地方消費者行政の充実・強化のための指針 その2

Ⅳ 自治体への期待(提言)
先導的な取組と考えられる「現場」の事例を挙げながら、地方消費者行政の充実・強化に向けた自治体への期待をまとめました。
1.どこに住んでいても消費生活相談を受けられる体制づくり
(1)市町村における消費生活相談体制の充実
(地域特性に応じた窓口の設置と充実)
身近なところで消費者が相談できる窓口の充実は、消費生活の安全・安心の確保のための第一歩であり、消費者安全法では、市町村は相談、あっせん、情報の収集と提供を行うとされています。
平成24 年4 月現在で、窓口を設置している市町村数は、1,623(※)になり、設置率は93.2%(※)となりました。市町村による窓口設置の状況を人口カバー率でみると98.9%(※)に上ります。
(市町村の総合力による対応)
幅広い分野にわたる消費生活相談には、消費者行政担当課や窓口における取組だけではなく、福祉、子育て、教育、環境、税務、産業、労働など幅広い部署と連携が必要です。

(2)都道府県の消費生活センターの機能
(広域的で高度な案件への対応)
消費生活相談は、まずは消費者にとって身近な市町村による対応が基本です。都道府県の消費生活センターは、主として
①複数の市町村にまたがって発生しており、市町村と連携して都道府県が包括的に対応することで、より効果的な被害拡大防止が期待される案件
②豊富な相談事例の蓄積などを生かし、市町村ではノウハウの蓄積が進んでいない特殊性がある案件や、新規性があり現行の法制度だけでは十分な対応が困難な案件(最近の例では貴金属等の買取業者による強引な訪問購入に関する相談)
など、より高度で専門的な知識が必要とされる案件について、豊富な相談事例の蓄積などを生かした対応を行う必要があると考えます。
加えて、
③ 都道府県による法執行につなげるため、例えば管内の財産事案についての悪質事業者に関する消費生活相談情報等の一元的集約
管内の市町村の消費生活相談員等へアドバイスして、圏域全体としてあっせん力の向上を図るなど問題解決能力を高めていく取組
など、センター・オブ・センターズとしての機能を発揮する必要があると考えます。
このため、都道府県においては、自らの消費生活相談員や担当職員の一層の専門性の向上を図るとともに、有識者や専門家のアドバイスを活用するなど、体制の整備を図っていくことが必要と考えます。
(管内の市町村におけるセンター・窓口の設置・充実への支援)
管内の市町村のニーズに的確に対応して、市町村における消費生活センターや窓口の設置に向けた支援や消費生活相談員を養成するための研修など、相談体制の充実への支援を行っていくことが重要です。
このため、都道府県の担当職員や消費生活相談員が市町村の担当職員や消費生活相談員に対しアドバイスを行ったり、新たに配置される市町村の消費生活相談員に対して、一定期間、都道府県の消費生活センターでの研修を行うことなどを通じて、相談業務に関するノウハウを提供し、支援していく必要があると考えます。
また、一人で多くの機能を果たすことになる小規模市町村の担当職員に向けて、都道府県が独自の研修を充実させることも有効です。
消費者行政においては、相談内容が複雑化・高度化・長期化する一方で、関係法令の制定・改廃も頻繁に行われている状況にあり、管内の消費生活相談員への研修を継続的に実施することが大切です。
さらに、市町村の消費生活相談員や担当職員が解決困難な事案に直面した際にバックアップできる体制を整備するなど、市町村への支援体制を強化する必要があると考えます。
(市町村の相談体制の補完的機能)
小規模な市町村に寄せられた専門的知見が必要な事案や、あっせんが必要となる事案などを解決するために、市町村の消費生活相談員へのアドバイスを行ったり、市町村と連携しながら都道府県のセンターで対応したりするなど、市町村の消費活相談に対し補完的な役割を果たすことが求められます。
また、市町村間の協力体制が進むよう支援することも重要です。地域の実情に応じ、都道府県と市町村との具体的な役割分担や連携がなされることが重要と考えます。

(3)相談体制の基盤整備
①消費生活相談員の任用と処遇
複雑化、高度化する消費生活相談には、関係法令や制度を含めた消費者問題に関する専門的な知識と、聴き取りや助言、説得、事業者との交渉などの技能が必要とされます。特に聴き取りや事業者との交渉の技能は、相談の実務経験を積み重ねることによって習得できるものです。
また、消費生活相談員は、その知識や技能などを生かして、出前講座の実施や市民向けの消費生活情報の発信など、相談業務以外にも様々な役割を果たしています。
しかし、全般的に、こうした専門性に見合った地位が必ずしも確保されていない状況です。
現状では、自治体に任用されている消費生活相談員の大半が非常勤職員となっており、任期は約9割が「1年」となっています。実際には、再度任用(更新)されることが多いですが、消費生活相談員のうち約2割が更新可能回数に制限を設けられており、その更新可能回数は平均で5.5 回となっています。このような制限は、専門的な知識と経験を蓄積した消費生活相談員の育成を困難としている面があります。
報酬については、平均で1時間当たり約1,500 円であり、おおむね消費生活相談以外の他の分野の相談員と同程度の報酬となっています。
(消費生活相談員の処遇改善)
自治体においては、勤務形態に対する多様なニーズに配慮しつつも、消費生活相談員の専門性や困難性に対する理解を深め、その果たしている役割に見合う処遇へと一層改善していく必要があります。また、消費生活相談員の安全を確保することも大切です。
さらに、指定管理者制度等により自治体が直接任用していない場合においても、消費生活相談員の処遇の改善がさらに図られるように取り組むことが必要と考えます。
(消費生活相談員の専門性向上に配慮した任用)
任用回数の制限(いわゆる「雇い止め」)に関しては、知識とともに経験にも裏打ちされた消費生活相談員を失うこととなり、自治体にとっても損失であることに留意する必要があります。消費生活相談員の研修の充実とともに、非常勤職員である消費生活相談員の任用回数に制限を設けないなど、消費生活相談員の専門性の向上に一層配慮することが必要と考えます。
②消費生活相談員の養成・確保
地域によっては、消費生活相談に係る資格保有者がいない、住民同士で顔が分かるので消費生活相談員は他地域から任用したいなど、人材の需要と供給が一致しない状況がみられます。
自治体、特に都道府県においては、養成講座等の実施や地元教育機関等と連携した消費者法講座の運営など、専門家等とも連携しながら消費生活相談員の育成に向けて取り組む必要があると考えます。また、人材バンクの運営などにより、人材に関する情報をプールし、活用することも有効です。
③相談業務の質の向上
(研修に消費生活相談員が参加しやすい職場環境づくり)
研修は、消費生活相談員にとって、法令などの知識や相談スキルの向上につながることはもちろん、他の自治体からの受講者とのネットワークづくりにも大いに役立つと考えます。
自治体は、消費生活相談員が希望する研修に参加することができるよう、勤務体制の調整や担当職員によるバックアップなど、職場環境を整えることが必要です。特に都道府県においては、市町村の消費生活相談員のための研修機会を確保する必要があると考えます。
(研修内容の充実)
研修の内容についても、法令などの知識のみならず、交渉術やコミュニケーション能力など幅広い内容や実践形式を採り入れ、研修内容を充実していくことが必要と考えます。
(専門家・関係団体との協力)
(民間の能力を活用した消費生活相談の質の向上)
消費者団体を指定管理者として消費生活センターを運営したり、消費生活相談員を中心とするNPO に相談業務を委託したりする手法により、相談の質の向上を図る取組事例があります。民間の発想や力を生かすことによって、より消費者に寄り添う消費生活相談の実現を目指しています。執行部門を始めとする行政の各部との密な連携関係の構築が充分にできるかどうかなどの課題もありますが、専門的な消費生活相談員の安定的な確保にも有効な手段の一つになっています。
もちろん、コスト削減のみを優先させて消費生活相談員の処遇が悪化することがないように配慮が必要です。また、消費生活相談自体を民間任せにすることなく、行政が指定管理者や受託者と連携・協力して積極的に取り組む姿勢が重要です。
④商品テスト
消費者から寄せられた商品の安全性や品質等に関する苦情や危害情報については、商品テストを実施することが重要です。製品事故等の原因究明にも繋がります。
ただし、都道府県レベルであっても、単独でテスト機器や担当職員を配置することは容易ではない地域もあります。そこで、国の試験機関や、他の自治体での成果の活用も含めて、自治体における「商品テスト」機能の維持・充実を図る必要があると考えます。
⑤裁判外紛争処理機能
⑥相談現場に対する消費者行政担当課によるサポート
自治体において、消費者行政の担当課である「本課」の担当職員が、相談案件への対処のみでなく、相談対応に対する消費者からの苦情や要望への対応を含めて、消費生活相談員の業務について積極的にサポートを行う必要があると考えます。
また、消費生活相談員の業務についてサポートを行う上でも、自ら相談業務を担う上でも、担当職員の専門性の向上を図ることが重要です。担当職員に対する研修を充実するとともに、独立行政法人国民生活センターによる研修への参加の機会を一層確保する必要があると考えます。
年間を通して専門の消費生活相談員を置くことが難しい地域では、住民に身近なところでの相談体制を整備するために、担当職員が消費生活相談員資格を取得するなど専門性を身につけて、消費生活相談業務に当たることも有効です。

※自治体への期待の中で相談員のスキルアップについては、都道府県の相談員や行政職員が中心となって支援する、研修を実施し参加しやすいような体制にする。研修内容を充実する。行政職員も資格を取るなど相談現場をサポートする、等があげられていました。理想的な姿を示しただけで実効性については都道府県の裁量に任されている上、予算も削られている中、地方の中の地方はどんどん蚊帳の外になっていくような気がします。相談員資格の法制化の議論とリンクさせて相談員の研修を国が支援していくと上手くいのではないかと思います。

2.法の厳正な執行と連携強化
(1)法執行を担う体制整備
(執行を担う職員の配置と専任化)
そもそも消費者行政を担当する職員が少ない都道府県や、配置されていても法執行を担当する職員が他の業務を多数兼務し、執行に専任できる環境にはないといった都道府県も少なくありません。法執行は、少人数で「片手間」でできる事務では決してありません。
このため、都道府県においては、執行担当者の新たな配置や専任化を進める必要があると考えます。
(執行を担う職員の経験の充実)
(組織としての位置付けの強化)
(2)国と地方、地域内・地域間での連携強化
(地域内での連携)
また、執行担当者と消費生活相談員との意思疎通や連携が必ずしも上手くいっていないのではないかという指摘もあり、都道府県内においても、消費生活センターの消費生活相談員と執行担当者との間で緊密な情報交換を図るなど、実務レベルでの連携を強化することも不可欠です。
(地域間での連携)
(国との連携)
(3)消費者安全調査委員会との連携
3.地域社会における消費者問題解決力の向上
(1)首長のリーダーシップと消費者行政に対する自治体全体の認識深化
一方で、現状では、消費者行政部署に異動して初めて消費生活相談の存在を知ったという声も聞きます。
(2)事業予算の確保
(3)自治体間の連携強化、消費者庁との連携強化
(自治体間における連携強化)
(消費者庁との連携強化)
(4)消費者団体をはじめとする多様な主体との連携強化
(多様な主体との連携強化)
こうした協力は、消費者生活相談に関する資格者や専門家が少ない地域において、相談内容の高度化・専門化に対応したり、啓発活動などを推進したりする上で特に有効です。
(地域の多様な活動の確保・育成)
(5)普及・啓発による予防と被害への気づき
(6)消費者教育による消費者の自立への支援
(教職員の研修における連携)
(地域の特色や工夫を生かした展開)

以上が指針の本文です。
理想論を並べて実現性に疑問が残るところですが、行政職員と体制強化について議論する機会あれば、この指針を持ち出して活用すればいいと思います。国が地方行政に求めていることですので、基本的には行政は否定できないというのが前提です。感情的にならずに、このような根拠を持ち出して議論していくことが有効です。

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地方消費者行政の充実・強化のための指針 その1

「地方消費者行政の充実・強化のための指針」が7月12日に策定され、7月31日に消費者庁のHPに公表されました。

この指針は、「集中育成・強化期間」後における地方消費者行政の充実・強化に向けた取組の方向性を示すもので、地方消費者行政を担う行政職員や相談員が目指すべき目標を示すものですので、これらの実現に向けて様々な政策が進められます。
次のステージに入ったという意味でも、この指針は読んでおいてほしいと思いますが、相談員のスキルアップを中心にポイントを抜粋して紹介します。

ホーム > 地方協力課
http://www.caa.go.jp/region/index.html#m01-3

<地方消費者行政の充実・強化のための指針>

「地方消費者行政現況調査」などとともに、「現場」の声から地方消費者行政の現状と課題を分析し、中長期的な展望に立った地方消費者行政の目指す姿を描きながら、「集中育成・強化期間」後における地方消費者行政の充実・強化に向けた取組の方向性として、「消費者庁の取組」と「自治体への期待(提言)」を示す「地方消費者行政の充実・強化のための指針」を策定いたしました。
また、消費者行政に関する全国各地の先導的な取組と考えられる「現場」の事例を「取組事例集」として掲載しております。

「地方消費者行政の充実・強化のための指針」策定にあたって[PDF:103KB]
http://www.caa.go.jp/region/pdf/120730plan1.pdf
「地方消費者行政の充実・強化のための指針」(概要)[PDF:267KB]
http://www.caa.go.jp/region/pdf/120730plan2.pdf
「地方消費者行政の充実・強化のための指針」(本文)(7月12日策定)[PDF:464KB]
http://www.caa.go.jp/region/pdf/120730plan3.pdf
「地方消費者行政の充実・強化のための指針」(取組事例集)[PDF:3,582KB]
http://www.caa.go.jp/region/pdf/120730plan4.pdf

1番目の策定に当たっては大臣署名のA$両面の文書で後半に相談員の雇い止めに対するメッセージが出されています
2番目の概要にはA41枚の表に指針の概要、裏に取組事例集(抜粋)がまとめられています
3番目の本文から抜粋して紹介したいと思います
4番目の取り組み事例は91事例紹介されていますが、相談員のスキルアップに関する事例を紹介します


Ⅰ 指針策定の背景と趣旨
1.地方消費者行政「集中育成・強化期間」
消費生活の「現場」は、地域であり、消費に伴う様々な問題も地域で生じています。
地域という「現場」における消費者行政の充実・強化なくして、消費者被害の防止や救済、消費生活の安定や向上はあり得ません。このため、『消費者・生活者の視点に立つ行政への転換』には、国だけではなく、「現場」である地方消費者行政の抜本的強化が不可欠との認識から、消費者庁では、自治体と連携を強化しながら、その取組を支援してきました。
平成22 年2 月に取りまとめた「地方消費者行政の充実・強化のためのプラン」では、先進的な取組事例等を踏まえながら、地方消費者行政の充実・強化のための課題と解決の在り方について示しました。
また、財政面では、平成21 年度から23 年度までを地方消費者行政の「集中育成・強化期間」として、地方消費者行政活性化基金1(以下「基金」といいます。)の創設や住民生活に光をそそぐ交付金2、地方交付税措置の拡充3等の措置を通じて財政的な支援を行ってきました。
この間、各地域の自治体においては、こうした支援措置を活用して、平成21年度から23 年度までの3年間で、消費生活センター及び消費生活相談窓口(以下「窓口」といいます。)の開設や充実など、地方消費者行政の基盤強化の取組が着実に進められてきました。
平成23 年4 月には消費者委員会から「地方消費者行政の活性化に向けた対応策についての建議」が出されました。
この建議も踏まえ、消費者庁では、地方消費者行政の現状を分析するとともに、「地方消費者行政活性化基金」、「住民生活に光をそそぐ交付金」といった財政支援措置の効果についての検証を行いました。さらに、市町村間の広域連携や都道府県との連携を含めた市町村の消費生活相談体制の構築、自治体内の各部署との連携、地域の多様な主体の「参加」と「連携」、消費生活相談員の処遇改善等について、詳細な事例を収集・整理しました。その上で、「消費者庁の取組」、「自治体への期待(提言)」をまとめて、この「地方消費者行政の充実・強化のための指針」(以下「指針」といいます。)を作成することとしました。

Ⅱ 基本的方向性
<中長期的展望に立った地方消費者行政の目指す姿>
1.どこに住んでいても消費生活相談を受けられる体制づくり
2.法の厳正な執行と連携強化
3.地域社会の消費者問題解決力の向上

Ⅲ 消費者庁の取組
1.基本的な考え
消費者庁は、地域主権の考え方を踏まえて、自治体との連携・協力をより強化し、地方消費者行政の充実に向けた取組を支援していきます。また、各地域における先進的な事例やモデル的な事例を収集・紹介するとともに、様々な機会をとらえて自治体の首長等へ働きかけを行っていきます。また、事業者に対しても、消費者基本法の基本理念にのっとり消費者の権利を尊重した事業活動を求めます。さらに、公正で質の高い市場形成のためには消費者行政の充実・強化が不可欠であるとの認識を共有し、自治体における取組への協力を働きかけていきます。
また、基金が終了する平成25 年度以降においても、地方消費者行政に積極的に取り組む自治体を引き続き支援し、自治体での取組を下支えできるよう、必要な財源確保に向け、最大限の努力をしていきます。
こうした取組を進めるに当たっては、関係省庁との情報共有を進め、的確な役割分担と連携を行いつつ、内閣府特命担当大臣(消費者行政担当)を本部長とする地方消費者行政推進本部において、地方消費者行政の充実・強化に向けた支援の在り方について検討・決定し、必要な施策をより積極的に推進していきます。

2.継続的に取り組む事項
(1)どこに住んでいても消費生活相談を受けられる体制づくり
(消費者ホットラインと、それを活用した地方支援のための相談体制)
(消費生活相談員や担当職員への研修)
独立行政法人国民生活センターでは、消費生活相談員や担当職員等を対象に研修を実施しています。特に、消費生活相談員向けの研修では、消費生活相談に必要な法律的な知識をはじめ、聴き取りなどの具体的技法や、消費生活相談員としての心がまえや意識・考え方などを習得する研修を実施しています。
また、より参加しやすいように研修の地方開催を積極的に進めるほか、新たな研修手法として、遠隔地で講座を受講できる「遠隔研修」や、職場や自宅でも講座が視聴できる「オンデマンド配信」を検討しています。
このほか、小規模な消費生活センターや窓口で働く消費生活相談員や担当職員を対象に、実務経験豊富な消費生活相談員を派遣し、相談対応に関する助言等を行う事業を実施しています。
引き続き、自治体の消費生活相談員や担当職員の研修ニーズを踏まえて、こうした取組を充実し、地域の消費生活相談を支援していきます。
(研修講師の紹介)
都道府県等が研修を実施する場合に、消費者庁は独立行政法人国民生活センターと連携し、要望に応じて研修の講師となる有識者に関する情報を提供します。また、研修に対して、専門家や消費者団体など関係団体の積極的な協力を得られるよう、消費者庁として働きかけます。
(消費生活相談員へのアドバイス・支援)
消費者庁では、消費生活相談員から消費者庁所管法令に関する法令解釈照会や改善提案等を受け付ける「相談員の窓」を設けています。都道府県、独立行政法人国民生活センター、経済産業局等の国の地方支分部局で従前から行っているアドバイスと併せて、より消費生活相談員のニーズに合ったものになるよう充実させていきます。
また、独立行政法人国民生活センターでは、各地の消費生活センター等で受け付けた解決困難な相談について、経由相談(助言、共同処理、移送)等の支援を行っています。
(消費生活相談員の処遇改善の働きかけ)
専門的な知識・技能を有する人材の確保は、消費者行政の充実のために不可欠です。消費者庁では、消費生活相談員がその専門性に見合った処遇を受けられるよう、非常勤職員の消費生活相談員の任用回数に制限を設けないことを含め、自治体、特に首長に働きかけていきます。非常勤職員の行う業務の中にも恒常的に必要となる業務があり、消費生活相談員について一律に任用回数の制限を設けることは適切ではないという認識をより広げていくために、地方公務員制度を所管する総務省に対しても協力を得られるよう働きかけています。
(相談解決に資する情報の提供・共有)
(商品テストの実施と自治体による結果の共有化)

(2)法の厳正な執行と連携強化
(自治体との人事交流による人材育成)
(執行担当職員の研修と支援)
(情報のネットワーク化)

(3)地域社会における消費者問題解決力の向上
(顔の見える関係の構築)
(地方消費者グループ・フォーラム)
(人的交流の強化)
(食品と放射性物質の問題を始めとする消費者への情報提供等の支援)
(情報の収集と注意喚起)
(消費者教育の推進)

3.当面(平成25 年度に)重点的に取り組む事項
(1)自治体の基礎的な取組とレベルアップを支援
地方消費者行政の推進は、「地域主権」の考え方に基づき、自治体が、自主財源を用いて住民の意思に基づく取組を行うことが基本です。
しかし、現状では、こうした自主的な取組を支えるために必要な経常的経費に係る一括交付金化の動きは進んでおらず、「集中育成・強化期間」で整備された地方消費者行政体制を維持・充実していくためには、過渡的な措置として新たな財政支援を設けることが必要と考えます。
基金終了後の新たな財政支援は、以下の2つの柱によります。
①自治体による基礎的な取組の下支え
自治体における基礎的な取組である、
・身近な消費生活相談体制の整備(市町村における窓口の立ち上げ・機能強化、消費生活相談員の養成・レベルアップ都道府県による支援・補完的取組
・消費者教育、消費者の安全・安心確保のための啓発活動を支援します。
②地方消費者行政のさらなるレベルアップ
自治体による先進性・モデル性の高い事業の実施を支援します。消費者庁では、各地域の知恵と工夫を全国の「現場」に情報提供することで、全体のレベルアップを図ります。
(2)食品と放射性物質に関するリスクコミュニケーションの推進
(3)高齢者の消費者トラブルの防止
(4)消費生活相談員資格の法的位置付けの明確化
消費生活相談の一層の質の向上を図るため、平成 23 年10 月に「消費生活相談員資格の法的位置付けの明確化等に関する検討会」を立ち上げ、検討を進めています。
検討会では、自治体からのヒアリングやアンケート結果を踏まえながら検討を進め、今夏に取りまとめを行う予定です。
消費生活相談員資格と消費生活相談員の職を法律に位置付けることで、消費生活相談全体としてのレベルアップと全国的な水準の確保が図られるとともに、消費生活相談員が専門職として適切な評価を得て、待遇改善につながることを期待しています。
(5)PIO-NET の刷新
PIO-NET は、全国の消費生活センター等の相談業務を支援するものです。一方、現行のPIO-NET は相談内容を正しく分類できるようにキーワード方式を採用していますが、このキーワードの入力やその正誤のチェックが、消費生活相談員や自治体職員等の負担にもなっています。
消費者被害が多様化、複雑化する中で、法執行を担当する行政機関等からのPIO-NET 情報に対する需要も高まっており、情報分析機能の向上も求められています。
消費者庁では、「PIO-NET 刷新に関する検討会」において、①消費生活相談員の入力負担を軽減する、②現場の相談活動にさらに役立つものにするため情報分析機能を向上させる、などの観点から、PIO-NET 刷新の中間報告をまとめました。今後、平成27 年3 月末までにシステム刷新を行うため、さらに定量的なデータを収集・分析するともに、自治体との意見交換を進め、具体的な刷新の内容について検討を進めます。また、PIO-NET 操作マニュアルの見直しなどは、システム刷新を待つことなく、実施していきます。
(6)貴金属等の訪問購入への法的措置(特定商取引法の改正に係る取組)
(7)財産被害に係るすき間事案への行政措置の導入(消費者安全法の改正に係る取組)
(8)消費者安全調査委員会の設置(消費者安全法の改正に係る取組)
(9)集団的消費者被害回復に係る訴訟制度の創設
(10)食品表示の一元化
(11)消費者教育の推進
(12)消費税率引上げへの対応

※基金が終了し、研修旅費や研修開催にかかる費用がない中、どれだけ相談員の資質向上のための研修ができるかというところですね。先進的な取り組みは国が支援するとなっていますが簡単ではありません。(消費生活相談員や担当職員への研修)の項目では国センが実施している研修のことが書かれていますが、今後は参加する機会も減少するでしょう。地方開催も本当の地方には来ないですし、、遠隔研修、オンデマンド配信なども今現在始まっているところですが、相談員の資質向上は地方消費者行政の要といってもいいかもしれません。
当該部分を再掲します

(消費生活相談員や担当職員への研修)
独立行政法人国民生活センターでは、消費生活相談員や担当職員等を対象に研修を実施しています。特に、消費生活相談員向けの研修では、消費生活相談に必要な法律的な知識をはじめ、聴き取りなどの具体的技法や、消費生活相談員としての心がまえ意識考え方などを習得する研修を実施しています。
また、より参加しやすいように研修の地方開催を積極的に進めるほか、新たな研修手法として、遠隔地で講座を受講できる「遠隔研修」や、職場や自宅でも講座が視聴できる「オンデマンド配信」を検討しています。
このほか、小規模な消費生活センターや窓口で働く消費生活相談員や担当職員を対象に、実務経験豊富な消費生活相談員を派遣し、相談対応に関する助言等を行う事業を実施しています。
引き続き、自治体の消費生活相談員や担当職員の研修ニーズを踏まえて、こうした取組を充実し、地域の消費生活相談を支援していきます。
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相談員資格の検討会(第10回) 議事録

中間報告(案)の最終取りまとめの最終の第10回議論の議事録が公表されました。
今までの議論は何だったのかというぐらい白熱のバトルになっているような気がします。
ここにきて、やっと本音が出てきたのかもしれません。

先日、NACSと全相協の主張の違いについて書きましたが、さらに激しくなったような感じです。
議論を深めるということよりもお互いの立場を主張しあうという形になっていたので少し残念な気がします。

第10回の新たな部分としては、すでに資料では公表されていますが、「5.相談員資格における必要な知識・技能の担保」の説明が細かく例示されています。ようするに、相談員として、これぐらいの能力が必要なんですよという理想論を並べたような感じですね。これらの書き方についても今回の検討会でずいぶん議論されていました。
この知識や技能については私もスキルアップを目指すための指標にもなりますので別途記事にしたいと思います。

では第10回の議事録から私なりに気になった発言を取り上げたいと思います。揚げ足取りになるかもしれませんがご了解ください。
消費者庁HP
ホーム > 地方協力課 > 消費生活相談員資格の法的位置付けの明確化等に関する検討会
http://www.caa.go.jp/region/index8.html#m01-1
第10回消費生活相談員資格の法的位置付けの明確化等に関する検討会(平成24年8月2日)
議事録[PDF:253KB]・・・http://www.caa.go.jp/region/pdf/120802gijiroku.pdf
検討会委員の名簿は第1回の資料にあります。
http://www.caa.go.jp/region/pdf/111025_1-2.pdf
○青山委員
青山 理恵子 公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会副会長
○丹野委員
丹野 美絵子 社団法人全国消費生活相談員協会理事長
6ページ

6ページ

○丹野委員
多分今日が最後だと自覚をしておりまして、それについて一言消費生活相談とは何ぞやという話を少しさせていただきたいと思うのです。
そもそもこの検討会自体は全国の自治体の消費生活センター、つまり行政で相談窓口を担っている消費生活相談員の資格を法定化する議論としてスタートしたと思っていますが、何となくいつの間にか民間団体の相談をも消費生活相談と称して議論していますが、それについて、どこまでを射程に入れるかについて議論を尽くさないで行ってきた気がしています。
つまり、 行政の消費生活相談員についての国の資格をいかにするかということを検討することが本筋だったわけで、議論としてもそこにほとんど集中して議論してきたことから考えれば、消費者団体と一概に言ってもいろんなところがあるのだと思っていることを踏まえれば、少なくとも民間団体という言い方でそこまで相談員をあえて包含して検討するのは本来の筋から少し外れるのではないかと思っておりますので、そこの書きぶりを是非御検討いただきたいなと思っております。
○福嶋消費者庁長官
消費生活相談というのは自治体行政だけがやるものだという位置付けをしているわけではありません。
位置付け自体が行政のということに限定したということは私どもとしては考えていないのです。
○丹野委員
すみません、言い合いをするつもりは毛頭ないのでこれでおしまいにいたしますが、ただ、このペーパーが世の中へ出ていくわけです。世の中へ出て行ったときに、そこに書き込まれていることをみんなが適切に理解しなくてはいけないし、議論の本質も先ほど現実にと長官自身がおっしゃったように、行政の相談のあっせんをどうしたらいいかとか、質を上げるにはどうしたらいいかという議論を一生懸命喧々諤々でやってきたわけです。そういうことから言うと、そこが誤解されるようなことのないような書きぶりにするべきだし、みんなが消費生活相談と想定したときに、この要件をクリアーすればとおっしゃいましたけれども、その要件をクリアーするのは民間だという書き方をするのであればそこは誤解されるのではないかと思います。
○福嶋消費者庁長官
民間の能力は高いと思うのです。
○池本座長代理
今の議論の中で、消費生活相談を行政の窓口だけではない、現に専門家団体などがやっているという事実を踏まえながら、そこも視野に入れた資格である必要があるということは議論してきたと思いますし、それは共通認識だと思います。ただ、更にもう一歩広がって、そういった民間でやることをもっと押し広げていくための制度としてどこまで広げるかということは議論していなかったと思います。
○池本座長代理 では、1990 年代から専門家団体による消費生活相談も行われるようになってきたという歴史的事実をここに触れるということについてはよろしいと思います。それを越えてこの制度を民間に最後どのぐらい押し広げるかということになると意見が分かれるところですし、私もまた違う意見を持っているところもありますので、それはここでは入れていないし、後ろの課題辺りもそれを積極的に進めるのか、どの範囲にするのかを議論していないところだし、そこは触れていないという理解でよろしいのではないでしょうか。

この議論を読むと、行政の相談員としての資格と考えている全相協と民間も含めたしくと考えている消費者庁との根本的なすれ違いがみてとれます。もちろん議論のスタートは民間も含めた資格としていましたが、私は一貫して民間とは一線を画して行政の相談員の資格であるべきと考えているので、この点では全相協と考え方は同じです。さらに大事なことは、民間を含めるか含めないかで、この資格の内容までもが変わってくるのではないかと思っており、そうするといつまでも結論の出ない議論が続いていくのではと危惧しています。結局は、十分に議論できていないということで先送りされましたが、この基本的な考えが統一されていないと先に進めないと思います。
もう一度いいますと、相談業務に「あっせん」は必要不可であり、行政では「あっせん」までするが、民間では「助言」はできるが「あっせん」は難しい、ということを前提にすれば、行政と民間とは明確に相談業務の位置づけを分けるべきだと思います。

8ページ

○山本座長
今の点に関して申しますと、ここで消費生活相談をどういった主体が担うべきかという点については議論を深くはしていないですし、初めからそれはテーマではなかったと思います。ただ、議論を進める中で、これは前回もそうでしたけれども、資格の話と職の話が一緒になっている。そこのところをもう少し明確に分けないとわかりにくいのではないかということが、だんだん議論しているうちに出てきましたし、前回も出たところです。
結局、消費生活相談を職として、まさに法令上の任務、義務としてやっているのは地方公共団体であることは間違いないわけで、そのことはこの報告書の中にも出てきているわけです。その職をもっと明確に位置付けるべきと。
2ページの最後のところですが、ここのところでも資格の話と併せて「消費生活相談員」職の法的位置付けも当然考えなくてはいけないと言っているわけでして、したがって、そもそもというところについてはいろいろそれぞれ御意見があると思いますけれども、この場では資格の話と、それと併せて今申し上げた地方公共団体における相談員の職の話という両方を扱っているのだという、そういう理解でよろしいのではないかと思います。
その点がなお不明確であって、両方が入り混じったようなところがあるとすれば、そこはクリアーに切り分けて、ここではその両方の話をしているということを明らかにする必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

やっとここで資格の話と職の話がごっちゃになっていることを認める発言が出てきました。いまさらやっとか、という思いもありますが、もっと踏み込んで、私が主張している「試験制度と資格制度と職の位置づけ」をきっちり整理して考えてほしいです。

12ページ

○池本座長代理
新しい資格制度の導入に伴って、地域の現場に混乱が生じるようなことがあってはならない。円滑な移行措置が必要であるという基本の方針。
新しい資格制度で現職の人が新しい試験に受からなくて大量に辞めることになったらどうするのですかと、地域に行けばそういう不安の声は根強くあるのです。だから、そこを今回の資格制度が、これはスタートのころから申し上げていますが、新しい資格制度の試験のレベルを高くしてふるいにかける問題よりは、試験に受かって配置された人が毎年毎年法律や実態が変わるところをきちんと受け止めて解決できる継続的な実務研修と更新のことこそ新しい制度の命だということは申し上げたとおりで、その意味では新資格に移行するところについて、専門的資質を確保しつつも現場に混乱が生じないような円滑な移行措置を講ずる必要があるという旨の記載を冒頭に入れたらどうかと提案します。

私がずっと指摘している問題ですね。新しい試験のレベルを上げると現職が通らないから、やっぱる受かる試験にしてその後のフォローに力を入れようということだと思いますが、本当に矛盾ですね。現状制度を発展させたら可能なことではないでしょうか。わざわざ、新しい試験を現職に配慮してまで作る必要はありません。そう思います。ここにきて、本音が出てきたような気がします。

12ページ

○長谷川委員
この方々がどのような確認のもとに、今の仕事を続けられるのかというところが、資格の論議との関連で見えにくい感じは確かにあると思います。ですから、方針として、現実にそれだけの実務遂行能実力があるということであれば、勿論、資格を取得することができればはっきりするわけですが、それに代わる試験的なことをするのかしないのかとか、現実的になかなかそれは条件がそろわないと難しいので、経過的な一定期間は現状のままで結構ですから継続してお勤めくださいとか、あるいは将来的にはこういうレベルのものは求められますのでその準備は必要となりますとか、そういうインディケーションみたいなのがあってもいいのかなという感じはします。要するのに、今のままで何もしないで仕事を続けられるのか、そうではなく何らかの対応が必要となるのかということがはっきりしていることが良いのではないかと思います。その辺はどうなのでしょうか。
○柿沼委員
関連しているようですので。これを改めて通して見て、ちょっと前後するのですけれども、11 ページの一番下のところに赤で今回足されたのが、「なお、検討会においては、相談員の資格として現行の3資格で『十分である』としている消費生活センターもあることから、新たな資格を法律に位置付ける場合には、現場に混乱を招くことのないよう、自治体や消費生活相談員等の意見に十分配慮して検討をする必要があるとの指摘もあった」という書きぶりで入っているのです。
ですから、検討会ということになったときの希望として見れば、そんなに研修も重ね、今、3資格の方々の中に混じって同等以上の資格がなくてもやっている方ならば、新しい試験制度が入ったならばそれを受けてもらいたいとか、そんなふうな気持ちが私はあるのです。
○川口消費者庁審議官
まとめなので論点の整理という意味で申し上げますと、混乱するかどうかは、1つは任用資格になるのかどうかというところが大きいと思うのです。絶対持たなければいけないか。この点については任用資格にしないという方向でほぼ合意があるわけですから、任用資格にしないという意味では現場の混乱は最小限になる。ただし、この資格はできるだけ取っていただきたいという方向もまた共有されていると思うのですが、そういうようなことがわかるようなとりまとめというだけでも現場は混乱しにくいのではないかと思います。
○柿沼委員
任用資格でないということは、要は相談員の幅が広がるわけですね。新しい資格も取った方もいらっしゃるし、今までの3資格も生きるし、相談資格はない方も今ま
でどおり資格を生かした方もいる。幅広い方が相談の現場にいらっしゃる。どの道を選んでも御自由ですよということですね。ですから、それはそれでいいのですけれども、検討委員会としての1つのあり様として見れば、もう一つ新しい資格を生み出すということについては研修も付与しますよ、いろいろな機会も提示しますよということは、資格を取らないままでいても構わないけれども、受けるチャンスをもったいないので取られてくださいという意味も大きいのではないかと思うのです。
○丹野委員
同じようなことですが、先ほど現場で混乱と言ったのは、この資格を取らなくてもいいのだろうかというお話は確かにあるのですけれども、取るとしたら私の場合はどことどこを埋めていかなければいけないかというのは必ずしも読み取れないということを言われたということがありますので、先ほど来、マトリックスと申し上げていますが。し、だから、この検討会としてはこういう新しい資格をつくりました、取らなくてもいいですよという後ろ向きのメッセージは通常あり得ないと思っていますので、当然、資格をつくりました、みんなで取って、先ほど言ったように消費者の信頼と期待に応えましょうよというお話になっていくのだと思っております。
ですから、当てはまる人たちが、どこの部分が免除されて最低限のものがあれば移行できるのかが必ずしも見えないという部分についてお願いさせていただいたということです。
16ページ
他方には、それでレベルを逆に下げてしまうと資格制度の意味が減殺されるのでないか

新しい資格は必ずとらなければらないのか?という議論です。一部抜粋しただけですが、わかりきった問題がやっと議論されてきたという感じで、結局、さっきの議論にも共通します。この後の議論ではやっぱり無資格相談員への措置など矛盾する制度を作らなければならなくなるんですね。新たしい試験制度ではなく、現状維持で新しい研修制度を作ればいいだけだとおもいます。

18ページ

○池本座長代理
前回発言したところに関連しますが、要するに今回の資格制度が地方公共団体の相談窓口、あと民間の専門家団体などによる相談窓口における消費生活相談処理を担う人たちを育成するということは共通認識だと思いますが、アドバイザーとかコンサルタントというのは例えば企業の相談窓口もあるし、地域の中での消費者団体のリーダーとかさまざまな活動をしている。ここには地域における消費者活動、企業における消費者との懸け橋となる活動等にこの新しい資格が活躍することが期待されるとすらっと真っ直ぐと読んでしまうと、そういったその他の活動分野全体にこの資格がそのまま押し広がることを期待するという言葉に聞こえてしまうのではないか。
アドバイザー制度というのも企業の顧客相談だけではなくて、その顧客相談の情報を企業の活動に生かすという意味では物すごく重要なことは今後もますます重要になりますし、コンサルタントの地域における消費者リーダーというのはこれまでも重要な役割を担っていたし、今度、消費者教育推進法ができてますます役割も大きくなってくる。そういうものを新しい資格制度がいつの間にか全体をシェアしまうというよりは、それを含む全体の将来的な統一的な資格をどうするかということはここでは議論していない、できなかったところですから、それは今後の課題である。だから、ここはそういった分野がますます重要性を増してくるということまでにとりあえずとどめておくのが穏当ではないかと考えて発言したものです。

アドバイザー制度という民間資格を侵食するのではないかという議論ですが、事実上はそうなってしまいNACSには脅威だと思います。その議論が前回から激しくなってきたように感じます。

27ページ

○丹野委員
今回、それはそれとして例えば、国が消費生活相談員というものを法律に書き込む、国が法定化する以上、これが本当に実施された暁には、行政にこだわるなと先ほどからずっと言われているのだけれども、実質、行政の消費生活相談員がすごく多いわけで、そういう意味では国民生活センターの消費生活専門相談員というのは行政のための資格であって、現実に平成20 年の調査だと、全国の消費生活相談員の70%近くが消費生活専門相談員なのです。その人たちの資格の帰趨というものが、結局はこの、国の資格に収斂されると考えるのが自然だろうと思っているのです。
ですから、そういう意味では、全国に多数いる消費生活専門相談員の資格で消費生活相談員をやっている人のことを考えれば、専門相談員の資格がこの資格につながっているのだよということがある意味わかった方がいいだろうと思っていて、この段階でこれ以上の修文は無理だということは承知していますが、ここの部分を何らかの形でその趣旨を書き込んでいただければありがたいと考えております。
○福嶋消費者庁長官
先ほどのこの相談員の検討の目的が相談員さんの身分の保証が先にあるのではなくて、ちゃんと消費者のために体制をきちっとやるのだというところから持っていこうと、そのためにもうちょっと格調高く書けないかという御指摘、それはそうだと思うのですが、だから、結論が地方消費者行政の充実というところに収斂するのだというのは、言葉として最近、地方消費者行政というのが広い変な言葉で使われているように私は思っていて、地方消費者行政は行政なのです。だから、地方消費者行政に収斂するのなら、行政の相談員にある意味収斂するのです。
○青山委員
ただ1点、丹野委員がおっしゃった、いわゆる新資格が専門相談員資格ですよということは異議がありますので、そこの部分だけは承服しかねるということだけお伝えしておきたい。
○丹野委員
そう言ったつもりではないのです。
ツꀀだから、イコールだと言ったわけではない。消費生活専門相談員収斂した結果がこれになるだろうということは自然の流れだと申し上げたのです。多分、国がこの資格を本当に始めてしまえば、国民生活センターの専門相談員の資格は目的も趣旨も同じではないですか。行政というところに限らないと一生懸命言っているけれども、行政の相談員がたくさんいる中で言えば、そうすると結局はこの資格、先ほどから申し上げているように消費生活専門相談員資格の帰趨はこの資格に収斂される方向に行くのだろうと考えるのが自然だろうと思っていまして、そこの部分について発言をさせていただきました。
地方消費者行政というのでは狭いというお話がありましたけれども、地方消費者行政の充実というのは、事件は現場で起きているというきざなセリフがありますけれども、地方消費者行政の中で、消費者がトラブルに陥ったときに、困ったときに、そこへ行って適切に助言をしてもらったりあっせんをしてもらうという、 あっせんという機能があるのは他にはない機能ですから、そういうことをしてもらえる権利があるのだと、それを実現する場所だと考えると、非常に地方消費者行政というのは大事なことだと思っていますので、その言葉を入れるかどうかは別にしろ、そこの部分の趣旨はこの検討会の中間報告で生きていくことだと思っています。

結局は行政の資格として考える方が素直なような気がします。そうすればアドバイザーともすみわけできるし、バトルする必要もありません。

※とにかく、この第10回でやっと本音の議論が少し垣間見えた気がします。中間報告として正式に世に出るため、ぎりぎりになって本音をぶつけてきたのかもしれません。
相談員として第10回の議事録(できれば第9回も)は32ページにもわたった生々しい議論ですのでぜひ読んでいただきたいと思います。そして、相談員自身にふりかかってくることですので、しっかり意見を出していただきたいと思います。

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