消費者情報 2011年12月号 (関西消費者協会)

①特集「消費者教育のススメ」

「社会を変える私になる」消費者教育
私の考える消費者教育
相談現場の消費者教育
社会全体の連携が不可欠
幼い頃から生きる力を
「消費者教育推進会議の中間整理」から考える日本の消費者教育
消費者教育の現場では
【中学校】中学校技術・家庭科における消費者教育の授業づくり
【中学校】「消費税アップ」と「TPP参加」の是非を問う
【高等学校】「高校生による消費者教育」―ポスター展示啓発活動
【大学】はじまりは消費者であることの自覚から
【出前講座】対象者に合わせた消費者教育の推進
【地域での啓発】見て楽しく、わかりやすく―地域の啓発活動のかたち
「消費者教育推進法」制定に向けて
スペインでみた消費者教育の現場から

※今月号は消費者教育に関する多種多様な取り組みや考え方が特集されています。
消費者教育や啓発にはかなりの努力が注がれています。にもかかわらず、消費者被害が減っていないのが現状です。昔と違い、現代は情報があふれています。必要な情報はネットで簡単に知ることができます。私は、消費者問題への無知・無関心が問題ではないかと思っています。関心を持つことが一番大切です。関心を持てば真実を知りたい気持ちになり、積極的な行動に移せます。学校などで消費者問題に関心を持たせるような教育や啓発をしてほしいと思います。

②多重債務キャラバントーク ワタシのミカタ
「相続放棄手続を周知することの重要性」
・相続を発端に多重債務になってしまうケースが非常に多い
・原因として、(1)債務も相続の対象であることを知らない、(2)相続放棄の申述は家庭裁判所で行う必要があることを知らない、の2つに分類される。
・仙台から相続してしまった債務を支払えなくて破産せざるをえない相談者が数多くいる
・相続放棄手続に関して正確な知識を普及啓発していくことが重要
※そのとおりです。借金の相続放棄は可能であることは知っていますが、この世界にいなければ知らなかったと思います。さらに、その先の手続はあまり知られていないのではないでしょうか。手続は3ヶ月以内です。多重債務啓発のすき間案件かもしれませんね。啓発の必要性を再認識しました。
【参考】裁判所HP
相続の放棄の申述
http://www.courts.go.jp/saiban/syurui/kazi/kazi_06_13.html

リンクはこちらです
関西消費者協会 http://kanshokyo.jp/hp/
消費者情報 2011年12月号

月刊 国民生活 2011年12月号

①特集 震災から学ぶ そのとき起こる消費生活トラブル
・震災と消費生活トラブル-「東日本大震災」で寄せられた消費生活相談情報-
・「震災に関連する悪質商法110番」-被災地の消費生活相談の傾向-
・住居をめぐるトラブル
 (1)住宅の損壊・修繕
 (2)不動産賃借・住宅ローン
・損害保険における相談と注意点
※震災に関する情報はみなさまも十分にご存知だと思います。
被災地の復興と被災者の支援については国をあげて取り組んでいかなければならないというのは共通の認識だと思います。ただし、気になることがあるのでコメントしておきます。
復興のためには税金が投入されます。その中でも個人の住宅ローン、いわゆる二重ローン問題を解消するために債務免除を受ける仕組みが作られます。債務の免除は銀行がすべて放棄するのであれば銀行の不良債権のような扱いになると思いますが、そこに税金が投入されるとなると不公平感が出てくるのではないかと思います。つまり、個人の借金の返済を国民が納める税金から出されていることになるということです。私は自分が納めた税金で被災者や被災地を支援することには賛成ですが、被災地や被災者は国が支援して当たり前だというのではなく、国が支援すること=国民全員が支援していることを認識しておいてほしいのです。日本は赤字大国になっています。税金は広く国民のために活用しなければならない厳しい現状の中で被災地にかなりの税金を投入することは日本の将来に大きな影響を及ぼします。感情論としては復興を支援すべきですが、税金投入という事実を考えるとこれでいいのだろうかと思ってしまいます。阪神大震災の影響で兵庫県や神戸市は今もなお苦しんでいるようです。この先の被災地や日本を考えると非常に不安を感じます。地方消費者行政への金銭的な支援も継続は難しいと思いますし、基金の一部を放射能の検査機器の購入に回すなどの影響も受けています。税金の使われ方に無関心な国民にもっと関心を向けてほしいですね(そういう意味でも事業仕分けは結果は別として、税金の使われ方に関心を持ってもらうという効果があったと思います)。

②誌上法学講座 消費者契約法
※今月号から消費者契約法についてのシリーズが始まります。
法律の解説を読むのは集中力が必要でしんどいですが、いまいちど基本に立ち帰り勉強してみることも大切です。

③事例で学ぶインターネット取引
ネット通販と返品
・苦情の多いインターネット取引について事例を挙げながら、ECネットワークの原田さんが4回にわたり解説します。
※相談現場でネット取引に関する相談を受けるときに大切なことは、どんな取引が行われたのかを相談員自身が理解することです。特に電話相談では相談者がどんな取引をしてどんなトラブルがあってどうしてほしいのかをうまく伝えることができません。相談員として上手く聞きだして整理し理解していれば、その時点で解決の道筋が見えてくるのではないかと思います。ただし、この理解するというのが大変な作業ですけどね。

消費者情報 2011年11月号 (関西消費者協会)

①特集 子どもと女性の貧困問題
特集1 拡大する貧困と生活保護の動向 貧困の連鎖から希望の連鎖へ
特集2 女は貧乏に生まれない 女を生きて貧乏になるのだ長く生きれば生きるほど
特集3 教育現場から見た「子どもの貧困」
特集4 母子家庭の仕事と暮らし 貧困と偏見のなかで
特集5 不平等社会と消費者問題
特集6 いま求められる社会的包摂の精神 震災復興と貧困の現場
特集7 「社会保障・税一体改革成案」で国民生活はどうなる?
特集8 社会保障制度関連年表窶披€鐀 50年のあゆみ
・貧困問題の中でも子どもと女性にターゲットを絞った特集です。切実な内容です。現実を良く知ることが出来ます。
※貧困問題は消費者問題の枠を超えて社会問題となっています。正直言ってコメントしにくいです。問題が単なる金銭的なものであるばかりでなく、離婚や虐待やDVなど人間性に関わってくるものが根底になっているからです。予算措置は切っても切れないものです。一方、それは税金から支出されるものです。今の借金まみれの日本でそう簡単に予算措置はかないません。増税が必要と分かっていても、社会全体は増税には消極的です。日本の国自体も貧困問題を抱えています。本気になって社会全体で弱者を支えるという機運が生まれればいいのですが、昭和40年ごろの高度成長期と違い、人間関係がぎすぎすしています。思いやりの心が失われています。そんな中で、相談員は行政に存在し、行政的なルートで救済する道を助言してあげることができます。消費者センターの管轄ではない場合もありますが、やっとつかんでくれたわらを切ることなく、少なくともパイプ役としての役割を果たすべきだと思います。
※私の学生時代の友人もDVで離婚しましたが、十分な慰謝料も養育費ももらえず、子どもも精神的な問題を抱え苦しんでいます。私の紹介で結婚したようなものなので責任を感じます。とにかく、弁護士に相談して、裁判をしてでも金銭的なけじめをつけるように助言しています。

②判例に学ぶ
「順位式方式」による預貯金債権の差押の申立を違法とした最高裁決定
最高裁平成23年9月20日判決
・最初に判決と強制執行の一般論について解説しています。
・裁判で勝訴し、相手方が賠償金を支払わない場合は強制執行ができます。しかし、悪質業者の資産の状況は分からず判決も無視します。被害者に勝訴判決が出たにもかかわらず被害回復ができない仕組みになってしまっています。
・被害金を銀行から差し押さえるために「順位式方式」というのがあり、下級裁判例では認められてきたのに、今回の最高裁判決で違法とされました。被害者救済や法秩序維持の視点は全くないと批判しています。
※「順位式方式」というのを始めて聞きました。悪質業者は徹底的に厳罰に下すべきだと思います。しかし、現実と理想にギャップがあり、地団駄を踏むばかりです。

最高裁HPの判例
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110926100210.pdf

リンクはこちらです
関西消費者協会 http://kanshokyo.jp/hp/
消費者情報 2011年11月号