消費者庁長官の記者会見(6月5日分)

重要度:低※行政資料の重要度を個人的に分類

消費者庁のHPに、週に1回、消費者庁長官の記者会見の要旨が公表されています。

消費者庁HP
http://www.caa.go.jp/
トップページの新着情報からでもリンクしています。

トップ > 活動について > 大臣等記者会見
http://www.caa.go.jp/action/kaiken/index.html

トップ > 活動について > 大臣等記者会見 > 阿南消費者庁長官記者会見要旨(平成25年6月5日(水))阿南消費者庁長官記者会見要旨
(平成25年6月5日(水)15:00~15:22 於:消費者庁6階記者会見室)
http://www.caa.go.jp/action/kaiken/c/130605c_kaiken.html
1.発言要旨(抜粋)
私からは2点御報告がございます。
まずは、訪問購入に係る苦情・相談件数の件について、おわびを申し上げなければいけません。先月23日の記者会見において紹介させていただきました訪問購入に係る苦情・相談件数の推移についてですが、このたび、数値が間違っていたことが判明いたしましたので、訂正させていただきたいと思います。
お手元の資料をご覧ください。前回は、改正法の施行前である平成24年において毎月平均約200件の苦情・相談が寄せられていたものが、改正法の施行後は月平均約20件と10分の1にまで激減していると紹介させていただきました。しかしながら、先日、改めてPIO-NETで検索したところ、この数値は間違っておりまして、実際には、改正法施行後においても苦情・相談件数の水準はほとんど変わっていないということが判明いたしました。大変申し訳ございませんでした。
このようなことが起きた原因を説明します。まず、PIO-NETで検索する場合には、さまざまなキーワードを組み合わせた検索式を用いることになっています。国民生活センターは、改正法施行日以降に受け付けた訪問購入に係る苦情・相談については、新しく「訪問購入」というフラグを設けて検索式を変更したのですけれども、原課はそのことを認識しておらず、改正法施行後においても従来からの検索式を用いておりました。すなわち、改正法施行以降においては、相談員の方々は、訪問購入に係る相談・苦情があれば、それらに「訪問購入」のフラグを立てるということになっておりますが、我々の従来からの検索式では、これら「訪問購入」のフラグが立てられた苦情・相談群については捕捉できなかったということになります。
今後はこのようなことが起きないように、PIO-NETで検索した結果を公表する際には、事前に国民生活センターに照会し、その正式な回答をもって公表するという従来からのルールを徹底することとしたいと思っております。
なお、結果として訪問購入に係る苦情・相談件数は減っていなかったわけでありますけれども、消費者庁としては、この訪問購入に係る消費者被害をなくすべく、引き続き改正特商法の広報に努めてまいりますとともに、悪質な訪問購入事業者に対しては厳正に改正法を執行していきたいと考えております。2.質疑応答(抜粋)

日本消費者新聞の丸田と申しますが、先ほど、訪問購入の件のミスの件なのですけれども、5月23日に発表されて、いつ間違いに気づかれたのか。その間違いに気づいた経緯というのは、国センのPIO-NETの式が違っていたと、検索の方法ですね。そういうことですけれども、消費者庁でわかったのか、それとも指摘されたのか。その経緯をちょっと教えてください。

消費者庁でわかりました。 まず、配布した資料の最初のデータは、取引対策課の方で数えた数字です。そして、下の方は、消費者政策課の方で計算し、国民生活センターに確認したものでございます。
取引対策課長
先週金曜日の午後に気づきました。

ルールの徹底とおっしゃっていたわけですけれども、ルールというのは、発表する前、要するに国民生活センターの連携とかですね。

そうです。

この場合はやっていなかったということですか。

はい。取引対策課の方がそれをやらなかったということです。政策課の方はきちんと照会していました。

すると、件数が、施行されて以降も変わっていないというふうに考えてよろしいのですよね。

そうです。

その場合、前は10分の1になったということで、その数自体は間違っていましたけれども、法律の実効性といいますか、そういうのはあるということですか。今回の場合は変わっていないというのを、どのようにお考えなのでしょうか。

やはり事業者への周知が徹底されていないと考えましたので、周知の取り組みをしっかりと進めていきたいと思っております。
それとまた、具体的な事案については、地方の警察ですとか、消費者行政担当部署において特商法に基づいた執行をやっておりますけれども、地方自治体ともしっかりとこの状況を共有しながら、執行の呼びかけをさらに強めていきたいと考えております。

もう一つですが、この件の場合は、法案の段階で、要するに対象品についていろいろ議論があったと。前回もお聞きしたんですけれども、つまり、これからの分析なのでしょうが、対象外のものについての相談とかそういうものはあって、やっぱり法律の対象の範囲は変えなくちゃいけないんじゃないかとか、そういう検討結果とか、何かあるんでしょうか。

まだその中身を分析していないのです。私も今回のことがあってから、消費者庁でもPIO-NETで検索できるのですから、傾向はわかるはずなのですので、調べて、どのような案件が多いのか、どのような商品にかかわるものが多いのかということをしっかりと分析して、すぐに手を打つ、その情報をきちんと流すということをやらなければいけないと思いました。今はまだ、その情報を分析する体制が十分でないということがありますので、もっとしっかりとした体制をつくっていきたいと考えています。

NHKの橋本です。関連して、2点お伺いさせてください。
結局、どうしてミスになってしまったのか。例えば検索した職員の思い込みなのか。要は、どうしてそういう検索する手続を誤ってしまったのかということですけれども。

どうでしょうか。取引対策課。
取引対策課長
取対課ですけれども、長官から説明を申し上げましたように、一応、今のルールとしましては、数字を公表する場合は必ずその都度担当課が国センに確認をとるというルールであったところ、今回に限っては、そこを怠ってしまったというのが原因でございます。

今のご説明は、ダブルチェックというか、歯止めがかからなかったというご説明だと思うのですけれども、それはつまり、検索の仕組みが変わっていたということを職員が知らないというか、気づかないというか知らなくて、それの従来のものだと思い込んで調べてしまっていたということなのでしょうか。
取引対策課長
さようでございます。

そうです。したがって、その情報をきちんと消費者庁内において共有することが必要です。そう思います。

わかりました。先ほどの丸田さんの質問にご説明がなかったと思うのですけれども、なぜ気づいたのかというのは、誰がどう気づいたのでしょうか。
取引対策課長
先週金曜日の話、午後の話なんですけれども、ちょっと庁内で作業をしていたのですけれども、それは全庁でですね。そのときに、我々の数字と事実は違うのではないかという政策課の指摘が入りまして、その時点で明らかになったということでございます。

わかりました。ありがとうございます。

先ほどの訪問購入の相談件数の件で、何か実害というのはありましたか、何か具体的に。

それは聞いていないです。しかし、そうしたことを把握するために、消費者庁では今、地方の消費生活センターの相談員さんたちをメンバーにした「情報検討ネットワーク」というものをつくっています。そこでは現場からさまざまな情報を寄せていただいていますが、やはりここをもう少ししっかりとしたものにして、情報をいち早くキャッチしたり、こちらから直接聞くなどして傾向をつかみ、素早く対応できるようにする必要があると思っています。

問題の発端となった5/23の会見の内容です。

トップ > 活動について > 大臣等記者会見 > 阿南消費者庁長官記者会見要旨(平成25年5月23日(木))阿南消費者庁長官記者会見要旨
(平成25年5月23日(木)14:45~14:53 於:消費者庁6階記者会見室)
http://www.caa.go.jp/action/kaiken/c/130523c_kaiken.html
1.発言要旨
2点目です。
訪問購入に係る苦情相談件数の推移です。
お手元にペーパーがあると思いますが、平成22年度以降、PIO-NETに約9,000件の苦情相談が寄せられてきました押し買い問題について、訪問購入に係る改正特商法の施行から3カ月が経過した現在、大きな改善の兆しが見られますので、その状況を御紹介しております。
具体的には、その表にありますように、改正法の施行前の平成24年度におきましては、毎月平均約200件の苦情相談が寄せられていました。これに対して、今年2月21日の改正法施行後は、月平均約20件と、施行前と比較して10分の1に激減しております。
消費者庁としましては、このような苦情相談件数の激減は、改正特商法上のルールを守らない悪質な事業者が訪問購入市場に参入しにくくなった、すなわち法改正が早速効果を挙げていることの一つの証左と言えるのではないかと考えております。
先日、改正特商法に基づいて、山形県で全国で初めての逮捕者が出ておりますけれども、消費者庁としても、引き続き改正特商法の広報に努めるとともに、悪質な訪問購入業者に対しましては、厳正に改正法を執行していきたいと考えております。
以上でございます。
2.質疑応答

日本消費者新聞の丸田と申します。
先ほど国民生活センターで、悪質な健康食品の送りつけ商法について、被害が急増しているということでその手口が公表されました。
それで、注目したのは行政への要望、消費者庁への要望として、要するに行政処分をしてほしいと。消費者庁とか都道府県に対しては、もう一つは告発を行う、積極的に警察と連携をしてほしい、行政処分をしてほしいということを出されました。
注目したのは、行政要望として、こういう処分を求めるというのはあまりないような気がしましたもので、つまりPIO-NETの中にいろいろ入っているのですけれども、都道府県でももちろん把握しているし、消費者庁でも把握しているというふうに理解しておったのですが、違反事例として行政処分という形ですぽっと出てくるということ。
それで、今現在も被害が起きているという可能性がありますから、これについて要望を受けた消費者庁として、どういうふうな対応、行政処分への対応をやると思うのですが、迅速さというのを求められていると思いますけれども、ひとつその点についてコメントをお願いしたいと思います。

これは取引対策課になりますか。対策課で今検討を進めている段階でありまして、当然この行政処分をすべきだという要望に応える方向で、何らかの策を打ち出したいと考えております。
いくつかの自治体からは、この件について相談が多くなっていることや、特商法の執行の取組が結構進んでいることも聞いております。こうした自治体とも連携しながら、やっていくことが必要だと思いますので、早急に消費者庁としても、その動きを考えていきたいと思っております。

先ほどいただきました訪問購入の件なのですが、法改正、今度の効果を挙げているという、10分の1に減っているということがあります。それは数値としては、なくなっているわけではないということです。
それで、これに対して、庁としてこういう件数があったわけですけれども、逮捕もあったということで、監視はされていると思うのですけれども、何かこれでの具体的なアクションというのはお考えなのでしょうか。

特には考えておりませんが、この前事業者及び消費者向けのパンフレットを作ったりしておりますので、そういうことで事業者への周知、消費者への周知を徹底していきたいと考えております。
私は昨日青森県に講演に行ったのですけれども、消費生活センターには関連した啓発資料もきちんと置いてあります。各県の消費者行政においても、そうした取組を強化しているようですので、それに合わせて消費者庁としては周知の取り組みを強化していきたいと思います。

法改正のときに、法対象になるものについて、いろいろ議論があったわけですけれども、それが今回の苦情の中にそれは考えるべきだとか、そういう総括的なところについては。

まだ中身までは分析しておりませんが、でも今後行っていきたいと思います。

マスコミにぶった切られていますね。
PIO-NETのキーワード検索は意外に難しく、条件をメモしておかなければ、次に検索したときに違う結果が出てしまいます。
国センがよく直接相談を受けなくなったから現場感覚が分からないと、主張しています。
今回も現場の相談状況を知っていたら10分の1はおかしいと気づいたかもしれません。
だからといって、国センの現場相談が絶対に必要かといえば、そうとは限りません。
今回は集計結果を見るだけだったから起こったのです。
相談カードを毎日100人分づつでも読んでおけば、だいたいの相談状況が分かります。
今回のミスは本当に事務的に処理したためのミスだと思います。
そして、何よりも、この結果が出た瞬間、「法律が施行された効果が出た!」と、データを疑う前に喜んでしまったのではないでしょうか。
だれもがそう思うのは仕方がありませんね。これを教訓に改善を期待しましょう。
そして、統計的には法施行前後で件数は変わらない、となりましたが、質の変化をしっかり調べる必要があります。たとえば、指定品目以外ばかりだとか、特定の事業者ばかりだとか、そのような解析をして始めて、次の施策、法改正や啓発につながっていくのではと思います。

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ヤミ金からの押し貸しの元本返却 その2

前回の続きになります。

このような相談を受けた場合にどう助言したらいいでしょうか

スポーツ新聞の広告でお金を貸してくれる業者に電話して個人情報を教えたところ、契約の了解もしていないのに口座にお金が振り込まれてきた。
法定金利を超えるヤミ金業者のようである。後からトラブルになるのも嫌なので、お金を返却したいが連絡がつかない。
どうしたらよいか?

相談現場でもありがちな事例ですが、みなさんならどのように助言しますか?
ケーススタディとして考えてみてください。

法律の専門家の回答は
「元本も返還する必要がない」
ということになります。

その法律的な解釈は以下のとおりです。

民法・・・http://law.e-gov.go.jp/htmldata/M29/M29HO089.html

第四章 不当利得
(不法原因給付)
第七百八条  不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない。

参考

最高裁判例

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=36427&hanreiKbn=02
平成20年06月10日
判示事項
1 社会の倫理,道徳に反する醜悪な行為に該当する不法行為の被害者が当該醜悪な行為に係る給付を受けて利益を得た場合に,被害者からの損害賠償請求において同利益を損益相殺等の対象として被害者の損害額から控除することの可否
2 いわゆるヤミ金融業者が元利金等の名目で違法に金員を取得する手段として著しく高利の貸付けの形をとって借主に金員を交付し,借主が貸付金に相当する利益を得た場合に,借主からの不法行為に基づく損害賠償請求において同利益を損益相殺等の対象として借主の損害額から控除することは,民法708条の趣旨に反するものとして許されないとされた事例
裁判要旨
1 社会の倫理,道徳に反する醜悪な行為に該当する不法行為の被害者が,これによって損害を被るとともに,当該醜悪な行為に係る給付を受けて利益を得た場合には,同利益については,加害者からの不当利得返還請求が許されないだけでなく,被害者からの不法行為に基づく損害賠償請求において損益相殺ないし損益相殺的な調整の対象として被害者の損害額から控除することも,民法708条の趣旨に反するものとして許されない。
2 いわゆるヤミ金融の組織に属する業者が,借主から元利金等の名目で違法に金員を取得して多大の利益を得る手段として,年利数百%~数千%の著しく高利の貸付けという形をとって借主に金員を交付し,これにより,当該借主が,弁済として交付した金員に相当する損害を被るとともに,上記貸付けとしての金員の交付によって利益を得たという事情の下では,当該借主から上記組織の統括者に対する不法行為に基づく損害賠償請求において同利益を損益相殺ないし損益相殺的な調整の対象として当該借主の損害額から控除することは,民法708条の趣旨に反するものとして許されない。
(1,2につき意見がある。)
参照法条
(1,2につき)民法708条,民法709条 (2につき)出資の受入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律(平成15年法律第136号による改正前のもの)5条2項

国民生活センターHP
トップページ > 相談事例・判例 > 消費者問題の判例集 > ヤミ金融に対する元本相当額を含む弁済金全額の返還が認められた事例[2005年12月:公表]
http://www.kokusen.go.jp/hanrei/data/200512.html
本件は、貸金業法に定めのある登録貸金業者が、出資法5条所定の利率を大幅に上回る年利1200パーセントという超高金利の貸し付けをした事案である。判決は、この貸し付けが、違法行為の手段に過ぎず、民法上の保護に値する財産的価値の移転があったとは評価できないとして、元本相当額を含む弁済額全額の返還を認めた。(札幌高等裁判所平成17年2月23日判決)
『消費者法ニュース』63号38ページ

解説

平成15年度のヤミ金規制法(注)による貸金業規制法の改正により、年利109.5パーセントを超える利息の貸し付けは無効とする旨が定められた。それ以前から、出資法に大幅に違反する高金利で、貸金業規制法に定める契約書面の交付義務、領収書面の交付義務などを守らない悪質な業者による貸し付けについては、不法原因給付であるとか、公序良俗違反であるとして、貸金業者からの返済請求は認めない判決が多数出されていた。また、こうした貸金業者に対して消費者が弁済した金員について、利息相当部分については返還を命ずるのが判決の流れとなっていた。
本件訴訟で問題となったのは、貸金業登録業者でありながら同法に定める契約書面の交付義務、領収書面の交付義務を守らず、年利1200パーセントもの超高金利で貸し付けていた事業者からの過酷な取り立てによって弁済した金額について、その全額について返還を求めた点である。借入元金相当額についてもすべて返還を認めた下級審判決は複数あるが、本件判決は、高等裁判所のレベルで元本相当額も含めた全額について返還を命じた初の判決として参考になる。
「出資法の罰則に明らかに該当する行為については、もはや、金銭消費貸借契約という法律構成をすること自体が相当ではなく、Yが支出した貸金についても、それは貸金に名を借りた違法行為の手段に過ぎず、民法上の保護に値する財産的価値の移転があったと評価することは相当ではない」として、支払ったすべての金額が不法行為による損害であると認定し、さらにYからXに交付された金銭については、実体法上保護に値しないのみならず、訴訟法上の観点から見ても、Yに利益になるように評価することが許されないとする点は、同種の実務においても参考になる。
なお、本判決については、被控訴人より、平成17年3月8日に上告の申し立てがなされている。
注 ヤミ金規制法:「貸金業の規制等に関する法律及び出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部を改正する法律」

要は、ヤミ金のような暴利をむさぼる不法な貸付は、原本をも返済する必要がない、ということです。
もっとも、実務的には、元本と法定利息を超える返済をしている状況であるものの、すべての金額が不法行為による損害なので元本も含む全額の賠償の請求をしていくことになります。

では、今回の事例について考えると、無理やり貸し付けられたお金については、間がないので返済もしていない状態です。
この押し貸しが法定利率を超える違法な給付であるなら、口座に入金された元本を返済する必要がない、ということになります。

すると、今回の事例は、「法律に違反する貸付なので、元本も返す必要がないですよ」ということで終了としていいのでしょうか?
セミナーの司法書士の先生は、「これでよい、文句を言ってきても対抗できる」と主張します。
法律をきっちり準用する法律家らしい視点ですね。

私であれば、そこまで思い切った回答は出せませんね。
実際に、民法708条に該当する「不法原因給付」の適用に本当に該当するのかという疑問も残りますし、その判断は法律相談ということになるかもしれません。

消費者センターは裁判所のように法律に則った判断をするというよりも、相談者のおかれている状況を勘案して、最も適切な対応について助言(あっせん)するところです。
法律家のような判断をすれば、今回の相談者は不安な毎日を過ごさないといけないかもしれません。

そこで、消費者センター的な対応はどうすればいいのかについて、次回、考えたいと思います。

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ヤミ金からの押し貸しの元本返却 その1

このような相談を受けた場合にどう助言したらいいでしょうか

スポーツ新聞の広告でお金を貸してくれる業者に電話して個人情報を教えたところ、契約の了解もしていないのに口座にお金が振り込まれてきた。
法定金利を超えるヤミ金業者のようである。後からトラブルになるのも嫌なので、お金を返却したいが連絡がつかない。
どうしたらよいか?

相談現場でもありがちな事例ですが、みなさんならどのように助言しますか?
ケーススタディとして考えてみてください。

今回、なぜ今更の話を書いたかというと、先日、簿記の専門学校の記事の中で、
「Tには無料のセミナーや講座の1回目の無料体験入学の制度があり、たまたま行政書士講座の民法のセミナーがあったので受講しました。このセミナーは相談現場でも「なるほど」という話がありましたので別の機会に記事を書きたいと思います。」
と書きましたが、そのときにこの話を先生としました。
実は、このセミナーは参加者が私一人だけだったんです。申し込む気もないのに参加して少し後ろめたい気持ちと、一人居心地が悪い気持ちとで複雑でした。まるで家庭教師のようでしたが、先生は司法書士事務所を開いており、せっかくの機会なので、今回の話などを交えて、司法書士事務所の現場の話も聞いてみました。

結論的には、私の考えとは少し異なる考えでした。それはまさしく、先日弁護士の視点について書いたものと同じような違いでした。

相談員であれば、この話は目新しいものではなく、十分知っていると思いますが、そのとおりの対応を選択するかどうかは様々だと思います。

法律の専門家の回答は
「元本も返還する必要がない」
ということになります。

次回の(その2)で法律的な解釈について、(その3)で現場での対応について考えてみたいと思います。

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