新人相談員向け その1 「新人相談員と思わせない」(音声解説あり)
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「情報の量」についての資料は総務省などで公表されています。
その中の1つですが、流通している情報量と消費している情報量を比べると、2006年から流通している情報量が爆発的に増加している一方、消費される情報量は変わっていないことが分かります。
情報量の拡大は今後も増え続けると思われます。
この両者の差は、消費されない情報、スルーざれる情報となります。
広告業界では、昔のようにテレビにCMを流せば多くの情報が伝わるという簡単なものではなく、どうしたら伝えたい対象に情報を伝えるのかということが課題になっており、情報伝達の手段も多彩になっています。
もちろん、この大きな要因は、「インターネット」です。
私たちは、何か情報を知りたいときに、「ネットで検索すれば見つかる」と思っています。
しかし、実際はどうでしょうか。
単純な情報であれば簡単に見つかりますが、複雑な情報になると、検索結果が膨大な量になり、そこから知りたい情報、そして正しい情報を得るのが非常に難しくなります。
また、多くの時間も要します。
消費生活相談の中でも、事業者や悪質情報や商品情報などを検索しようとしたときに、見つからないことが良くあると思います。
「見つからない」のではなくて「見つけられない」のです。
検索能力は個人のスキルに依存します。したがって、私では見つかる情報もほかの人では見つからないということもよくあります。
さらに、見つかったとしても、その情報が正しいものかどうか判断するのも難しくなってきます。
掲示板等では真偽の不明な情報があふれかえっています。
消費者はその中から自分に都合のいい情報を選び出して、それを元に、事業者や消費者センターにきます。
事業者であれば、ある程度の対応方法はマニュアル化されていると思いますが、消費者センターでは情報の取り扱いに慣れておらず、振り回されることになります。
では、このようにあふれる情報の中からどんな情報を選択すればいいのでしょうか。
ひたすら時間をかけて、検索してきた情報を片っ端から読んで、必要な情報を自分で判断して取捨選択する。
そんなことをしていたら、あっという間に数時間は経過してしまいます。
しかも、欲しい情報にたどり着かないこともあります。
あふれかえった情報を整理するために出現したのが、ウィキペディアやまとめサイトと呼ばれるものですが、これも信頼度が高くなりますが完全に正しいかどうか分かりません。
また、知恵袋やOKWEBといった質問サイトも活発に利用されています。
実は最先端の情報伝達手段の動きはすでに始まっています。
それは、「口コミ」です。伝播形態としては「SNS(ソシアルネット)」です。
もっと言えば、「信頼できる人が出した情報」です。
「信頼できる人が出した情報」は信頼できる」という理論です。
それを裏付けるかのように、企業の広告手法として、「口コミ」や「SNS」が増えてきています。
身近な話で言えば、親しい友達がおすすめした商品や飲食店をりようするということです。
(消費者問題の世界では、飲食店の「口コミ」サイトのやらせが社会問題になったこともあり、悪質商法は時代の最先端をいくということです)
「信頼できる人物が発信した情報」というのは、アナログ的には昔から良く使う「詳しい人に聞く」ということですね。
それがネット上で展開されていることになります。
これらは、効率の良い情報収集の選択肢です。
また、消費生活相談現場でも同じですね。
相談員のための相談先というのがいくつもあります。
譲歩が多すぎるから、いっそのこと、情報を探すことをしなければいいのではと思います。
しかし、多くの仕事が情報無しには成り立たなくなっています。
相談業務もそのひとつです。
悪質商法は情報の最先端を行きます。
相談者はネットから自分に有利な情報を探してきます。
すべての商品を熟知しているわけはないので、知らない情報はネットで検索します。
同種事例が出ていないかネットで検索します。
10年前には相談業務を受けながらネットで情報を検索することなんてあまりなかったと思います。
というよりも、ネット検索できるパソコンがなかったと思いますが、今やネットは普及し、相談現場に情報検索は欠かせません。
このように、「情報がたくさんあるから何かあったらネットで検索すればすぐに調べることができる」とは簡単には言い切れないくなっているのです。
相談現場でもネット検索にトライして途中で断念したことがあると思います。
「情報があふれかえりすぎている」ことの弊害が、消費者の側でも、相談員の側でもあるということを前提にしたいために、今回この記事を書きました。
あふれかえる情報に中から、できるだけ必要で正しい情報を、効率的に入手するというテーマは今後も書き続けたいと思います。
また、その情報入手の手段としてこのスキルアップ講座を活用いただけたらと思っています。
総務省
情報通信白書
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/index.html
情報通信政策研究所
研究成果~調査研究報告書
http://www.soumu.go.jp/iicp/chousakenkyu/seika/houkoku-since2011.html
佐藤尚之
明日の広告・明日のコミュニケーション
※別の機会に単独の「おすすめ書籍」として記事を書く予定です。
各センターにも冊子で送付されている「ジャドマニューズ」ですが、「通販110番」という記事が相談現場でも役に立つので毎号紹介します。
少し事業者目線の回答であったりしますので、消費者センター的な立場での考え方に置き換えたりもします。
また、最後のほうに「裏話」的な記事が連載されており、とても勉強になります。
なかなか毎号冊子を読む機会がないかもしれないので、この記事を活用してください。
※通販系のトラブルはジャドマの通販110番を消費者に紹介することも多いと思います。電話だけでなくメールでの相談も受け付けています。
困難事例で通販110番を紹介するポイントについてはオープンでは書きにくいので会員用に書きたいと思います。
JADMA日本通信販売協会
http://www.jadma.org/
※メール相談も可能です
「ジャドマニューズ」の最新号・バックナンバーは、HPで閲覧できます。(毎月15日発行)
2014年5月号
http://www.jadma.org/pdf/news/2014_5.pdf
ジャドマニューズ
http://www.jadma.org/jadma_news/index.html
①通販110番
消費者相談編
2013年度 消費者相談件数とその概要
・広告媒体別相談件数・・・インターネットの相談が異常値、詐欺サイトへの苦情が急増、テレビはほぼ変わらず
・相談内容別件数・・・詐欺サイトへの苦情が急増、電話がつながらない、連絡先不明など
・商品別苦情問い合わせ件数・・・上位の商品は詐欺サイトが多数、飲食では不審な電話に関する相談も
※詐欺サイト一色だったようですね。入金前だったら助かるのですが、入金後であれば難しいですね。詐欺なので、結局は警察しかないのですが、解決できないことがほとんどです。行き場のない相談先がここに集まったともいえるかもしれません。消費者センターでもあっせんできない事案になってしまうので、警察に相談してもらうか、通販110番に相談してもらうかというパターンです。センターとしても、話を聞いてあげることぐらいしかできないのですが、何の解決にもなりませんが、通販110番を紹介するという逃げ方?もあるのかなと思います。
この詐欺サイトの問題は現場のセンターでは啓発ぐらいしてか対応策はなく、国策としてどう対応してもらうかというところの問題ですね。
以前にも書いたことがありますが、詐欺にあった後で、日本語表現がおかしい、価格がありえないなど、よくよく考えるとおかしいと理解する消費者がほとんどだと思います。それでも、相談してくるのは、そのやるせない気持ちを聞いてほしいという心理もあるので、それに対応した「共感」のコミュニケーションを心がけてください。「勉強するには高い買い物だった」と思うかもしれませんが、このような詐欺にあった消費者は、同じ被害にあわないように学習するので、その学習を支援してあげるのもセンターの役割だと思います。
そのほかの概要としては、通販の一般的な相談事例のようです。
今回の記事は特に読んでいただくほどではないと思います。
②誌面に書かないメディアのホンネ
vol.12 「ウェブニュースでウケる通販ネタは「トラブル」と「神対応」
・「トラブル」に食いつく一方で、「心温まる話」を求める傾向も
ネットニュース編者者として、どのような記事が読まれるのかということに詳しい
トラブル対応がよかったという記事もアクセスが多い
・大手通販会社の「潜入取材」が2年後に「ニュース」になった理由
過去の情報も何かのきっかけで最新ユースとして大きく注目されることがある
※この記事は現場の相談員にぜひ読んでほしいと思います。基本的には消費者対企業の出来事ですが、これが消費者対消費者センターまたは消費者相談員個人にいつでも進化することが可能なのです。個別の事例では過去にもネットに書かれた事例も見られますが、ニュースになるほどのものはありません。しかし、消費者センターに相談すると、良かった悪かったということが個人のブログやSNSで簡単にネット拡散する時代が来ているのです。もちろん、最悪な場合は会話が録音されていて、ネットで公開されてしまう場合も。過剰な対応をすると、ネットであのセンターではこういう対応をされたのに私はしてくれないのか、という出口の見えない話になりかねません。そうなった場合は、本来の消費者問題ではなく、行政対応の問題に変わってしまうので、相談員では解決できないことも少なくありません。そういうことを意識して相談対応していくことが必要です。