月刊 国民生活 2011年10月号

①特集「消費生活相談とメンタルヘルス」
特集2 心の問題を抱えた人への相談対応
・困った相談に対応する場合の基本姿勢
・相談員としての感性が必要
・相談者にあった話し方をする
・自尊心を損なうことがないように丁寧に対応し、分かりやすい言葉、言葉の速さや声の高さ、声の調子などに気をつける必要がある
・相談者と信頼関係をつくる
・消費生活相談員は苦情を受け付けるプロである。覚悟を決めて対応しよう。
※最近、非常に多い問題です。
心がやんでいる内向的なタイプとクレーマー的な攻撃的なタイプ。
現場では上手に対応できる相談員とできない相談員が比較的はっきりわかります。
要は相談員の持っている人間性(正確や完成など)によるものだと思います。
苦手な相談員は、しっかり意識して対応するように心がけてください。
わずか2ページの記事ですが非常にいい内容です。
永久保存版にしてください。
しっかり読み込み、自分のものとしてください。
私も別の機会に、もっと深く掘り下げて説明したいと思います。

特集3 消費生活相談員の仕事とメンタルヘルス
表題とは裏腹に哲学的な内容になっています。
まず、前半に、相談員が困った相談者から受ける過激な言葉が紹介されています。
現場におられる相談員は「同じだ」と思うでしょうね。
ただし、私は、「税金泥棒」や「クビにする」はありますが、「東京湾」や「ホームの端」などのあちら系の言葉は受けたことはありません。
後半は長く相談の仕事を続けていくために役立ちそうなライフスタイルが紹介されています。
ちょっとタイトルから連想する記事の中身が少し違いますね

②暮らし注意報
「高速バス」のトラブル増加 -運行タイプによるトラブルの違い-
新幹線、飛行機に続く交通手段として高速バスが注目されています。
最近は価格戦争も激化して消費者の選択の幅も広がっています。
ただし、電車や飛行機と違い、不確定要素が多いバスについてはトラブルが少なくありません。
今回の記事でさまざまな具体例が挙げられています。
今一度確認し覚えておきたいことは
運行タイプにより契約内容が異なってくることです。
「高速乗合バス」は定期路線の電車的な要素を持っています
「高速バスツアー」は旅行会社が貸し切りバスを使う「募集型企画旅行(いわゆるパック旅行)」で一般のツアー旅行と同じ扱いになり、旅行業約款が適用されます。
「高速バスツアー」のほうがキャンセル料金などが厳しくトラブルが増加しています。
このバスのタイプの違いを再確認しておいてください。

国民生活センター http://www.kokusen.go.jp/ncac_index.html
月刊 国民生活

消費者情報 2011年9月号 (関西消費者協会)

いろんな意味で9月号は注目です

①巻頭インタビュー

「あるべき消費生活相談員増を語る」
・消費者被害は、なぜなくならないのか。消費生活相談はどうあるべきなのか。消費生活相談員のマインドを語る。
・国民生活センター理事長とのインタビュー
※あいかわらず、というところです。残念ながら、現実にぶつかってきた問題の根っ子に目を向けない限り同じですね。

②特集 消費生活相談員をめざす 現場で磨くスキルとマインド
「消費生活相談員をめざす」ためのスキルと心構え(東京経済大学教授・弁護士 村千鶴子)
・相談業務を行う上での基礎的なスキルである「聞き取り」「説明と説得スキル」の重要性について
・3つの聞き取るスキル・・・相談者の話を十分に聞く、相談者の話を整理しつつ聞く、相談員が適切な助言をするためにさらにきめ細かく不足している情報などを聞き取る
・説明スキル・・・事業者にはわかりやすく説得力のある説明、消費者にはどう説明すればわかってもらえるか
・法律スキル・・・何も知らない人に説明するためには本当によく理解している必要がある。

消費生活相談員の現状と課題(日本女子大学教授 細川幸一)
・消費生活相談員のおかれている環境や処遇について、消費生活センターの歴史的背景から、ボランティア+多少の報酬という形で相談員を確保し、行政職員は行わない体制となった。

相談員の地位とその展望(弁護士 国府泰道)
・消費生活相談員の勤務状況の現状、相談員の待遇改善の方策、相談員の雇い止め撤廃の方策

相談スキルは現場で磨かれる!(関西消費者協会相談グループ 白﨑夕起子)
・初めて相談に携わる相談員に向けた、実務の基本的な心がけについてのベテラン相談員からアドバイスです
※経験をつめばつむほど、「検証をする」「先輩相談員から学ぶ」はずなのに、実は大きなギャップとなるかもしれないということも分かってくるでしょう(検証をせず同じ失敗を繰り返すがやはり検証をしない、先輩相談員が必ずしもプラスになるとは限らない)。

消費者行政関連年表 窶披€蘀50年のあゆみ(編集部)
※「消費者行政に関するできごと・法律」と「消費者問題・社会のできごと」について50年分がまとめられており、非常に勉強になります。

相談員の素顔に迫る窶・I ほかで言えない本音トーク(編集部)
・5人の現役相談員から、相談員になった動機、苦労や悩み、やりがいと生きがい、仕事の不満あるいは問題点、について生の声を聞いたものです。
・コメントしたいところがありますが、めておきます。

報告!「これがクレーマーの実態です」(編集部)
・初動における言葉づかいや態度がまずいと「火に油」を注ぐことになるのは言うまでもない。
・相談業務につきものと思えば、そのこともこの仕事の面白さの一つ。
・絶対に自分が正しい、という立場を押し通すクレーマーを相手にするのは相当のエネルギーを必要とする。何が言いたいのか、何をどうしたいのか、何が不満なのかをキャッチしなければいけない。
・憤りには私憤と公憤がある。
・相談員のおざなりな態度、丁寧な聞き取りもせず、予想通りの処理方法しか言わない態度に憤りの理由がある。

※実は今回の特集には非常に期待していましたが、残念ながら期待はずれに終わってしまいました。この特集を読んだ相談員は「そのとおりだ、勉強になるなあ」と思うかもしれませんが、もしそうであれば、それは単に研修に参加しただけでスキルアップした気になるのと同じではないかと思います。すなわち、「あるべき論」ばかりが語られていて、そんなことは百も承知であり、必要なことは、「あるべき姿」に近づくためには、具体的にどのような方法でスキルアップしていくのか、ということが語られていません副題に「現場で磨くスキルとマインド」とありますが、どのような方法で、現場で「スキルとマインド」を磨くのかということが示されていません
これについては私が何度も重要性を指摘しているところです。
(厳しい書き方をしましたが、編集部には私が言いたいことは分かると思います。もしくは、編集担当者が思いえがいてたような特集に仕上がらなかったのかもしれません。)

③現場からの情報 【相談】 海外旅行で請求された高額なスマートフォン利用代金
※海外でも気軽に所有の携帯電話を使用する、そこまでして携帯電話を使いたいのかと思ってしまうのは、時代遅れの証拠なのでしょうかね。「消費者の権利」として説明不足を追及するのも大切ですが、なんでも他人任せにするのではなく、自分で説明書を読み調べるなど、自分の行動がどうなるのかということを知っておく「自立した消費者」になるべきだと思います。

④温故知新で読み解く 消費者問題 「にせ牛缶」事件
消費者問題での歴史では重要事件です。これをきかっけとして、景表法の制定、食品衛生法の改正につながりました。今一度、事件を振り返ることができるとともに、事件が明るみにいなったきっかけとしえt現場の担当者のひらめきが寄与していることも書かれています。

⑤判例に学ぶ
「金貨金融」について公序良俗に反し契約全体が無効であるとした事例
札幌簡易裁判所平成23年1月14日判決
・実質上は金銭消費貸借契約で、年利率2000%弱の割合の高額な利息は暴利契約に該るとして、売買契約(実質上は金銭消費貸借契約)は公序良俗に反し無効である、とした。

③団体訴権への展開 消費者支援機構関西(KC’s)
更新料条項についての最高裁判決と消費者契約法

リンクはこちらです
関西消費者協会 http://kanshokyo.jp/hp/
消費者情報 2011年9月号

ジャドマニューズ 2011年7・8月号

「ジャドマニューズ」の最新号は、HPで電子書籍として閲覧できます。
http://www.jadma.org/jadma_news/index.html

7・8月号の「通販110番」の記事から一部紹介し、コメントします。

通販110番消費者相談編
「一方的な支払方法の変更には納得できない!」

事例1「前払いを指定するなら、見積もりのときに伝えるべきだ!」
・通販、後払いのつもりで見積もりを取ったが、注文後に高額なため前払いといわれた
・見積もりを出す部署と支払方法を決める部署が異なっていたために土日をはさんだことから注文確定後の連絡になってしまった。

事例2「注文直後に代引きに変更するとは失礼だ!」
・振り込み(後払い)で注文後、追加注文したが、直後に代引きにしてほしいと連絡があった。追加注文時には何も言われなかったのに信用できなくなったのか。

→両事例とも、変更を依頼した理由が相談者にはきちんと伝わっていないようなので、再度電話して説明してほしいとの助言で締めくくられています。
ルーチンワークの中で対応してしまったことが苦情を招いたのだと思います。条件が悪くなることは相手を否定することです。否定することを理解してもらうには多くのエネルギーが必要です。したがって、それに相応しいコミュニケーションが必要になってきます。そういう配慮が欠けていたのだと思います。また、それを引き起こしてしまったシステムも検証し改善していくことが必要だと思います。しかし、往々にしてその場限りの解決で終わってしまうことが多いのではないかと思います。

通販110番事業者相談編
「顧客に良かれ」が苦情の原因に

事例1「オーソリが得られないその原因はどちらに?」
・以前顧客登録(使用カードを登録)がなされ直近1年は注文のなかった顧客からクレジット注文があり、オーソリ(与信認証)が得られず、このカードでの支払いはできないと伝えて苦情になった。具体的な理由の説明もなかった。
・登録するときにカード番号を間違って登録していたが、今までは会社側で訂正して認証していたが、現在は修正入力をしないシステムに変更したためにエラーとなったものだった。
・この事情を説明したら納得を得られた。
・勝手にカード番号を修正してもいいのかという問題点が残った。
→今まで使用していたカードの認証が降りないことは本人にとっては重大事件です。覚えがないのにブラックになるのだったら、信用情報に問題が生じたのか、何かの事件に巻き込まれているのかと思います。一般的に、カードの認証がおりないとかカードの発行が拒否されることはしばしばあり、消費者センターにも相談が寄せられます。センターが介入しても、ほとんど、その理由が開示されることはありません。説明責任という点では非常に不透明な部分です。消費者が納得できるような説明システムを構築してほしいと思います。

※「顧客に良かれ」と思って会社の判断で顧客の入力情報を修正していたのですが、相談現場でも「相談者に良かれ」と思ってとった行動が、「余計なこと」として苦情になったり、信頼関係を崩したりします。その原因は先のことを考えずにその場の感情で行動してしまうことが多いのではと思います。受けた相談をどのように解決していくかを順序良く整理し、それぞれの場面でどのような行動をとるべきかを判断する能力が問われます。「相談者に良かれ」は相談員にとっての気持ちであり相談者の気持ちではないことを頭に入れておいてください。

社団法人 日本通信販売協会 HP http://www.jadma.org/
会報誌(JADMA NEWS) http://www.jadma.org/jadma_news/index.html