相談員資格の検討会(第10回) 議事録

中間報告(案)の最終取りまとめの最終の第10回議論の議事録が公表されました。
今までの議論は何だったのかというぐらい白熱のバトルになっているような気がします。
ここにきて、やっと本音が出てきたのかもしれません。

先日、NACSと全相協の主張の違いについて書きましたが、さらに激しくなったような感じです。
議論を深めるということよりもお互いの立場を主張しあうという形になっていたので少し残念な気がします。

第10回の新たな部分としては、すでに資料では公表されていますが、「5.相談員資格における必要な知識・技能の担保」の説明が細かく例示されています。ようするに、相談員として、これぐらいの能力が必要なんですよという理想論を並べたような感じですね。これらの書き方についても今回の検討会でずいぶん議論されていました。
この知識や技能については私もスキルアップを目指すための指標にもなりますので別途記事にしたいと思います。

では第10回の議事録から私なりに気になった発言を取り上げたいと思います。揚げ足取りになるかもしれませんがご了解ください。
消費者庁HP
ホーム > 地方協力課 > 消費生活相談員資格の法的位置付けの明確化等に関する検討会
http://www.caa.go.jp/region/index8.html#m01-1
第10回消費生活相談員資格の法的位置付けの明確化等に関する検討会(平成24年8月2日)
議事録[PDF:253KB]・・・http://www.caa.go.jp/region/pdf/120802gijiroku.pdf
検討会委員の名簿は第1回の資料にあります。
http://www.caa.go.jp/region/pdf/111025_1-2.pdf
○青山委員
青山 理恵子 公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会副会長
○丹野委員
丹野 美絵子 社団法人全国消費生活相談員協会理事長
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○丹野委員
多分今日が最後だと自覚をしておりまして、それについて一言消費生活相談とは何ぞやという話を少しさせていただきたいと思うのです。
そもそもこの検討会自体は全国の自治体の消費生活センター、つまり行政で相談窓口を担っている消費生活相談員の資格を法定化する議論としてスタートしたと思っていますが、何となくいつの間にか民間団体の相談をも消費生活相談と称して議論していますが、それについて、どこまでを射程に入れるかについて議論を尽くさないで行ってきた気がしています。
つまり、 行政の消費生活相談員についての国の資格をいかにするかということを検討することが本筋だったわけで、議論としてもそこにほとんど集中して議論してきたことから考えれば、消費者団体と一概に言ってもいろんなところがあるのだと思っていることを踏まえれば、少なくとも民間団体という言い方でそこまで相談員をあえて包含して検討するのは本来の筋から少し外れるのではないかと思っておりますので、そこの書きぶりを是非御検討いただきたいなと思っております。
○福嶋消費者庁長官
消費生活相談というのは自治体行政だけがやるものだという位置付けをしているわけではありません。
位置付け自体が行政のということに限定したということは私どもとしては考えていないのです。
○丹野委員
すみません、言い合いをするつもりは毛頭ないのでこれでおしまいにいたしますが、ただ、このペーパーが世の中へ出ていくわけです。世の中へ出て行ったときに、そこに書き込まれていることをみんなが適切に理解しなくてはいけないし、議論の本質も先ほど現実にと長官自身がおっしゃったように、行政の相談のあっせんをどうしたらいいかとか、質を上げるにはどうしたらいいかという議論を一生懸命喧々諤々でやってきたわけです。そういうことから言うと、そこが誤解されるようなことのないような書きぶりにするべきだし、みんなが消費生活相談と想定したときに、この要件をクリアーすればとおっしゃいましたけれども、その要件をクリアーするのは民間だという書き方をするのであればそこは誤解されるのではないかと思います。
○福嶋消費者庁長官
民間の能力は高いと思うのです。
○池本座長代理
今の議論の中で、消費生活相談を行政の窓口だけではない、現に専門家団体などがやっているという事実を踏まえながら、そこも視野に入れた資格である必要があるということは議論してきたと思いますし、それは共通認識だと思います。ただ、更にもう一歩広がって、そういった民間でやることをもっと押し広げていくための制度としてどこまで広げるかということは議論していなかったと思います。
○池本座長代理 では、1990 年代から専門家団体による消費生活相談も行われるようになってきたという歴史的事実をここに触れるということについてはよろしいと思います。それを越えてこの制度を民間に最後どのぐらい押し広げるかということになると意見が分かれるところですし、私もまた違う意見を持っているところもありますので、それはここでは入れていないし、後ろの課題辺りもそれを積極的に進めるのか、どの範囲にするのかを議論していないところだし、そこは触れていないという理解でよろしいのではないでしょうか。

この議論を読むと、行政の相談員としての資格と考えている全相協と民間も含めたしくと考えている消費者庁との根本的なすれ違いがみてとれます。もちろん議論のスタートは民間も含めた資格としていましたが、私は一貫して民間とは一線を画して行政の相談員の資格であるべきと考えているので、この点では全相協と考え方は同じです。さらに大事なことは、民間を含めるか含めないかで、この資格の内容までもが変わってくるのではないかと思っており、そうするといつまでも結論の出ない議論が続いていくのではと危惧しています。結局は、十分に議論できていないということで先送りされましたが、この基本的な考えが統一されていないと先に進めないと思います。
もう一度いいますと、相談業務に「あっせん」は必要不可であり、行政では「あっせん」までするが、民間では「助言」はできるが「あっせん」は難しい、ということを前提にすれば、行政と民間とは明確に相談業務の位置づけを分けるべきだと思います。

8ページ

○山本座長
今の点に関して申しますと、ここで消費生活相談をどういった主体が担うべきかという点については議論を深くはしていないですし、初めからそれはテーマではなかったと思います。ただ、議論を進める中で、これは前回もそうでしたけれども、資格の話と職の話が一緒になっている。そこのところをもう少し明確に分けないとわかりにくいのではないかということが、だんだん議論しているうちに出てきましたし、前回も出たところです。
結局、消費生活相談を職として、まさに法令上の任務、義務としてやっているのは地方公共団体であることは間違いないわけで、そのことはこの報告書の中にも出てきているわけです。その職をもっと明確に位置付けるべきと。
2ページの最後のところですが、ここのところでも資格の話と併せて「消費生活相談員」職の法的位置付けも当然考えなくてはいけないと言っているわけでして、したがって、そもそもというところについてはいろいろそれぞれ御意見があると思いますけれども、この場では資格の話と、それと併せて今申し上げた地方公共団体における相談員の職の話という両方を扱っているのだという、そういう理解でよろしいのではないかと思います。
その点がなお不明確であって、両方が入り混じったようなところがあるとすれば、そこはクリアーに切り分けて、ここではその両方の話をしているということを明らかにする必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

やっとここで資格の話と職の話がごっちゃになっていることを認める発言が出てきました。いまさらやっとか、という思いもありますが、もっと踏み込んで、私が主張している「試験制度と資格制度と職の位置づけ」をきっちり整理して考えてほしいです。

12ページ

○池本座長代理
新しい資格制度の導入に伴って、地域の現場に混乱が生じるようなことがあってはならない。円滑な移行措置が必要であるという基本の方針。
新しい資格制度で現職の人が新しい試験に受からなくて大量に辞めることになったらどうするのですかと、地域に行けばそういう不安の声は根強くあるのです。だから、そこを今回の資格制度が、これはスタートのころから申し上げていますが、新しい資格制度の試験のレベルを高くしてふるいにかける問題よりは、試験に受かって配置された人が毎年毎年法律や実態が変わるところをきちんと受け止めて解決できる継続的な実務研修と更新のことこそ新しい制度の命だということは申し上げたとおりで、その意味では新資格に移行するところについて、専門的資質を確保しつつも現場に混乱が生じないような円滑な移行措置を講ずる必要があるという旨の記載を冒頭に入れたらどうかと提案します。

私がずっと指摘している問題ですね。新しい試験のレベルを上げると現職が通らないから、やっぱる受かる試験にしてその後のフォローに力を入れようということだと思いますが、本当に矛盾ですね。現状制度を発展させたら可能なことではないでしょうか。わざわざ、新しい試験を現職に配慮してまで作る必要はありません。そう思います。ここにきて、本音が出てきたような気がします。

12ページ

○長谷川委員
この方々がどのような確認のもとに、今の仕事を続けられるのかというところが、資格の論議との関連で見えにくい感じは確かにあると思います。ですから、方針として、現実にそれだけの実務遂行能実力があるということであれば、勿論、資格を取得することができればはっきりするわけですが、それに代わる試験的なことをするのかしないのかとか、現実的になかなかそれは条件がそろわないと難しいので、経過的な一定期間は現状のままで結構ですから継続してお勤めくださいとか、あるいは将来的にはこういうレベルのものは求められますのでその準備は必要となりますとか、そういうインディケーションみたいなのがあってもいいのかなという感じはします。要するのに、今のままで何もしないで仕事を続けられるのか、そうではなく何らかの対応が必要となるのかということがはっきりしていることが良いのではないかと思います。その辺はどうなのでしょうか。
○柿沼委員
関連しているようですので。これを改めて通して見て、ちょっと前後するのですけれども、11 ページの一番下のところに赤で今回足されたのが、「なお、検討会においては、相談員の資格として現行の3資格で『十分である』としている消費生活センターもあることから、新たな資格を法律に位置付ける場合には、現場に混乱を招くことのないよう、自治体や消費生活相談員等の意見に十分配慮して検討をする必要があるとの指摘もあった」という書きぶりで入っているのです。
ですから、検討会ということになったときの希望として見れば、そんなに研修も重ね、今、3資格の方々の中に混じって同等以上の資格がなくてもやっている方ならば、新しい試験制度が入ったならばそれを受けてもらいたいとか、そんなふうな気持ちが私はあるのです。
○川口消費者庁審議官
まとめなので論点の整理という意味で申し上げますと、混乱するかどうかは、1つは任用資格になるのかどうかというところが大きいと思うのです。絶対持たなければいけないか。この点については任用資格にしないという方向でほぼ合意があるわけですから、任用資格にしないという意味では現場の混乱は最小限になる。ただし、この資格はできるだけ取っていただきたいという方向もまた共有されていると思うのですが、そういうようなことがわかるようなとりまとめというだけでも現場は混乱しにくいのではないかと思います。
○柿沼委員
任用資格でないということは、要は相談員の幅が広がるわけですね。新しい資格も取った方もいらっしゃるし、今までの3資格も生きるし、相談資格はない方も今ま
でどおり資格を生かした方もいる。幅広い方が相談の現場にいらっしゃる。どの道を選んでも御自由ですよということですね。ですから、それはそれでいいのですけれども、検討委員会としての1つのあり様として見れば、もう一つ新しい資格を生み出すということについては研修も付与しますよ、いろいろな機会も提示しますよということは、資格を取らないままでいても構わないけれども、受けるチャンスをもったいないので取られてくださいという意味も大きいのではないかと思うのです。
○丹野委員
同じようなことですが、先ほど現場で混乱と言ったのは、この資格を取らなくてもいいのだろうかというお話は確かにあるのですけれども、取るとしたら私の場合はどことどこを埋めていかなければいけないかというのは必ずしも読み取れないということを言われたということがありますので、先ほど来、マトリックスと申し上げていますが。し、だから、この検討会としてはこういう新しい資格をつくりました、取らなくてもいいですよという後ろ向きのメッセージは通常あり得ないと思っていますので、当然、資格をつくりました、みんなで取って、先ほど言ったように消費者の信頼と期待に応えましょうよというお話になっていくのだと思っております。
ですから、当てはまる人たちが、どこの部分が免除されて最低限のものがあれば移行できるのかが必ずしも見えないという部分についてお願いさせていただいたということです。
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他方には、それでレベルを逆に下げてしまうと資格制度の意味が減殺されるのでないか

新しい資格は必ずとらなければらないのか?という議論です。一部抜粋しただけですが、わかりきった問題がやっと議論されてきたという感じで、結局、さっきの議論にも共通します。この後の議論ではやっぱり無資格相談員への措置など矛盾する制度を作らなければならなくなるんですね。新たしい試験制度ではなく、現状維持で新しい研修制度を作ればいいだけだとおもいます。

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○池本座長代理
前回発言したところに関連しますが、要するに今回の資格制度が地方公共団体の相談窓口、あと民間の専門家団体などによる相談窓口における消費生活相談処理を担う人たちを育成するということは共通認識だと思いますが、アドバイザーとかコンサルタントというのは例えば企業の相談窓口もあるし、地域の中での消費者団体のリーダーとかさまざまな活動をしている。ここには地域における消費者活動、企業における消費者との懸け橋となる活動等にこの新しい資格が活躍することが期待されるとすらっと真っ直ぐと読んでしまうと、そういったその他の活動分野全体にこの資格がそのまま押し広がることを期待するという言葉に聞こえてしまうのではないか。
アドバイザー制度というのも企業の顧客相談だけではなくて、その顧客相談の情報を企業の活動に生かすという意味では物すごく重要なことは今後もますます重要になりますし、コンサルタントの地域における消費者リーダーというのはこれまでも重要な役割を担っていたし、今度、消費者教育推進法ができてますます役割も大きくなってくる。そういうものを新しい資格制度がいつの間にか全体をシェアしまうというよりは、それを含む全体の将来的な統一的な資格をどうするかということはここでは議論していない、できなかったところですから、それは今後の課題である。だから、ここはそういった分野がますます重要性を増してくるということまでにとりあえずとどめておくのが穏当ではないかと考えて発言したものです。

アドバイザー制度という民間資格を侵食するのではないかという議論ですが、事実上はそうなってしまいNACSには脅威だと思います。その議論が前回から激しくなってきたように感じます。

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○丹野委員
今回、それはそれとして例えば、国が消費生活相談員というものを法律に書き込む、国が法定化する以上、これが本当に実施された暁には、行政にこだわるなと先ほどからずっと言われているのだけれども、実質、行政の消費生活相談員がすごく多いわけで、そういう意味では国民生活センターの消費生活専門相談員というのは行政のための資格であって、現実に平成20 年の調査だと、全国の消費生活相談員の70%近くが消費生活専門相談員なのです。その人たちの資格の帰趨というものが、結局はこの、国の資格に収斂されると考えるのが自然だろうと思っているのです。
ですから、そういう意味では、全国に多数いる消費生活専門相談員の資格で消費生活相談員をやっている人のことを考えれば、専門相談員の資格がこの資格につながっているのだよということがある意味わかった方がいいだろうと思っていて、この段階でこれ以上の修文は無理だということは承知していますが、ここの部分を何らかの形でその趣旨を書き込んでいただければありがたいと考えております。
○福嶋消費者庁長官
先ほどのこの相談員の検討の目的が相談員さんの身分の保証が先にあるのではなくて、ちゃんと消費者のために体制をきちっとやるのだというところから持っていこうと、そのためにもうちょっと格調高く書けないかという御指摘、それはそうだと思うのですが、だから、結論が地方消費者行政の充実というところに収斂するのだというのは、言葉として最近、地方消費者行政というのが広い変な言葉で使われているように私は思っていて、地方消費者行政は行政なのです。だから、地方消費者行政に収斂するのなら、行政の相談員にある意味収斂するのです。
○青山委員
ただ1点、丹野委員がおっしゃった、いわゆる新資格が専門相談員資格ですよということは異議がありますので、そこの部分だけは承服しかねるということだけお伝えしておきたい。
○丹野委員
そう言ったつもりではないのです。
ツꀀだから、イコールだと言ったわけではない。消費生活専門相談員収斂した結果がこれになるだろうということは自然の流れだと申し上げたのです。多分、国がこの資格を本当に始めてしまえば、国民生活センターの専門相談員の資格は目的も趣旨も同じではないですか。行政というところに限らないと一生懸命言っているけれども、行政の相談員がたくさんいる中で言えば、そうすると結局はこの資格、先ほどから申し上げているように消費生活専門相談員資格の帰趨はこの資格に収斂される方向に行くのだろうと考えるのが自然だろうと思っていまして、そこの部分について発言をさせていただきました。
地方消費者行政というのでは狭いというお話がありましたけれども、地方消費者行政の充実というのは、事件は現場で起きているというきざなセリフがありますけれども、地方消費者行政の中で、消費者がトラブルに陥ったときに、困ったときに、そこへ行って適切に助言をしてもらったりあっせんをしてもらうという、 あっせんという機能があるのは他にはない機能ですから、そういうことをしてもらえる権利があるのだと、それを実現する場所だと考えると、非常に地方消費者行政というのは大事なことだと思っていますので、その言葉を入れるかどうかは別にしろ、そこの部分の趣旨はこの検討会の中間報告で生きていくことだと思っています。

結局は行政の資格として考える方が素直なような気がします。そうすればアドバイザーともすみわけできるし、バトルする必要もありません。

※とにかく、この第10回でやっと本音の議論が少し垣間見えた気がします。中間報告として正式に世に出るため、ぎりぎりになって本音をぶつけてきたのかもしれません。
相談員として第10回の議事録(できれば第9回も)は32ページにもわたった生々しい議論ですのでぜひ読んでいただきたいと思います。そして、相談員自身にふりかかってくることですので、しっかり意見を出していただきたいと思います。

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