インターネット上の取引と「カード合わせ」に関するQ&A公表(2013/1/9)

あまり話題になっていないようですが、取り上げたいと思います。

重要度:低・・・オンラインゲームに関する法律や運用の参照先がまとめられている。勉強するにはいいが、実務的にはあまり使わないのではないかと思います。
※行政資料の重要度を個人的に分類

カード合わせに関する基準等は昨年5月から6月にかけて公表されました(7月3日に関連する記事を書いてます)が、今回はカード合わせに関するQ&Aが公表されました。カード合わせに関するものだけではなく、オンラインゲーム全般に関することもまとめられています。

消費者庁HP
ホーム > 表示対策課 > よくある質問コーナー(景品表示法関係)
http://www.caa.go.jp/representation/keihyo/qa/index.html
「景品に関するQ&A」のページへ
└「カード合わせ」に関するQ&A[PDF:347KB]
http://www.caa.go.jp/representation/keihyo/pdf/130109premiums_1.pdf

ポイントは2つ
①実際に使うかは別にして、運用の照会先は役に立ちます。
②カード合わせ関係の実際的な説明が分かりにくい

①は特に説明はいらないと思います。
②は具体的なゲームではなく一般論化しようとしたがためにオンラインゲームを知らない人には全く何のことかわからない内容だと思います。
例えば

Q19 オンラインゲームにおいて、有料ガチャによってアイテムAとアイテムBをそろえると、Bが消滅し、Aのみが残り、Aの攻撃力が増強されるという効果が生じる仕組みがあるとします。この場合、Aの攻撃力の増強こそが有料ガチャという取引の本来の内容であって、当該取引に付随した経済上の利益が提供されていないので、景品規制は適用されないのではないでしょうか。 また、AとBをそろえると、ABともに消滅して別のアイテムCが提供される場合はどうでしょうか。

というQの意味が全く分からないと思います。
具体的なゲーム名で説明すれば何とか分かるかもしれませんが、ゲーム名を出すわけにはいかないので意味不明な内容になっています。分かる人にはわかります。
別の機会に「ドリランド」というゲームを解説したいと思いますが、このQの「有料ガチャによってアイテムAとアイテムBをそろえると、Bが消滅し、Aのみが残り、Aの攻撃力が増強されるという効果が生じる仕組み」については
「ガチャや敵の討伐で取得したカードは、レベル1からスタートして例えばレベル30まで強くすることができます。レベルが上がれば上がるほど、攻撃力も防御力も高くなります。レベルを上げるためには、強くしたいカードにほかのカードを合体させます。合体させると、そのカードはなくなります。それをゲーム上では「えさにする」と言われています。強いカードをえさにすればレベルをあげやすくなります」という仕組みが元になって、少し応用されています。ゲームをやっていない人には何のこtかわからないでしょうね。知ってても知らなくても、相談業務にはほとんど関係してこないと思いますので、目を通すだけです。

ただし、マニア的な消費者からの相談があるかもしれませんが、そのようなマニアに説明できる知識を得るのは不可能ですので諦めてどこかをECネットワーク等を紹介した方が無難でしょうね(消極的ですが、Q&Aが理解できるかチャレンジしてみてください)。

研修等で「カード合わせに該当すれば違反になるので確認してください」と解説されることがありますが、メジャーな大手は法律違反になることはまずしないので、この助言はあまり意味がないと思います。事業者は法律違反にならない方法を考えてきます。たとえば、ドリランドではカード合わせは確立が天文学的になる(5/23に記事を書いてます)ので、「パッケージガチャ」というやりかたに変更して、「カードを取得できる上限金額が決まってるので安心です」と説明します。研修等でそう説明されて納得する人が多いのですが、とんでもないです。これについては別の機会に説明します。

ソシアルゲームも乱立して内容もえぐいものになってきました。ドリランドも末期症状のような感じですね。
多くの消費者にそっぽを向かれる日もそう遠くないのではないかという気がします。

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消費者情報 2013年1月号 (関西消費者協会)

今月号から気になる記事を紹介します。

①特集 健康食品と消費者問題
・日本人の健康志向と「健康食品」
・健康食品とは
→「健康関連食品の位置づけと表示」として、一般食品、栄養機能食品、特定保健用食品、特別用途食品、医薬品を図表にしたもので、健康食品を語る場合に必ず登場するものです。知識としては頻出ですが、現場では活用する機会はほとんどありません。法律改正が時々あるので、たまにはチェックしておいてください。
・フードファディズムと「健康食品」
→「フードファディズム」という言葉は最近ときどき耳にしますので、一度目にしておいてください。
「フードファディズム」とは、食べものや栄養が健康や病気へ与える影響を過大に評価したり信奉すること。
例えば、テレビでダイエット効果のある食品が紹介されると大流行する。微量に存在する有害物質をあたかも健康に影響があるように言い募る。

・健康食品の表示等の在り方について  消費者委員会におけるヒアリングでの検討事項
・「いわゆる健康食品」による健康被害の傾向と対応
・健康食品をめぐる消費者問題
→健康不安や健康願望に付け込む悪質業者の販売トラブルやマルチ商法での定番商品などについて解説しています。
・相談スキルアップ窶・I 健康食品トラブルに関する聞き取りとあっせん
・健康食品関連年表

②2012年消費者関連出来事
→2012年に何があったのかがよく分かります。

③2012年消費者関連法律
→16本の法律が紹介されています。ぜひ確認しておいてください。

④判例に学ぶ
「書面公布・説明のない「定期借家契約」の効力を否定した最高裁判決」平成24年9月13日判決

→借地借家法では借家人を保護する強行規定がありますが、定期借家契約をすれば更新を拒否することができます。その場合、契約書で必ず説明し認識してもらうことを必要としており、定期借家の契約書がなければ事前に話をしていても無効であるとした判決です。
詳しくは最高裁判例HPへ
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=82539&hanreiKbn=02

建物明渡請求事件 平成24年09月13日

判示事項
借地借家法38条2項所定の書面が賃借人の認識にかかわらず契約書とは別個独立の書面であることの要否
裁判要旨
借地借家法38条2項所定の書面は,賃借人が,その契約に係る賃貸借は契約の更新がなく,期間の満了により終了すると認識しているか否かにかかわらず,契約書とは別個独立の書面であることを要する。
参照法条
借地借家法38条

⑤ネット漂流 Vol.8 「端末を持たない子ども」
・子どもにネット接続できるゲーム機を一方的にダメと与えないことがあるが、今の子どもはネットを通じてお互いに連絡を取り合っている。ゲーム機がないと子供同士の人間関係で苦労することがあり子どもが苦しんでいる。そのような状況を大人は理解する必要がある。
※結局は使い方のルールを作ることが大切だと思います。ソシアルゲームで子どもが大金を使うのも、事前に親としっかり話し合いルールを作らないことに原因があると思います。しかし、親は子どもに買い与えるだけという場合が少なくありません。親もそこまで詳しくないこともありますし、情報リテラシーの力の格差も社会問題だと思います。

リンクはこちらです
関西消費者協会 http://kanshokyo.jp/hp/
消費者情報 2013年1月号
kansho201301

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各組織での2013年施策

この時期になると、様々な広報誌で行政機関や消費者団体の新年のあいさつと共に、2013年の施策方針についての記事が掲載されます。
そこから、いくつかピックアップしました。

消費生活新報(平成25年1月1日号)から一部抜粋

(公社)全国消費生活相談員協会 理事長

今年こそ地方消費者行政充実の実現を
・本年は地方消費者行政の充実・強化を実現する1年だと認識しております。
・しかし、各地の自治体においては財政上の問題等から消費生活相談業務の民間企業への委託が進行し、また消費生活相談員の5年程度の雇止めが進行するなど、各地で消費生活相談の質の充実・維持が懸念される事態も置き始めています。地方消費者行政の中核は消費生活センターですから、当協会は消費生活相談の質の維持・向上を目指して、自治体に強く要請するなどさまざまに活動してまいります。

ニッポン消費者新聞(平成25年1月1日号)から一部抜粋

消費者庁 地方協力課長

地方消費者行政の充実・強化へ
・こうした現状を踏まえ、「基金」は被災4県を除き今年度末をもって終了しますが、平成25年度以降においても、「市町村における基礎的な取り組みの下支え」と「消費者問題解決力の高い地域社会づくり」の2つの柱とした地方消費者行政に積極的に取り組む自治体を引き続き支援するための財源の確保が大きな課題となっていますので、これらの自治体の取組を支援できるよう全力で取り組んでまいります。
・消費生活相談員資格の法的位置付けの明確化について昨年8月に検討会報告書のとりまとめを行いました。自治体等が提供する消費生活相談業務の一層の質の向上と体制の整備を図るため、引き続き、検討を行っています。

国民生活センター 企画調整課長

消費者トラブルを迅速にキャッチ
・研修・資格事業では、相談員・行政職員向けの集合研修を全国各地で実施するとともに、その補完として、遠隔地で講座を受講できる「遠隔研修」や、職場や自宅でも講座が視聴できる「オンデマンド配信」を実施し、相談スキルの向上をサポートしていきます。さらに相談員資格認定試験を適切に実施していきます。

※これらを読んでみても、特に目新しいことはなく、このまま淡々と時が過ぎるのだろうなあと感じます。

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