クレーム対応 達人の技 ③(2013/2/7 日経産業新聞より)

「クレーム対応 達人の技」として、企業3社の担当者のクレーム対応について、平成25年2月5日~7日の3回にわたり、日経産業新聞に掲載されました。その概要と相談現場に活用できるポイントについてコメントします。

今回は最終回の3回目です。
今回はかなり勉強になる内容です。全文紹介したいぐらいですが、そういうわけにもいかないので抜粋して紹介します。

ベルシステム24担当者(平成25年2月7日)
怒りの温度を見極める
リズムや口調合わせ対話
否定せず質問につなぐ

ベルシステム24担当者の3か条

・大声で怒っているのか、静かに怒っているのか、客の温度を測定
・何が不満なのか正確に把握し、不満解消に必要な要望を聞きだす
・自身で間違いなく対応できる範囲で対策を伝える。不満の背後に潜む問題点も明らかに

・クレームを解決に導く秘訣について聞くと「そんなものはないですよ」との答が返ってきた。問い合わせの内容は百人百様。定型のマニュアルではとても対応できないという。
・そもそも問い合わせの電話は苦情専用ではない。電話を取って内容がクレームだとわかってからも対応は臨機応変だ。
・重視しているのが、クレームを受けた最初の段階。ここで相手がどんな印象を持つかで、その後の展開が変わってくる。
・内容がクレームと判明したら、まず顧客の「怒りの温度」を見極めることに集中する。声を荒げて怒っている場合もあれば、落ち着いた口調でとつとつと不満を訴える人もいる。ここでいつものように明るくハキハキと答えてしまっては怒りを増幅しかねない。
・相手の温度を把握したら、まず話すスピードとリズムを合わせる。怒鳴り声の人は別だが、相手が静かに話している場合には口調もなるべく同じにする。ぎくしゃくせずに円滑に会話を進められるようになるという。
・それでも、興奮している相手の場合、、少し話を聞いただけでは真意がつかめないケースもある。リズムを合わせながら、じっくり話を聞き、顧客の思いを探っていく。相手の真意がわからなければ対応は打てない。
顧客の言葉を絶対に否定しないこと。顧客が感じている不満をすべて引き出し、クレームの源の根絶につなげることをまず考える。
・電話中に客がヒートアップしてしまい、「客をバカにしているんでしょ」と言われることがある。「バカになどしておりません」などと答えてしまったら、相手の怒りに火を付け、クレームの本当の原因を聞き出せない。
・まずは謝罪の言葉を述べた後に、「どこがいけないか教えていただけますでしょうか」といった質問に持ち込む。
・顧客の怒りを鎮めるには言葉遣いも大事だが、「それほど気を使ってはいない」と話す。それよりも、いかに会話を成立させて、顧客の真意を聞きだすかがじゅうようという。
・相手が「早く対応を」と迫ってきても、無責任な口約束は絶対にできない。守れなかった場合に顧客の怒りが大きくなる。
・自分に決定権限がないことをしっかり伝え、「申し訳ありません」と言って電話を置く。きちんと手順を踏むことで相手に誠実な印象を与えられる。
・クレームを「意見」と捉えて対応することが何より大切だと考えている。だからこそ相手の声に真摯に耳を傾ける。電話口の対応で苦情を解決した顧客がそのまま得意客になるケースも多いという。

編集より

前向きな気持ち欠かせず
・電話口を通じて、消費者と直接触れ合えるのがコールセンターのオペレーターという仕事の楽しさだ。
・苦情対応の場合、内容によってオペレーターの心の負担になる場合もある。ただ、どんな厳しい内容でも前向きな気持ちで顧客と向き合う姿勢が、クレーム対応には欠かせないという。真摯な対応を続ければ多くの場合、相手も理解してくれる。

私からのコメント
・第一印象が大切だというのは過去にも何度か記事にしてきました。相手によって話し方やスピードを変えるというのは基本中の基本ですが、意識していないとできないものです。「客をバカにしているのか」については「消費者をバカにしているのか」とも言い変えることができます。消費者の基準と相談員の基準のギャップをあたりまえのように話すと、このように言われることがあります。相談者の信頼がなくなれば、詳しい話や何をしてほしいかという話も聞けなくなりますし、最悪の場合は、「相談員を変われ」「上司を出せ」となってしまいます。クレーマーと話すときは、一歩引いた冷静な話し方とスピードが大切ですし、普通の相談者をクレーマーに仕立て上げないことも大切です。

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