消費者情報 2012年7月号 (関西消費者協会)

①インタビュー 「相談現場からの発信に期待」
・特商法の適用対象の拡大を
・さらにマンスリークリア 決済代行業者の規制が必要
・法律の適用が難しい案件でも粘り強く交渉してほしい
→特商法、割販法については最もよく使われる法律だが、規制の対象となるかどうかが微妙な事案がある。特商法にしろ、割販法にしろ、ずばり規制が適用されるものは、被害としてはあまり多くない。多数の被害が起きるのは微妙なケースの方が多い。法律がこうだからダメと考えるのではなく、消費者感覚からみておかしいな、これは不当な契約だな、と思った案件については、がんばって業者と話をする。手に負えない案件については早く弁護士に回す。ただし金額的に小さいことが多いので、なるべく消費生活センターで解決するのが理想
※消費者センターでは法律を厳格に適用することも大切ですが、消費者感覚方見ておかしいことは法律の枠を超えて申し出ることが大切だと思います。それができるのが消費者センターだと思っています。法律にとらわれない柔らか頭を持ちたいですね。

②多重債務キャラバントーク ワタシのミカタ
多重債務問題における都心部・地方都市の差異
・地方独特の状況として、「地縁・血縁が強い」「義理堅さ・恥の意識」がある。
・地方都市では、共同体として「人と人のつながり」が強く結びついている。
・そういう地域では簡単に他人の保証任意なってしまう。
・親の借金を子どもが払わなかったら、もうこの地域では生きていけない。
・恥の意識が強く地元の弁護士には相談しずらく、都心部の悪質相談事務所にひっかかってしまう。
・人と人の結びつきが強いのは良いことだが、デメリットもあり、家族1人のために他の家族が犠牲にならないようにすることが大切だが、なかなかスムーズにいかない。

③判例に学ぶ
最高裁平成23年7月15日以後に更新料の一部無効を認めた判決
京都地裁平成24年2月29日判決
・最高裁平成23年7月15日以後、下級審では更新料の有効を認めるものが続いている。
・更新料の額が高額に過ぎる場合は特段の事情として無効になりうるとしたが、今回の判決では、更新料の額が好学であると結論付けられている
・賃貸により控訴がなされている

勝手に保証人にされていても書面で印鑑等の要件が合致されれば保証人とされる。このような保証人被害が問題。
・平成16年の民法改正により書面要件が規定され、保証契約の認定には慎重な姿勢が求められた。
・判決では単なる書面要件を満たしているだけでなく、保証人が本人であったということが明確であることが必要とされるとした。
※概略をまとめるのが難しかったので、判決文を参照してください。ちなみに判決は1月19日です。

(参考)最高裁平成23年7月15日判決

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=81506&hanreiKbn=02

事件番号:平成22(オ)863
事件名:更新料返還等請求本訴,更新料請求反訴,保証債務履行請求事件
判示事項
1 消費者契約法10条と憲法29条1項
2 賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料の支払を約する条項の消費者契約法10条にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」該当性

裁判要旨
1 消費者契約法10条は,憲法29条1項に違反しない。
2 賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料の支払を約する条項は,更新料の額が賃料の額,賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り,消費者契約法10条にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」には当たらない。

④ネット漂流 Vol.3 「出会い系ってしちゃいけないの?」
・出会い系とは知らずに登録した生徒もいれば、承知の上で援助交際が目的で登録したという生徒もいる。
・この娘たちは、誰からも危険性を教えられたことがないのだ。
・このような生徒に共通するのは幼い頃の家庭環境だ。愛情を感じたことがない。愛されたことがないのだ。
※出会いは今も昔も最初は他人から、ということになります。そこからお互いを知っていくプロセスをとります。
ネットでの出会いも、従来からの出会いも、基本的には同じだと思いますが、大きく違うのは、ネットでの出会いは、「なりすませる」ことにあると思います。
それが未成年者に付け入る隙を与えてしまう。この部分での判断が適切にできるのなら、私はネットでの出会いは否定しません。

リンクはこちらです
関西消費者協会 http://kanshokyo.jp/hp/
消費者情報 2012年7月号

ジャドマニューズ 2012年6月号

「ジャドマニューズ」の最新号・バックナンバーは、HPで閲覧できます。
2012年6月号
http://www.jadma.org/pdf/news/2012_06.pdf
ジャドマニューズ
http://www.jadma.org/jadma_news/index.html

①今月の「通販110番」は2011年度の事業者相談のまとめでした。

消費者相談室長の「通販110番からの一言」を紹介します。

消費者の声に積極的に耳を傾けながら場合によっては毅然とした対応を

例年のとおり、「顧客対応」に関する相談のうち、顧客が一般的なサービスレベルを超えて要求を行った場合の対応方法に関する「規定外返品・返金・その他過剰要求」や、その類似項目である、購入した品物の不具合により損害を被ったため、常識を超えた多額の賠償を求めるなどの「商品二次被害補償(拡大損害)」が圧倒的に多く、当該2項目に関して会員・非会員を合わせると104件、「顧客対応」相談のうち、36.6%を占めました。
消費者が、消費者保護や消費者主権の考え方に基づき、正当な権利として行う要求や主張には、企業として積極的に耳を傾けることが必要です。
しかし、逆に主張内容が「社会通念上、許容される範囲を超えている」、または顧客の言動が「円滑な企業活動を妨げるなどの支障を生じさせており、社会通念上許されるべきものではない」場合は、毅然とした対応が必要になってきます。
ついては、今後も「公平性・透明性の原則」に照らし、実効性のある対応策をともに考えていきたいと思います。

※「過剰要求」、この考え方は消費者センターの現場でも同じです。単純ではありますが、その見極めを正しく判断し説明できることが必要です。

②連載 メディアワクオン 情報リテラシーの備え

第6回「希望」への情報操作

「踏み倒す人」たちが堂々としている理由
ここ数年、生活が苦しい人ではなく、定期収入もあって余裕もあるのに「貧者」を装って、生活保護費を「不正受給」したり、給食費や子どもの保育料、病院の治療費などを踏み倒したりするケースが急増しているのだ。

給食費を滞納している、なんてことが周囲にバレたら子どもがいじめられるし、親としてもカッコ悪いのでなんとか払う。ところが、顔のみえない事務手続きによって「世間体」を気にする必要がなくなった時、「踏み倒す人」へと豹変してしまう

※倫理・モラル・マナー、これらが欠如してしまう社会は終わりですね。社会はお互いに信頼して助け合うことで成り立ってきたというのに残念な時代になってしまいました。相談現場でも、この残念さは見にしみて理解できると思います。
※このシリーズはとても勉強になります。なかなか言えないことをズバリ言ってくれているので、社会の現実を知るのに役に立ちます。ネットで全文を読むことができるのでぜひ読んでください。

社団法人 日本通信販売協会 HP http://www.jadma.org/
会報誌(JADMA NEWS) http://www.jadma.org/jadma_news/index.html

ウェブ版 国民生活 2012年6月号【創刊準備号No.2】

6月15日に6月号が公表されました。「創刊準備号」となっていますが、いつ準備が終わるのか気になっています。
前回も書きましたが、これだけのものを作るのにかなりの経費がかかっていると思うのですが、読者にとってはありがたいことに無料で公開されています。
完全な赤字事業を公に説明できる理屈は考えていると思うのですが、事業仕分けされないのか心配です。

2012年6月号【創刊準備号No.2】(2012年6月15日発行)
http://www.kokusen.go.jp/wko/index.html
【主な目次】
生活知識情報
【事例で学ぶインターネット取引】第1回 オンラインゲーム
【海外ニュース】
相談現場に役立つ情報<相談現場で働く方向け>
【苦情相談】事例1 ミネラル成分の溶出が極めて少ない入浴剤
【苦情相談】事例2 ラジウム温泉と同等の効能をうたった浴用岩石と岩塩
法律知識
【暮らしの判例】建物賃貸借契約における更新料条項を有効とした事例
【暮らしの法律Q&A】マンションの階上の部屋の音がうるさい場合は?
論点
消費者の文化・メンタリティ的側面 一生活者の目から見た海外


生活知識情報
生活の中で役立つ注意情報や知識を紹介します。

事例で学ぶインターネット取引
苦情相談が増え続けているインターネット取引について事例を挙げながら解説します。

第1回 オンラインゲーム[PDF形式](824KB)
【執筆者】原田 由里(一般社団法人ECネットワーク 理事)
ネットを利用して遊ぶオンラインゲーム。中でも携帯電話やスマートフォンで利用するソーシャルゲームは、急激に売り上げを伸ばしている一方、トラブルも増加しています。今回はトラブルの内容と背景、考え方について検討します。

海外ニュース
海外の消費者問題にかかわる情報をいち早くお届けします。

海外ニュース(2012年6月号)[PDF形式](903KB)
[イギリス]スーパーの鶏肉を独自に検査
[アメリカ]運転中の携帯電話使用は危険
[ドイツ]消費者に身近な商品テスト誌
[EU(欧州連合)]日本産食品の輸入規制がますます厳格に

相談現場に役立つ情報 <相談現場で働く方向け>
相談現場で必要な知識、相談解決に役立つ情報をお届けします。

苦情相談
消費生活センターに寄せられた相談をもとに、問題点や解決方法について考えます。

事例1 ミネラル成分の溶出が極めて少ない入浴剤[PDF形式](733KB)
事例2 ラジウム温泉と同等の効能をうたった浴用岩石と岩塩[PDF形式](693KB)
【執筆者】独立行政法人国民生活センター 商品テスト部
入浴剤、浴用岩石と岩塩の表示と成分の問題について、相談解決のためのテストを行った事例を紹介します。

法律知識
判例情報や相談現場などで関心の高い消費者関連法について解説します。

暮らしの判例
消費者問題にかかわる判例を分かりやすく解説します。

建物賃貸借契約における更新料条項を有効とした事例[PDF形式](776KB)
【執筆者】独立行政法人国民生活センター 相談情報部
居住用建物の賃借人が、賃貸借契約における定額補修分担金条項および更新料条項は消費者契約法10条に違反するため無効であるとして、賃貸人に対し、支払い済みの更新料等の返還を請求した事例を紹介します。

暮らしの法律Q&A
暮らしの中の疑問について、法律の専門家が考え方のヒントを紹介します。

マンションの階上の部屋の音がうるさい場合は?[PDF形式](768KB)
【執筆者】山村 行弘(萩谷法律事務所)

イチオシ!国民生活センター発表情報

今度は“カンボジアの土地使用権”!依然続く劇場型勧誘-「リゾート地」「農地」の投資話にご用心-(2012年5月24日公表)

論点

消費者の文化・メンタリティ的側面 一生活者の目から見た海外[PDF形式](951KB)
【執筆者】古畑 欣也(独立行政法人国民生活センター 理事)


次号予告
『国民生活』7月号(創刊準備号No.3)は、2012年7月17日(火曜)に掲載します!
7月号から連載「相談周辺の基礎知識」が始まります。7~9月号では「美容医療」をテーマに、目、鼻、顔、アンチエイジング、体などに対する具体的な手術方法や問題点について取り上げます。

気になる記事を取り上げたいと思います。

①事例で学ぶインターネット取引
第1回 オンラインゲーム
おなじみのECネットワーク原田さんの記事です。
内容は一般的なもので物足りなさを感じますが、その理由は簡単で、ゲームの実名を出せないということです。出せないだけに、一般的な言葉で表現するしかなく抽象的になってしまうのは仕方がないですね。
原田さんの話は聴いたことがあるので、おそらく「グリーのドリランド」ではと勝手に思っています。実は私もドリランドをやっていたので、機会があればドリランドを具体的に説明したいと思います。

ソーシャルゲームは、基本的に無料でゲームをすることができ、そのままでもゲームを進めることができますが、強くなるレアなアイテムや時間短縮するためのアイテムなどは有料となります。有料でゲームする人を課金プレイヤーといい、いかに課金プレイヤーを増やすかがゲーム会社の最大のミッションになるわけです。

今回の記事では、「コンプガチャ、未成年者が勝手に親のクレジットカードを使用、不正利用による強制退会」の3事例を紹介しています。どれも、よくある相談の基本になるので、しっかり理解しておいてください。

②暮らしの判例
建物賃貸借契約における更新料条項を有効とした事例

 本件は、居住用建物の賃借人が、賃貸借契約における定額補修分担金条項および更新料条項は消費者契約法10条に違反するため無効であるとして、賃貸人に対し、支払い済みの更新料等の返還を請求した事案である。
裁判所は、賃貸借契約書に一義的かつ具体的に記載された更新料条項は、更新料の額が賃料の額、賃貸借契約が更新される期間等に照らし高額過ぎるなどの特段の事情がない限り、消費者契約法10条の後段要件(「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」)に該当しないとし、本件では、上記特段の事情が存するとはいえないとして、賃借人の請求を認めなかった。(最高裁平成23年7月15日判決、『判例時報』2135号38ページ)

更新料条項の消費者契約法違反について、今まで数々の下級審の判断がなされましたが、初の最高裁判決です。
消費者行政の歴史の中でも重要な判例になるのでしっかり読んで理解しておきましょう。

③暮らしの法律Q&A
マンションの真上の部屋の住人の足音やドアを開け閉めするときの音がうるさくて困っています。直接、苦情を言うのは気まずいのですが、どうすればよいのでしょう。
・管理会社や家主に連絡すると、苦情を訴えた人を明かさずに注意を促してくれるのが一般的
・管理会社や家主が騒音問題に対応してくれるとは限らず、「多少の騒音は当たり前」などとうやむやにされることもある
・裁判所に騒音防止の仮処分の申立てをしたり、不法行為に基づいて慰謝料を請求する
・騒音による損害賠償請求が認容された事例(東京地判平成19.10.3)等がありる。この場合、あらかじめ騒音計で騒音を計測しておくことが重要。騒音計は区役所などで借りることができる
※消費者センターにもこの種の相談があります。近隣の住民とのもめごとは消費者センターの範囲外の場合が多いです。助言のパターンとしては、管理組合や家主に相談するということになりますが、もっと突っ込んだ場合は法律相談になります。また、同じマンションではなく一戸建てで周りに迷惑をかけている場合は自治体のまちづくり部門や警察への相談もあります。人間対人間のマナー的な問題はお互いの価値観の違いとご近所の付き合いの希薄化から解決が困難になっています。行政が解決してくれて当たり前と考える消費者も少なくないので、怒りをセンターの対応の悪さに転化される場合もありますので、言葉づかいや表現には注意が必要です。