ジャドマニューズ 2012年10月号

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2012年10月号
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ジャドマニューズ
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以下は前回私が書いたコメントです。メーカーと消費者および消費者センターとの意識のGAPは必ず存在していることを前提として、Q&Aの対応が必ずしもセンター的には正しいとは限らないことを頭に入れておいてください。

ジャドマニューズの事例は本当に相談現場と同じような内容です。ただ、JADMAは業界団体なのでメーカー寄りの考え方になっており、確かに正論に近い といえますが、実際の相談現場では消費者寄りの対応になるので、正論は正論だが、あっせん解決を目指す方向になると思うので、若干違ってくるものはあると 思います。
一番大切なのは、人と人とのコミュニケーションであり、それがお互いによい関係だと、正論は正論として、メーカーは相談者の満足度に答える回答にもつながると思います。この考え方は、相談員と相談者と事業者の関係にも共通しています。

①通販110番
消費者相談編
消費者の視点で考えてみると...

消費者と通販会社の間で、認識の違いから苦情となるケースがあります。今回はそのような事例を取り上げてみました。
事例1 返品と交換は別の対応ではないのか?
・ネット通販でセール品を購入したがサイズ交換を申し出たところ「セール品は返品不可と表示しているとおり、返品も交換もできません」と断られた。しかし、ホームページには「返品不可」と表示はあったが、「交換不可」とはなかった。
→同様の苦情もあり、「返品不可」「交換不可」とわかりやすく表示することになった
事例2 外箱を開けただけで開封済と言われるのは納得できない
・。外箱開封後に事情があり返品を申し出たところ、『開封済のため、返品は受けられない』と断られた。返品条件に『未開封・未使用であれば返品可能』と表示されていたため、商品の外装ビニールが未開封であれば、返品できると思っていた。しかし、断られたので仕方なく使用することにしたが、納得がいかない」とのことだった。
→、「今後、消費者が、『外箱を開けた時点で返品不可』とわかるよう、広告表示やオペレーターのフォロー体制を改善してほしい」と伝えたところ、了解が得られた。
通販110番より
消費者側の感覚と隔たりがないかどうか、会社は取引条件や説明方法について絶えず見直しを
・会社側と消費者側の考え方にずれがあることが原因となりました。寄せられた声からは、消費者が会社側との考え方の違いに戸惑う様子が伺えます。会社側が消費者との認識のずれを真摯に受け止めたことで、結果として、取引条件がよりわかりやすくなることにつながりました。

※確かに未開封や未使用というのは難しい問題ですね。開封してみなければ分からないというのもあります。最終的にはメーカーが消費者の気持ちを汲み取って柔軟な対応をすることがお客様目線につながるのではないかと思います。それは決して消費者の言いなりになるということではなく、本当は返品という事態にならずにその商品を使いたかったという目的を理解すれば分かると思います。その対応で今後も当該メーカーを使い続けてくれるかどうかにつながると思います。

事業者相談編
原産国表示について

壁に飾る掛け軸の原産国はどのように考えればよいか。布にはA国と書いてあるが、飾るための棒を取り付けたのはB国である。また、原産国をカタログに記載しなければならないのか。
→ 一番ポイントとなるのは、「実質的な変更をもたらす行為が行われた国」が原産国となる。途中段階の加工地や部品の原産国等も併記してわかりやすく親切な表示を。
・景表法の相談は 03-5651-1139まで(平日10:00~12:00/13:00~17:00)
●「商品の原産国に関する不当な表示」の運用基準について
http://www.caa.go.jp/representation/pdf/100121premiums_26.pdf 参照
●「商品の原産国に関する不当な表示」の原産国の定義に関する運用細則
http://www.caa.go.jp/representation/pdf/100121premiums_27.pdf 参照
●「商品の原産国に関する不当な表示」の衣料品に関する運用細則
http://www.caa.go.jp/representation/pdf/100121premiums_28.pdf 参照

※法律をしっかり知って守ることが適切な表示につながると思います。

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ジャドマニューズ 2012年9月号

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①通販110番
消費者相談編
商品到着前なのにキャンセル に応じてもらえない!

通信販売では、商品の申込みから実際に商品が手元に届くまでにタイムラグが生じるため、その間に、何らかの事情により、消費者がキャンセルを希望することがあります。今回は、キャンセルを希望しても応じてもらえなかったという事例を紹介します。
事例1 予約注文したが、入荷前なのでキャンセルしたい!
・注文後、急に入院するためお金が必要になりキャンセルを申し出たが予約注文なので受けれないと断られた。
→予約注文成立後のキャンセルは難しく、事情を伝えお願いすると助言
事例2 キャンセルに関する表示がないので、キャンセルできるはずだ!
・キャンセルに関する記載が見つからず、キャンセル可能な時間を過ぎてしまい、商品到着後返品してほしいといわれた
→キャンセルに関する記載があったので相談者は渋々納得したが、その表示は分かりにくかった。改善するとのこと。
通販110番より
会社はキャンセルに関する表示を明確にし、消費者は自身の契約に責任を持つこと
・ 昨今、「注文後にショップの評判を確認したら、良くなかったから」「他店で同じ商品を安く販売していたから」といった安易な理由で、キャンセルを主張する消費者が増えています。消費者には自身の契約に責任を持つ姿勢が求められます。

※ジャドマニューズの事例は本当に相談現場と同じような内容です。ただ、JADMAは業界団体なのでメーカー寄りの考え方になっており、確かに正論に近いといえますが、実際の相談現場では消費者よりの対応になるので、正論は正論だが、あっせん解決を目指す方向になると思うので、若干違ってくるものはあると思います。
一番大切なのは、人と人とのコミュニケーションであり、それがお互いによい関係だと、正論は正論として、メーカーは相談者の満足度に答える回答にもつながると思います。この考え方は、相談員と相談者と事業者の関係にも共通しています。

事業者相談編
制限行為能力者への対応

注文者の家族から、注文者が「認知症」であることを理由に、返品や解約を要求されるケースがあります。注文者の家族はもちろん、事業者としても悩ましい問題ですが、どのように対処したら良いでしょうか。
→事業者は可能な範囲の対応を消費者は成年後見制度を利用してトラブル予防を
・申込者が契約時に成年被後見人などの審判を受けていなかった場合に、契約時に意思能力がなかったことを証明するのは極めて困難であるため、法的な契約の取り消しが難しいということになります。
だからといって、事業者は対応しなくてもよいというわけではなく、家族の訴えを十分聞き取ったうえで、可能な範囲で慎重かつ適切に、現実的な対応をしていくほかはありません。
・ なお、昨今の風潮として、「返品不可」とうたわれているにもかかわらず、申し込んだ商品を強制的に返品として受けさせることを目的に、安易に「未成年者」「認知症」を主張する消費者も存在します。この場合、消費者は契約責任というものの意味を十分理解し、契約関係の当事者として、責任ある行動をとることが必要
です。

※認知症や未成年者の契約トラブルは解決が難しい部類に入ります。あっせんもなかなか上手くいかない場合が少なくありません。今回の記事には法的な解釈も説明されているので、ぜひ読んでください。

※消費者相談と事業者相談の両方ともコメントとして、制度を悪用する消費者が増えているとあります。確かにそういう消費者もいると思いますが、実際は例外的な割合だと思います。最初から色眼鏡で見ないことが大切ではないかと思います。

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ジャドマニューズ 2012年7・8月号

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①リレーコラム
[第13回]日頃思うこと― 日本の常識
我々の常識が、いつも正しいわけではない
・海外に行ったときの経験から、「日本の常識」について考える場面があった。
・「うまくいけばそのまま」「うまくいかなかったら変えればいい」というやり方は、最初は危なっかしく見えても、よくよく考えてみると実はとても「合理的な考え方」です。
・我々が「常識」として信じていることが、必ずしもいつも正しいわけではありません。同じようなことがビジネスの世界でも普通に起きているように思えます。
・「今までの常識をもう一度見直さないといけない」とは思うものの、そもそも疑うべき常識がどれなのかよくわからないことが、常識の常識たる所以でもありますが…。
※相談現場でも常識に基づいて判断することが多いですが、このコラムのように、そもそも常識がどれなのかわからなくなることがしばしばありますね。

②特集「商品テスト部」ってどんなところ?-国民生活センターを訪ねて-
・国民生活センターとは
・家庭用健康器具による危害等について
・放射線測定器ほか問題のある商品
・通販会社JADMAへの要望
※国民生活センターの業務やテストの現場が紹介されています。私たちにはなじみのある国センですが、通販会社にとっては、その現場を知る機会はなかなかないかもしれません。業界誌に紹介されたというのが意義のあることですね。
最後に、『私達はもちろん消費者の味方ですが、メーカーにとって「敵」ではありません。今後も、消費者と一緒になって良い生活を築いていくための情報提供をしていくと位置づけておりますし、事業者のみなさんも是非そういう風に私達を捉えていただきたいなと思います。』と締めくくられています。
一部の悪質業者を除き、消費者センターにとって、事業者は敵ではありません。消費者センターだからといって、上から目線で見たり、良くない行為を即「悪」と決め付けるのではなく、裁判所ではないのですから、お互いが共存できる存在であり続けることが大切ではないかと思います。

③通販110番
消費者相談編
会社はどこまで対応すべきか?

相談者から、「会社は当然○○してくれると思った」という言葉を耳にすることがあります。
それは、消費者の過剰な要求なのか? それとも会社の対応に問題があるのか?
明確なルールがない場合、解釈にも温度差が出ます。
事例1 備考欄に記載した内容には個々に対応してくれると思っていた
事例2 登録済みカードの有効期限切れで、キャンセルされるとは思わなかった
事例3 メールアドレスを間違えても、会社から電話連絡があると思っていた
→会社への期待が大きい消費者
各社可能な範囲で彼らの要望に応えてほしい
今回紹介した相談者たちは、自身に非があることを認めており、注文する側の責任も認識していましたが、それ以上に会社への期待が大きかったようです。

※相談現場でも同様の事例が少なくありません。建前的には事業者はルールに基づいた対応をしているので問題はありませんし、消費者自身の過失も少なからず存在します。消費者の怒りの矛先をどうすればいいのかという問題にもなりますね。結局、消費者が苦情を申し出る時点でかなり感情的になってしまったことがお互い引くに引けない状況を生み出していることがあります。過失があると思っていてもケンカをしてしまったために認めたくない消費者、消費者の気持ちを汲んで謝罪したいけれど過失を認めることになりたくない事業者。このような場合は、消費者センターが間に入ってクッションとなり、多少ニュアンスが違っても上手に伝えて、お互いの気持ちをおさめてあげるという役割をするのが最適かなと思います。(説得のコミュニケーションの技術の一つですね)

事業者相談編
二重価格表示とクーポン券の提供について

事例1 過去数年間販売してきた商品を、来月から数カ月間「通常販売価格いくら、セール価格いくら」というように二重価格表示により割引販売したいが、問題となるか
事例2 商品を購入した方に対し、次回以降当社の商品を購入する際の1,000円の割引クーポンを付けて販売したいが、値引きと考えてよいか。
→景表法やガイドラインのとおり。事例1は通常価格の実績があるかどうか、事例2は値引きとなります。

※基本的な法律解釈の問題ですね。

④連載 メディアワクオン 情報リテラシーの備え

第7回 伝えないのも自由

「報道の自由」、という言葉がある。
民主主義の根幹であり、権力が暴走しないよう監視するために必要なものだ、なんて学校で習ったかもしれない。
だが、著者によると、多くの人がこの言葉の真意を理解していないという。
この言葉が本当に伝えていることがわかれば、ニュースを見る目が変わるというのだが…。
・「100万円を預けると1年9万の利子がつきます」
・報道された時はすでにおばあさんも被害者に
・1号機の水素爆発を1時間報じなかった理由

「報道の自由」という言葉がある。多くの人がはき違えているが、あれはなにも権利を述べたものではない。「報じるのも、報じないのも我々の自由ですよ」ということを、念押ししているのだ。
この言葉の意味がわかれば、毎日のニュースで、なぜ各局似たような内容になっているのかもきっとご理解いただけるはずだ。

※エルアンドジーのマルチ商法が明らかになってもマスコミはとりあげず、事件として警察が取り上げたのは9ヵ月後で被害が拡大していた。筆者の気持ちはよく分かります。悪質商法の情報が寄せられる最前線である相談現場では明らかに詐欺であっても警察や国が詐欺と認めて公になるのには時間がかかりますし、消費者自身も詐欺にあっているとは認めたがりません。エビの養殖事件も何年放置していたのだという思いです。最近はネットでも情報は拡散していますが、それでも、本丸は動かずに被害者は増えていく。やるせないですね。

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