パソコンの知識 「データーの復旧」

今回の震災で多くの企業がパソコンが海水につかったために貴重なデータが失われてしまい、データー復旧会社にデーター回復を依頼するという事案が起こっており、データー復旧会社は大忙しと報道されています。

相談現場でも、パソコンのデーターににまつわる相談は定番ですね。
パソコンの故障時にデーターを失ってしまったり、修理のときにデーターが失われてもかまわないとサインさせられたり、デジタルカメラなどのデーターカードの内容が消えてしまったり、メモリーカードを写真屋に出したら誤まって消されてしまった、などの相談があります。
今回はパソコンのデーターの破損や復旧について説明したいと思います。

相談員がパソコンに関する相談を受けたときに、まず考えることは、「パソコンには詳しくないので...」と、消極的になります。
確かに女性はパソコンや自動車・バイクなどメカニカル的なものについての知識は乏しいのが多数ではないかと思います(男性でも知っているかどうかは何ともいえないですが)。
しかし、そのようなスタンスでは相談員としての役割・責務を果たしているとはいいがたいですね。
どんなことに対しても、できるだけ知っておくこと、そして知ろうとすることが重要です。
深い技術的なことは、さすがに専門家にまかせたらいいと思いますが、基本原則的なことは知っておくべきだと思います。

パソコンの中身を見たことはありますか?
デスクトップパソコンであれば、大手の専門ショップなどでは、中身が見えるような展示をしているところもあります。
パソコンはいくつかの部品(パーツ)でつくられています。
そのうち、データーを保存する部品が「ハードディスク」です。
分かりにくい場合は、フロッピーディスクを想像してください。データーを保存しますね。あの中身は円盤のようなものが入っていてクルクル回って、そこにデーターを書き込んでいます。ハードディスクはフロッピーディスクの大きなものと考えたらいいでしょう。

故障のパターンは大きく3通りあります。
①くるくる回る円盤が回らなくなり、正常に作動しない。
→ハードディスク自体の故障
②円盤は回っているのに、データーを読み込まず正常に作動しない。
→ハードディスク自体の故障よりも読み込むデーターのソフト的な故障
③パソコンは正常に起動したが、保存していたデータが読み込めない
→読み込むデーターのソフト的な故障

パソコンの場合、ウインドウズなどを起動させるデーターもハードディスクに入っているわけですので、当然ながら①と②の場合はパソコンが起動しません。
特に①の場合は完全に故障している可能性があり、基本的にはデーターの復旧は困難です。
②の場合は、何らかのソフト的な不具合でウインドウズが起動できない場合があります。
この場合はデーターの復旧がかなりの確立で可能です。
もっとも、リカバリーソフトを使って購入時に戻すというのがマニュアルですが、基本的にデーターもなくなりますので、したくないですね。メーカーに相談しても一般的にはリカバリーを助言されます。
この場合のデータ復旧作業は、パソコンに詳しければ全く問題なく作業できます。ただし、ある程度の専門的な知識が必要です。
パソコンからハードディスクをはずします(ノートパソコンは少し難しい)。正常に起動しているほかのパソコンに専用のUSB接続コードで接続します。外付けのデータとして中身が見れる可能性が高いです(見れなかったらハードディスク自体の故障の可能性が高く①となります)。そこから、必要なデーターを抜き出してコピーします。そして、元のパソコンに接続して、リカバリーソフトで初期化して購入時の状態に戻します。さきほどコピーしておいたデーターを移します。このコードは安ければ2000円程度で購入することができます。このときに、トラブルを起こしたハードディスクをそのまま使用するのが嫌なら、パソコンの専門店でハードディスクを買います。1万円もあれば購入できます。そして、新しいハードディスクを入れて、リカバリーソフトを使用します。
これで復旧完了です。
パソコンの知識がある人は、これらの作業は何の苦もなくできてしまいます。
私も実際に友人のパソコンのハードディスクの異音の発生で、ハードディスクが動かなくなる前に、作業をしました。ソートパソコンだったので部品をはずすのが大変でしたが。

さて、これらの作業に必要な費用は?
①の場合は超高額です。何十万や何百万の単位です。企業の重要データなどが対象です。作業方法としては、クリーンルームでハードディスクを開けて円盤を取り出します。その円盤を他のハードディスクや専用の機械で読み込みます。時間も必要で、ほとんど手作業です。これが冒頭に書いたデーター復旧会社のことです。ただし、円盤自体が海水でさびてしまったりした場合は復旧は難しいかもしれません。

②の場合は、メーカーではデーターの移し変えはしていません。したがって、専門のショップを探して依頼することになりますが、ほぼ人件費なのでピンキリですね。数万円から高くても10万円台程度じゃないでしょうか。

①②の場合で、データーの復旧をあきらめるのでハードディスクを交換して修理に出した場合は、メーカーでも対応可能です。もちろんデーターを破棄しますという誓約書を書かされます。費用は、5-7万円程度でしょう。そして、きっちり保証がつきます。
ハードディスクを購入して自分でやった場合は1万円程度です。
この差は技術料と保証でしょうね。私が修理してあげたパソコンもメーカーから5万円と見積もりがありましたが、部品代1万円程度で完了です。

この差を高いと見るか安いと見るかは相談員として重要な認識になります。修理代が高いという苦情に対して、うまく説明できるようになりましょう。ポイントとしては、相修理代が高いという気持ちを受け止めてあげつつも。技術料や人件費や保証について説明してあげることです。もちろん、不具合や不当に高額な請求については対応が異なるのは当然です。

私は自転車のパンク修理を例えるときがあります。
お店で修理してもらえば、500-1000円ぐらいでしょうが、お父さんが修理すればゴムパッチと接着剤程度で実費は数十円でしょうね。まさしく、人件費・技術料・保証です。

ちなみに③の場合は、ハードディスクのエラーのチェックツールがウインドウズにあるので、それらを使ったり、フリーソフトを使ったりして修復を試みます。復元ソフトを使ったりもします。これも、技術があるかどうかですね。デジカメのメモリーなどもこれに該当します。