生活センター 理事)


次号予告
『国民生活』7月号(創刊準備号No.3)は、2012年7月17日(火曜)に掲載します!
7月号から連載「相談周辺の基礎知識」が始まります。7~9月号では「美容医療」をテーマに、目、鼻、顔、アンチエイジング、体などに対する具体的な手術方法や問題点について取り上げます。

気になる記事を取り上げたいと思います。

①事例で学ぶインターネット取引
第1回 オンラインゲーム
おなじみのECネットワーク原田さんの記事です。
内容は一般的なもので物足りなさを感じますが、その理由は簡単で、ゲームの実名を出せないということです。出せないだけに、一般的な言葉で表現するしかなく抽象的になってしまうのは仕方がないですね。
原田さんの話は聴いたことがあるので、おそらく「グリーのドリランド」ではと勝手に思っています。実は私もドリランドをやっていたので、機会があればドリランドを具体的に説明したいと思います。

ソーシャルゲームは、基本的に無料でゲームをすることができ、そのままでもゲームを進めることができますが、強くなるレアなアイテムや時間短縮するためのアイテムなどは有料となります。有料でゲームする人を課金プレイヤーといい、いかに課金プレイヤーを増やすかがゲーム会社の最大のミッションになるわけです。

今回の記事では、「コンプガチャ、未成年者が勝手に親のクレジットカードを使用、不正利用による強制退会」の3事例を紹介しています。どれも、よくある相談の基本になるので、しっかり理解しておいてください。

②暮らしの判例
建物賃貸借契約における更新料条項を有効とした事例

 本件は、居住用建物の賃借人が、賃貸借契約における定額補修分担金条項および更新料条項は消費者契約法10条に違反するため無効であるとして、賃貸人に対し、支払い済みの更新料等の返還を請求した事案である。
裁判所は、賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は、更新料の額が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額過ぎるなどの特段の事情がない限り、消費者契約法10条の後段要件(「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」)に該当しないとし、本件では、上記特段の事情が存するとはいえないとして、賃借人の請求を認めなかった。(最高裁平成23年7月15日判決、『判例時報』2135号38ページ)

更新料条項の消費者契約法違反について、今まで数々の下級審の判断がなされましたが、初の最高裁判決です。
消費者行政の歴史の中でも重要な判例になるのでしっかり読んで理解しておきましょう。

③暮らしの法律Q&A
マンションの真上の部屋の住人の足音やドアを開け閉めするときの音がうるさくて困っています。直接、苦情を言うのは気まずいのですが、どうすればよいのでしょう。
・管理会社や家主に連絡すると、苦情を訴えた人を明かさずに注意を促してくれるのが一般的
・管理会社や家主が騒音問題に対応してくれるとは限らず、「多少の騒音は当たり前」などとうやむやにされることもある
・裁判所に騒音防止の仮処分の申立てをしたり、不法行為に基づいて慰謝料を請求する
・騒音による損害賠償請求が認容された事例(東京地判平成19.10.3)等がありる。この場合、あらかじめ騒音計で騒音を計測しておくことが重要。騒音計は区役所などで借りることができる
※消費者センターにもこの種の相談があります。近隣の住民とのもめごとは消費者センターの範囲外の場合が多いです。助言のパターンとしては、管理組合や家主に相談するということになりますが、もっと突っ込んだ場合は法律相談になります。また、同じマンションではなく一戸建てで周りに迷惑をかけている場合は自治体のまちづくり部門や警察への相談もあります。人間対人間のマナー的な問題はお互いの価値観の違いとご近所の付き合いの希薄化から解決が困難になっています。行政が解決してくれて当たり前と考える消費者も少なくないので、怒りをセンターの対応の悪さに転化される場合もありますので、言葉づかいや表現には注意が必要です。

スカイマーク

スカイマークが「苦情は消費者センターへ」という機内文書を示した事件は報道でも話題になりましたので、ご存知だと思います。
都知事が表に出てくるほどの問題になりましたが、大手航空会社のやったことだったからでしょうね。
当然の対応とは思いますが、私自身は冷ややかな面も感じています。

「文句があるなら消費者センターへ言え!」と業者に言われた
日常的に相談者から聞く言葉です。
また、クリーニングトラブルになると、「消費者センターで検査してもらえ」「消費者センターで検査してクリーニングの責任だというのなら従う」など、それ以上のレベルのやり取りが頻繁にあります。
スカイマークであればトラブルになったときには真摯に対応してくれるでしょうが、わけのわからない小さい会社は対応する気配すら見せないところもある!

そんなことを思いました。

(逆バージョンの、消費者が事業者に「消費者センターに言ってやる!」というのもありますね)

スカイマーク:機内の苦情対応の文書を修正へ

毎日新聞 2012年06月06日 20時58分(最終更新 06月07日 08時22分)
毎日jpより・・・http://mainichi.jp/select/news/20120607k0000m040063000c.html

航空会社のスカイマーク(東京都大田区)が機内の苦情を消費生活センターなどに連絡するよう求める文書を乗客に示していた問題で同社は6日、文書を修正すると発表した。「ご不満のあるお客様は『スカイマークお客様相談センター』あるいは『消費生活センター』などに連絡されますようお願いいたします」という記述から「消費生活センター」を削除するという。
同社によると、この文章は機内の座席のポケットに入れられていたが、東京都消費生活総合センターから抗議があったのを受け、約5000枚を回収して14日から入れ替えるという。広報担当者は「消費生活センターは苦情を訴える際の第三者機関という意味で掲載したが、認識不足だった。おわびしたい」と話している。

朝日新聞デジタル

「機内での苦情お断り」 スカイマークの方針、波紋 2012-06-04
http://www.asahi.com/national/update/0604/TKY201206030466.html
スカイマークに都消費生活センター抗議「苦情押しつけ」 2012-06-05
http://www.asahi.com/national/update/0605/TKY201206050535.html
苦情窓口問題、スカイマークが文書回収 消費者庁に謝罪 2012-06-07
http://www.asahi.com/kansai/sumai/news/OSK201206070011.html
スカイマークCA、やっぱり「手伝わない」 新方針公表 2012-06-15
http://www.asahi.com/business/update/0615/TKY201206150173.html

電話帳によるアポイントの法的問題点

業界紙で「日本流通産業新聞」というのが週に1回発行されています。
業界向けに特商法などの解説や問題点、法律Q&Aなどが掲載されています。
特に特商法のエキスパート弁護士の法律Q&Aは事業者向けに解説されており、知らなかったことの発見にもつながり行政サイドからも勉強になるのでいつも読んでいます。

日本流通産業新聞社 日流ウェブ
http://www.bci.co.jp/
日本流通産業新聞バックナンバー
http://www.bci.co.jp/ryutsu/latest_edition/back_number_edition/index.html
日本流通産業新聞 2012年5月31日号

5/31号「電話アポイントは法的に問題はないのか?」

質問
・電話帳を利用して全ての客に電話アポイントを取る形で営業(訪問販売)している
・この方法に法的な問題点はないのか
・たとえば同窓会名簿を関係者からもらって電話をかけることに問題はないのか
回答
・特商法上は、電話帳の利用も名簿の利用も特に問題はない。もちろん、事前に三大告知義務(社名、商品の種類、勧誘目的)を果たすことが前提となる。
・質問内容は、「個人情報保護法上問題がないか」というのがメーンのポイント
・電話帳を訪販に利用することは可能だが、その場合、個人情報の利用目的を「本人に告知する」もしくは「公表する」必要がある
・利用目的を一人一人告知することは非現実的なので、自社のHPに利用目的を公表することで要件を満たすことになる。これをクリアすれば電話帳の利用は問題ないことになる。
・同窓会名簿も不正な手段で取得したのでなければ、利用目的をHPで公表すれば大丈夫である。
→最後に、「個人情報保護法は「利用目的を公表すれば盗んだなどの情報でない限り利用して問題はない」という抜け道によって、実は全く骨抜きになっているのです」と締めくくられています。

「利用目的をHPで公表すれば問題ない」。あまり意識していませんでしたが、ちょっと調べてみました。

個人情報の保護に関する法律・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H15/H15HO057.html

(適正な取得)
第十七条  個人情報取扱事業者は、偽りその他不正の手段により個人情報を取得してはならない。

(取得に際しての利用目的の通知等)
第十八条  個人情報取扱事業者は、個人情報を取得した場合は、あらかじめその利用目的を公表している場合を除き、速やかに、その利用目的を、本人に通知し、又は公表しなければならない。

消費者庁HP
ホーム > 消費者制度課
http://www.caa.go.jp/planning/index.html#m06
個人情報の保護
http://www.caa.go.jp/seikatsu/kojin/index.html
消費者・事業者の方へ
個人情報の保護に関するガイドラインについて
http://www.caa.go.jp/seikatsu/kojin/gaidorainkentou.html

個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン

(平成21年10月9日厚生労働省・経済産業省告示第2号)
http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/privacy/kaisei-guideline.pdf
10ページ

2-1-8.「公表」

法第18条第1項
個人情報取扱事業者は、個人情報を取得した場合は、あらかじめその利用目的を公表している場合を除き、速やかに、その利用目的を、本人に通知し、又は公表しなければならない。
その他、法第18条第3項・第4項第1号~第3号等に記述がある。

「公表」とは、広く一般に自己の意思を知らせること(国民一般その他不特定多数の人々が知ることができるように発表すること)をいう。ただし、公表に当たっては、事業の性質及び個人情報の取扱状況に応じ、合理的かつ適切な方法によらなければならない。
【公表に該当する事例】
事例1)自社のウェブ画面中のトップページから1回程度の操作で到達できる場所への掲載、自社の店舗・事務所内におけるポスター等の掲示、パンフレット等の備置き・配布等
事例2)店舗販売においては、店舗の見やすい場所への掲示によること。
事例3)通信販売においては、通信販売用のパンフレット等への記載によること。

ということです。

HPを開設するときに「プライバシーポリシー」を必ず公表するようにしなさいといわれているのは、カタカナで意味が分かりにくいのですが、個人情報保護法に基づく収集や利用等の考え方を公表するものなのですね。
ちなみに消費者庁のHPにも最下部からプライバシーポリシーのページを見ることができます。
消費者庁HP
ホーム > 情報提供について > 消費者庁ホームページにおけるプライバシーポリシー
http://www.caa.go.jp/info/homepage/index_2.html

私にも割と勧誘電話がかかってきて、意地になって事業者を説教したりしていますが、無能なテレアポ部隊を説教しても効果はなく、むなしくなるばかりですね。
①電話をかけてきたのは何の名簿をもとにしたのか?
②その名簿は不正な手段で取得していないかどうか?
③入手した個人情報をどのような方法で公表しているのか?
を意地悪質問したらいいのでしょうね。
同窓会名簿などだったら、不正取得・公表を突き詰めていく。
ただし、何らかの会員登録やプレゼントの応募をしたときに個人情報の利用に同意している、という結果になることが多いのかもしれません。
自分自身への勧誘電話や訪問販売に関して過敏になってしまうのは職業病ですね。

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