がんばりすぎない

怖い思いをした、恐喝のような行為をされた、無理やり契約させられた、暴言を吐かれた、などなど
消費者と事業者、相談者(消費者)と相談員、どちらにも当てはまることです。

脅迫的行為があった場合に警察に通報することを考えると思います。
しかし、相手は怖がらせているつもりはなかった、と言います。
そんな場合、警察は立件が難しくなります。

その原因は、怖い思いをしても、思っているだけで、怖いという意思表示をしていないからです。
何を言われても、がんばって対抗しているのです。
がんばって対抗しているので、怖がっているとはならないのです。

民法の動機の錯誤も、動機を相手に明確に意思表示していなければ、認められる可能性はあまりありません。
これと同じで、怖いということを相手に意思表示してこそ、脅迫が認められるのです。
がんばりすぎてはいけません。
「不退去による困惑」「退去妨害による困惑」の場合も同じですね。

さて、相談員の場合、質の悪い「対事業者」や「対相談者」から暴言を吐かれることがあります。
けんかするわけには行かないので怖い思いをします。
しかし、怖い思いをしているものの、がんばって闘っているのです。
法律を並べたり、理屈を並べたりしてがんばります。
がんばっているので、脅迫にはならないのです。
警察に通報したくても、理由として、「怖い思いをした」という意思表示を相手にしていなければ、お互い言い分を主張しあっているに過ぎないのです。
がんばらずに、素直に、『怖い』という意思表示をしてみることも考えてください。

そして、相談者に対しては、相談者の希望がかなわないときに、相談員をターゲットにしてしまいます。
これはバランス理論でも説明しましたが自然な思いからきてしまいます。
大きな声でののしったり、差別的発言をしたりします。

怖いときには怖いと意思表示することで、不当要求行為をうけていることの要素になります。
ただし、注意しなければならないのは、単に声が大きいから「怖い」、言葉使いが悪いから「怖い」、の「怖い」とは少し違います。
この場合は、その人んp日常の言葉づかいかもしれません。
世の中、上品な人ばかりではありません。
そんな場合に「怖い」というと、相談員の対応に関してのクレームになってしまいます。

相談員は正義のために非常にがんばります。がんばっても無理そうな場合は「がんばらない」という選択肢もあることを心にとめておいてください。

劇場型

劇場型の詐欺。

社債や未公開株の購入や買取を次々に勧誘してくる手口ですが、被害者は多いですね。
今回は詐欺の内容についての話ではありません。
相談員なら誰でも知っている「劇場型」という言葉を、あたりまえの常識の誰でも知っている言葉として相談者と話をしていませんか。
高齢者に「今はやりの劇場型詐欺ですね」と言ってませんか?

「劇場型」という言葉は、誰もが知っている言葉ではありません。
消費者問題やニュースに詳しい消費者なら知っているかもしれませんが、そんな消費者はだまされることがありませんし、消費者センターに相談に来ることもありません。
被害にあったり、勧誘があったりして相談に来る消費者は「劇場型」という言葉は知りません。
意識しないでおくと、相談員の説明も専門用語を並べた難しい説明になります。

消費者センターに相談に来る消費者の知識レベル・情報レベルは決して高くありません。
対して、相談員の知識レベルはとても高いです。

相談員視線ではなく、相談者目線で話をしてください。

参照
専門用語を分かりやすく伝える 2010年8月1日(日)
https://soudanskill.com/20100801/73.html

覚えのないもの その1

この請求覚えがないのですが
覚えのない郵便が届いたのですが
などなど、消費者センターには覚えのないものの問い合わせが結構あります。
今回は、この覚えのないものに対する考え方と対応法についてメモします。

「携帯電話の覚えのない電話料金・パッケト料金」

携帯電話が普及し始めた頃、3~4年ほど前でしょうか、多かった相談です。

クローン携帯は基本的には存在しません。しかし、相談者はクローン携帯に違いがないといいます。
家族も誰も使っていないといいます。
誤請求に違いない。
携帯電話会社は何も対応してくれず、使ったものは払えという。
納得できない。
消費者のいうことは聞いてくれないので消費者センターから言ってほしい。
などなど。

この正体は、ずばり、覚えのある請求です。
このような相談に対する対応は、使っているという形跡を探してあげることです。

まず、携帯電話自身の履歴を確認する。
請求書の電話番号を確認する。
ネットの接続先のリストや生アドレスを手順に従って請求する。
それらの書類から、どんなサイトにつながっているかを推測する。
ニューズ番組だったり情報番組だったり、ゲームのアプリだったり。
そして、携帯の管理方法を聞く。
家族と共用していないか聞く。
家族の趣味嗜好と番組を比較する。
特に子どもが使ってそうな番組か確認する。
子どもは最初は使っていないと必ず言います。
犯人探しをすると真実は見えてきません。

そうすると、「あっ!」という反応が出ることがあります。

私は基本的に「覚えのない請求」はないと思います。
単に「使った覚えがない」だけで、実は使っているのだと思います。
いかに、使っている形跡を探してあげることが相談員の実力の見せ所ではないかと感じます。

(平成23年6月20日 初稿)
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