国民生活センター、国の機関移行白紙へ

TBS News i.(http://news.tbs.co.jp/)より引用

国民生活センター、国の機関移行白紙へ

http://news.tbs.co.jp/20121228/newseye/tbs_newseye5219348.html

民主党政権下で来年度中に国の機関に移行することが決まった独立行政法人の「国民生活センター」について、森雅子消費者担当大臣は決定を白紙に戻し、組織のあり方を検討し直す考えを示しました。

「国に移行しないということを指示しました。今後、25年度は移行しないということです」(森雅子消費者担当相)

独立行政法人の国民生活センターをめぐっては、民主党政権の下で開催された有識者による検討会議が「2013年度中に、消費者庁の特別の機関として移行する」という結論をまとめていました。これについて、森雅子消費者担当大臣は、「来年度中の移行は取りやめる」として決定を白紙に戻し、消費者に最も資する形となるよう、1年かけて組織のあり方を検討し直す考えを示しました。

どのような場で検討するかなどの具体案については決まっていませんが、再来年度以降の組織形態について森大臣は「やっぱり国に移行するかもしれないし、ずっとそのままかもしれない」としています。(28日21:57)

毎日jp(http://mainichi.jp/)より引用

国民生活センター:14年3月末まで存続 森担当相「大事な役割を果たしている」2012年12月29日

http://mainichi.jp/select/news/20121229mog00m010005000c.html

森雅子消費者担当相は28日、報道各社のインタビューで、独立行政法人「国民生活センター」を少なくとも14年3月末まで存続させる方針を明らかにした。同センターは消費者庁と業務が重複しているとして、機能を消費者庁に移行する方針が決まっていたが、政権交代で方針が変更されることになった。

同センターは70年、食品による健康被害の社会問題化などを受けて設立され、消費者問題の注意喚起や消費相談受け付け、商品テストなどを行ってきた。09年9月に消費者庁が発足し、独立行政法人の見直しの動きも受けて再編案が検討されてきた。その後消費者庁への移行が有力とされ、14年1月の移行を前提に13年度予算案が提出されていた。

森担当相は「国民生活センターは大事な役割を果たしている。機能を充実させるため予算も強化したい。14年4月以降については改めて検討したい」と述べた。

ひとこと、「...」ですね。勝手にやってください。どちらにしても先は見えています。
「消費者のための組織」「地方の相談現場のための組織」という視点にきちんと目を向けてください。

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ソフトバンクは「有効」 携帯違約金条項で京都地裁判決

NPO法人「京都消費者契約ネットワーク」が、携帯電話の2年契約の中途解約金を定めた条項は消費者契約法違反として、携帯電話3者に対して消費者契約法に基づく差し止め請求をしていましたが、ドコモ、auに続いて、ソフトバンクでも一審判決が出ました。
判決内容は、ドコモとほぼ同じで、月平均の利益と解約の平均残月数を掛け合わせた金額が損害として認められ、それは中途解約金を上回るとして、中途解約金条項は有効としました。

詳しい判決文は、「京都消費者契約ネットワーク」にいずれ掲載されると思いますが、新聞報道では地元の京都新聞が一番詳しく説明されていますので、紹介します。

ソフトバンクは「有効」 携帯違約金条項で京都地裁判決

京都新聞 【 2012年11月20日 23時00分 】
http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20121120000118

携帯電話の2年契約の割安サービスで中途解約時に違約金約1万円を定めた条項は消費者契約法違反として、NPO法人「京都消費者契約ネットワーク」がソフトバンクモバイルに条項の使用差し止めを求めた訴訟の判決が20日、京都地裁であった。杉江佳治裁判長は「消費者の利益を一方的に害さない」として条項を有効と判断し、請求を棄却した。
違約金条項をめぐる同種訴訟判決は今回が3社目。有効判決はNTTドコモに続き2例目で、KDDI(au)は一部無効の判決が出ている。ドコモとauの2訴訟は控訴審で争っている。
訴訟対象は定期契約サービス「ホワイトプラン」(月額基本料980円)。他サービスより割安だが、中途解約時の違約金9975円を規定している。同社によると、契約数約3千万件の大半が利用しているという。
消費者契約法は、違約金が解約で被る企業の損害額を超えてはならないと定める。杉江裁判長は、ソフトバンクの損害を契約満了までに得られたはずの利益とした。逸失利益は本来、契約期間が延びるにつれて減るが、1カ月分を解約者の平均的な契約残り月数に乗じることで、2年間を通じて同じ約1万3千円の損害額を算定し、これを下回る違約金条項を有効とした。
同ネットは「不当な判断」として控訴する方針。ソフトバンクモバイル広報室は「当社の主張が認められた」としている。
今回の判決でドコモとauを含む通信3社の同種の違約金条項をめぐる一審判断は出そろったが、損害額の計算方法によって3訴訟の判断は異なった。
ドコモ判決が損害としたのは契約中に割り引かれた金額で、平均解約月から2年間一律の損害額約3万円を算定して条項は有効とした。これに対し、一部原告勝訴のau判決は今回より高額な逸失利益を損害の根拠としつつ、2年間一律でなく解約月ごとに右肩下がりの損害額を算定、最後の2カ月に解約した場合に限り違約金が超過して違法とした。
※3社の判決内容の分かりやすい比較表がありますが元の記事を参照してください。

これまでに、ドコモとauの判決について解説しましたが、おおむね予想通りの結果だと思います。
すべて、控訴していますが、個人的には、なぜ、そこまでこだわっているのか理解に苦しみます。
中途解約金以外の差し止め請求については、訴えの内容が十分に理解でき、適格消費者団体としての責務は果たせていると思うのですが、なんでもかんでも訴えるとよいというものではないと思います。

過去にも書いてきましたが、あえて中途解約金を問題にするなら、もっと違うところにポイントを置く必要があるのではないかと思います。
私が考えるのは、最初の2年は良しとして、更新時の2年の縛りははきついのではないかと思います。それは、初期投資の回収は最初の更新時までに可能であるのではないか、学割が3年単位である、携帯電話本体の故障リスクを考えると2年以降のリスクは高い、などを考慮すると、1年単位にすべきではないか、もしくは解約金をや低く設定すべきではないかと考えています。訴訟では、通信料についてのみ考慮していますが、本体料金なども考慮すべきではと思います。

これまでの裁判で原告が訴えている中に、「基本料金が半額のプランはほとんどのユーザーが契約しており、実質的に半額の料金が基本料といえる」という内容がありますが、判決にもあるとおり、契約者には、「いつでも解約できるプラン」と「2年縛りで解約金ありで半額プラン」という選択肢があるわけで、実際に前者を選んでいる契約者もいるという事実があります(たとえば法人契約であれば財務会計上の問題が生じるので前者を選ぶこともあります)。

似て非なるものかもしれませんが、相談員なら十分ご存知ですが、新聞契約で、「毎月契約定価払い」と「2年契約景品つき定価払い」があり、中途解約でよくトラブルになっています。こちらの方は、携帯電話ほどの契約プランの偏りはないと思います。
また、ネットの光回線やケーブルテレビでも2年契約を条件に月額料金を割り引くプランが出てきています。
これらについても、基本的には同じ問題だと思います。

控訴していますが結果は変わらないように思います。
逆に、判決が確定してしまうと、解約金条項がほぼ無条件に有効であるとの判例が適用されるので、私の考える問題点はすでに対象外になるかもしれません。
つまり、今までは消費者に有利な判例(勝訴)ばかりだったのが、不利な?判例(敗訴)ができてしまうということです。

私の考え方が正しいというわけではなく、いろいろな考え方があると思いますが、まわりの声に惑わされず、自分の持っている知識や常識力から、これらの一連の判決を「消費生活相談員」として考えて、自分の違憲を論理的に説明できる力をつけてほしいと思います。

なお、消費者センターにも、以前の判決や、この判決を知って解約金を返還してほしいとの相談が寄せられていると思います。今のところ判決が確定していないのでなんとも言いようがないです。時効を避ける意味でも消費者から事業者に申し出て記録を残しておいてもらうということが、今できることではないかと思います。

(参考)過去の関連記事
携帯電話の違約金条項の使用差し止め訴訟 2010年6月17日(木)
携帯中途解約金訴訟 判決 その1 2012年4月9日(月)
携帯中途解約金訴訟 判決 その2 2012年4月16日(月)
携帯中途解約金訴訟 判決 その3 2012年4月18日(水)
携帯中途解約金訴訟 判決 その4(最終回) 2012年4月20日(金)
au携帯「2年縛り」 違約金、初の「一部無効」 京都地裁判決 2012年7月19日(木)
解約金訴訟の第一審判決:ドコモとKDDIの違い 2012年7月25日(水)

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解約金訴訟の第一審判決:ドコモとKDDIの違い

NPO法人「京都消費者契約ネットワーク」が提訴した団体訴訟の地裁判決がでたことは、先日紹介したところですが(au携帯「2年縛り」 違約金、初の「一部無効」 京都地裁判決 2012年7月19日(木))、その判決内容についてドコモとの違いをとても詳しく解説しているニュースサイトがありましたので紹介します。

解約金訴訟の第一審判決:ドコモとKDDIの違い

2012年7月22日(日)19:30
gooニュース
http://news.goo.ne.jp/article/wirelesswire/business/wirelesswire_201207220925.html

まとめ
ここまで見てきた通り、解約金条項に対する有効性についての判断と「平均的な損害」を基準に条項の有効性を判定するところまでは2つの判決は共通している。ただし、2つの判決には以下の3点で判断の違いがあり、その結果、「平均的な損害」の算出方法が異なっている

標準の基本利用料と割引後の基本利用料の差を損害として認める(対NTTドコモ判決)か、認めない(対KDDI判決)か。
契約解除後の逸失利益を損害として認める(対KDDI判決)か、認めない(対NTTドコモ判決)か。
「平均的な損害」の算出は全ての利用者を一体として行うべき(対NTTドコモ判決)か、期間により大きく異なるという理由で契約期間別に行うべき(対KDDI判決)か。

なお、その他の争点については、両判決とも以下の通り判断している。

契約更新時の解約金条項の無効について:契約更新といっても新たに2年間の契約を結びなおすのと同じことで、平均的な損害の算出についても同様に考えられるので、解約金条項の有効性についても同様である。
消費者契約法第10条への該当について:解約金条項は一定期間解約に対して解約金がかかるということでたしかに消費者の権利を制限し、義務を加重しているが、2年間という期間は長すぎない、対価として「割引サービスを受けている」、(対KDDIで不適切であると判断された部分を除き)金額が適切である、という理由で、「消費者の利益を一方的に害する」とは言えないので無効ではない。

二つめの訴えである「既に支払われた解約金に対する返金」については、対KDDI判決では解約金条項の一部が無効とされた「23ヵ月め、24ヵ月めの解約者」に対してKDDIが平均的な損害額との差額を返金するよう命じられた。また、対NTTドコモ判決では、解約金条項は有効とされたため、返金については棄却された。

KCCN事務局長の長野氏によれば、対ソフトバンクモバイル訴訟の判決は2013年3月頃の予定とのことである。その時にはどのような判決が出されるか、また今回の2つの判決に対して、上級審ではどのような見解が出されていくのか、注目する必要があるだろう。

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