解約金訴訟の第一審判決:ドコモとKDDIの違い

NPO法人「京都消費者契約ネットワーク」が提訴した団体訴訟の地裁判決がでたことは、先日紹介したところですが(au携帯「2年縛り」 違約金、初の「一部無効」 京都地裁判決 2012年7月19日(木))、その判決内容についてドコモとの違いをとても詳しく解説しているニュースサイトがありましたので紹介します。

解約金訴訟の第一審判決:ドコモとKDDIの違い

2012年7月22日(日)19:30
gooニュース
http://news.goo.ne.jp/article/wirelesswire/business/wirelesswire_201207220925.html

まとめ
ここまで見てきた通り、解約金条項に対する有効性についての判断と「平均的な損害」を基準に条項の有効性を判定するところまでは2つの判決は共通している。ただし、2つの判決には以下の3点で判断の違いがあり、その結果、「平均的な損害」の算出方法が異なっている

標準の基本利用料と割引後の基本利用料の差を損害として認める(対NTTドコモ判決)か、認めない(対KDDI判決)か。
契約解除後の逸失利益を損害として認める(対KDDI判決)か、認めない(対NTTドコモ判決)か。
「平均的な損害」の算出は全ての利用者を一体として行うべき(対NTTドコモ判決)か、期間により大きく異なるという理由で契約期間別に行うべき(対KDDI判決)か。

なお、その他の争点については、両判決とも以下の通り判断している。

契約更新時の解約金条項の無効について:契約更新といっても新たに2年間の契約を結びなおすのと同じことで、平均的な損害の算出についても同様に考えられるので、解約金条項の有効性についても同様である。
消費者契約法第10条への該当について:解約金条項は一定期間解約に対して解約金がかかるということでたしかに消費者の権利を制限し、義務を加重しているが、2年間という期間は長すぎない、対価として「割引サービスを受けている」、(対KDDIで不適切であると判断された部分を除き)金額が適切である、という理由で、「消費者の利益を一方的に害する」とは言えないので無効ではない。

二つめの訴えである「既に支払われた解約金に対する返金」については、対KDDI判決では解約金条項の一部が無効とされた「23ヵ月め、24ヵ月めの解約者」に対してKDDIが平均的な損害額との差額を返金するよう命じられた。また、対NTTドコモ判決では、解約金条項は有効とされたため、返金については棄却された。

KCCN事務局長の長野氏によれば、対ソフトバンクモバイル訴訟の判決は2013年3月頃の予定とのことである。その時にはどのような判決が出されるか、また今回の2つの判決に対して、上級審ではどのような見解が出されていくのか、注目する必要があるだろう。

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この悪癖 直しませんか(日経産業新聞2012/7/20より)

日経産業新聞にはビジネススキルに関する記事・連載・特集が多く、おすすめの新聞です。
今回、「ある、ある」と思うような記事を見つけましたので紹介します。
ぜひ全文を読んでほしいと思います。

さらに良きリーダーを目指すなら
この悪癖 直しませんか
・優秀なリーダーであればあるほど人間は誰でも自分が正しいと思い込む傾向がある。
・優れたリーダーは「悪癖」を前向きにとらえた上で、1つでも2つでも数を減らそうと努力することが大切
・極度の負けず嫌いは態度や立ち居振る舞いにどうしても出てしまう。
・現在の自分の考えや行動が周囲からどう見えるかを正確に指摘してもらう。
・部下や家族に自分の悪いところを指摘してもらうのは有機が必要だが、まずは自分の悪癖の「気づき」が良きリーダーになるための最初の一歩

指導者が陥りやすい20の悪い癖

1.極度の負けず嫌い
2.何かひとこと価値をつけ加えようとする
3.善しあしの判断をくだす
4.人を傷つける破壊的コメントをする
5.「いや」「しかし」「でも」で文章を始める
6.自分がいかに賢いかを話す
7.腹を立てている時に話す
8.否定、もしくは「うまくいくわけないよ。その理由はね」と言う
9.情報を教えない
10.きちんと他人を認めない
11.他人の手柄を横どりする
12.言い訳をする
13.過去にしがみつく
14.えこひいきする
15.すまなかたっという気持ちを表さない
16.人の話を聞かない
17.感謝の気持ちを表さない
18.八つ当たりする
19.責任回避する
20.「私はこうなんだ」と言いすぎる
(出所)マーシャル・ゴールドスミス著 『コーチングの神様が教える「できる人」の法則』

この20の悪い癖を読みながら、自分自身のこと、周りの人のこと、上司のこと、部下のこと、同僚のこと、などを思い浮かべ、「ある、ある」と思った方は少なくないと思います。
これらの悪い癖はリーダーを対象としたものだけではなく、相談員としての資質にも共通していることだと思います。
周りの人は置いとくとしても、自分自身はできるだけ自分の悪い癖に気づき、なおすように努力してはどうでしょうか。
相談現場を想定した場合に、相談員として大事なポイントを赤字で抜き出し、コメントしてみました。

1.極度の負けず嫌い・・・相談者や事業者と言い合いにならないように冷静に対応する
2.何かひとこと価値をつけ加えようとする
・・・上手く話し合いが進んでいたのに余計なことを付け加えて気まずくなる、または相談者の気持ちに添えないときに言い訳を付け加える
5.「いや」「しかし」「でも」で文章を始める・・・否定の言葉は人間関係を気まずくする。相手を認めることが重要。
6.自分がいかに賢いかを話す
・・・上から目線で事業者や相談者に対応する。消費者センターという印籠を多用する
8.否定、もしくは「うまくいくわけないよ。その理由はね」と言う
・・・あえて触れる必要のないことや明らかに相手が間違っていても上手にスルーすることも大切。
10.きちんと他人を認めない
・・・相談者の考えが間違っていたとしても、最大限尊重し、事実関係ではなく、気持ちを受け止める
12.言い訳をする・・・相談者の思うような結果にならず、苦情を言われたときに、感情的になり、言い訳や反論をしてしまう。失敗は謝罪し、交渉が上手くいかなかったときには、相談員が悪くないときでも、うまくいかなかったことに対する申し訳ない気持ちを伝える
16.人の話を聞かない・・・傾聴の姿勢を大切にする
20.「私はこうなんだ」と言いすぎる・・・自分の考えを相手に押し付けない。相手の話をきちんと聞いて、受け入れて、相手の要望を踏まえて助言する

少しでも相談対応にヒントになればと思います。

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au携帯「2年縛り」 違約金、初の「一部無効」 京都地裁判決

NPO法人「京都消費者契約ネットワーク」が提訴した団体訴訟の地裁判決が出ました。
この3月にドコモを対象とした同様訴訟で、判決が出ていましたが、今回はanを対象にしており、判決内容が前回とは少し異なるものでした。

ポイントとして、
前回のドコモのときは「解約1件当たりのドコモの損害額を、基本料金の平均割引額2160円に中途解約までの平均利用期間14カ月をかけた3万240円と認定。解約金はこの額を下回り、違法ではない」との判決でしたが、
今回のauではもっと単純で「中途解約で被るKDDIの損害は契約満了までに得られた通信料収入などから月4千円と認定した。満了に近づくにつれ損害額は減り、最後の2カ月は8千円以下で、違約金9975円を下回る。このため、解約時期を問わず同一金額の違約金支払い義務を定めた条項は「合理性を欠く」と判断した。最後の2カ月以外は有効とした。」という判決でした。

ドコモでは実際の利用期間に関係ない2年トータルでの考え方でしたが、今回のauでは利用期間が増えるごとに解約損害額が減っていくという現実にあわせた理屈で、最後の2ヶ月は8000円が損害額になるので違約金条項は不当条項で無効ということです。
さかのぼって計算すると、1ヶ月で解約したのならauの損害額は4000円×23ヶ月=92000円で解約違約金は9975円なので問題ないということで、利用期間が増えていくと損益分岐点が22ヶ月の残り2ヶ月になるということですね。つまり、22ヶ月までは違約金条項は有効ということです。

控訴することになるのかもしれませんが、この判決を尊重すると、現行の25ヶ月目に加えて、23ヶ月目と24ヶ月目も違約金が不要ということになるのかもしれませんね。
また、私が前回指摘した2年更新後の違約金の是非についてもニュースに取り上げているところもありました。

ちょっとしたニュースですが、しっかり読み込んでおくことで携帯電話の料金に対する感覚が蓄積され、相談対応にも役に立ちます。

「京都消費者契約ネットワーク」の地元の京都新聞の報道内容が充実していますので紹介します。

au携帯「2年縛り」 違約金、初の「一部無効」 京都地裁判決

京都新聞 7月19日(木)22時59分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120719-00000028-kyt-l26

au携帯「2年縛り」 違約金、初の「一部無効」 京都地裁判決

携帯電話の2年契約の割引サービスで、中途解約時に9975円の違約金支払いを定めた条項は消費者契約法違反として、NPO法人「京都消費者契約ネットワーク」がKDDI(au)に条項の使用差し止めを求めた訴訟の判決が19日、京都地裁であり、佐藤明裁判長は、条項の一部は無効と判断し、条項の使用差し止めを命じた。中途解約時の違約金を定めた条項の無効判決は全国初。
■最後の2ヵ月分 「合理性欠く」
佐藤裁判長は、2年間の契約のうち、最後の2カ月間に解約した利用者への違約金は、解約に伴うKDDIの損害以上とした上で「条項は、消費者の利益を一方的に害する」と判断した。
KDDIによると、3月現在、全契約3500万件の8割超がこの割引サービスを利用している。携帯番号を変えずに他携帯会社に乗り換えられる「番号ポータビリティー制度」が2006年に導入されたのを機に、各社間で利用者の囲い込み競争が激化。NTTドコモやソフトバンクモバイルも同様の「2年縛り」の契約形態が主流で、判決が与える影響は必至だ。
割引サービスは「誰でも割」。2年間の定期契約で月額基本使用料が半額になる一方、中途解約時に9975円の違約金を支払う必要がある。満了すると自動更新される。
佐藤裁判長は、中途解約で被るKDDIの損害は契約満了までに得られた通信料収入などから月4千円と認定した。満了に近づくにつれ損害額は減り、最後の2カ月は8千円以下で、違約金9975円を下回る。このため、解約時期を問わず同一金額の違約金支払い義務を定めた条項は「合理性を欠く」と判断した。最後の2カ月以外は有効とした。
同ネットは「大企業が消費者を不当に囲い込む現状に一石を投じる画期的判決」、KDDI広報部は「判決文を精査し、控訴に向けて検討する」としている。
最終更新:7月19日(木)22時59分

(参考)
前回のドコモのときに書いた記事
携帯中途解約金訴訟 判決 その1 2012年4月9日(月)
携帯中途解約金訴訟 判決 その2 2012年4月16日(月)
携帯中途解約金訴訟 判決 その3 2012年4月18日(水)
携帯中途解約金訴訟 判決 その4(最終回) 2012年4月20日(金)

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