通話録音は法的に問題ないのか?(日本流通産業新聞より)

業界紙で「日本流通産業新聞」というのが週に1回発行されています。
業界向けに特商法などの解説や問題点、法律Q&Aなどが掲載されています。
特に特商法のエキスパート弁護士の法律Q&Aは事業者向けに解説されており、知らなかったことの発見にもつながり行政サイドからも勉強になるのでいつも読んでいます。

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日本流通産業新聞 2013年2月21日号

「通話録音は法的に問題ないのでしょうか?」

質問
・化粧品の通販会社で今年からコールセンターでのお客様との会話を録音する方針である
・お客様の許可を得ないで録音することは可能か
・ほかの会社で録音前にガイダンスを流すところがあるが事前の予告は必要か
・必要ならば、HPでよいのかガイダンスにすべきなのか
回答
・会社がお客様に無断で通話録音することを禁止する法律はない。許可を受けないで録音しても問題はない。
・通話内容から個人を識別できる場合は「個人情報」に該当するので、個人情報保護法を守って運用することが必要なので、録音内容は個人情報と考えるべき。
・経産省の見解では、HPで個人情報の利用目的(契約内容の確認、オペレーターのサービス向上など)を公表することは今回の運用に当たって絶対に必要だが、情報取得の方法(通話録音すること)まで記載したりガイダンスを流したりすることは法的に必要とされていない。
・無断の録音は不意打ち的要素が強いので、その旨をHPに記載しておくことが望ましいし、通話前にガイダンスを流せばもっと良い。
・「言いがかり」を避けるためにも、ガイダンスを流すことが有効。
・トラブルがあって、言った言わないになって消費生活センターが介入した場合に、通話内容を裏付けるメリットはあるが、センターが会社の味方をするかというとそういうことはない。

・最近、メーカーに問い合わせ電話をすると、録音する旨のガイダンスを流すところが増えてきました。
・言った言わないの争いを避ける意味で有効ですが、あまり良い印象は感じませんね。また、録音していること自体が苦情として消費者センターに持ち込まれることもあります。
・録音の法的見解については、ご存知かもしれませんが、上記回答のとおりです。黙って録音しても問題はありません。あっせんにおいても録音内容を確認して回答してくる事業者も少なくありません。その場合、録音されていることを消費者が知らない場合も多いですね。
・消費者センターの電話も録音したらどうかという議論はあります。ただし、行政だけあって、かなり難しい問題です。きちんと取り組んでいる自治体であれば、条例等の規則によって、録音する場合は個人情報として公文書に記録して、通話データも厳重な保管が決められたりします。事前の予告は不要ですが、予告するように運用している場合もあります。録画に関しても同様でしょう。個人のレコーダーを使えば私物を使ったということで問題になるかもしれませんので、組織として録音装置を準備する必要がありますし、電話録音の場合は高額な費用がかかったりします。現実には難しい場合があるので、相談員は聞き取った内容をしっかりメモして記録しておく必要があります。条例があっても、実際に録音しているところは少ないのではないかと思います。
・回答の最後に消費者センターの話が出てきましたが、あくまでも通話内容は事実確認であって、言葉そのものが意思表示に当たるとは限らないと思います。感情的になって思っていないことを表意する事もありますし、誘導される場合もあります。それは、相談者や事業者や相談員も同じです。上手く言葉で表現できなかった場合にあげあしをとられたりすることは日常的でしょう。それは認めつつも、間違って伝わっているのであれば、しっかり謝罪して訂正することが大切です。「上手く伝わらなくて申し訳ありませんでした。それは...という意味です。勘違いさせて申し訳ありません。」私は素直に謝ります。録音内容は表面的な事実を明確にするには違いありませんが、そのなかから本当の隠れた真意を汲み取ることが重要だと思います。

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ジャドマニューズ 2013年2月号

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①クレーム対応のプロに聞く おもてなしの極意
通販会社が抱える「悩み」といえば、やはりコールセンターに寄せられるクレームではないだろうか。どんなものであろうともお客様からの声である以上、誠意を尽くした対応をすべきだが、時には、「言いがかり」のような理不尽な要求をされることも少なくない。いったいどこまで対応をすればいいのか。怒鳴り散らす相手をどう鎮めればいいのか。そのような質問が事務局にもよく寄せられる。
そこで今回は、新宿・歌舞伎町のホテルで支配人をしていた三輪康子氏に登場していただき、クレーム対応の極意について聞いてみたい。「モンスタークレーマー」ともいうべき理不尽な要求をする人々と向き合いながらも、グループ内売り上げ日本一を何度も達成し、『日本一のクレーマー地帯で働く日本一の支配人』(ダイヤモンド社)という著書もある三輪氏。なぜクレーマーたちは彼女を前にして怒りを鎮めるのか。そこには、すべてのサービス業に通じる「おもてなし」の心があった。
・危険なクレームをなぜひとりで対応するのか
→「身の危険を感じるからこそ私が対応をしなくてはいけない」
・ES(従業員満足)を究めれば顧客の幸せにつながる
→スタッフの心が自然体で明るくなれば、それはお客様にもちゃんと伝わるんです
・クレームにこそ〝おもてなし縲桙フ心を
→相手が怒っている時ほど一歩前に出て目を見つめる。「クレーム」ではなく「人間」に対応をすればいい
※クレーム対応のマインドについて勉強になります。相談現場でも参考になると思います。

②通販110番
消費者相談編
ネット通販での価格変更のトラブル

通販110番に寄せられる相談のなかで、ネット通販に関する相談は約60%を占めます。
今回はネット通販ならではの相談として、価格変更に関するトラブルを取り上げました。
事例1 最終確認画面で価格が変更された?
・価格の変動があるカーナビを購入し、請求書を確認したところ1万円高かった。
・最終確認画面に行くまでに価格が変動したようだが、最終確認画面を確認していなかった。注文受付メールも確認していなかった。
・注文途中に価格が変わることがあるのか。
→利用ガイドには、商品価格が変わる、出荷前ならキャンセル可能と明記されていた。
相談者は最終確認画面や注文受付メールの十分な確認を
通販110番より
ネット通販に慣れている消費者も取引条件や注文内容を十分把握し、注意を怠らないこと

※気の毒な気もしますが、そこがネット通販の肝です。何重もの確認措置があるので慎重に確認すべきですね。ただ、販売者も何らかの救済措置をとってるところが多いのですが、今回のように最終段階まで行くと難しいと思います。

事業者相談編
身体以外の財産への拡大損害

事例1  「テレビ用ラック」の購入者から、商品の不良が原因で組み立て中に天板が床に落下し、床が傷付いたため、補償するよう要求があった。メーカー担当者と一緒に訪問し、商品を預かるとともに床を確認したところ、日常生活でも発生し得る軽度の傷だった。
→顧客は、不良品であったために天板が落下したとの主張をしているが、不良であるとした根拠や天板落下の原因を特定しないまま補償することはできない。一定額以上の補償を行うためには、部品に不良があったなど、合理的な因果関係の解明が必要である。
事例2 組み立て式の「回転式シューズラック」を購入した女性客から苦情があった。組み立て後、エナメル塗装の靴を収納したところ、つま先に傷が付いたとして、靴の弁償を要求された。
→仕切り板によって傷が付いたとのことだが、無理に押し込んだ場合、靴に傷が付くことは容易に予測できる。また、取扱説明書を読んでいれば、構造や注意点を理解しているはずである。したがって、靴代金相当の弁償は必要ないと思われる。
相談室長より
いずれにしても、事業者は苦情内容を正確に把握するための努力をし、補償すべき理由があれば行うこと、逆に理由がない場合は毅然とした対応が必要です。企業の対応に不満を持ち自分の要求を強要しようとするケースが後を絶ちませんが、自分の要求内容が社会的に許容される範囲内であるか否か、消費者も冷静な判断が必要です。

※組み立て商品で消費者の側にある程度の注意を要する案件ですね。毅然とした態度をというところでしょうが、私は2番目の事例については少し違った考えを持っています。なぜなら、このクレームは宝になる可能性があるからです。傷がつくのがわかっている製品だから説明書を読んでいないのが問題だという理屈になっていますが、傷がつかないような設計や構造に変更する余地はあると思います。そもそも説明書に責任を押し付けるのは通常しうる使用形態との関連性もあります。それよりも、つま先の部分にクッション素材を入れたりするなどクレームが発生しない製品に改良できるのではと思っています。もしそうなら、消費者に製品改善を検討していることを説明できればお互いに前に進むことができるのではと思います。

③連載 メディアワクオン 情報リテラシーの備え

第13回 クレームの達人

今号の特集テーマにもなっている「クレーム」。「歌舞伎町のジャンヌ・ダルク」と呼ばれた三輪氏のお話のなかには、クレームというよりももはや言いがかりではないかと思われるような“モンスタークレーマー”が数多く登場したが、実は筆者も過去にそのような人たちを取材してきた。ちょっとした突破口を見つけて、料金を踏み倒したり、謝罪や賠償を引き出させたりする。そんな「クレームの達人」たちの驚きのテクニックとは?
・高速の料金を十数年間踏み倒し続けた社長
・抗議のプロたちがつかう「最後の手段」とは?
・消費者金融バッシングを生んだ「脅迫テープ」はニセモノだった?

※まあ、好きにして、という話ですね。自分の主張を通すために制度自体に文句をつけてくるというパターンです。消費者センターに置き換えれば、居住地のセンターではないと断ったら理屈をこねて文句を言ってくる、センターであっせんできない事例だと税金泥棒とののしってくる、こんな感じでしょうか。私は、このようなクレーマーたちを、「友達もいない、自己中心的で、誰からも信頼されていないんだろうなあ」と「かわいそうな人」として慈悲の目で見てあげることにしています。まともに対応する価値もないですからね。こんなクレーマーと同じステージに立って言い争いをするのもばかげています。

社団法人 日本通信販売協会 HP http://www.jadma.org/
会報誌(JADMA NEWS) http://www.jadma.org/jadma_news/index.html

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マルチのクーリングオフで会員向けセミナー参加費用の返金は必要か?

業界紙で「日本流通産業新聞」というのが週に1回発行されています。
業界向けに特商法などの解説や問題点、法律Q&Aなどが掲載されています。
特に特商法のエキスパート弁護士の法律Q&Aは事業者向けに解説されており、知らなかったことの発見にもつながり行政サイドからも勉強になるのでいつも読んでいます。

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日本流通産業新聞 2013年2月14日号

「会員向けセミナー費用の返金は必要か?」

質問
・ネットワークビジネスのお客様対応を担当
・入会した会員にはまず、関係会社が運営する温泉付きの保養施設でセミナーを受けてもらう。料理や温泉つきで参加費1万円。参加費を上回る経費が必要。
・期間内にクーリングオフのお客に商品代金のほかセミナー代金も全額返せと言われている。料理も酒もふんだんに召し上がってエンジョイされていたお客である。
・あまりにも不当だと思うが全額返金は必要でしょうか?
・また、参加費を請求することはできないでしょうか?
回答
・結論は、全費用がクーリングオフの対象になる
・連鎖販売取引のクーリングオフは、入会してからお客が会社に支払った全ての費用が、使用したかどうかを問わず、クーリングオフの対象となる。
・期間内のセミナーについても、当然、返金対象になり、宴会で食べた料理や宿泊費なども同様で、全額を返すことが法的に必要とされる。
・ただし、その上で、会社側から、「使用利益」としてお客に実損を請求することは理論的には可能であり、経産省も認めている。
・とはいっても、クーリングオフで返すお金から差し引くことは法的には許されないので、まずは全額を返金して、その上で実損分(今回は1万円が上限)の請求を改めてするというのが法律に従った方法。
・そうすると、今回のような図々しい客が1万円を支払ってくる可能性は限りなくゼロに近い。督促しても支払わなければ裁判を起こすしかないが、1万円で裁判を起こしていたら経費倒れになる。また、そうすれば消費生活センターに行って、あることないことを言うリスクもある。多くの企業は「請求を諦める」という方針を採っている。
→最後に、「クーリングオフ期間内の豪華なセミナーは止めるか、今回のような事例は「万引きにあったようなもの」として諦めるかでしょうね。」と締めくくられています。

私も不勉強で、このような事例を始めて知りました。マルチ業者に対して悪意を持ってつけいる隙があるということでしょうね。最後の「万引き」のコメントはよろしくないですね。クーリングオフの権利は法律で正当なものですし、それで消費者を悪人扱いするのなら、しっかり仕様利益として費用請求して裁判までするという姿勢をすべきだと思います。

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