月刊 国民生活 2011年5月号

①生活の視点
「宝くじに当たる不幸」
最初の見開きのコラムが面白かったです。
宝くじに当たるのは確立の問題でたまたまの「幸運」なのに対して、「幸福」は自分の努力で築き上げられるということです。
したがって、宝くじが当たっても「幸福」になるとは限らない。
ぜひ読んでみてください。

②特集 金融商品を考える
「金融商品のしくみとリスク」
・リスク・・・価格変動リスク・信用リスク・為替リスク・流動性リスク
・仕組み商品・・・他社株転換債・仕組み預金
詳しく説明しています
「金融商品取引被害救済の実務」
・商品先物取引法(業者ルール)の場合には、説明義務違反についてだけ損害賠償義務という民事効果が付与されている。それ以外については、金融商品販売法の適用はないので、民法と消費者契約法によって救済することになる。
・金融商品の分野では、消費者契約法を適用して救済された事案は、まだ少ない。
・錯誤、説明義務、適合性原則
「詐欺的な投資トラブルに対する相談処理のポイント」
・共通の相談対応方法、投資商品別の相談対応方法についてポイントがまとめられています。

③暮らしの判例
「銀行の投資信託販売につき不法行為責任が認められた事例」
・高齢者に「ノックイン条件付日経平均連動債」といういわゆるノックイン債権を販売した事例です。
・適合性原則違反と説明義務違反により、損害賠償請求が認められました。
・何度も出てくる仕組み商品ですので、ある程度はご存知だと思います。
・ところで、今回のノックインの条件ですが、日経平均株価が購入時の65%ラインとなっています。当時の日経平均は1万5000円程度の高値水準でした。15000円の65%水準は9750円。5000円以上下がるなんて誰が予想できたでしょうか。今の水準だったら10000円として6500円ですね。そこまで下がるとは思えないですよね。

④消費者団体訴訟レポート
「資格試験予備校の中途解約制限条項」
・資格試験予備校の多くは、受講申し込み時に納めた授業料について、受講開始後は一切返金しない等の規定を設けてきたが、大学の学納金返還訴訟の結果と照らし合わせても、消費者の利益を一方的に害し、消費者契約法に反する不当条項であるとして、解約時には支払い済み受講料のうち将来分を返金するように申し入れた。
・申し入れに応答して改善する事業者もあったが係争が続いている事業者もある。

国民生活センター http://www.kokusen.go.jp/ncac_index.html
月間 国民生活

言葉の表現・言いまわし

ちょっとした伝え方の違いで相談者への印象が大きく変わる事例を紹介します。
何気なく使っている言葉も、相手の側に立つと親切でない言い方になることがあります。

非常勤や交代勤務で出勤日にあたらない相談員を指名して継続相談があった場合に相談者にどう答えていますか?
(原則として担当した相談員が継続相談も受け持ち、他の相談員が受けない場合)

①「○○は今日は休みです」

そうではなく、次のように答えてください

②「(交代勤務になってまして)○○は今日は出勤日ではありません」

この2つの違いは何でしょうか
それは、休んでいるのは誰の事情によるものなのか、ということです。
言葉は相手にどうとらえられるかで決まります。
前者の①の場合は、○○が自己都合で休んでいる、となり
後者の②の場合は、センターの勤務体系の都合で休んでいる(非番になっている)、ということです。

①のように回答した場合に、相談者はどんな反応をするでしょうか?

①「次回の出勤日にかけなおす」といってくれればいいのですが、「他の相談員に代わってくれ」といわれた場合はどうしますか
原則を貫き、「一度相談した相談員が対応することになってますので申し訳ありません」
すると、今度は、「なぜ他の相談員が対応できないのか、担当の相談員が休みなら他の相談員が対応して当たり前だろう」と苦情を言ってきます。
相談者のいうことは正論です。
そこで、「違う相談員が対応したら細かい部分で違うことを説明したらいけないので」、「担当の相談員でないと詳しいことが分からないので」、などと説明に入りますが、すでに「継続相談についての相談」ではなく、「他の相談員が相談を受けないこと」に対する苦情に変わってしまっているのです。
こうなれば、収拾がつかなくなり、お互い感情的になり、「所長をだせ」となってしまいます。

それではどうしたらよいのか。
先手を打つのです
まず、②の回答により、担当相談員が勤務体系の事情により出勤日ではないことを分かってもらいます。
そのうえで、相談者に聞かれる前に、相談員から質問を投げかけるのです。
③「明日が出勤日ですが、お急ぎでしょうか?」

この問いかけの反応に対しての答え方を決めておきます。
・複雑な案件の場合は、出勤日にかけなおす場合が多いので、電話があったことをメモしておく(または明日こちらから電話するようにします)と伝える
・複雑な案件の場合で、どうしても対応して欲しいといわれた場合は少し難しいのですが、「簡単なことだったら分かるのですが・・・」など、今相談するとベストな回答がもらえない可能性を示唆するなど、少しテクニックが必要かもしれません。
・もし、クーリングオフの書き方などであったら、答えてあげましょう。
・この対応でも、苦情になる場合もあると思いますが、ある程度は避けられないことですので、そういう事態は最小限にとどめておきましょう。

人間の心理として、①「○○は今日は休みです」といわれたら、「相談するために電話をしたのに、なぜ勝手に休んでいるのだ」とマイナスイメージを持ってしまいます
2人の関係がマイナスから始まるのではなく、フラットから始めるために、②③で会話の主導権をで握っておくのです。
相談者が質問するのではなくて、相談員が質問するのです。
出勤日ではないけど、きちんと対応しているという姿勢を示すことが大切です。

ちょっとした言葉の言い回しで、相手がうけとる内容や印象が変わってくるのは、今回紹介した事例だけではありません。
相談者や事業者との言葉のやり取りすべてに共通するものです(他のシーンでの事例はその都度紹介します)。

(平成23年4月21日 初稿)
Copyright c 2010-2011 消費生活相談員スキルアップ講座 窶錀 All Rights Reserved

TIPS その1

今日テレビを見ていたら、「百聞は一見にしかず」ということわざの続きがあるという話をしていました。
その続きは、「百見は一行にしかず」です。
意味は、100回聞くより1回見るほうが分かる。そして、100回見るより1回体験するほうがよく分かる。
なるほどですね。

そしてネットで調べてみると、この2つの間に、もう1つあるようですね。

百聞は一見にしかず
百見は一考にしかず
百考は一行にしかず

100回聞くより1回見るほうがわかる
100回見るより1度考えるほうがわかる
100回頭で考えるより1回行動したほうがよく理解できる

3つ並ぶとくどいような気がします。
「百聞は一見にしかず」「百見は一行にしかず」のほうがしっくりきます。

相談現場における知識の習得と同じです。
どんな解説書をたくさん読んでも、どんな先生からたくさん話を聴いても、1回の実際の体験には及ばない、ということですね。
このことは、すでに何度も説明しているところです。

この講座では、実際に直接説明する機会がなくても、体験実践できるメニューを用意しています。
見て読むだけでなく、実践を通じて、スキルアップをはかっていくことが目的です。
すでにいくつかの実践を紹介しており、会員向けには、さらに突っ込んだものも考えています。
ぜひ積極的に参加してください。

(平成23年4月19日 初稿)
Copyright c 2010-2011 消費生活相談員スキルアップ講座 窶錀 All Rights Reserved

MENU
PAGE TOP