2012年4月18日
/ 最終更新日時 : 2014年10月22日
管理人
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前回の続きです
争点(4)
法10条前段における「民法 、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定」の解釈
原告の主張
・法10条は不当条項がなかった場合に比べて消費者利益が害されている場合に広く適用される一般条項であるというべきであり、「民法 、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定」は何らかの範囲に制限されるものではない。
被告の主張
・講学上の任意規定のみを指す
裁判での判断
・民法等の「法律の公の秩序に関しない規定」は明文の規定のほか、一般的な法理をも含むと解すべきであるから原告の主張には理由があり、被告の主張には理由がない。
※いまいち分からないのですが、今回の解約規定は任意規定であるということでしょう。
争点(5)
本件解約金条項の法10条前段該当性
・FOMAサービス契約は民法が典型として規定する委任契約または準委任契約にそのまま該当するということはいえず、一種の無名契約と認めるのが相当
・解約条項は「公の秩序に関しない規定」に比較して消費者の権利を制限し、消費者の義務を加重しているというべきである。
※この任意規定は消費者に権利の制限や義務を加重しているということでしょうね。そして、それが妥当かどうかを次に判断していくことになるのでしょうね。
争点(6)
本件当初解約金条項の法10条後段該当性
・解約金条項が消費者の解約権を制限していることが消費者にとって一方的に不利益なものであるということはできない。
・カタログには解約金に関する記載が存在し、その性質を明確に説明しており、被告と消費者との間にはこのような説明を踏まえた上で、解約金条項に基づく明確な合意が成立しているというべき。
・消費者は解約金条項に基づき解約権の制限を受けるものの、そのことに見合った対価を受けており、制限の内容についても何ら不合理なものではなく、情報の質及び量並びに交渉力の格差が存在するということはできないといえるから、法10条後段には該当しないと解するのが相当である。
※解約金条項はお互いに明確な合意があるので、不当とはいえないということでしょうね。
争点(7)
本件更新後解約金条項の法10条後段妥当性
・消費者は契約が更新された後に解約金の支払い義務を負うとされることによって解約権の制限を受けるものの、そのことに見合った対価を受けており、制限の内容についても何ら不合理なものではないから、更新後の解約金条項が、金額を問わず一般的に法10条後段に該当するとは言えない。
※今までの流れから更新後も不当ではないということでしょう。
以上のとおり解約金条項は法9条1号にも法10条にも該当しないものであって有効である。
原告の不当利得返還請求は前提を欠くので判断する必要はない。
よって、原告らの請求はいずれも理由がないことから、これを棄却する。
※長い理論構成ですね。裁判は大変だなあと思います。それだけに時間がかかるのでしょうね。この判決について評論することは楽しいかもしれません。まさしく、学者の魂です。息抜きぐらいに考えておいてくださいね。
相談員としては、解約金が正当なものかどうかという判断はせず、今現在の個別のトラブルを解決するにはどうすればいいのかということに全力を注ぎ、材料をそろえてあげることが必要だと思います。
もちろん、不当条項に対する戦いはすべきでしょうが、ある程度の役割分担を前提として、何でもかんでも相談員や消費者センターができる・やるべきと考えると、しんどくなってしまいます。