カンブリア宮殿 (2011年3月3日) その1

カンブリア宮殿
2011年3月3日放送
http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/list/list20110303.html
世界で勝つ交渉術 日本外交の未来を読み解く!
ゲスト 前 外務省事務次官
薮中三十ニ(やぶなかみとじ) 氏

今回の話は相談現場でも直接的に役に立つので番組HPよりバックナンバーの動画配信を必ず見てください
動画のページ→http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/dogatch.html
カンブリア宮殿→http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/
テレビ東京系列 毎週木曜日 22時~

テーマは「世界で勝つ交渉術」です
相談現場でも事業者との交渉は日常的な業務です
しかし、交渉のスキルが十分でない場合はうまくまとまりません
今後のスキルアップ講座でも交渉・ロジカルシンキング・説得などを解説していきます。
交渉は、相談員として、消費者の抱える状況が理解できた後に必ずしなければならないことです。
たとえば、出会い系サイトのお金を返してもらうのにも今は一つの交渉のパターンができています。
感情で主張しても相手は動きません。理由(理屈)が必要です。逆に理由があれば交渉は意外とすんなり進みます。
外交という立場での交渉ですが、まさしく相談現場と同じです。
久しぶりに超貴重な放送になりました。
何回かに分けて内容を紹介するとともに、相談現場でどう関係していくかを書きたいと思います。

拉致家族の帰国

北朝鮮を交えた2003年8月の6カ国協議のテーマは「核放棄」日本は「拉致問題」もテーマにしたかった
「とにかく拉致問題が大事だから言わせてくれ」ではだめ
なぜ拉致の問題を取り上げるのか
それには、理屈、ロジックが必要

核を放棄すれば日本は経済支援できる
ただし、そのためには拉致問題の解決が必要
だから、核放棄と拉致問題の解決は切り離せない

このロジックを武器に反対するロシア中国韓国を説得して回った
初めのうちは「うーんそうか?」と同意を得られない場合もあった
繰り返し整理して言うと「なるほど」とならざるをえない
「核放棄と拉致問題の解決は切り離せない」という日本の立場を堂々と主張した
そして、2004年5月拉致家族5名が帰国することとなった

なぜロジックが大事か

交渉でなぜロジックが必要かというと世界共通用語だから
つまり、各々の国は歴史も違えば習慣も違う
そのときに「なあなあ分かるだろう」では相手は分からない
そこで共通の用語として英語もあるが
考え方として一応筋が立っている、論理が通っていることが大事
それがお互いを理解できる1つの共通の基準
もう一つ、交渉は本国へ帰って「相手はこう言ってました」という時に
相手の言っていることに筋が通ってない場合には説明のしようもない
「うちの特殊事情を理解してくれ」と言われても
そんなことを理解して国に帰ったら「バカか」と言われるだけ
空気を読むのとは反対
ロジックは世界共通用語

※相談現場で、事業者と交渉しているときに、「お金がないので何とかなりませんか?」はダメなことが分かったと思います。泣き落としは最終段階です。まずは、理由を説明し、法律などのここに違反している可能性があるので、支払えません、返金してください、減額してください、などの交渉をします。そのために、事業者に電話をかける前に、問題点を整理しておくのです。この整理こそロジカルシンキング(理論的に物事を考えること)です。さらに突っ込めば、こちらに不利な場合は上手に交換条件を使うという手法もあります。これは別の機会に。
ロジカルに説明すれば反論の余地がなくなりますので相手は飲まざるを得なくなるのです。
ただし、日本人同士ですので、強行的に言ってよい場合と、感情的に交渉したほうがいい場合も当然ながらあります。
これ以上は本講座で説明します。

(平成23年3月17日 初稿)
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マズローの欲求5段階説 その2

さて、前回は「マズローの欲求5段階説」について一般論をお話したところです。
一般論であるうちは自分とは関係のないことと感じてしまいますね。

では、ここで質問です。
相談員の皆さんは、相談員という仕事をしているなかでの、相談員としての欲求は、5つの段階のどの段階にいますか?

第 1 段階: 生理的欲求 (Physiological needs)
第 2 段階: 安全の欲求 (Safety needs)
第 3 段階: 社会的欲求 (Love Belonging needs)
第 4 段階: 自我の欲求 (Esteem needs)
第 5 段階: 自己実現の欲求 (Self-actualization needs)

私なりに考えてみました。
①②家計が苦しくて相談員という仕事でパート収入を得て何とか暮らしている。生活が厳しく、相談員という仕事をこなすだけで精一杯である。
→収入の安定や生活の安定、安全の確保といった「基本的欲求」(第 1 段階: 生理的欲求+第 2 段階: 安全の欲求)の段階です。
③消費者センターに勤めて、みんなと仕事を一緒にしたい、社会人として働きたい、私という人間を受け入れて欲しい
→良い会社、良い仲間と仕事をしたい、職場で受け入れられたいという帰属の欲求である「第 3 段階: 社会的欲求 」の段階です。
④相談業務を通じて、私は社会に役立っていると認めて欲しい、相談員としての能力を認めて欲しい
→早く一人前になり周りに認めて欲しいという「第 4 段階: 自我の欲求」の段階です。
⑤困っている消費者のために助けてあげることのできる相談員になりたい、悪質業者をやっつけたい正義を貫くことができる相談員になりたい、相談員の見本となりたい
→人間的成長を目指す「第 5 段階: 自己実現の欲求」の段階です。

相談員の皆さんはそれぞれの個人的な立場や家庭的事情における様々な立場があると思います。
一律にこの段階にいるべきというものでもありません。

第3段階までの場合はスキルアップどころではなく毎日を過ごすのが精一杯というところでしょう。
この段階の相談員にとっては、このスキルアップ講座の対象とはなりにくいと思います。

そして重要なのが、第4段階と第5段階です。
第4段階があってこそ実現可能な第5段階です。第4段階と第5段階は常にリンクしながらアプローチしていくことになります。
相談員であれば誰もが「困っ ている消費者のために助けてあげることのできる相談員になりたい、悪質業者をやっつけたい正義を貫くことができる相談員になりたい、相談員の見本となりた い」と思うでしょう。間違ってはいません。そう目指して欲しいです。
しかし、第4段階である、「自分を認めて欲しい」という欲求の成果として、「スキル・実力・能力が認められている」ことが、第5段階に上がる前提になっていると思います。
したがって、相談員としての実力が十分でない段階で、いきなり正しく「第5段階」に対応することは困難であり、一歩間違えれば、勝手な困った相談員となってしまうのです。それは避けなければなりません。しかし、いったん私は第5段階にいると思ってしまえば、相談員としての能力に疑問をぶつけられたときに反発してしまい、スキルアップの機会を逃してしまいます。
常に第4段階の実力をつけて第5段階へ、新しい事象に対して、もう一度第4段階に戻ってから第5段階へと、自我の欲求と自己実現をどんどん拡大させながら(第5段階を目指すために相談員としての能力を向上させながら)勉強して欲しいなあと思います。

ちょっとくどくて分かりにくいかもしれませんね。。
もっと単純にいうと、「実力・能力・スキルが十分でないのに、周りのアドバイスを聞かず、何も考えず、いきあたりばったりで、事業者に突っ込んでいき、痛い目にあうような相談員にはなってほしくない」、ということです。
あなたの周りにそういう相談員はいませんか?
反面教師として、そこから学ぶこともあります。
自分の実力に合わせて、事前に、しっかりプランを立ててから論理的に攻めて行きましょう。
己の実力を知ることが大切です。

本当にスキルアップを目指したい相談員の皆さんのためのヒントとして、このスキルアップ講座はありたいと思います。
(平成22年2月14日 初稿)
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