消費者情報 2011年5月号 (関西消費者協会)
①特集 日本の消費者行政のかたち
・消費者庁・消費者委員会が発足して1年半が経過し、消費者行政がどのようにかたちづくられようとしているのか。
「地方消費者行政の充実」「国民生活センターの見直し」についての現状と提言がされています。
※私が消費者行政で重要だと考えるのは、ハードとソフトの連携です。ハードは消費生活センターをつくり運営体制を整えることで、これは、消費者安全法や基金によって、新たにセンターが設置されるなど一定の成果が上げられています。一方、ソフト面でいえば、消費生活相談員の資質の向上です。国や行政の施策はえらい人がしっかりやってくれると思いますが問題は最前線の現場です。消費者安全法で消費生活相談員が明文化され、基金によって研修を通じた資質の向上に取り組んでいます。しかし、相談員自身は以前と全く変わっていません。それどころか、社会の変化に合わせて進化すべきなのについていけてません。このブログでも散々主張しているところです。「仏を作って魂入れず」にならないように、相談員の真の資質向上を目指して欲しいです。もっといえば、たとえハードがなくてもソフトがしっかりしていれば、ハードが後から付いてきます。ソフトが悪ければハード後ごとなくなってしまいます。
※「国民生活センターの見直し」に多くの人が反対しているのが疑問でならない。みなさん、悪くなる悪くなるといっているが、逆に聞きたいのは、今は期待に沿えた国民生活センターなのか?国民生活センターの体質は憂慮すべきで、現状のままでは消費者行政の前進に支障が出ることは分かっている人にはわかっていると思います。別途記事を書きたいと思いますが、この機会にきちんとメスを入れて新しい体制を構築して欲しいと思います。
②コンシューマー・トピック
「なんだかおかしい定期券の中途解約」
・事情により定期券を中途解約する場合に払い戻し方法がおかしいのではないか
・関西と関東でも違いがある
※この問題は盲点で面白いですね。基本的に定期券は解約しないものと思っていますし、期間ごとに割引率が違い日割りにして精算を考えると訳分かりませんね。私も転勤に伴い、遠い場所へ通勤区間を変更したのですが、手数料とか全く考えずに変更しました。自己都合なので不利があるのは仕方がないと思ってましたので。あらためて、突き詰めると深い考え方だと思います。
③現場からの情報 相談
情報商材「投資ツール」の返金
・外国政府公認のギャンブルへの投資ーツールを20万円で購入。
・外国のツールだったので英語表記で、さらに高額な投資金が必要
・センターのあっせんにより返金された
※投資ツールはFXの自動取引がメジャーですが、競馬やロト宝くじも同様です。それらは、過去の出目を分析していることが多く、リアルタイムでのデーターではないので統計的に考えれば誰でもつくれそうでう。
※ギャンブルに勝つ方法は単純で、確立2分の1に勝つまで倍掛けするのです。資金があれば可能な話です。儲け話は理論上は可能なことがほとんどですが現実に実行できるかといえば難しいです。
④判例に学ぶ
敷引特約と消費者契約法10条-疑問の残る最高裁平成23年3月24日判決-
・「本件敷引き金の額が高額すぎると評価することはできず、本件特約が消費者契約法10条により無効であるということはできない」という判決です。今後もいろんな方が解説されると思います。重要判決です。
※結局、大方が期待していたものとは違う判決なってしまいました。最高裁判決だけに問題を残すものと思います。
⑤誌上レッスン 小論文に強くなろう!
新連載です(連載か単発かは不明ですが)。資格取得を目指す人のための小論文のコツを学ぶものです。
なかなか画期的な企画だと思います。
本当は、対象を消費生活相談員にしてもらいたかったというのはあります。相談員は上手に話はできるけど上手に文章を書くことが苦手な人が多いからです。
今後も期待して読んでいきたいと思います。論文も募集しているので応募してみてはいかがでしょうか。
ただし、企画を進めるうえでのネックが、応募が続くかどうかですね。対象者が狭いだけに対象の購読者が極端に少ない可能性があります。一般応募がなければ、企画が成り立たないですからね。