地方消費者行政の充実・強化のための指針 その1

「地方消費者行政の充実・強化のための指針」が7月12日に策定され、7月31日に消費者庁のHPに公表されました。

この指針は、「集中育成・強化期間」後における地方消費者行政の充実・強化に向けた取組の方向性を示すもので、地方消費者行政を担う行政職員や相談員が目指すべき目標を示すものですので、これらの実現に向けて様々な政策が進められます。
次のステージに入ったという意味でも、この指針は読んでおいてほしいと思いますが、相談員のスキルアップを中心にポイントを抜粋して紹介します。

ホーム > 地方協力課
http://www.caa.go.jp/region/index.html#m01-3

<地方消費者行政の充実・強化のための指針>

「地方消費者行政現況調査」などとともに、「現場」の声から地方消費者行政の現状と課題を分析し、中長期的な展望に立った地方消費者行政の目指す姿を描きながら、「集中育成・強化期間」後における地方消費者行政の充実・強化に向けた取組の方向性として、「消費者庁の取組」と「自治体への期待(提言)」を示す「地方消費者行政の充実・強化のための指針」を策定いたしました。
また、消費者行政に関する全国各地の先導的な取組と考えられる「現場」の事例を「取組事例集」として掲載しております。

「地方消費者行政の充実・強化のための指針」策定にあたって[PDF:103KB]
http://www.caa.go.jp/region/pdf/120730plan1.pdf
「地方消費者行政の充実・強化のための指針」(概要)[PDF:267KB]
http://www.caa.go.jp/region/pdf/120730plan2.pdf
「地方消費者行政の充実・強化のための指針」(本文)(7月12日策定)[PDF:464KB]
http://www.caa.go.jp/region/pdf/120730plan3.pdf
「地方消費者行政の充実・強化のための指針」(取組事例集)[PDF:3,582KB]
http://www.caa.go.jp/region/pdf/120730plan4.pdf

1番目の策定に当たっては大臣署名のA$両面の文書で後半に相談員の雇い止めに対するメッセージが出されています
2番目の概要にはA41枚の表に指針の概要、裏に取組事例集(抜粋)がまとめられています
3番目の本文から抜粋して紹介したいと思います
4番目の取り組み事例は91事例紹介されていますが、相談員のスキルアップに関する事例を紹介します


Ⅰ 指針策定の背景と趣旨
1.地方消費者行政「集中育成・強化期間」
消費生活の「現場」は、地域であり、消費に伴う様々な問題も地域で生じています。
地域という「現場」における消費者行政の充実・強化なくして、消費者被害の防止や救済、消費生活の安定や向上はあり得ません。このため、『消費者・生活者の視点に立つ行政への転換』には、国だけではなく、「現場」である地方消費者行政の抜本的強化が不可欠との認識から、消費者庁では、自治体と連携を強化しながら、その取組を支援してきました。
平成22 年2 月に取りまとめた「地方消費者行政の充実・強化のためのプラン」では、先進的な取組事例等を踏まえながら、地方消費者行政の充実・強化のための課題と解決の在り方について示しました。
また、財政面では、平成21 年度から23 年度までを地方消費者行政の「集中育成・強化期間」として、地方消費者行政活性化基金1(以下「基金」といいます。)の創設や住民生活に光をそそぐ交付金2、地方交付税措置の拡充3等の措置を通じて財政的な支援を行ってきました。
この間、各地域の自治体においては、こうした支援措置を活用して、平成21年度から23 年度までの3年間で、消費生活センター及び消費生活相談窓口(以下「窓口」といいます。)の開設や充実など、地方消費者行政の基盤強化の取組が着実に進められてきました。
平成23 年4 月には消費者委員会から「地方消費者行政の活性化に向けた対応策についての建議」が出されました。
この建議も踏まえ、消費者庁では、地方消費者行政の現状を分析するとともに、「地方消費者行政活性化基金」、「住民生活に光をそそぐ交付金」といった財政支援措置の効果についての検証を行いました。さらに、市町村間の広域連携や都道府県との連携を含めた市町村の消費生活相談体制の構築、自治体内の各部署との連携、地域の多様な主体の「参加」と「連携」、消費生活相談員の処遇改善等について、詳細な事例を収集・整理しました。その上で、「消費者庁の取組」、「自治体への期待(提言)」をまとめて、この「地方消費者行政の充実・強化のための指針」(以下「指針」といいます。)を作成することとしました。

Ⅱ 基本的方向性
<中長期的展望に立った地方消費者行政の目指す姿>
1.どこに住んでいても消費生活相談を受けられる体制づくり
2.法の厳正な執行と連携強化
3.地域社会の消費者問題解決力の向上

Ⅲ 消費者庁の取組
1.基本的な考え
消費者庁は、地域主権の考え方を踏まえて、自治体との連携・協力をより強化し、地方消費者行政の充実に向けた取組を支援していきます。また、各地域における先進的な事例やモデル的な事例を収集・紹介するとともに、様々な機会をとらえて自治体の首長等へ働きかけを行っていきます。また、事業者に対しても、消費者基本法の基本理念にのっとり消費者の権利を尊重した事業活動を求めます。さらに、公正で質の高い市場形成のためには消費者行政の充実・強化が不可欠であるとの認識を共有し、自治体における取組への協力を働きかけていきます。
また、基金が終了する平成25 年度以降においても、地方消費者行政に積極的に取り組む自治体を引き続き支援し、自治体での取組を下支えできるよう、必要な財源確保に向け、最大限の努力をしていきます。
こうした取組を進めるに当たっては、関係省庁との情報共有を進め、的確な役割分担と連携を行いつつ、内閣府特命担当大臣(消費者行政担当)を本部長とする地方消費者行政推進本部において、地方消費者行政の充実・強化に向けた支援の在り方について検討・決定し、必要な施策をより積極的に推進していきます。

2.継続的に取り組む事項
(1)どこに住んでいても消費生活相談を受けられる体制づくり
(消費者ホットラインと、それを活用した地方支援のための相談体制)
(消費生活相談員や担当職員への研修)
独立行政法人国民生活センターでは、消費生活相談員や担当職員等を対象に研修を実施しています。特に、消費生活相談員向けの研修では、消費生活相談に必要な法律的な知識をはじめ、聴き取りなどの具体的技法や、消費生活相談員としての心がまえや意識・考え方などを習得する研修を実施しています。
また、より参加しやすいように研修の地方開催を積極的に進めるほか、新たな研修手法として、遠隔地で講座を受講できる「遠隔研修」や、職場や自宅でも講座が視聴できる「オンデマンド配信」を検討しています。
このほか、小規模な消費生活センターや窓口で働く消費生活相談員や担当職員を対象に、実務経験豊富な消費生活相談員を派遣し、相談対応に関する助言等を行う事業を実施しています。
引き続き、自治体の消費生活相談員や担当職員の研修ニーズを踏まえて、こうした取組を充実し、地域の消費生活相談を支援していきます。
(研修講師の紹介)
都道府県等が研修を実施する場合に、消費者庁は独立行政法人国民生活センターと連携し、要望に応じて研修の講師となる有識者に関する情報を提供します。また、研修に対して、専門家や消費者団体など関係団体の積極的な協力を得られるよう、消費者庁として働きかけます。
(消費生活相談員へのアドバイス・支援)
消費者庁では、消費生活相談員から消費者庁所管法令に関する法令解釈照会や改善提案等を受け付ける「相談員の窓」を設けています。都道府県、独立行政法人国民生活センター、経済産業局等の国の地方支分部局で従前から行っているアドバイスと併せて、より消費生活相談員のニーズに合ったものになるよう充実させていきます。
また、独立行政法人国民生活センターでは、各地の消費生活センター等で受け付けた解決困難な相談について、経由相談(助言、共同処理、移送)等の支援を行っています。
(消費生活相談員の処遇改善の働きかけ)
専門的な知識・技能を有する人材の確保は、消費者行政の充実のために不可欠です。消費者庁では、消費生活相談員がその専門性に見合った処遇を受けられるよう、非常勤職員の消費生活相談員の任用回数に制限を設けないことを含め、自治体、特に首長に働きかけていきます。非常勤職員の行う業務の中にも恒常的に必要となる業務があり、消費生活相談員について一律に任用回数の制限を設けることは適切ではないという認識をより広げていくために、地方公務員制度を所管する総務省に対しても協力を得られるよう働きかけています。
(相談解決に資する情報の提供・共有)
(商品テストの実施と自治体による結果の共有化)

(2)法の厳正な執行と連携強化
(自治体との人事交流による人材育成)
(執行担当職員の研修と支援)
(情報のネットワーク化)

(3)地域社会における消費者問題解決力の向上
(顔の見える関係の構築)
(地方消費者グループ・フォーラム)
(人的交流の強化)
(食品と放射性物質の問題を始めとする消費者への情報提供等の支援)
(情報の収集と注意喚起)
(消費者教育の推進)

3.当面(平成25 年度に)重点的に取り組む事項
(1)自治体の基礎的な取組とレベルアップを支援
地方消費者行政の推進は、「地域主権」の考え方に基づき、自治体が、自主財源を用いて住民の意思に基づく取組を行うことが基本です。
しかし、現状では、こうした自主的な取組を支えるために必要な経常的経費に係る一括交付金化の動きは進んでおらず、「集中育成・強化期間」で整備された地方消費者行政体制を維持・充実していくためには、過渡的な措置として新たな財政支援を設けることが必要と考えます。
基金終了後の新たな財政支援は、以下の2つの柱によります。
①自治体による基礎的な取組の下支え
自治体における基礎的な取組である、
・身近な消費生活相談体制の整備(市町村における窓口の立ち上げ・機能強化、消費生活相談員の養成・レベルアップ都道府県による支援・補完的取組
・消費者教育、消費者の安全・安心確保のための啓発活動を支援します。
②地方消費者行政のさらなるレベルアップ
自治体による先進性・モデル性の高い事業の実施を支援します。消費者庁では、各地域の知恵と工夫を全国の「現場」に情報提供することで、全体のレベルアップを図ります。
(2)食品と放射性物質に関するリスクコミュニケーションの推進
(3)高齢者の消費者トラブルの防止
(4)消費生活相談員資格の法的位置付けの明確化
消費生活相談の一層の質の向上を図るため、平成 23 年10 月に「消費生活相談員資格の法的位置付けの明確化等に関する検討会」を立ち上げ、検討を進めています。
検討会では、自治体からのヒアリングやアンケート結果を踏まえながら検討を進め、今夏に取りまとめを行う予定です。
消費生活相談員資格と消費生活相談員の職を法律に位置付けることで、消費生活相談全体としてのレベルアップと全国的な水準の確保が図られるとともに、消費生活相談員が専門職として適切な評価を得て、待遇改善につながることを期待しています。
(5)PIO-NET の刷新
PIO-NET は、全国の消費生活センター等の相談業務を支援するものです。一方、現行のPIO-NET は相談内容を正しく分類できるようにキーワード方式を採用していますが、このキーワードの入力やその正誤のチェックが、消費生活相談員や自治体職員等の負担にもなっています。
消費者被害が多様化、複雑化する中で、法執行を担当する行政機関等からのPIO-NET 情報に対する需要も高まっており、情報分析機能の向上も求められています。
消費者庁では、「PIO-NET 刷新に関する検討会」において、①消費生活相談員の入力負担を軽減する、②現場の相談活動にさらに役立つものにするため情報分析機能を向上させる、などの観点から、PIO-NET 刷新の中間報告をまとめました。今後、平成27 年3 月末までにシステム刷新を行うため、さらに定量的なデータを収集・分析するともに、自治体との意見交換を進め、具体的な刷新の内容について検討を進めます。また、PIO-NET 操作マニュアルの見直しなどは、システム刷新を待つことなく、実施していきます。
(6)貴金属等の訪問購入への法的措置(特定商取引法の改正に係る取組)
(7)財産被害に係るすき間事案への行政措置の導入(消費者安全法の改正に係る取組)
(8)消費者安全調査委員会の設置(消費者安全法の改正に係る取組)
(9)集団的消費者被害回復に係る訴訟制度の創設
(10)食品表示の一元化
(11)消費者教育の推進
(12)消費税率引上げへの対応

※基金が終了し、研修旅費や研修開催にかかる費用がない中、どれだけ相談員の資質向上のための研修ができるかというところですね。先進的な取り組みは国が支援するとなっていますが簡単ではありません。(消費生活相談員や担当職員への研修)の項目では国センが実施している研修のことが書かれていますが、今後は参加する機会も減少するでしょう。地方開催も本当の地方には来ないですし、、遠隔研修、オンデマンド配信なども今現在始まっているところですが、相談員の資質向上は地方消費者行政の要といってもいいかもしれません。
当該部分を再掲します

(消費生活相談員や担当職員への研修)
独立行政法人国民生活センターでは、消費生活相談員や担当職員等を対象に研修を実施しています。特に、消費生活相談員向けの研修では、消費生活相談に必要な法律的な知識をはじめ、聴き取りなどの具体的技法や、消費生活相談員としての心がまえ意識考え方などを習得する研修を実施しています。
また、より参加しやすいように研修の地方開催を積極的に進めるほか、新たな研修手法として、遠隔地で講座を受講できる「遠隔研修」や、職場や自宅でも講座が視聴できる「オンデマンド配信」を検討しています。
このほか、小規模な消費生活センターや窓口で働く消費生活相談員や担当職員を対象に、実務経験豊富な消費生活相談員を派遣し、相談対応に関する助言等を行う事業を実施しています。
引き続き、自治体の消費生活相談員や担当職員の研修ニーズを踏まえて、こうした取組を充実し、地域の消費生活相談を支援していきます。
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