「基金の延長」と「雇い止めの見直し」について
2月27日付で消費者庁長官より2つの通知が出されました。
(消費者庁HPでの公表は3月1日)
この2つの通知はともに地方消費者行政にとって大きな意義があります。
一方、実効性はどうかな?と思ったりします。
通知内容のポイントとしては、基金の活用期間を延長するという簡潔なものです。
もともと21年度から23年度までの3年間であったものが1年延長され今年度までとなっていましたが、項目により異なりますが、例えば相談員のスキルアップに関連する「消費者生活相談員養成事業」や「消費者生活相談員等レベルアップ事業」は7年間に延長されました。ということは、25年度から27年度までのあと3年間ですね。
(財政力が弱く、かつ小規模な市町村については、さらに2年延長)
ただし、画期的なペナルティ制度があり、もうひとつの通知にもあるとおり、「雇い止め」をしている自治体は活用期間が2年間短縮されるとのことです。すなわち、あと3年ではなく、あと1年になるということですね。
これをどう評価したらいいのかは現時点では判断しにくいです。
なぜなら、多くの自治体では今年度終了の基金を消化してしまっている可能性が高いからです。年度初めの通知なら変更もあったかもしれないですが、すでに年度終わりの1月や2月に言われても、各自治体の予算消化や決算見込みの事務仕事が着々と進んでおり、市町村から各都道府県への予算の執行状況も佳境に入っていると思われます。
今更、余った予算を来年度に持ち越すことは難しいのではないかと思ったりしますし、市町村で消化しきれなかった基金を都道府県が一旦集めて、来年度以降に再配分するという手続も間に合うのかどうか。
また、24年度補正予算で上積みされた基金(60億円?)については各都道府県で予算要望した後、3月に国からの配分が決定されると思いますが、実際にどこまで予算を要望しているのかはわかりません。
当初から基金自体を消化するのが結構大変で何とか消化できたということもあるかもしれませんので、さらに予算を要望するかどうか、そして各自治体でそれが間に合っているのかどうかは表にまだ出ていないのでよくわかりませんね。
ただ、人件費や研修費用にあてられるので各センターとしては追加で欲しいところでしょうが、興味深いです。
「消費生活相談員に対するいわゆる「雇止め」の見直しについて(依頼)」(平成24年8月28日付け消地協第107号)の通知を尊重しなさいよという趣旨ですね。
この2年間のペナルティが効果的かというと関係ないような気がしますが、もし、センターが各自治体に処遇改善を要望するなら一つの説得材料になるかもしれません。ただし、相談員の要望ではなく、相談員の要望を汲み取ったセンターが自治体に制度改革を要望するなら材料になると思いますが、センター自体が積極的でない場合、というかほとんどが積極的ではないと思いますが、結局のところ、絵に書いた餅になるのではないいかと思います。
これらの問題は「相談員資格の見直し」とも関連していると思います。
このような基金延長の措置がされたとはいえ、地方のセンターや1人相談員のセンターなどは、そもそも研修を受ける機会も少ないので大して変わらないような気がします。
やはり、行政に頼るのではなく、自力でスキルアップするという強い意志を持つことが大切だと思います。
通話録音は法的に問題ないのか?(日本流通産業新聞より)
業界紙で「日本流通産業新聞」というのが週に1回発行されています。
業界向けに特商法などの解説や問題点、法律Q&Aなどが掲載されています。
特に特商法のエキスパート弁護士の法律Q&Aは事業者向けに解説されており、知らなかったことの発見にもつながり行政サイドからも勉強になるのでいつも読んでいます。
日本流通産業新聞社 日流ウェブ
http://www.bci.co.jp/
日本流通産業新聞バックナンバー
http://www.bci.co.jp/ryutsu/latest_edition/back_number_edition/index.html
日本流通産業新聞 2013年2月21日号
・最近、メーカーに問い合わせ電話をすると、録音する旨のガイダンスを流すところが増えてきました。
・言った言わないの争いを避ける意味で有効ですが、あまり良い印象は感じませんね。また、録音していること自体が苦情として消費者センターに持ち込まれることもあります。
・録音の法的見解については、ご存知かもしれませんが、上記回答のとおりです。黙って録音しても問題はありません。あっせんにおいても録音内容を確認して回答してくる事業者も少なくありません。その場合、録音されていることを消費者が知らない場合も多いですね。
・消費者センターの電話も録音したらどうかという議論はあります。ただし、行政だけあって、かなり難しい問題です。きちんと取り組んでいる自治体であれば、条例等の規則によって、録音する場合は個人情報として公文書に記録して、通話データも厳重な保管が決められたりします。事前の予告は不要ですが、予告するように運用している場合もあります。録画に関しても同様でしょう。個人のレコーダーを使えば私物を使ったということで問題になるかもしれませんので、組織として録音装置を準備する必要がありますし、電話録音の場合は高額な費用がかかったりします。現実には難しい場合があるので、相談員は聞き取った内容をしっかりメモして記録しておく必要があります。条例があっても、実際に録音しているところは少ないのではないかと思います。
・回答の最後に消費者センターの話が出てきましたが、あくまでも通話内容は事実確認であって、言葉そのものが意思表示に当たるとは限らないと思います。感情的になって思っていないことを表意する事もありますし、誘導される場合もあります。それは、相談者や事業者や相談員も同じです。上手く言葉で表現できなかった場合にあげあしをとられたりすることは日常的でしょう。それは認めつつも、間違って伝わっているのであれば、しっかり謝罪して訂正することが大切です。「上手く伝わらなくて申し訳ありませんでした。それは...という意味です。勘違いさせて申し訳ありません。」私は素直に謝ります。録音内容は表面的な事実を明確にするには違いありませんが、そのなかから本当の隠れた真意を汲み取ることが重要だと思います。