マルチのクーリングオフで会員向けセミナー参加費用の返金は必要か?

業界紙で「日本流通産業新聞」というのが週に1回発行されています。
業界向けに特商法などの解説や問題点、法律Q&Aなどが掲載されています。
特に特商法のエキスパート弁護士の法律Q&Aは事業者向けに解説されており、知らなかったことの発見にもつながり行政サイドからも勉強になるのでいつも読んでいます。

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日本流通産業新聞 2013年2月14日号

「会員向けセミナー費用の返金は必要か?」

質問
・ネットワークビジネスのお客様対応を担当
・入会した会員にはまず、関係会社が運営する温泉付きの保養施設でセミナーを受けてもらう。料理や温泉つきで参加費1万円。参加費を上回る経費が必要。
・期間内にクーリングオフのお客に商品代金のほかセミナー代金も全額返せと言われている。料理も酒もふんだんに召し上がってエンジョイされていたお客である。
・あまりにも不当だと思うが全額返金は必要でしょうか?
・また、参加費を請求することはできないでしょうか?
回答
・結論は、全費用がクーリングオフの対象になる
・連鎖販売取引のクーリングオフは、入会してからお客が会社に支払った全ての費用が、使用したかどうかを問わず、クーリングオフの対象となる。
・期間内のセミナーについても、当然、返金対象になり、宴会で食べた料理や宿泊費なども同様で、全額を返すことが法的に必要とされる。
・ただし、その上で、会社側から、「使用利益」としてお客に実損を請求することは理論的には可能であり、経産省も認めている。
・とはいっても、クーリングオフで返すお金から差し引くことは法的には許されないので、まずは全額を返金して、その上で実損分(今回は1万円が上限)の請求を改めてするというのが法律に従った方法。
・そうすると、今回のような図々しい客が1万円を支払ってくる可能性は限りなくゼロに近い。督促しても支払わなければ裁判を起こすしかないが、1万円で裁判を起こしていたら経費倒れになる。また、そうすれば消費生活センターに行って、あることないことを言うリスクもある。多くの企業は「請求を諦める」という方針を採っている。
→最後に、「クーリングオフ期間内の豪華なセミナーは止めるか、今回のような事例は「万引きにあったようなもの」として諦めるかでしょうね。」と締めくくられています。

私も不勉強で、このような事例を始めて知りました。マルチ業者に対して悪意を持ってつけいる隙があるということでしょうね。最後の「万引き」のコメントはよろしくないですね。クーリングオフの権利は法律で正当なものですし、それで消費者を悪人扱いするのなら、しっかり仕様利益として費用請求して裁判までするという姿勢をすべきだと思います。

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マルチのクーリングオフで会員向けセミナー参加費用の返金は必要か?” に対して4件のコメントがあります。

  1. かんりにん より:

    質問に対する回答が長くなるので、3/8付けの新しい記事にしましたので、そちらを参考にしてください。
    ちなみに、製作時間はいかほどに。時計の針が恐ろしい時間を指している。

  2. デビ子 より:

     今日は明らかに消費者が業者に不当な返金を求めていた事例で、業者が全額返金をすることになりました。自分の担当ではありませんでしたが、こんな時、「そこまでする必要はありません。モンスター消費者には毅然とした態度で対応して下さい。」という思いがありましたが、相談員としてそのような場面ではどのように対応すべきなのでしょうか。
     詳細を書いていませんが、アドバイスをお願いします。

  3. かんりにん より:

    この弁護士の記事は長く読んでいますが、?と思う発言も少なくないですね。
    事業者の現場は知っているが、消費者センターの現場を知らないからかもしれません。

    事業者は利益を上げることが最終的な目的になるので、そのリスクは負うべきだと思います。
    そして、ずる賢い?消費者から会社を守るためにはリスク対策をしっかりしておくことです。
    もちろん、消費者センターに案件が持ち込まれた場合の対応策についても。
    無策の事業者もいますね。消費者センターにけんかを売っても何の得にもならないのになあ。

    消費者だけでなく、最近の「人」は、良識があっても、得すると思えば手段を選ばなくなってきているような気がします。

  4. デビ子 より:

    「万引きにあったようなもの」というコメントは確かに読んでいてかなり違和感がありました。業者の豪華な応接室で助言をする弁護士の袖口から金色の時計がチラリというイメージが・・・。業者も消費者も共に言動に品格が必要ですね。もちろん、自分自身にも。

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