ジャドマニューズ 2013年2月号

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2013年2月号
http://www.jadma.org/pdf/news/2012_02.pdf
ジャドマニューズ
http://www.jadma.org/jadma_news/index.html

①クレーム対応のプロに聞く おもてなしの極意
通販会社が抱える「悩み」といえば、やはりコールセンターに寄せられるクレームではないだろうか。どんなものであろうともお客様からの声である以上、誠意を尽くした対応をすべきだが、時には、「言いがかり」のような理不尽な要求をされることも少なくない。いったいどこまで対応をすればいいのか。怒鳴り散らす相手をどう鎮めればいいのか。そのような質問が事務局にもよく寄せられる。
そこで今回は、新宿・歌舞伎町のホテルで支配人をしていた三輪康子氏に登場していただき、クレーム対応の極意について聞いてみたい。「モンスタークレーマー」ともいうべき理不尽な要求をする人々と向き合いながらも、グループ内売り上げ日本一を何度も達成し、『日本一のクレーマー地帯で働く日本一の支配人』(ダイヤモンド社)という著書もある三輪氏。なぜクレーマーたちは彼女を前にして怒りを鎮めるのか。そこには、すべてのサービス業に通じる「おもてなし」の心があった。
・危険なクレームをなぜひとりで対応するのか
→「身の危険を感じるからこそ私が対応をしなくてはいけない」
・ES(従業員満足)を究めれば顧客の幸せにつながる
→スタッフの心が自然体で明るくなれば、それはお客様にもちゃんと伝わるんです
・クレームにこそ〝おもてなし縲桙フ心を
→相手が怒っている時ほど一歩前に出て目を見つめる。「クレーム」ではなく「人間」に対応をすればいい
※クレーム対応のマインドについて勉強になります。相談現場でも参考になると思います。

②通販110番
消費者相談編
ネット通販での価格変更のトラブル

通販110番に寄せられる相談のなかで、ネット通販に関する相談は約60%を占めます。
今回はネット通販ならではの相談として、価格変更に関するトラブルを取り上げました。
事例1 最終確認画面で価格が変更された?
・価格の変動があるカーナビを購入し、請求書を確認したところ1万円高かった。
・最終確認画面に行くまでに価格が変動したようだが、最終確認画面を確認していなかった。注文受付メールも確認していなかった。
・注文途中に価格が変わることがあるのか。
→利用ガイドには、商品価格が変わる、出荷前ならキャンセル可能と明記されていた。
相談者は最終確認画面や注文受付メールの十分な確認を
通販110番より
ネット通販に慣れている消費者も取引条件や注文内容を十分把握し、注意を怠らないこと

※気の毒な気もしますが、そこがネット通販の肝です。何重もの確認措置があるので慎重に確認すべきですね。ただ、販売者も何らかの救済措置をとってるところが多いのですが、今回のように最終段階まで行くと難しいと思います。

事業者相談編
身体以外の財産への拡大損害

事例1  「テレビ用ラック」の購入者から、商品の不良が原因で組み立て中に天板が床に落下し、床が傷付いたため、補償するよう要求があった。メーカー担当者と一緒に訪問し、商品を預かるとともに床を確認したところ、日常生活でも発生し得る軽度の傷だった。
→顧客は、不良品であったために天板が落下したとの主張をしているが、不良であるとした根拠や天板落下の原因を特定しないまま補償することはできない。一定額以上の補償を行うためには、部品に不良があったなど、合理的な因果関係の解明が必要である。
事例2 組み立て式の「回転式シューズラック」を購入した女性客から苦情があった。組み立て後、エナメル塗装の靴を収納したところ、つま先に傷が付いたとして、靴の弁償を要求された。
→仕切り板によって傷が付いたとのことだが、無理に押し込んだ場合、靴に傷が付くことは容易に予測できる。また、取扱説明書を読んでいれば、構造や注意点を理解しているはずである。したがって、靴代金相当の弁償は必要ないと思われる。
相談室長より
いずれにしても、事業者は苦情内容を正確に把握するための努力をし、補償すべき理由があれば行うこと、逆に理由がない場合は毅然とした対応が必要です。企業の対応に不満を持ち自分の要求を強要しようとするケースが後を絶ちませんが、自分の要求内容が社会的に許容される範囲内であるか否か、消費者も冷静な判断が必要です。

※組み立て商品で消費者の側にある程度の注意を要する案件ですね。毅然とした態度をというところでしょうが、私は2番目の事例については少し違った考えを持っています。なぜなら、このクレームは宝になる可能性があるからです。傷がつくのがわかっている製品だから説明書を読んでいないのが問題だという理屈になっていますが、傷がつかないような設計や構造に変更する余地はあると思います。そもそも説明書に責任を押し付けるのは通常しうる使用形態との関連性もあります。それよりも、つま先の部分にクッション素材を入れたりするなどクレームが発生しない製品に改良できるのではと思っています。もしそうなら、消費者に製品改善を検討していることを説明できればお互いに前に進むことができるのではと思います。

③連載 メディアワクオン 情報リテラシーの備え

第13回 クレームの達人

今号の特集テーマにもなっている「クレーム」。「歌舞伎町のジャンヌ・ダルク」と呼ばれた三輪氏のお話のなかには、クレームというよりももはや言いがかりではないかと思われるような“モンスタークレーマー”が数多く登場したが、実は筆者も過去にそのような人たちを取材してきた。ちょっとした突破口を見つけて、料金を踏み倒したり、謝罪や賠償を引き出させたりする。そんな「クレームの達人」たちの驚きのテクニックとは?
・高速の料金を十数年間踏み倒し続けた社長
・抗議のプロたちがつかう「最後の手段」とは?
・消費者金融バッシングを生んだ「脅迫テープ」はニセモノだった?

※まあ、好きにして、という話ですね。自分の主張を通すために制度自体に文句をつけてくるというパターンです。消費者センターに置き換えれば、居住地のセンターではないと断ったら理屈をこねて文句を言ってくる、センターであっせんできない事例だと税金泥棒とののしってくる、こんな感じでしょうか。私は、このようなクレーマーたちを、「友達もいない、自己中心的で、誰からも信頼されていないんだろうなあ」と「かわいそうな人」として慈悲の目で見てあげることにしています。まともに対応する価値もないですからね。こんなクレーマーと同じステージに立って言い争いをするのもばかげています。

社団法人 日本通信販売協会 HP http://www.jadma.org/
会報誌(JADMA NEWS) http://www.jadma.org/jadma_news/index.html

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マルチのクーリングオフで会員向けセミナー参加費用の返金は必要か?

業界紙で「日本流通産業新聞」というのが週に1回発行されています。
業界向けに特商法などの解説や問題点、法律Q&Aなどが掲載されています。
特に特商法のエキスパート弁護士の法律Q&Aは事業者向けに解説されており、知らなかったことの発見にもつながり行政サイドからも勉強になるのでいつも読んでいます。

日本流通産業新聞社 日流ウェブ
http://www.bci.co.jp/
日本流通産業新聞バックナンバー
http://www.bci.co.jp/ryutsu/latest_edition/back_number_edition/index.html
日本流通産業新聞 2013年2月14日号

「会員向けセミナー費用の返金は必要か?」

質問
・ネットワークビジネスのお客様対応を担当
・入会した会員にはまず、関係会社が運営する温泉付きの保養施設でセミナーを受けてもらう。料理や温泉つきで参加費1万円。参加費を上回る経費が必要。
・期間内にクーリングオフのお客に商品代金のほかセミナー代金も全額返せと言われている。料理も酒もふんだんに召し上がってエンジョイされていたお客である。
・あまりにも不当だと思うが全額返金は必要でしょうか?
・また、参加費を請求することはできないでしょうか?
回答
・結論は、全費用がクーリングオフの対象になる
・連鎖販売取引のクーリングオフは、入会してからお客が会社に支払った全ての費用が、使用したかどうかを問わず、クーリングオフの対象となる。
・期間内のセミナーについても、当然、返金対象になり、宴会で食べた料理や宿泊費なども同様で、全額を返すことが法的に必要とされる。
・ただし、その上で、会社側から、「使用利益」としてお客に実損を請求することは理論的には可能であり、経産省も認めている。
・とはいっても、クーリングオフで返すお金から差し引くことは法的には許されないので、まずは全額を返金して、その上で実損分(今回は1万円が上限)の請求を改めてするというのが法律に従った方法。
・そうすると、今回のような図々しい客が1万円を支払ってくる可能性は限りなくゼロに近い。督促しても支払わなければ裁判を起こすしかないが、1万円で裁判を起こしていたら経費倒れになる。また、そうすれば消費生活センターに行って、あることないことを言うリスクもある。多くの企業は「請求を諦める」という方針を採っている。
→最後に、「クーリングオフ期間内の豪華なセミナーは止めるか、今回のような事例は「万引きにあったようなもの」として諦めるかでしょうね。」と締めくくられています。

私も不勉強で、このような事例を始めて知りました。マルチ業者に対して悪意を持ってつけいる隙があるということでしょうね。最後の「万引き」のコメントはよろしくないですね。クーリングオフの権利は法律で正当なものですし、それで消費者を悪人扱いするのなら、しっかり仕様利益として費用請求して裁判までするという姿勢をすべきだと思います。

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クレーム対応 達人の技 ③(2013/2/7 日経産業新聞より)

「クレーム対応 達人の技」として、企業3社の担当者のクレーム対応について、平成25年2月5日~7日の3回にわたり、日経産業新聞に掲載されました。その概要と相談現場に活用できるポイントについてコメントします。

今回は最終回の3回目です。
今回はかなり勉強になる内容です。全文紹介したいぐらいですが、そういうわけにもいかないので抜粋して紹介します。

ベルシステム24担当者(平成25年2月7日)
怒りの温度を見極める
リズムや口調合わせ対話
否定せず質問につなぐ

ベルシステム24担当者の3か条

・大声で怒っているのか、静かに怒っているのか、客の温度を測定
・何が不満なのか正確に把握し、不満解消に必要な要望を聞きだす
・自身で間違いなく対応できる範囲で対策を伝える。不満の背後に潜む問題点も明らかに

・クレームを解決に導く秘訣について聞くと「そんなものはないですよ」との答が返ってきた。問い合わせの内容は百人百様。定型のマニュアルではとても対応できないという。
・そもそも問い合わせの電話は苦情専用ではない。電話を取って内容がクレームだとわかってからも対応は臨機応変だ。
・重視しているのが、クレームを受けた最初の段階。ここで相手がどんな印象を持つかで、その後の展開が変わってくる。
・内容がクレームと判明したら、まず顧客の「怒りの温度」を見極めることに集中する。声を荒げて怒っている場合もあれば、落ち着いた口調でとつとつと不満を訴える人もいる。ここでいつものように明るくハキハキと答えてしまっては怒りを増幅しかねない。
・相手の温度を把握したら、まず話すスピードとリズムを合わせる。怒鳴り声の人は別だが、相手が静かに話している場合には口調もなるべく同じにする。ぎくしゃくせずに円滑に会話を進められるようになるという。
・それでも、興奮している相手の場合、、少し話を聞いただけでは真意がつかめないケースもある。リズムを合わせながら、じっくり話を聞き、顧客の思いを探っていく。相手の真意がわからなければ対応は打てない。
顧客の言葉を絶対に否定しないこと。顧客が感じている不満をすべて引き出し、クレームの源の根絶につなげることをまず考える。
・電話中に客がヒートアップしてしまい、「客をバカにしているんでしょ」と言われることがある。「バカになどしておりません」などと答えてしまったら、相手の怒りに火を付け、クレームの本当の原因を聞き出せない。
・まずは謝罪の言葉を述べた後に、「どこがいけないか教えていただけますでしょうか」といった質問に持ち込む。
・顧客の怒りを鎮めるには言葉遣いも大事だが、「それほど気を使ってはいない」と話す。それよりも、いかに会話を成立させて、顧客の真意を聞きだすかがじゅうようという。
・相手が「早く対応を」と迫ってきても、無責任な口約束は絶対にできない。守れなかった場合に顧客の怒りが大きくなる。
・自分に決定権限がないことをしっかり伝え、「申し訳ありません」と言って電話を置く。きちんと手順を踏むことで相手に誠実な印象を与えられる。
・クレームを「意見」と捉えて対応することが何より大切だと考えている。だからこそ相手の声に真摯に耳を傾ける。電話口の対応で苦情を解決した顧客がそのまま得意客になるケースも多いという。

編集より

前向きな気持ち欠かせず
・電話口を通じて、消費者と直接触れ合えるのがコールセンターのオペレーターという仕事の楽しさだ。
・苦情対応の場合、内容によってオペレーターの心の負担になる場合もある。ただ、どんな厳しい内容でも前向きな気持ちで顧客と向き合う姿勢が、クレーム対応には欠かせないという。真摯な対応を続ければ多くの場合、相手も理解してくれる。

私からのコメント
・第一印象が大切だというのは過去にも何度か記事にしてきました。相手によって話し方やスピードを変えるというのは基本中の基本ですが、意識していないとできないものです。「客をバカにしているのか」については「消費者をバカにしているのか」とも言い変えることができます。消費者の基準と相談員の基準のギャップをあたりまえのように話すと、このように言われることがあります。相談者の信頼がなくなれば、詳しい話や何をしてほしいかという話も聞けなくなりますし、最悪の場合は、「相談員を変われ」「上司を出せ」となってしまいます。クレーマーと話すときは、一歩引いた冷静な話し方とスピードが大切ですし、普通の相談者をクレーマーに仕立て上げないことも大切です。

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