この悪癖 直しませんか(日経産業新聞2012/7/20より)

日経産業新聞にはビジネススキルに関する記事・連載・特集が多く、おすすめの新聞です。
今回、「ある、ある」と思うような記事を見つけましたので紹介します。
ぜひ全文を読んでほしいと思います。

さらに良きリーダーを目指すなら
この悪癖 直しませんか
・優秀なリーダーであればあるほど人間は誰でも自分が正しいと思い込む傾向がある。
・優れたリーダーは「悪癖」を前向きにとらえた上で、1つでも2つでも数を減らそうと努力することが大切
・極度の負けず嫌いは態度や立ち居振る舞いにどうしても出てしまう。
・現在の自分の考えや行動が周囲からどう見えるかを正確に指摘してもらう。
・部下や家族に自分の悪いところを指摘してもらうのは有機が必要だが、まずは自分の悪癖の「気づき」が良きリーダーになるための最初の一歩

指導者が陥りやすい20の悪い癖

1.極度の負けず嫌い
2.何かひとこと価値をつけ加えようとする
3.善しあしの判断をくだす
4.人を傷つける破壊的コメントをする
5.「いや」「しかし」「でも」で文章を始める
6.自分がいかに賢いかを話す
7.腹を立てている時に話す
8.否定、もしくは「うまくいくわけないよ。その理由はね」と言う
9.情報を教えない
10.きちんと他人を認めない
11.他人の手柄を横どりする
12.言い訳をする
13.過去にしがみつく
14.えこひいきする
15.すまなかたっという気持ちを表さない
16.人の話を聞かない
17.感謝の気持ちを表さない
18.八つ当たりする
19.責任回避する
20.「私はこうなんだ」と言いすぎる
(出所)マーシャル・ゴールドスミス著 『コーチングの神様が教える「できる人」の法則』

この20の悪い癖を読みながら、自分自身のこと、周りの人のこと、上司のこと、部下のこと、同僚のこと、などを思い浮かべ、「ある、ある」と思った方は少なくないと思います。
これらの悪い癖はリーダーを対象としたものだけではなく、相談員としての資質にも共通していることだと思います。
周りの人は置いとくとしても、自分自身はできるだけ自分の悪い癖に気づき、なおすように努力してはどうでしょうか。
相談現場を想定した場合に、相談員として大事なポイントを赤字で抜き出し、コメントしてみました。

1.極度の負けず嫌い・・・相談者や事業者と言い合いにならないように冷静に対応する
2.何かひとこと価値をつけ加えようとする
・・・上手く話し合いが進んでいたのに余計なことを付け加えて気まずくなる、または相談者の気持ちに添えないときに言い訳を付け加える
5.「いや」「しかし」「でも」で文章を始める・・・否定の言葉は人間関係を気まずくする。相手を認めることが重要。
6.自分がいかに賢いかを話す
・・・上から目線で事業者や相談者に対応する。消費者センターという印籠を多用する
8.否定、もしくは「うまくいくわけないよ。その理由はね」と言う
・・・あえて触れる必要のないことや明らかに相手が間違っていても上手にスルーすることも大切。
10.きちんと他人を認めない
・・・相談者の考えが間違っていたとしても、最大限尊重し、事実関係ではなく、気持ちを受け止める
12.言い訳をする・・・相談者の思うような結果にならず、苦情を言われたときに、感情的になり、言い訳や反論をしてしまう。失敗は謝罪し、交渉が上手くいかなかったときには、相談員が悪くないときでも、うまくいかなかったことに対する申し訳ない気持ちを伝える
16.人の話を聞かない・・・傾聴の姿勢を大切にする
20.「私はこうなんだ」と言いすぎる・・・自分の考えを相手に押し付けない。相手の話をきちんと聞いて、受け入れて、相手の要望を踏まえて助言する

少しでも相談対応にヒントになればと思います。

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au携帯「2年縛り」 違約金、初の「一部無効」 京都地裁判決

NPO法人「京都消費者契約ネットワーク」が提訴した団体訴訟の地裁判決が出ました。
この3月にドコモを対象とした同様訴訟で、判決が出ていましたが、今回はanを対象にしており、判決内容が前回とは少し異なるものでした。

ポイントとして、
前回のドコモのときは「解約1件当たりのドコモの損害額を、基本料金の平均割引額2160円に中途解約までの平均利用期間14カ月をかけた3万240円と認定。解約金はこの額を下回り、違法ではない」との判決でしたが、
今回のauではもっと単純で「中途解約で被るKDDIの損害は契約満了までに得られた通信料収入などから月4千円と認定した。満了に近づくにつれ損害額は減り、最後の2カ月は8千円以下で、違約金9975円を下回る。このため、解約時期を問わず同一金額の違約金支払い義務を定めた条項は「合理性を欠く」と判断した。最後の2カ月以外は有効とした。」という判決でした。

ドコモでは実際の利用期間に関係ない2年トータルでの考え方でしたが、今回のauでは利用期間が増えるごとに解約損害額が減っていくという現実にあわせた理屈で、最後の2ヶ月は8000円が損害額になるので違約金条項は不当条項で無効ということです。
さかのぼって計算すると、1ヶ月で解約したのならauの損害額は4000円×23ヶ月=92000円で解約違約金は9975円なので問題ないということで、利用期間が増えていくと損益分岐点が22ヶ月の残り2ヶ月になるということですね。つまり、22ヶ月までは違約金条項は有効ということです。

控訴することになるのかもしれませんが、この判決を尊重すると、現行の25ヶ月目に加えて、23ヶ月目と24ヶ月目も違約金が不要ということになるのかもしれませんね。
また、私が前回指摘した2年更新後の違約金の是非についてもニュースに取り上げているところもありました。

ちょっとしたニュースですが、しっかり読み込んでおくことで携帯電話の料金に対する感覚が蓄積され、相談対応にも役に立ちます。

「京都消費者契約ネットワーク」の地元の京都新聞の報道内容が充実していますので紹介します。

au携帯「2年縛り」 違約金、初の「一部無効」 京都地裁判決

京都新聞 7月19日(木)22時59分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120719-00000028-kyt-l26

au携帯「2年縛り」 違約金、初の「一部無効」 京都地裁判決

携帯電話の2年契約の割引サービスで、中途解約時に9975円の違約金支払いを定めた条項は消費者契約法違反として、NPO法人「京都消費者契約ネットワーク」がKDDI(au)に条項の使用差し止めを求めた訴訟の判決が19日、京都地裁であり、佐藤明裁判長は、条項の一部は無効と判断し、条項の使用差し止めを命じた。中途解約時の違約金を定めた条項の無効判決は全国初。
■最後の2ヵ月分 「合理性欠く」
佐藤裁判長は、2年間の契約のうち、最後の2カ月間に解約した利用者への違約金は、解約に伴うKDDIの損害以上とした上で「条項は、消費者の利益を一方的に害する」と判断した。
KDDIによると、3月現在、全契約3500万件の8割超がこの割引サービスを利用している。携帯番号を変えずに他携帯会社に乗り換えられる「番号ポータビリティー制度」が2006年に導入されたのを機に、各社間で利用者の囲い込み競争が激化。NTTドコモやソフトバンクモバイルも同様の「2年縛り」の契約形態が主流で、判決が与える影響は必至だ。
割引サービスは「誰でも割」。2年間の定期契約で月額基本使用料が半額になる一方、中途解約時に9975円の違約金を支払う必要がある。満了すると自動更新される。
佐藤裁判長は、中途解約で被るKDDIの損害は契約満了までに得られた通信料収入などから月4千円と認定した。満了に近づくにつれ損害額は減り、最後の2カ月は8千円以下で、違約金9975円を下回る。このため、解約時期を問わず同一金額の違約金支払い義務を定めた条項は「合理性を欠く」と判断した。最後の2カ月以外は有効とした。
同ネットは「大企業が消費者を不当に囲い込む現状に一石を投じる画期的判決」、KDDI広報部は「判決文を精査し、控訴に向けて検討する」としている。
最終更新:7月19日(木)22時59分

(参考)
前回のドコモのときに書いた記事
携帯中途解約金訴訟 判決 その1 2012年4月9日(月)
携帯中途解約金訴訟 判決 その2 2012年4月16日(月)
携帯中途解約金訴訟 判決 その3 2012年4月18日(水)
携帯中途解約金訴訟 判決 その4(最終回) 2012年4月20日(金)

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「羽生3原則」に学ぶ(2012年7月14日 読売新聞より)

読売新聞の特別編集委員の橋本五郎氏の五郎ワールドという連載の記事を紹介します。

将棋の羽生さんの講演会のときに、「天才棋士は何手先まで読むのだろう」という疑問に答える形で棋士がどんな風に考えているのか話された。一番最初に使うのが「直感」である。一つの場面で約80通りの可能性がある。その中から二つか三つを瞬時に選択する。残りの77、78の可能性は、見た瞬間捨てるのである。
「直感」とはカメラで言えばピントを合わせるような作業だ。1秒にも満たないわずかな時間の中で、なぜそれを選ばなかったのか、なぜそれを選んだのかをきちんと論理立てて説明できるのが直感だ。

そのうえで具体的に先を「読む」プロセスに入る。三つの選択肢には三つの選択肢があり、さらに三つ....。そう考えていくと、3の10乗、6万通りにもなってしまう。その一つ一つを確かめることができない。

そこで三番目に必要になるのが「大局観」である。ここは積極的に動いた方が良いと大局観でわかれば、過去も振り返り積極的な選択はどれかということだけに集中して考える。大局観とは状況判断ができる力、本質を見抜く力である。

直感、読み、大局観という羽生さんの「3原則」を聞きながら、棋士の一手一手にはそれまで集積された、あらゆる知恵や経験を動員した「決断」があることを知るのである。

※なお、記事の最後に、この話をもとに政治を論説していますが、その内容については賛否両論あると思いますので特にコメントは控えさせていただきます。

この記事を読みながら、まさしく将棋は相談業務にも通じるものであり、棋士は相談員に置き換わると感じました。

消費者から相談を受けたときに、その対応策には何通りもの方向性があります。すべての事象を一つ一つ紐解いていくには多くの時間と手間が必要です。契約の相談なら法律要件があるので選択肢は限られてきますが、クリーニングや製品事故、品質問題などはとても複雑で個別事情もあり、多くの選択肢がでてきます。
相談員は相談を受けた瞬間に多くの選択肢の中から、直感的に「この相談はこのような展開が想定される」と感じます。これが「羽生3原則の直感」に当たると思います。

そして、想定した展開をその仮説に基づいて実証していく「羽生3原則の読む」プロセスに入ります。実証した結果に対しては、さらにその先があります。

相談の細かい部分にこだわると目的である「あっせん解決」を見失うことにもなりかねません。「あっせん解決」という大きな目標に向かって最適な選択肢を選んでいくというプロセスを進めていきます。それが「羽生3原則の大局観」だと思います。あっせん解決するには、相談内容の本質を見抜いて、どのような選択をすれば上手くいくのか状況判断します。

この3原則はそれまでに集積された、相談事例、法律知識、コミュニケーション力、問題解決能力、ファシリテーション能力など、あらゆる知識・知恵・能力が総動員されて決断していくことになります。

すべての能力が備わってこそ3原則が発揮されるのです。そこが新人相談員と本当のベテラン相談員の差であるし、経験のある相談員でもあっせん能力の高い相談員とそうではない相談員の差なのです。
特に「直感」で相談の先を読み取っていくことができるかどうかは個人の能力差を如実に示すと思います。そして、その直感は「思い込み」ではなく、様々な能力に裏打ちされたものでなくてはならないのです。
この差は見る人が見たら、すぐに分かります。

休日の新聞なんて、ふとすれば見逃してしまいがちですが、たまたま目に留まったこの記事はとても勉強になりました。記事の内容は抜粋したので概要は網羅していますが、記事自体を読みたい場合は図書館でバックナンバーを探してください。
2012年(平成24年)7月14日(土曜日)朝刊 13面解説

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