月刊 国民生活 2011年2月号

①特集 「契約」を学ぶ
消費者センターにとって一番重要な「契約」についての特集です。
とても勉強になるので、今一度、確認してみましょう
・契約とは何か-締結から履行まで-
・契約紛争におけるパターン別被害救済の法理
・ケースで学ぶ「契約」

②苦情相談
「注文した覚えのない魚介類が代金引換の宅配便で届いた」
・パターンとしては完全なネガティブオプションか、最近流行の電話で売りつけられてしまう電話勧誘販売ですね。
・クーリングオフすれば簡単ですが、問題は食べてしまった場合にどうなるかということです。クーリングオフした場合について、業者から原状回復で不当利得返還請求を受ける可能性もあるということです。
③暮らし注意報
「結婚相手紹介サービスのトラブル増加」
・このサービスは特定継続的役務として2004年に追加されました。
・昔からトラブルが多いサービスです。
・相談事例。問題点、消費者へのアドバイスが書かれています。
・結婚相手紹介サービスについては私も思うところがたくさんあるので、婚活パーティなども合わせて、機会があれば記事にしたいと思います。
④平成22年度消費生活専門相談員資格認定試験 第1次試験 -問題と回答-
・現職の相談員であれば「楽勝?」、年に1回ですので頭の体操をしてください。
・資格をお持ちでないのならチャレンジしてください。

国民生活センター http://www.kokusen.go.jp/ncac_index.html
月間 国民生活

消費者法判例百選

相談対応に不可欠なロジカルシンキング(論理的に考えること)。
それをストレートに表現しているのが裁判だと思います。
順番に論理を組み立てて結論を導いていきます。
裁判事例をまとめた判例は法律の解釈を考える参考となるだけでなく、論理的に考える過程を再現しています。
1995年11月に発行された「消費者取引判例百選」が最新事例も含め、パワーアップして、2010年6月に再編されました。
1事例見開き2ページ分ですので、一話完結の物語として気軽に読んでみてはどうでしょうか。
字が小さいのが欠点ですが、私はマーカーを3色使ってラインを引きながら少しづつ読んでいます。

消費者法判例百選(別冊ジュリストNo.200)
定価:2,850円 (本体 2,714円)
ISBN:978-4-641-11500-2
(有斐閣)

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第一印象 ファーストコンタクト その2

前回の続きで、ファーストコンタクトの「受付・あいさつ」を「ノンバーバルコミュニケーション」の観点から書きたいと思います。

「はい、△△消費生活センター相談員の□□です」
受付のあいさつですから、当然ながら、誰が対応しても話す言葉・内容は同じになりますよね。
しかし、相談者にとっては、対応した相談員により受ける印象が全く異なってしまうことがあります。
それが限度を超えた場合は相談員の対応の苦情につながります。
そのためにも、前回書いたように、「マイナス」ポイントをなくすことを心がける必要があります。

みなさんは電話を受けるときに相手の姿を想像したことがありますか。
来所相談の場合は、相手が見えているので、高齢者だったら、ゆっくりはっきり話しますよね。
いきなり、早口で話しませんよね。

電話の相手は、高齢者でしょうか?男性でしょうか?
わかりません。
わからないからこそ、オールマイティに対応できる話し方をする必要があります。
相談者は信用して電話をかけてきます。
信頼にこたえるべき、ファーストコンタクとをとります。

おちついて、ゆっくり、はっきりと、「はい、△△消費生活センター相談員の□□です」と応えればよいのです。
元気に明るく答える必要はありません。
営業電話ではないのですから。
もう一度、繰り返しますが、
「声の質(高低)・速さ・大きさ・テンポなどの聴覚情報」
が相談者の相談員・消費生活センターへの印象を決めます。
最初に「マイナス」にならないように心がけてください。

そんなのは当たり前だし、実践している、といわれる方はOKです。
しかし、ほかの相談員の対応を聞いてみてください。
上手くできているでしょうか。
欠点はお互い指摘しあわないというのが、女性社会の姿です。
「人の振り見て我が振り直せ」「反面教師」ということです。
ただし、できているという相談員でも、「トーン」についてできていないことが多いです。
「トーン」は特に要注意です。
この「トーン」については別の機会に書きたいと思います。

もうひとつ知っておくべきことは、相談者の立場のほうが相談員に比べて圧倒的に弱いということです。
相談者は困って相談を受けて欲しいと願い、相談員は相談を受けるという立場です。
第一印象が悪くても相談をやめることはできないのです。
いやな印象を持っても、電話を切るわけにはいきません。
最近は、「相談員を変わるように」求める相談者もいますね。
そういう社会変化もありますので、しっかり対応しましょう。

さて、コミュニケーションの研修を受講すれば、最初に「あいさつ」があると思います。
大きな口をあけてはっきりと明るく受け答えする。そして、全員で唱和する。
一般的にはこのようなスタイルでしょう。
もちろん、これはこれで正解です。
ただし、相談現場でそのまま使っても良いかといえば、先に述べたように、そうではありません。
深刻な問題で悩んで困っている相談者に対して、いきなり明るい対応をされたら、話す気がなくなるかもしれません。
言葉で書くのは難しいのですが、たとえば、友人からの相談で「実は旦那が浮気をして相手が妊娠したみたい」といわれて、明るい声で復唱したらどうなるでしょうか。
相談現場での話し方のポイントというのをしっかり押さえて下さい。
リアル研修で実践できたら一番いいのですが、それはそのときということにします。
話は戻りますが、だからといって、一般のコミュニケーションの研修を批判することはナンセンスです。
何度もいっているように現場に対応した研修というのは現場を熟知していなければできないからです。
一般の研修でも参考になることはたくさんあります。
それを吸収し、現場に応用していく能力が求められます。

しつこいようですが、信頼されるような口調をぜひ使ってください。
ゆっくり、はっきり、友人からの悩み相談を受けるようなトーンで受け付けてください。
明るすぎても暗すぎてもダメです。
たった、これだけのことです。
そして、そこから、具体的な相談がスタートします。
相手の心を開かせるためのファーストコンタクトです。
あとは、相談をすすめていく中で、相談内容や相談者に合わせた「声の質(高低)・速さ・大きさ・テンポなど」を使っていくことになります。

コミュニケーション手段としての「声の質(高低)・速さ・大きさ・テンポなど」を具体的にどう表現したらよいのか、相談対応の場面場面でどう使い分けたらよいのか、ということは別の機会に書きたいと思います。

次回は、来所相談でのファーストコンタクトについて書きたいと思います。

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