2012年12月25日
/ 最終更新日時 : 2014年10月22日
管理人
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前回の記事を必ず読んだ上で、今回の記事を読み進めてください。
「赤ちゃんの泣き声は騒音か」 その1 2012年12月3日(月)
ポイント
・相談内容を「事実」と「感情」とそれらからくる「要望(要求)」とに分けて考える
・「事実」というのは誰から見ても変わらないもの→コントロールすることができない→法令(ルール・きまりごと)に基づくものかを判断する
・「感情」というのは人によって変わっていくもの→コントロールすることができる(賛否が分かれる)
・「事実」や「感情」から発生した「要望(要求)」は、すぐに対応できるものか法律改正までの大きな問題かを見極める。
・「要望(要求)」が法令に基づくことや法令にに違反すること、非常識なものの場合は淡々と対応する。相手の「要望(要求)」は認めないが、そう感じている感情を受け入れてあげ、何らかの行動をとることで納得を得る。
・何らかの行動とは、例えば国の管轄する部署に伝えておきます、PIO-NETに入力して全国の消費者センターで情報を共有します、などこちらに負担がかからないことを上手く納得してもらえるように説明する。
結果として今回のJALの対応は大人な対応で、コミュニケーションの基本ともいえると思います。
以下に、本文を順番に引用しながら解説したいと思います。なお、私の目的はこの方を批判することではなく、相談員としての立場でどう考えて行動すべきかという教材として活用しています。リアルな話は非常に参考になります。ただし、かなり辛口に評価していますが、他意はありませんのでご了承ください。
◆飛行機の搭乗マナーは守られてる?◆
「あなたとこれ以上、話しても埒が明きません。かたちだけ、『申し訳ございません、努力してまいります』とか頭を下げても、どうせ何もしないでしょ? 私は、頭を下げさせて溜飲を下げて終わり、なんてことでは納得しません。クレームをつける以上は、自分の名前を出して責任をもちます。だから結果を出してほしい」
できないことやその場で判断できないことを要望(要求)する典型的な対応の難しい人と考えます。
元公務員とか元学校の先生とか元有名企業の技術者だとか、社会的地位のあったプライドの高い人、特に退職後の男性に該当することが多いかもしれません。
(退職した人がなぜこのようなクレーマーになるのかは理由があるのですが、それはクレーマー対応のシリーズで説明したいと思います)
よくあるパターンとして、肩書きをちらつかせる、自分がやってきた実績を示す。求めてもいないのに、肩書きの並んだ名刺を出す。
「私はクレーマーではなく社会的な地位のある人間だ。私の言うことは正しいので、それを認めなさい。社会人の先輩である私が未熟なあなたに教えてあげる。むしろ感謝しなさい」というところですね(上から目線が多い)。
また、こちら側の身分の高い責任者が対応することに満足感を持ちます。
ここで、JALの
「かたちだけ、『申し訳ございません、努力してまいります』とか頭を下げても」
というJALの側の返答には2種類あると思います。
一つは「単純に能力のない担当者の対応」、もう一つは「すべて見通した上での対応」です。
今回は後者の方でしょう。
⇒こちらがいくら正しい話をしても、あげあしを取ったりして、絶対に認めないので、とにかく、相手の話を否定しない。否定しないが正しくないものは認めない。あげあしを取られないように余計なことは言わない。最後に相手を認める部分を探してあげる。
JALの以下の対応がこれに当たります。この記事でのJALの発言を抜粋してみましたが、すべてがそれに該当します。
引用記事の中に答えはすべて出ていますね。見る人が見たらとすぐに全体像が分かりますね。
・「私どもとしましては、すべてのお客さまに快適にお過ごしいただけるよう、精いっぱい努力させていただいております」
・「お子さまをお連れの方には、機内でのマナーをまとめた『mama&baby』という冊子をお渡しし、ご協力をお願いしています」
・「いえ、ファーストクラスでも、音はどうにもできません。個室のようにみえても、・・・(中略)・・・という航空法の規定によるものです。これは、万一の際に避難の妨げとなるものがあってはならないという、お客さまの安全を守るための規定なんです」
・「公共交通機関である私どもから、乳幼児のご搭乗を規制することはできません」
相手を認めてあげる部分が以下になります。こぶしを下げるタイミングを探しているという感じですね。
・「なんていうことを私的には発信していこうと思うんですが、こんなクレーマーでも、また乗せてくれる?」。そういったら、「ぜひ!」といってくださいました。
この冒頭の部分でほとんどの答が出ていると思います。
その赤ちゃんは、たぶん1歳くらい。どうしてそんな体力が、と思うくらいに離陸から泣き叫び通しだった。
この部分は本題とは異なりますので雑談として読んでください。
赤ちゃんが泣くのは仕事だ。当たり前だといいます。その理由の一つとして、発育発達の過程で赤ちゃんは泣くことによってコアを鍛えているのです。横隔膜や腹筋をトレーニングしているのです。話すことができないので泣くことで自分の意思を伝えようとします。おなかがすいているのか、オムツが濡れて気持ち悪いのか、お母さん・お父さんは、泣き方によって赤ちゃんの意思を汲み取ることができるのです(できない場合は親としてできるようにつめなければなりません)。
ちなみに、みなさまも床に仰向けに寝転んで膝を三角にし、両手をおなかにおいて、大きな声で1から10まで数えてください。これはれっきとしたコアトレーニングのメニューになります。