クレーム対応 達人の技 ②(2013/2/6 日経産業新聞より)

「クレーム対応 達人の技」として、企業3社の担当者のクレーム対応について、平成25年2月5日~7日の3回にわたり、日経産業新聞に掲載されました。その概要と相談現場に活用できるポイントについてコメントします。

今回は2回目です。

帝国ホテル担当者(平成25年2月6日)
黙って声聞き目的見抜く
苦情のシグナルにも留意
信頼築きブランド守る

帝国ホテル担当者の3か条

・クレームになる前に、顧客が出すシグナルを見落とさない
・しゃくし定規な対応になりがちな「接客慣れ」をしない
・悪い情報を報告してもらえるように部下との信頼関係を築く

・現場に急行し、まず来店客が不愉快になったことについて謝罪した。
・顧客はクレームを言う前に何らかのシグナルを送っている
・クレームの芽を摘めたはず
・多くの場合、クレームを言う客は怒っている。まずはその怒りを正面から受け止めるために、相手の話に口を挟まず真摯に耳を傾ける。その上で、「相手の目的を見抜くことが肝要だ」と説く。目的がわからなければ解決策は見えてこない。
・すべてのクレームがホテルのサービス向上のヒントになるとは限らない。。時には毅然とした態度で望まなければならないケースもある。
・相手が顧客だとしても、一線を越えた行動をする場合には許してはいけない。
・何年もホテルマンとして勤めると、客の質問やクレームにしゃくし定規な対応をしてしまいがち
・常に新鮮な目を持ち続け、顧客の要望に真摯に向き合う心がけを大切にしたい

編集より

NOと言う毅然さも必要
・精いっぱい努力できたかと自問自答を続ける。「顧客のクレームの8割はサービス向上の提言」「顧客のシグナルを見抜く目を養え」との教えは様々な分野の営業パーソンに役立つ教訓となるはずだ。

私からのコメント
・相談対応をしていると、相談員の対応に怒り出す相談者もいます。なぜ怒り出したのか?相談者の責任にしていませんか?クレームを訴えている相談者はとにかく自分の不満を吐き出したいという感情があります。吐き出すだけで解決することもあります。しかし、同じような相談に慣れてくると、途中で口を挟み、先読みしたり、まとめようとしたりします。そのような相談員の微妙な変化に相談者はすぐに気付きます。しっかり、相談者の感情を吐き出させて、相談者の話を聴いて、本当に望んでいることは何かを見抜くことが大切です。相談者の本当の希望というのは話の節々にシグナルが隠れています。それを探しながら真摯に対応することが必要です。

クレーム対応 達人の技 ①(2013/2/5 日経産業新聞より)

「クレーム対応 達人の技」として、企業3社の担当者のクレーム対応について、平成25年2月5日~7日の3回にわたり、日経産業新聞に掲載されました。その概要と相談現場に活用できるポイントについてコメントします。

企業のクレーム対応の考え方も消費者センターに共通しているものがあります。
企業がこれらのクレーム対応どおりできれば、消費者センターにも苦情は持ち込まれないのでしょうけど、なかなか難しいのが現状でしょうね。
なお、興味のある方は元の記事をお読みください。

リコージャパン担当者(平成25年2月5日)
電話口 表情豊かに
会話しながら身ぶり手ぶり
まず怒りの原因 探る

リコー担当者の3か条

・顧客の話に集中、顧客の怒りの真の原因を探る
・安易な約束はしない。一度交わした約束は必ず守る
・関連する他部署との連携を緊密に。助け求めるだけでなく、他部署の助けになるように心がける

・電話口でも対面しながら会話するのと同じように、身ぶり手ぶりを交え、表情豊かに話すよう心掛けている。「相手には見えなくても伝わる」と考えているからだ。
・顧客はなぜ怒っているのか、どこが不満なのか、といった気持ちをくみ取っていく。「顧客が起こっている真の原因を探るのがまず大事」。例えば、最初に「今すぐ返金しろ」と声高に要求する顧客でも、本当の原因は別にあることが多い。
・安易な約束は禁物だ。約束したことを実現できないと、顧客の怒りは倍増する。
・場当たり的な対応はすぐにインターネットの掲示板などに書き込まれ、すべての顧客に同じことをしなければならなくなる。
・いったん顧客ろ結んだ約束は絶対に守る。
・どんなに誠意をこめて対応しても、こじれてしまう事案もある。対応の過程で、「顧客の怒りの理由を読み違えてしまい、かえって怒らせてしまった」のが長期化した原因だった。
・クレーム対応をしていて何よりうれしいのは、顧客とわかり合えるこの瞬間だ。

編集より

部門超え知恵持ち寄る
・クレーム対応に王道はない。企業として譲れない線を決め、粘り強く交渉するだけだ。
・普段から社内の様々な部門との関係構築を心掛けている。
・長年培ってきた社内人脈があるからこそ、自信を持って顧客と向き合える。

私からのコメント
・相談者が何を要望しているのか?ということを早く理解することです。それによって、センターとしての対応方針が決まってきます。それを理解しないまま話を進めると、「私の言いたいことはそうではない。何を聞いているのか」と相談者の怒りを買い、センターや相談員への苦情に転嫁されるのです。そのためには、話を聴くだけでなく、あっせんのために訊くべきことを相談員自身が考え、上手に質問し、訊き出すことが大切です。相談者の解決してほしい方向と相談員が解決していく方向が同じでなくてはなりません。書いてみると簡単なことですが実際の現場では難しいのですね。うまく訊き出すには相手に話そうと思わせるための気持ちを起こさせることが必要で相談者に依存する部分が大きく、訊き方が悪いと「相談者が悪い」と指摘されているような錯覚を起こさせ苦情になります。「聴くこと」「訊き出すこと」が大切です。

携帯ショップへGO

以前にも記事にしましたが携帯電話の最大の春商戦が始まりました。
まずは2月商戦です。
これが3月商戦につながります。
携帯電話の契約に関する相談を受ける場合に一番大切なことは、相談者がどのような契約をしているかということを把握することです。
使い放題が主流になった今はパケット料金の苦情は少なくなりました。
あとは、オプションやコンテンツの支払の苦情が主流です。

携帯ショップへ足を運んでみて、どのような売り方をされているかということを消費者目線で体験しておいてください。
また、カタログを集めて、契約プランに目を通しておいてください。
私が感じる昨年との違いは、スマートフォンの本体割引において、アプリ使い放題や動画見放題などのオプションプランへの(強制)加入がきついと思います。
また、本体の割引も昨年ほど大きくないような気がします。
普通の携帯電話(フィーチャーフォン)は蚊帳の外という感じで、割引対象になっていない場合もあります。
商品券やポイントの額はピークに迫ってきました。
2月3月が一番おいしい時期です。
タイムサービスなどを活用して、さらに本体を安く購入しましょう。
なお、やる気満々なのはauで、ソフトバンクはやる気なしですね。

契約時のポイントとして
①購入時の本体の買い方・・・一括購入か割賦購入か、本体0円か本体実質0円か→要は毎月の支払に本体の分割料金を払うことになっているのかどうか
②契約プラン・・・スマートフォンでは組み合わせのプランが限定されていることが多い(メール使い放題プラン780円+定額パケットプラン5000円前後)。いろんな割引があり複雑。店員おすすめの基本最小プランでOK。
③購入時に割引という名目の元に強制加入させられたオプション契約、そのオプション契約の縛り(最低契約期間)・・・最初の1ヶ月の無料期間のみ、最初の1ヶ月のみ、3ヶ月まで、など

解説
①実質0円という宣伝文句のために割賦購入を理解していない場合がある。月々割などの割引があるが、割賦支払の金額と月々割りの金額が同じであることがほとんどのため、実質0円には違いないが、中途解約すると、月々割りの分だけ本体の支払が残ってしまう。
②最近は基本料金無料プランが横行している。学割が代表だが、女子割など。注意しなければならないのは割引の期間で、1年、2年、3年の場合がある。
③最近強制加入になるオプションがきつい。携帯会社はこのオプションで利益を上げようとしているようである。使う人には有用だが、月払い料金が積みあがっていく。安心保証サービスは別として、携帯会社はauのスマートパスなどのアプリ使い放題や、動画見放題などのサービスに力を入れている。一度入ってしまえば、面倒で解約しない人がおり、丸儲けである。契約時にオプションに加入するとショップにはリベートが与えられるので、それを本体の割引の原資としている。オプションは通常、一定期間契約後に解約ができるので、いつ解約できるのかをショップ店員に一覧表にして書いてもらうとよい。

分割購入は借金であることを肝に命じる

割賦購入しても、割賦の金額だけ毎月割引があるので、支払額は0円で、購入者はあまり気にしていないことが多い。なぜ携帯会社がこのような回りくどいやり方をするのかというと、割賦支払期間(2年縛りの期間)は通信料の収入が確保できるということである。スマートフォンが主流になって、この通信量は基本的につなぎ放題の定額プランで5000円前後である。契約時のハードルを低くして自社に呼び込みたいところである。
解約すると月々の割賦購入は残るが、月々割りはなくなる。
割賦購入を理解していない場合は、納得がいかないと支払を放置してしまう。すると、割賦購入=借金なので、借金を返さないというブラックになってしまう。契約者が子どもであれば将来住宅ローンが組めなくなったり、クレジットカードの審査が通らなくなったりという不利益を被ることがある。また、住宅ローンの一括返済を迫られたり、競売にかけられたりというリスクもある。最近の新聞でも頻繁にこの記事が掲載されることがあるが、あまり気にされていないようである。当事者になって顔面蒼白で後の祭りである。
もともとは携帯電話が普及し始めた頃に、電話料金が払えなくて滞納する学生が結構いた。遅れて払ったりしても携帯会社に許された時代に育った学生が今は親の世代になり、学生の頃と同じ感覚で、滞納してしまう。時払い先は携帯会社でなく、借金した会社であることを理解していない。
消費者センターが、携帯電話の契約について啓発しなければならないのはこのことである。
借金はしない、一括で払うことにしているという堅実な人でも、実は携帯で借金してしまっていることになっているという事実はあまり強調されない。
また、クレジットカードがなければ携帯電話も買いづらくなってきた。

私自身は割賦購入はせず、一括0円か割引を遣って本体価格が数千円のものを現金一括払いします。

相談員として、このような現状や歴史的経緯を理解した上で、相談に対応することは、相談者の気持ちを理解してあげるという点でプラスにもなるので、ぜひ勉強して欲しいと思います。

(その他)
LTEになってからの違い、学割3年の罠、一括0円など個別の契約プランなどについては機会があれば解説します。

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