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消費者庁長官の記者会見(2月20日分)

重要度:中
※行政資料の重要度を個人的に分類

消費者庁のHPに、週に1回、消費者庁長官の記者会見の要旨が公表されています。
内容は「いわゆる脱法ドラッグの通信販売サイトに対する特商法に基づく集中的な取締り」についてということで、あまり重要ではありませんが、質疑応答の中で気になる発言がありましたので紹介します。
出典元となる会議の議事録の公表に時間がかかったので、今の紹介になりました。

消費者庁HP
http://www.caa.go.jp/
トップページの新着情報からでもリンクしています。
トップ > 活動について > 大臣等記者会見
http://www.caa.go.jp/action/kaiken/index.html

トップ > 活動について > 大臣等記者会見 > 阿南消費者庁長官記者会見要旨(平成25年2月20日(水))
阿南消費者庁長官記者会見要旨
(平成25年2月20日(水)14:00~14:25 於)消費者庁6階記者会見室)
http://www.caa.go.jp/action/kaiken/c/130220c_kaiken.html
2.質疑応答(抜粋)


消費生活センターの民間委託の件ですが、最近はNPOとかではなくて、株式会社とか派遣業者、営利企業の例があると。相談員の方々の中で懸念されているということで、営利企業だと効率化が求められるので、斡旋とか、そういう非効率的な相談業務については敬遠されるのではないかとか、当該企業の中で全国のPIO-NET情報の内容が知られるんじゃないかとか、そういう懸念があるということで、何らかの対策というのが必要ではないか、求めていきたいということ。これは消費者委員会の懇談会の中で、消費者団体の方がおっしゃっていたことなんですけれども、消費者庁は昨年、消費者行政の充実に向けた指針を出されて、その中で民間委託についても出されています。何か対策とか、あるいは今後の方向性とか、検討されること、あるいはこの民間委託、つまり今までと違う営利企業が入る、そういう傾向があることについて、どういうお考えがあるかお聞きしたいんですけれども。

消費生活センターの委託については、地方自治体がそれぞれ判断してやるということになっています。今、丸田さんがおっしゃったような情報は、消費者庁としてもつかんでおりますけれども、そうした情報などを引き続き収集しながら、中身について、自治体とも話をしていきたいと思っている、まだその段階です。

消費者委員会の懇談会の中で、消費生活センターがNPOだけでなく、株式会社等の民営利企業に委託する例があり、相談業務の質の低下や民間企業にPIO-NETの情報が知られる懸念がある、との話があったということです。

この質疑に興味がわいたので出典元を探したところ、消費者委員会でたびたび行われている「消費者委員会委員と消費者団体ほか関係団体等との意見交換会」のことのようです。

消費者委員会HP
内閣府ホーム > 審議会・懇談会等 > 消費者委員会 > 消費者委員会会議資料
http://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/

該当する会議は
消費者委員会委員と消費者団体ほか関係団体等との意見交換会(2013年2月12日)
消費者委員会の活動状況等に関する意見交換
(全国消費者行政ウォッチねっと、公益社団法人全国消費生活相談員協会、全国消費者団体連絡会、公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会)
http://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2013/001/shiryou/index.html

該当する資料と議事録を抜粋します
【資料2】 全国消費生活相談員協会提出資料(PDF形式:149KB)
http://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2013/001/doc/112_130212_2_shiryou2.pdf

〇 最近の消費者問題における最近の関心事項について
2 地方消費者行政・消費生活センターの充実
②消費生活センターの民間委託(民間企業への委託)に対策が必要。
・従来からも民間委託はあったが、委託先が消費者団体や消費者関連NPOなど、消費者相談の知見を有している団体に委託していた。しかし最近は、営利企業等が相談業務を受託する事態が起きており、「効率化」を目的とすることが顕著になりつつある。
・主な懸念点は3点。
(1)中立性、公平性
(2)消費生活相談の質
・消費生活センターは紛争解決を目的とするところに特性と存在意義がある。
・消費者相談では、消費者の相談に対応して、以下の方法で解決を図る。

・専門的かつ具体的助言を行って、消費者が自主的に事業者と交渉することを支援し解決を図る
・事案によっては、消費生活センターが中立的立場から消費者と事業者の間に入り(消費者の後見的立場)、あっせん交渉を行って解決を図る
・消費生活センターでは対応困難な場合は他の機関を紹介する、またはその他の情報提供をする

・とくに「あっせん」を行うのが、消費生活相談が他の相談窓口(法テラス、行政相談等)とは明らかに異なる機能。(消費生活相談=行政型ADRの原型)
・あっせんは、消費生活相談員が電話で行ったり、面談(3 者面談を含む)をして行うが、消費生活相談員の知見と説得力等が不可欠となり、また時間も相当かかる。
・あっせんは効率的ではないことが多い。
・現状、消費生活相談の質を測る物差しがない。
・候補としてはあっせん率、被害回復(未然防止〉金額などがあるだろう。物差しについては従来は問題になることが少なく議論少なかった。多数の消費生活センターでは、物差しとしての適正性を問う意見・認識があり、あっせん率等を意識して取り組んでいない。
(3)情報の保守等
・当該企業が PIO-NET 情報を通じ、全国の消費生活相談の内容を知ることができる。情報の保守に疑念が生じないか、消費者行政との関係において不測の事態が生じないかの懸念が払拭できない。

以上から言っても、地方消費者行政の厳しい財政状況では、効率化のもとに民間委託の傾向がますます進行すると予測され、消費者行政充実の観点から緊急に一定の対策を行う必要がある。

議事録

http://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2013/001/gijiroku/index.html
○全国消費生活相談員協会 丹野理事長 資料を出しておりまして、資料2になります。「消費者委員会との意見交換会資料」ということで4ページばかりのものをつけております。最初に事務方に確認したら、数分でというお話がございましたので、数分でしゃべれるだけの分量にいたしましたので、主なものだけをここに掲げております。
2番目が、地方消費者行政・消費生活センターの充実でございます。マル1にありますように、活性化基金の継続はもとよりでございますが、やはり大きく関心を持っているのはマル2でございまして、消費生活センターの民間委託、特に民間企業への委託というのが実際に行われ始めましたので、これについて懸念点を挙げております。
懸念点は3つありまして、中立性、公平性、消費生活相談の質です。質が維持できるかというのが相談員の団体として関心があり、そこを大きく懸念しております。あっせんというのを我々は行いますが、そのあっせんが本当に民間企業になったときに行われるだろうかという懸念を持っております。
それから、同じ民間委託の話でございますが、情報の保守、特にPIO-NETの情報については、当該企業が見ることができるというのはどうなのか、ということがあります。我々がいくら大きな声で言っても、やはり地方の消費者行政の財政状況は厳しいので、効率化という観点でますます民間委託を行うだろう。それに対して一定の対策が必要だと思っております。

この意見に対する反応は特にありませんでした。
その反応が記者会見の質疑応答になるのでしょうね(答らしい答になっていませんね)。

ちなみに、次の回の意見交換会もチェックしましたので相談員関係の部分を抜粋して紹介します。
消費者委員会委員と消費者団体ほか関係団体等との意見交換会(2013年2月26日)
消費者委員会の活動状況等に関する意見交換
(消費者支援ネット北海道、埼玉消費者被害をなくす会、消費者ネット広島、消費者支援機構福岡、大分県消費者問題ネットワーク)
http://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2013/002/gijiroku/index.html

大分県消費者問題ネットワーク

【資料5】 大分県消費者問題ネットワーク提出資料
(資料5-2) 意見交換会でお伺いしたい事項(PDF形式:100KB)
http://www.cao.go.jp/consumer/iinkai/2013/002/doc/113_130226_2_shiryou5-2.pdf
意見交換会でお伺いしたい事項
○貴団体における、現在の活動状況について
週 2 回の相談業務(大分市、別府市の 2 カ所)
平成 24 年度消費生活相談員養成研修受託中
○貴団体の消費者問題における最近の関心事項について
個々の消費者問題というよりも、大分県下で現実に活動している消費生活相談員の育成(絶対数が足りない)、スキルアップにどう関われるか、が最近の関心事項。

議事録

○大分県消費者問題ネットワーク井田理事長 私どもの団体の資料としては、5-1と5-2でございます。
私どもが今、差止業務以外で一番力を入れているのが、相談員の育成と申しましょうか、10ページのところです。私どもの団体は、平成21年度から4年連続で消費生活相談員養成研修を大分県から受託いたしました。その成果としては、消費生活専門相談員認定試験の大分県下での合格者は4年間で18名ですけれども、そのうち11名は私どもの研修の卒業生であったり、在籍中の研修生でございますので、一定の成果は上がっているのではないかと思います。
相談員をそういう形で養成していくことによって、研修を受けた相談員が実際に自治体で相談を受ける。被害相談が上がってきて、場合によっては我々の団体が対応するという形で、私どもの活動において、重要なものの一つとして情報提供がありますけれども、日ごろから顔の見える関係を継続していると、情報も上がってきやすくなるのではないかという形です。こういう関係を今後も続けていきたいと思っております。特に、今、議論がございます集団的被害回復制度などができますと、なお一層、現場からどうやって被害を吸い上げるかということが重要になってくると思うので、育成業務は今後も続けていきたいと思っています。
資料5-2は、意見交換会でお伺いしたい事項ということですけれども、現在の活動状況につきましては、今、お話ししたとおりでございます。消費者問題における関心事項としては、個々の消費者問題というよりも、消費生活相談員の育成で、「絶対数が足りない」と書きましたけれども、大分県下では試験に合格した方が20名いません。ですから、もう少し合格者を増やして、実際に窓口で研鑽を積んでもらうのが急務だと考えております。ここをどういう仕組みをつくっていくかが団体としての一つの関心事項です。
また、その他、意見に関しましては、地方消費者行政の活性化に私どもの団体は非常に関心がございます。現場の相談員としては、身分が不安定であるということもありまして、なかなか落ち着いて学習ができない。身分の不安定さというのはやはり余りよろしくない影響を与えていると思いますので、この点に関して、今後も建議などをしていただければと思っています。

相談員資格の合格者の増加と現場の相談員の確保・育成というのが課題とのことですが、全国的にも同じ傾向ですね。では、どうすればいいのか?というところまで踏み込めていないのが今の消費者行政の人材育成の問題点だと思います。
私自身は、その具体的な行動をおこしている一人として、相談員の人材育成に貢献できたらいいなあと思っています。

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「基金の延長」と「雇い止めの見直し」について

重要度:高
※行政資料の重要度を個人的に分類

2月27日付で消費者庁長官より2つの通知が出されました。
(消費者庁HPでの公表は3月1日)
この2つの通知はともに地方消費者行政にとって大きな意義があります。
一方、実効性はどうかな?と思ったりします。

消費者庁HP
ホーム > 地方協力課 > 地方消費者行政活性化基金
http://www.caa.go.jp/region/kikin.html
地方消費者行政に対する国の財政措置の活用期間に関する一般準則について[PDF:156KB]
(平成25年2月27日付 各都道府県知事あて)
http://www.caa.go.jp/region/pdf1/8.jyunsoku.pdf

通知内容のポイントとしては、基金の活用期間を延長するという簡潔なものです。
もともと21年度から23年度までの3年間であったものが1年延長され今年度までとなっていましたが、項目により異なりますが、例えば相談員のスキルアップに関連する「消費者生活相談員養成事業」や「消費者生活相談員等レベルアップ事業」は7年間に延長されました。ということは、25年度から27年度までのあと3年間ですね。
(財政力が弱く、かつ小規模な市町村については、さらに2年延長)
ただし、画期的なペナルティ制度があり、もうひとつの通知にもあるとおり、「雇い止め」をしている自治体は活用期間が2年間短縮されるとのことです。すなわち、あと3年ではなく、あと1年になるということですね。

これをどう評価したらいいのかは現時点では判断しにくいです。
なぜなら、多くの自治体では今年度終了の基金を消化してしまっている可能性が高いからです。年度初めの通知なら変更もあったかもしれないですが、すでに年度終わりの1月や2月に言われても、各自治体の予算消化や決算見込みの事務仕事が着々と進んでおり、市町村から各都道府県への予算の執行状況も佳境に入っていると思われます。
今更、余った予算を来年度に持ち越すことは難しいのではないかと思ったりしますし、市町村で消化しきれなかった基金を都道府県が一旦集めて、来年度以降に再配分するという手続も間に合うのかどうか。

また、24年度補正予算で上積みされた基金(60億円?)については各都道府県で予算要望した後、3月に国からの配分が決定されると思いますが、実際にどこまで予算を要望しているのかはわかりません。
当初から基金自体を消化するのが結構大変で何とか消化できたということもあるかもしれませんので、さらに予算を要望するかどうか、そして各自治体でそれが間に合っているのかどうかは表にまだ出ていないのでよくわかりませんね。
ただ、人件費や研修費用にあてられるので各センターとしては追加で欲しいところでしょうが、興味深いです。

消費者庁HP
ホーム > 地方協力課 10.その他
http://www.caa.go.jp/region/index.html#m08
消費生活相談員に対するいわゆる「雇止め」の見直しについて(平成25年2月27日 消地協第26号)[PDF:133KB]
各都道府県知事・市長村長あて
http://www.caa.go.jp/region/pdf/130227yatoidome.pdf
抜粋

・さて、消費生活の現場である地域において、消費者の安全・安心を守っているのは、消費生活相談や啓発等を担っている消費生活相談員であることは申し上げるまでもありません。
消費生活相談員には、関係する法令や制度を含めた、複雑化、高度化する消費者問題に関する専門的な知識だけでなく、聴き取り、助言、説得、事業者との交渉などの実務経験の積み重ねがあって初めて習得できる技能も求められます。
・各地方公共団体におかれては、基金を活用いただきつつ、一般準則の趣旨も踏まえ、再度任用する回数に関して一律に制限を設けることなく、消費生活相談員の専門性に配慮した任用をしていただきますよう、重ねてお願いいたします。
あわせて、指定管理者制度等により地方公共団体が消費生活相談員を直接任用していない場合についても、直接任用している場合と同様、消費生活相談員がその果たしている役割に見合う処遇を受けられるよう引き続き、配慮をお願いいたします。

消費生活相談員に対するいわゆる「雇止め」の見直しについて(依頼)」(平成24年8月28日付け消地協第107号)の通知を尊重しなさいよという趣旨ですね。
この2年間のペナルティが効果的かというと関係ないような気がしますが、もし、センターが各自治体に処遇改善を要望するなら一つの説得材料になるかもしれません。ただし、相談員の要望ではなく、相談員の要望を汲み取ったセンターが自治体に制度改革を要望するなら材料になると思いますが、センター自体が積極的でない場合、というかほとんどが積極的ではないと思いますが、結局のところ、絵に書いた餅になるのではないいかと思います。
これらの問題は「相談員資格の見直し」とも関連していると思います。

このような基金延長の措置がされたとはいえ、地方のセンターや1人相談員のセンターなどは、そもそも研修を受ける機会も少ないので大して変わらないような気がします。
やはり、行政に頼るのではなく、自力でスキルアップするという強い意志を持つことが大切だと思います。

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