月刊 国民生活 2011年11月号

①特集 オンラインゲーム
私もオンラインゲームに関して書こうと思っていたので楽しみにしていました。
どこまで突っ込んだ話があるのかなあと思ってましたが一般向けの解説でしたね。
5人の先生が別々に記事を書いているので仕方がないですが、原田先生の解説はさすがに玄人向けで面白かったです。
今月号はしっかり読んでおいてください。私も、もう少し突っ込んだゲームに関することを近々書く予定にしています。

特集1 オンラインゲームの現状
・ゲームの歴史や国内の現状、問題点について解説しています。
・RMTなどの用語も解説されています

特集2 オンラインゲームををめぐる相談等の概要
・PIO-NETから事例の紹介です。
※まさしく全国共通の相談内容ですね。相談内容だけで対応結果がないのが残念です。

特集3 オンラインゲームに係るトラブル対応
・事例1でいきなり難しい言葉が出てきたのでマニアックだなあと思ってたら、わざとだったんですね。
・アカウント停止、アイテムの消滅、強制退会、とまさしく代表例が紹介されています。
※解説にもあるとおり、「相談者が、そもそも何を言っているのか理解できないかもしれない」、というのが相談を難しくさせています。それは相談内容の共通理解ができていないだけでなく、「このやるせない心情を理解することころから相談は始まる」というとおり、相談者とのコミュニケーションのギャップが相談員への不満となり積み重なるからです。ある程度は相談員も知識を持っておくべきだと思います。といっても、実践者でない限り、学ぶ方法がないのが現実ですね。

特集4 ゲーム業界の対策と課題
・オンラインゲームでのトラブルについて解説しています。
※IDやパスワードのユーザー情報の漏洩は友達や知り合いが犯人というケースが最も多いというのは、やっぱりなと思います。

特集5 ふえるゲーム依存症
・ゲーム依存症について解説されています。また、なぜ依存状態になるのかという理由もいくつかの実例があげられています。
※廃人にはなりたくないですね。でも、そうなってしまう気持ちはよくわかります。

②チェックチェック! 苦情相談
「特定継続的役務提供の中途解約に応じない学習塾」
・難関大学の受験英語を教える専門塾に高校1年の娘が年間授業料一括払いで受講した
・体調が悪くなり7月で退塾したが、未受講分の返金は一切できないといわれた
・特定商取引法の特定継続的役務提供の学習塾に該当すると思われ、書面不備でクーリングオフも可能だったが、相談者は3ヶ月受講しているので、クーリングオフではなく中途解約を希望した
・塾は弁護士から特定商取引法の適用は受けないといわれているという
・その後、返金に応じるとしたが割引前単価で計算していたので、契約締結時の単価で清算するよう要求し、請求額どおりの返金があった。
※法律の対象になるかならないかという根本的な問題で事業者に誤りがある場合、間違いなく勝てるので対応としては簡単です。ただし、相手がなかなか応じてこない場合があるので粘りが必要です。このように明らかに違反が認められる場合は、消費者センターという名のプレッシャーをうまく活用すればいいと思います。

③ホッとティータイム
土地がないのに家が建つ?
・いつも相談現場の最前線のひとりごとを楽しみにしています。外資系のパソコンの事業者の話が出ていますが、顧客対応担当は日本語がよく分からず、なかなか解決が難しい、という書き方で、すぐに事業者がわかってしまうのは職業病でしょうか。あのメーカーも昔にくれべれば随分ましになりましたが、外資特有の交渉のツボをおさえておくことが重要ですね。

④国民生活センターの在り方の見直しに係るタスクフォース取りまとめ
・HPだけではなく雑誌にも掲載するとはなかなかやりますね。しかし、本当の問題点というのは結局最後まで表に出ないまま終わるんだろうなあと思います。

ジャドマニューズ 2011年9月号

「ジャドマニューズ」の最新号は、HPで電子書籍として閲覧できます。
http://www.jadma.org/jadma_news/index.html

9月号の「通販110番」の記事から一部紹介し、コメントします。

通販110番消費者相談編
「購入した商品が広告通りではなく、返品したい!」

事例1「食器が立てかけられないので使いたくない!」
・カゴの溝が浅くて食器によっては立てかけられなかったことをテレビの案内とは違うとして返品要求したが、取扱説明書どおりに使用できるといわれ返品を断られた。
・食器は乾くので不良品ではないが、立てかけられないことは広告どおりの商品ではなく、返品できず泣き寝入りするしかないのか。
→食器によっては立てかけられないのは常識として分かるのでは。立てかけられなくても乾くのなら商品として問題なく、返品を認めてもらうのは難しいと説明し、渋々了解した。

事例2「布団がシワシワですぐに使えない!」
・通販で「その日に使えます」とあったのに、布団が収納袋に押しつぶされた状態で入っていたのでシワシワでその日のうちに使えると思えない。
・返品を申し出たが、不良品以外は返品交換を受け付けていない。シワがあっても使用できる、干せばシワは伸びる。梱包によるシワは不具合ではないので返品を断られた。シワを理由に返品できないか。
→寝具類の配送は通常折りたたまれて収納袋などに入れられて届く。一般的に折りたためばある程度のシワはできる。商品が良品であればシワを理由に返品は難しいと助言。

「知識不足や思い込みによる苦情には社会通念を踏まえた助言を」と締めています。

※でました、伝家の宝刀「泣き寝入り」。両事例とも、一般常識とは何かを考えさせられます。相談窓口では私たちも事業者も苦慮する事例が増えましたね。

通販110番事業者相談編
購入後数年経た商品の苦情対応方法

事例「2年前販売した商品への補償、どこまで対応するべきか?」
・桐製の大型チェスト。販売時に棚板の一部に腐食の痛みがあり、返品交換を行うつもりだったが顧客の強い要望で棚板だけの交換を実施。
・2年後チェストに「キクイムシ」の発生がみられたが2年経過しているので原因特定は困難とみられた。しかし、顧客の気持ちに配慮し返金処理を伝えた。
・顧客は、チェストに収納していた100点のクリーニング代、手間ひま、将来への補償も求めてきた。
→原因特定が難しいケースでは2年前の販売であり全額返金すら行わない選択肢もあり、全額返金以上の対応は必要ないと考えられる。ただ、販売当時の状況を考慮すると防虫加工が不十分だった可能性があれば一部の補償への配慮はあっても良いと思う。

「消費者には専門業者に相談する等の賢い行動を、事業者には長期間使用可能な商品提供を」と締めています。

※これは難しいですね。原因が特定できないとはいえ、販売当時の状況を考えると限りなく怪しいです。それと、顧客の当時の交換しなかった強い要望との兼ね合いですね。ただし、業者は当時、交換しないという判断をして、リスクのある商品を回収しなかったという責任はあると思います。強引にでも交換しておいたほうが良かったのでは、もしくは値引きした上で念書のようなものをとっておくなど何らかの対応をしておくべきだったのではと思います。そういう時代です。

社団法人 日本通信販売協会 HP http://www.jadma.org/
会報誌(JADMA NEWS) http://www.jadma.org/jadma_news/index.html

消費者情報 2011年10月号 (関西消費者協会)

ページの少ない情報誌だけに、内容に個人的な好みの差が出てしまいます。
特集が好みでなければ注目記事があまりなくなってしまいます。
正直言って、この雑誌も、内輪で記事を買いまわしているだけでなく、もっとコンセプトをしっかりしなければ、月刊消費者や月刊国民生活と同じようになるのも時間の問題かもしれません。応援しています。がんばってください。

①現場からの情報 【相談】「光熱費を節約、災害時の復興も早い」と勧められたオール電化契約

・オール電化で契約した商品の一部の入荷が遅れるのにローンの支払いが始まってしまうので不安である
・ローン会社での勧誘方法の確認がまだ行われていなかったためにローン契約は成立しておらずキャンセル処理され原状回復された。
※オール電化や太陽光発電、ガス発電などエネルギー関連商品は注目を浴びています。
一番の問題点は、商品自体は性能もよく問題がないことが多いのに対して、販売方法や価格、工事に問題があり、後にトラブルとなることです。メーカーにとっては、よい製品だけに、販売方法でトラブルになるのは残念だろうと思います。しかし、最近、大手家電量販店での取扱いが増えてきたことにより、訪販中心の販売方法からの転換が見込まれ新しい風が吹いているように感じます。販売方法の変化に注目です。

②判例に学ぶ
賃貸借契約における更新料条項が消費者契約法10条に違反しないとした事例
最高裁平成23年7月15日判決
・敷引特約が原則として消費者契約法10条に違反しない旨の判決に続き、今回は更新料条項についても、原則として消費者契約法10条に違反しないとの判決が出された。
・判決では更新料の性質を説明し、賃借人と賃貸人との間に情報の質、量、交渉力に看過し得ないほどの格差が存すると見ることはできないとしたうえで、更新料の額が高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り、「消費者の利益を一方的に害するもの」には当たらないと結論づけた。
※各方面では大いに疑問のある判決だと評価しています。みなさまはどう思いますか。消費者サイド、相談員サイド、事業者サイドの立場を客観的に考えて評価することはできるでしょうか。単純に「おかしい判決である」と考えるだけでなく、法律を判断する最高峰の最高裁がなぜそう判断したのか、一般常識的には同種事例と比べてどうなのか、などを考えてほしいと思います。
※例えば、携帯電話の2年縛り、大学の入学金返還、これらと本質的には似ているような気がします。ただし、今回の判決では更新料の額が高額すぎるのはどれぐらいなのかというのがきちんと示されていないのは解釈するに当たり迷走する原因だと思います。
※本件は注目の裁判だっただけにご存知だと思いますが、詳しくは様々な雑誌や新聞などで解説されており、9月号でも掲載されていたので参照してください。

最高裁HPの判例
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110715143324.pdf

③誌上レッスン3 小論文に強くなろう窶・I
今回の論文添削は、個人的には合格点の論文だと思います。満点を目指す上積みの視点(少し揚げ足取りのような気もしますが)で添削されています。

リンクはこちらです
関西消費者協会 http://kanshokyo.jp/hp/
消費者情報 2011年10月号