ジャドマニューズ 2013年4月号

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2013年4月号
http://www.jadma.org/pdf/news/2012_04.pdf
ジャドマニューズ
http://www.jadma.org/jadma_news/index.html

①通販110番
いつもは消費者相談が先に書かれているのに今回は事業者相談が先になっていました。よほど強調したいのでしょうか。
今回の事業者相談は相談現場でも類似の事案は多く、解決が困難であったり、クレーマー的な相談である場合もあります。
ネットでも見ることができるので、リンク先の原文をぜひ読んでください。

事業者相談編
ヘアカラーリング製品による拡大損害
11月号では、購入商品が原因で身体、2月号では身体以外の財産への拡大損害について掲載しましたが、今回は「ヘアカラーリング製品」によって損害が発生した事例を取り上げます。なお、同様の製品群を取り扱う事業者が複数あり、類似相談が散見されましたので、事例は各要素を取り入れて編集しています。

事例①治療費負担に必要な診断書や領収書の提出がなされない
・「カラートリートメントが肌に合わない、タオルや寝具が汚れた、思った色に染まらない」として苦情
事例②補償を求められたが、診断結果との因果関係が不明
・3カ月前に「毛染めトリートメント」を使用したところ、かゆみや抜け毛がひどくなったとして補償を求められている。
・顧客には友人に医師がおり、当該商品が原因であると指摘された
・近隣の消費生活センターからは「弁護士に相談をしたらどうか」と勧められた
・一旦は納得したが3ヵ月後に再燃し、慰謝料30万やマスコミへの通報等を示唆
・友人の医師の診断書には因果関係については書かれていない
→、皮膚トラブルについては、商品との因果関係を明らかにするために、言うまでもなく専門医による診断書が必要。タオルの色については、取扱説明書に注意喚起が表示されており、補償する必要はない。根拠の不明なものに高額な支払いは不必要である。
通販110番より
ヘアカラーリング製品の特性を理解し、販売する際は消費者に十分な注意喚起を

※現場でもよくある相談です。とにかく、製品による直接的な火傷など、明らかな原因と思われる場合を除いて、アレルギーや身体異常については、「医者の因果関係を示す診断書」につきます。これがないと、センターでもあっせんは困難です。第3者がそそのかすこともよくありますので要注意です。

消費者相談編
注文前に返品期限を確認していますか?
最近寄せられる相談では、利用規約、特に返品期限を把握していなかったことで苦情に発展するケースが見受けられます。今回はそのような事例を取り上げたいと思います。

事例1 返品期限が2週間とは思わなかった
・通販で衣料品を購入したがサイズが合わなかった
・仕事が忙しく1ヵ月後に返品を申し出たら2週間の期限を過ぎてるので断られた
・今までの通販会社では1ヶ月でも返品を受け付けてくれたが、まさか2週間とは思わなかった
→返品期限を大幅に過ぎていることで断った対応については問題ないと回答。・サイズ交換の交渉を提案したところ、すでに提案を受けているとのこと。悪い対応ではないので在庫確認してはとの説明に納得。
事例2 不良品はいつでも返品できると思っていた
・ネット通販で携帯電話用充電ケーブルを2本購入したが、2ヵ月後に始めて使用したら通電しなかった。
・7日間の交換返品期限を過ぎているので断られた。
・不良品にも返品期限があることに納得いかない
→利用規約に不良品の返品は7日以内とあった。商品到着後すぐに確認する必要があるとの説明に納得。
通販110番より
返品期間に関して消費者は十分認識を事業者は消費者にわかりやすい記載と柔軟な対応を

※これは相談現場でもよくある事例ですね。もっと早く相談してくれたらセンターでも十分に対応できるのに、さすがにこれだけ過ぎたらセンターからも申しにくいというのが現状です。不良品の場合も少々過ぎてても交渉の余地はありますが、あまりにも過ぎてた場合は苦しいですね。クリーニングでもこれと同じような状況があります。

社団法人 日本通信販売協会 HP http://www.jadma.org/
会報誌(JADMA NEWS) http://www.jadma.org/jadma_news/index.html

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弁護士の見方と相談現場の違い その4(最終回)

「その1」「その2」「その3」を読んでいない方は、まず、そちらの記事を先に読んでください。

続いては、相談者のいう「欠陥」で使えないというのが、本当に使えないかどうかという問題です。
前回

①「欠陥」について
楽天であれば総合5位というのはかなりの販売量です。食品や雑貨が多いので「欠陥」という表現は正確ではないでしょう。「使えませんでした」とあるので食品ではないですね。
仮に、家電品などの機械物として考えたとしても、私たちの世界での「欠陥」ではなく、「故障」「不良品」「初期不良」の分野ではないでしょうか。
一般消費者は、普通の故障を「欠陥」ということが多いので、この言葉を額面どおりに捉えるのではなく、きちんと確認してください。
もちろん、これらも大きな意味での「欠陥」には違いありませんが。
本当に「欠陥」であれば別レベルの対応が必要になってきます。

と書いたところですが、返品したいという相談があれば、その理由は何かということを正確に聞き取る必要があります。
一般消費者の欠陥の定義はとても広いですが、相談現場や事業者での欠陥の定義は限られてきます。まず、そのギャップがないか確認します。
具体的な確認のポイントは長くなるので別の機会にしますが、返品理由に相当するかどうかが最初の判断になります。
返品理由に相当するのであれば、あとは事務的に進めるだけですが、返品理由に該当しない場合は複雑な話になります。

ここでは商品の不具合としておきますが、その不具合が本当に発生しているのかどうか、すなわち、単なる使用方法の確認ミスで作動しないだけなのか、いわゆる性能が思ったほどではないという品質不良なのか、という、どちらかというと消費者由来の理由である可能性を探ります。
そのような場合は、ネット通販の小さい店だと、単なる「いいがかり」、クレーマーと判断して無視することも考えられるからです。さらに、消費者から事業者への申出内容が正確に伝わっているかということも大事であり、正確に伝わっていない場合は単なるクレーマーとしてみなされて無視されることもあるからです。
商品に何が起こっているのかという事実をセンターでしっかり見極めてください。単なる使用方法のミスや確認不足の場合だと、使い方の助言だけで解決することもあります。

次に、実際に商品の側に問題があり返品理由に該当するとなれば、通常の返品作業に入ります。
注意しておかなければならないのは、安価なネット通販の特徴として、初期不良などの製品側に問題があったとしても返送料を負担させることがあるということです。それがネット通販の欠点です。
普通に考えれば、債務不履行などと主張して送料着払いなどを主張することは十分通る話ですが、そういう話をするだけで大変なときがあります。商品代金を考えながら、高額の場合は迅速な問題解決のために返送料を負担するなどケースバイケースで考えなければならないときもあります。
とにかく、事業者に返品したいという意思表示を主張することが大切です。
(今回は事故が発生した場合については省略します)

なお、返品理由に該当しない場合は、返品を受け付けてもらうのが困難となります。使い方の助言などでその商品を使い続けてもらえるなら、それでOKですが、けちがついた商品や品質に納得いかない商品の場合、自主交渉になります。(具体的な自主交渉の方法については省略します。)

最終的に今回のケース(商品に問題があり連絡がつかない場合)で、問い合わせて間もない場合は少し様子を見る必要があると思います(もちろん倒産や逃げていることが分かった場合は別です)。しかし、確実に連絡が届いていると思われるのに1週間以上も回答がなければ全く対応する気がないと考えてもいいかもしれません。そのような場合は、いわゆる法的手段に進むわけですが、やはり手間ひまかかります。そこで、クレジット支払いで引き落としがまだの場合などはクレジット会社に申し出ることも有効です。また、楽天であれば、楽天を通じて商品代金を支払っているようなもものですから、当然、楽天にも申し出ることは可能だと思います。ましてや、ランキング上位に入るような事業者であれば、楽天も無視するわけにはいかないでしょう。単なる単品不良で終わるのか、苦情がもっと拡大して楽天自身の信用問題になるのかは分かりませんが、どちらにしろ、モールの責任として無視することはないでしょう。ただし、モールからの回答も時間がかかるかもしれませんが、少しの間の我慢は必要です。

以上のように、ネット通販では一度トラブルが発生してしまうと、リカバリーするのに相当なエネルギーを必要とします。リアル店舗とは異なり、交渉に当たっては相談員もある程度の心構えが必要です。
すべてを伝え切れていませんが、実務的な現場対応についてまとめてみました。


さて、ここまで読まれると(いや、読まなくても)弁護士の回答に違和感を感じると思います。モール側は店舗の売上が上がればそれだけ収入も増えることになるのですから、弁護士のいう主張も理解しつつ、センターでの相談現場ではもう少し柔軟な解釈をしてもいいはずです。ましてや、ランキングというモールの独自システムを使って「店舗の売上を増加させる=モールの手数料も増加する」としているのはまぎれもない事実ですので、白黒つける弁護士の回答よりも、お互いの着地点を模索する方が友好的な話し合いができます。敵対的な話し合いをする弁護士的見方との大きな違いはそこになると思います(センターであっせん不調になれば弁護士相談にレベルアップします)」。

弁護士の回答を見直してみる
楽天などのモールと店舗が同一であると誤認するという時代は終わったと思います。よほどのこと(ネット初心者など)がない限り、一般論として商法14条の類推適用は無理矢理当てはめるのでなければ、該当しないのではないかと思います。
また、製品の重大事故などが起こればほかに適用する法律はたくさんあるので、いまさら民法の不法行為をモール側に主張するのも現実的ではないと思いますし、そのような事例には素早く対応していると思います。
最後の保証に基づく責任はないと書いてありますが、前述したようにとても違和感を感じます。
弁護士の回答でまとめた表は、私的な回答では「原則として、モールと店舗は同一な存在ではないが、モールはランキング表示をしているなど、店舗側と密接な関係があり、トラブルが生じたときには、道義的な責任を負う必要がある」となります。そして、これを理由としてモールとあっせん交渉していくことになると思います。
これが、同じ相談内容でも立場や見方を変えれば、さまざまな正解が出てくるというところです。

最後に私が言いたいことは
相談現場でも弁護士の助言を受ける制度がある恵まれたセンターがあると思います。その弁護士が相談現場の事情をよく理解していればいいのですが、そうでなければ、その回答は今回のような弁護士的な見方になることがあり、いかにも正しく見えますし、実際に正しいですが、消費者センターの現場対応の目線だと、「絵に書いた餅」になる可能性もあります。特に、法的主張をすれば消費者側に有利であるという助言が、敵対的な方法につながり、相談員が苦労する場合もあるので、あくまでも参考として、最終的には相談員自身で判断することが大切だと思います。
みなさまも、これと同じような相談を受けた経験がたくさんあると思いますので、上手くいったこと、上手くいかなかったこと、こうすれば上手くいってたかもしれないなどを振り返ってみて、次につながればいいと思います。

全快の記事とあわせてコメントがあればお願いします。コメントを記入するには記事のタイトルかコメントリンクをクリックして単独で記事を表示してください。

弁護士の見方と相談現場の違い その3

「その1」「その2」を読んでいない方は、まず、そちらの記事を先に読んでください。

Q インターネットのショッピングモールで総合ランキング5位の商品を購入したところ、欠陥があり使えませんでした。売っていた店舗には全く連絡がつきません。モールの運営者に損害賠償を請求できますか。

まず直感的にこの質問内容は情報が少なくて正確性に欠けると感じました。
つまり、相談者目線の内容なので、あっせんするための内容に翻訳する必要があります。
そこで、この相談内容の本質にせまるため事実関係について、2点考えたいと思います。
というよりも、この2点を確認しなければ前進しないと思います。

①「欠陥」について
楽天であれば総合5位というのはかなりの販売量です。食品や雑貨が多いので、「欠陥」という表現は正確ではない可能性があります。
仮に、家電品などの機械物として考えたとしても、私たちの世界で言う「欠陥」ではなく、「故障」「不良品」「初期不良」の分野ではないでしょうか。
一般消費者は、普通の故障を「欠陥」ということが多いので、この言葉を額面どおりに捉えるのではなく、きちんと確認してください。
もちろん、これらも大きな意味での「欠陥」には違いありませんが。
本当に「欠陥」であれば別レベルの対応が必要になってきます。
②店舗と連絡がつかないことについて
「売っていた店舗には全く連絡がつきません。」という内容をどう解釈するかということです。店舗とは連絡がつかないので、質問者はモールに責任を求めています。
まず、消費者が思うことは、電話が通じない、メールの返信がないなどから、店舗が粗悪品を販売する悪質業者ではないか、詐欺ではないか、倒産して連絡がつかなくなったのではないか、と考えます。
そして、モールに対応や責任を求めたり、消費者センターに相談します。
多くの場合、このような店舗は少ない人数で雑貨などを多品種で薄利多売しています。これが成り立つのがネットショップの妙味です。
そして、電話はほとんどつながりません。
注文数もかなり多いので、メールの返信にも時間がかかります。
つまり、連絡がつかないだけなのです。
これがネットショッピングのアフタサービスの欠点です。
運営者1人で営業していることもありますので、昼間から電話が通じることはまれです。
電話番号すら表記していないところもあります。また対応はメールのみというのもあります。
相談現場でも電話したときにつながらないことがあると思います。所在地を見たら単なる住宅だったりします。
自宅で1人でネットショップという形態も珍しくありません。

以上の2点が、モールに申し出る前に、まず確認すべきことではないかと思います。

もしかしたら以下のような質問が実際の内容になるかもしれませんね。
Q インターネットのショッピングモールで総合ランキング5位の商品を購入したところ、欠陥があり壊れていて使えませんでした。売っていた店舗には×日前にメールをしたのに返信がありません。電話も呼び出し音がなるだけで、全く連絡がつきません。連絡がつかないので、この業者は悪質で詐欺だと思います。モールの運営者に損害賠償返品や返金を請求できますか。


今回の回答には法律的な解釈が書かれていますが、先ほど書いた可能性をまず考えます。
その場合、確認しておくことは、倒産したり、逃げたりしていないかどうかです。
ショップのHPがなくなっている場合は倒産や詐欺の可能性は濃厚です。
みなさんも経験があるかもしれません。
今のネット社会では、このような営業規模の大きいショップのネガティブ情報は各種の掲示板に書かれています。
掲示板情報は真偽は不明なので参考程度に考えますが、「2ちゃんねる」を含めかなり参考になります。
そして、ショップの商品ページのコメントも参考にして、確かに商売が動いているかという確認をしてください。
トラブルのあった場合の対応が遅いなどのコメントが見つかる場合もあります。
また、本当にトラブル続きの問題ショップであれば、さすがにモール(楽天)自体も対応しますし、逃げたりした場合は返金する可能性もあるかもしれません。
実際にランキングに入っているぐらいの店舗であれば、ある程度信用できるし、モール側も責任を持つと思います。

このような情報を相談者から聞き取って、また、ネットで調査して、PIO-NETの情報も検索して、その結果、営業していると分かれば、忙しくて「対応に手が回っていない」のではないかと思います。これはよくあることです。そうなれば、詐欺とは確定できないので、モールや警察も手が出しにくいですね。ただし、1ヶ月など長期間に渡り返信がないのであれば問題です。ネットショップであれば1週間や2週間は十分ありえます。それに対して消費者は、メールした翌日に回答がなければ騒ぎ出すことがあります。メールが届いていなかったり、迷惑メールに振り分けられている可能性もあるので、まず商品に問題があることの意思表示が必ず店舗側に伝わるように頑張ってください。

センターとしては、状況を確認した後、「しばらく様子見」という選択になることが多いのではないかと思います。
「調べてみると営業していると思われます。このようなショップは人も少なく対応が遅いことが多いので、粘り強く何回もメール等で連絡してください。場合によっては、FAXや手紙など文書で連絡してください。気になるようだったら、モール(楽天)にも報告しておいてください。それでも、連絡がなかったら再相談してください。」

以上が私の直感的な回答になります。
相談者には一般論を即答するか、一旦電話を切って、店舗に連絡するなど情報収集してから回答してはどうかなと思います。

 


続いては、相談者のいう「欠陥」で使えないというのが、「本当に使えない」かどうかという問題です。
(続く)

この記事へのコメントは次回にまとめてお願いします。
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