ネットの知識 「クラウド」

前回、パソコンの知識として「データーの復旧」について説明しました。
今回の震災の後に、データー保管の重要さについて、データーは「クラウド」にあるから大丈夫だ、とか、これからは「クラウド」でデーターを管理しよう、という話が出てきているのはご存知でしょうか。

2年ほど前から「クラウド」という言葉が聞かれるようになりましたが、具体的にイメージすることが難しく、何のことか分からない方もおられると思います。何かのきっかけに、ある言葉や専門用語が一気に知られることになりますが、今回がそうかもしれません。

「クラウド」とは、クラウドコンピューティングを略した言葉で、データを自分のパソコンではなく、インターネット上に保存する使い方やサービスのこと、と説明されています。

「クラウド」は「cloud」、「雲」です。データが自分の手元ではなく、空にある雲にあるとイメージします。雲は、どこにいても見上げることができますよね。つまり、データーが手元にあるのではなく、雲にあり、どこからでも見ることができるということです。

では、具体的な事例を言いますと、この講座の実践編でも紹介したことのある「フリーメール」がその典型例です。グーグルのGmailであれば、メールを確認するのに、ネットに接続して、IDとパスワードを入れれば、どのパソコンでも見ることができますよね。当然ながらデーターはネット上に保存されているので紛失する心配はありません。
「サンダーバード」というメールソフトで自分のパソコンにダウンロードするという実践の話もしましたが、データーをネット上から削除せず保存したままにするという設定であれば、自分のパソコンが壊れたとしても、メールソフトから読み込めなくなったとしても、ネットから確認できますし、必要なら、もう一度、メールソフトで設定しなおせばいいのです。
以前は、ウェブメール(フリーメール)でも容量制限があり、削除しなければメールボックスが一杯になったのですが、今はGmailでは7Gの容量があり、文字メールだけであれば、ほぼ無限といってもいいでしょう。
Gmail以外のウェブメール(フリーメール)も無料で使える容量を競い合ってますので、容量不足を気にする必要がなくなりました。

また、ホームページもそうです。
以前はホームページビルダーなどの専用ソフトを使って自分のパソコンで作成したデーターをアップさせていましたので、自分のパソコンにトラブルがあるとデーターが失われてしまいます。
今のブログはウェブメールと同じように、ネット上でIDとパスワードを入れて使用するので、データーはネット上(クラウド)に保管されています。
私のこのブログもレンタルサーバーを借りてウェブ上に保管しています。

企業のデーターの持ち出しというセキュリティの問題も取り上げられています。最近では、会社のパソコンからフロッピーディスクやメモリーカードへのデーターの書き込みをできないような設定にしていますし、ハードディスク自体をパソコンからなくして、企業内のサーバーからデーターの読み書きをしているところもあります。これも小規模のクラウドのようなものですが、これを自社ではなく、信頼できる管理会社と契約して安全なネット上で管理するという動きもあり、これが冒頭に紹介したものです。

個人ではネット上のデーターの保管先として、「DropBox」などの無料のスペースもあれば、レンタルサーバーなどの有料のスペースまで多種多様です。

もちろん、クラウドとはいえ、最終的には地上にあるデーターセンターのハードディスクに保管されるわけですから、そこが壊滅したら終わりです。しかし、サーバー会社の威信をかけて安全対策をしているところです。

「クラウド」のイメージが具体化してきましたでしょうか。
そろそろ、この言葉は知っておくべき言葉になりつつありますので、相談員として一般消費者が認知する前にぜひとも知っておきましょう。

ちなみに、「ブログ」という言葉も、最初は「WebをLogする」という意味で「Weblog(ウェブログ)」と言われていました。7年ほど前でしょうか。私はまだホームページビルダーを使用していました。「Weblog(ウェブログ)」が略されてBlog(ブログ)と呼ばれるようになり、今では誰もが知っている言葉になりました。

パソコンの知識 「データーの復旧」

今回の震災で多くの企業がパソコンが海水につかったために貴重なデータが失われてしまい、データー復旧会社にデーター回復を依頼するという事案が起こっており、データー復旧会社は大忙しと報道されています。

相談現場でも、パソコンのデーターににまつわる相談は定番ですね。
パソコンの故障時にデーターを失ってしまったり、修理のときにデーターが失われてもかまわないとサインさせられたり、デジタルカメラなどのデーターカードの内容が消えてしまったり、メモリーカードを写真屋に出したら誤まって消されてしまった、などの相談があります。
今回はパソコンのデーターの破損や復旧について説明したいと思います。

相談員がパソコンに関する相談を受けたときに、まず考えることは、「パソコンには詳しくないので...」と、消極的になります。
確かに女性はパソコンや自動車・バイクなどメカニカル的なものについての知識は乏しいのが多数ではないかと思います(男性でも知っているかどうかは何ともいえないですが)。
しかし、そのようなスタンスでは相談員としての役割・責務を果たしているとはいいがたいですね。
どんなことに対しても、できるだけ知っておくこと、そして知ろうとすることが重要です。
深い技術的なことは、さすがに専門家にまかせたらいいと思いますが、基本原則的なことは知っておくべきだと思います。

パソコンの中身を見たことはありますか?
デスクトップパソコンであれば、大手の専門ショップなどでは、中身が見えるような展示をしているところもあります。
パソコンはいくつかの部品(パーツ)でつくられています。
そのうち、データーを保存する部品が「ハードディスク」です。
分かりにくい場合は、フロッピーディスクを想像してください。データーを保存しますね。あの中身は円盤のようなものが入っていてクルクル回って、そこにデーターを書き込んでいます。ハードディスクはフロッピーディスクの大きなものと考えたらいいでしょう。

故障のパターンは大きく3通りあります。
①くるくる回る円盤が回らなくなり、正常に作動しない。
→ハードディスク自体の故障
②円盤は回っているのに、データーを読み込まず正常に作動しない。
→ハードディスク自体の故障よりも読み込むデーターのソフト的な故障
③パソコンは正常に起動したが、保存していたデータが読み込めない
→読み込むデーターのソフト的な故障

パソコンの場合、ウインドウズなどを起動させるデーターもハードディスクに入っているわけですので、当然ながら①と②の場合はパソコンが起動しません。
特に①の場合は完全に故障している可能性があり、基本的にはデーターの復旧は困難です。
②の場合は、何らかのソフト的な不具合でウインドウズが起動できない場合があります。
この場合はデーターの復旧がかなりの確立で可能です。
もっとも、リカバリーソフトを使って購入時に戻すというのがマニュアルですが、基本的にデーターもなくなりますので、したくないですね。メーカーに相談しても一般的にはリカバリーを助言されます。
この場合のデータ復旧作業は、パソコンに詳しければ全く問題なく作業できます。ただし、ある程度の専門的な知識が必要です。
パソコンからハードディスクをはずします(ノートパソコンは少し難しい)。正常に起動しているほかのパソコンに専用のUSB接続コードで接続します。外付けのデータとして中身が見れる可能性が高いです(見れなかったらハードディスク自体の故障の可能性が高く①となります)。そこから、必要なデーターを抜き出してコピーします。そして、元のパソコンに接続して、リカバリーソフトで初期化して購入時の状態に戻します。さきほどコピーしておいたデーターを移します。このコードは安ければ2000円程度で購入することができます。このときに、トラブルを起こしたハードディスクをそのまま使用するのが嫌なら、パソコンの専門店でハードディスクを買います。1万円もあれば購入できます。そして、新しいハードディスクを入れて、リカバリーソフトを使用します。
これで復旧完了です。
パソコンの知識がある人は、これらの作業は何の苦もなくできてしまいます。
私も実際に友人のパソコンのハードディスクの異音の発生で、ハードディスクが動かなくなる前に、作業をしました。ソートパソコンだったので部品をはずすのが大変でしたが。

さて、これらの作業に必要な費用は?
①の場合は超高額です。何十万や何百万の単位です。企業の重要データなどが対象です。作業方法としては、クリーンルームでハードディスクを開けて円盤を取り出します。その円盤を他のハードディスクや専用の機械で読み込みます。時間も必要で、ほとんど手作業です。これが冒頭に書いたデーター復旧会社のことです。ただし、円盤自体が海水でさびてしまったりした場合は復旧は難しいかもしれません。

②の場合は、メーカーではデーターの移し変えはしていません。したがって、専門のショップを探して依頼することになりますが、ほぼ人件費なのでピンキリですね。数万円から高くても10万円台程度じゃないでしょうか。

①②の場合で、データーの復旧をあきらめるのでハードディスクを交換して修理に出した場合は、メーカーでも対応可能です。もちろんデーターを破棄しますという誓約書を書かされます。費用は、5-7万円程度でしょう。そして、きっちり保証がつきます。
ハードディスクを購入して自分でやった場合は1万円程度です。
この差は技術料と保証でしょうね。私が修理してあげたパソコンもメーカーから5万円と見積もりがありましたが、部品代1万円程度で完了です。

この差を高いと見るか安いと見るかは相談員として重要な認識になります。修理代が高いという苦情に対して、うまく説明できるようになりましょう。ポイントとしては、相修理代が高いという気持ちを受け止めてあげつつも。技術料や人件費や保証について説明してあげることです。もちろん、不具合や不当に高額な請求については対応が異なるのは当然です。

私は自転車のパンク修理を例えるときがあります。
お店で修理してもらえば、500-1000円ぐらいでしょうが、お父さんが修理すればゴムパッチと接着剤程度で実費は数十円でしょうね。まさしく、人件費・技術料・保証です。

ちなみに③の場合は、ハードディスクのエラーのチェックツールがウインドウズにあるので、それらを使ったり、フリーソフトを使ったりして修復を試みます。復元ソフトを使ったりもします。これも、技術があるかどうかですね。デジカメのメモリーなどもこれに該当します。

 

消費者情報 2011年5月号 (関西消費者協会)

①特集 日本の消費者行政のかたち
・消費者庁・消費者委員会が発足して1年半が経過し、消費者行政がどのようにかたちづくられようとしているのか。
「地方消費者行政の充実」「国民生活センターの見直し」についての現状と提言がされています。
※私が消費者行政で重要だと考えるのは、ハードとソフトの連携です。ハードは消費生活センターをつくり運営体制を整えることで、これは、消費者安全法や基金によって、新たにセンターが設置されるなど一定の成果が上げられています。一方、ソフト面でいえば、消費生活相談員の資質の向上です。国や行政の施策はえらい人がしっかりやってくれると思いますが問題は最前線の現場です。消費者安全法で消費生活相談員が明文化され、基金によって研修を通じた資質の向上に取り組んでいます。しかし、相談員自身は以前と全く変わっていません。それどころか、社会の変化に合わせて進化すべきなのについていけてません。このブログでも散々主張しているところです。「仏を作って魂入れず」にならないように、相談員の真の資質向上を目指して欲しいです。もっといえば、たとえハードがなくてもソフトがしっかりしていれば、ハードが後から付いてきます。ソフトが悪ければハード後ごとなくなってしまいます。
※「国民生活センターの見直し」に多くの人が反対しているのが疑問でならない。みなさん、悪くなる悪くなるといっているが、逆に聞きたいのは、今は期待に沿えた国民生活センターなのか?国民生活センターの体質は憂慮すべきで、現状のままでは消費者行政の前進に支障が出ることは分かっている人にはわかっていると思います。別途記事を書きたいと思いますが、この機会にきちんとメスを入れて新しい体制を構築して欲しいと思います。

②コンシューマー・トピック
「なんだかおかしい定期券の中途解約」
・事情により定期券を中途解約する場合に払い戻し方法がおかしいのではないか
・関西と関東でも違いがある
※この問題は盲点で面白いですね。基本的に定期券は解約しないものと思っていますし、期間ごとに割引率が違い日割りにして精算を考えると訳分かりませんね。私も転勤に伴い、遠い場所へ通勤区間を変更したのですが、手数料とか全く考えずに変更しました。自己都合なので不利があるのは仕方がないと思ってましたので。あらためて、突き詰めると深い考え方だと思います。

③現場からの情報 相談
情報商材「投資ツール」の返金
・外国政府公認のギャンブルへの投資ーツールを20万円で購入。
・外国のツールだったので英語表記で、さらに高額な投資金が必要
・センターのあっせんにより返金された
※投資ツールはFXの自動取引がメジャーですが、競馬やロト宝くじも同様です。それらは、過去の出目を分析していることが多く、リアルタイムでのデーターではないので統計的に考えれば誰でもつくれそうでう。
※ギャンブルに勝つ方法は単純で、確立2分の1に勝つまで倍掛けするのです。資金があれば可能な話です。儲け話は理論上は可能なことがほとんどですが現実に実行できるかといえば難しいです。

④判例に学ぶ
敷引特約と消費者契約法10条-疑問の残る最高裁平成23年3月24日判決-
・「本件敷引き金の額が高額すぎると評価することはできず、本件特約が消費者契約法10条により無効であるということはできない」という判決です。今後もいろんな方が解説されると思います。重要判決です。
※結局、大方が期待していたものとは違う判決なってしまいました。最高裁判決だけに問題を残すものと思います。

⑤誌上レッスン 小論文に強くなろう!
新連載です(連載か単発かは不明ですが)。資格取得を目指す人のための小論文のコツを学ぶものです。
なかなか画期的な企画だと思います。
本当は、対象を消費生活相談員にしてもらいたかったというのはあります。相談員は上手に話はできるけど上手に文章を書くことが苦手な人が多いからです。
今後も期待して読んでいきたいと思います。論文も募集しているので応募してみてはいかがでしょうか。
ただし、企画を進めるうえでのネックが、応募が続くかどうかですね。対象者が狭いだけに対象の購読者が極端に少ない可能性があります。一般応募がなければ、企画が成り立たないですからね。

リンクはこちらです
関西消費者協会 http://kanshokyo.jp/hp/
消費者情報 2011年5月号

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