「赤ちゃんの泣き声は騒音か」 その3(解説)

引用③

(事実)赤ちゃんが泣き叫び通しだった
(感情)ブチ切れてしまった
(事実)客室乗務員さんが母親と一緒にあやしても泣きやむ気配はない
(事実)逃げ込む場所もない
(感情)私は耐えられなかった
(事実・・・違反行為)着陸準備中の機内を、出口に向かって走り始めた
(要望・・・常識問題)あなたのお子さんは、もう少し大きくなるまで、飛行機に乗せてはいけません。赤ちゃんだから何でも許されるというわけではない
(感情)陸に降りても、激しくクレームをし続けたのでした。

(要望・・・法律問題)「飛行機のなかに、音の漏れないコンパートメントをつくるとか、子供を乗せる場合は、子供が騒いだときに寝かしつけられる薬を親にもたせるように周知徹底するとか、できないの? 2歳以下は乗せないとか……」

(大人な対応)「私どもとしましては、すべてのお客さまに快適にお過ごしいただけるよう、精いっぱい努力させていただいております」

(要望・・・法律問題)「それじゃダメ! 具体的にどう努力するか知りたい。案がないなら私が考えるし、必要なら航空法とか変えさせる! このまま100年、あの状態を放置するつもり!?」

(要望・・・常識問題)あなたのお子さんは、もう少し大きくなるまで、飛行機に乗せてはいけません。赤ちゃんだから何でも許されるというわけではない
「赤ちゃんが泣いている」という事実に対して、それを受け止めることができるのかできないのかという「感情」は個人個人によって異なります。
赤ちゃんが泣いているのに保護者が何もせず放置しているのならマナーの面からも受け止めない人がいるかもしれませんが、ある程度努力していますので、今回の場合は、「人」として理解してあげるべき話だと思います。怒りたい気持ちはみんなある程度持っていると思いますが、「怒る」か「受け止める」かを決めるのは個人の意思です。通常このような場合は受け止めるという考えが大半になると思います。そのような中で怒っても、周りがそれを支持してくれることは今回に限ってはないと思います。「空気を読む」ということですね。すなわち、あなたの意見に対して、どれだけの支持を得られるかというところです。

(感情)ブチ切れてしまった
(感情)私は耐えられなかった
(感情)陸に降りても、激しくクレームをし続けたのでした。
(感情)のぶつけ先を、保護者から客室乗務員、そして最終的に法律等のルールへと順番にぶつけています。
「お母さんが悪い→個室がないなど対応できない客室乗務員や航空会社が悪い→そもそも赤ちゃんを乗せることができる法律が悪い→だから社会的な問題として議論したい」という論法になっています。相手側にこれといった問題がなかった場合は、こういう論法でしか、自分のクレームを正当化できないからです。
逆に、こちらとしては法律のあり方までいってくれたら、その場ではどうすることもできないので楽かもしれません。

(要望・・・法律問題)「それじゃダメ! 具体的にどう努力するか知りたい。案がないなら私が考えるし、必要なら航空法とか変えさせる! このまま100年、あの状態を放置するつもり!?」
→ほとんど捨て台詞のような感じですね。行動パターンがわかりやすいですね。

引用④

そして私は、航空法や飛行機の現状を確認すべく取材を申し込み、JAL広報部の方々に会っていただけることに。しかも、「宇宙への旅が可能な時代に、なぜ飛行機に音の漏れない個室がつくれないの? 機体を検分させて、納得させてください」という私のムチャな希望に応え、整備中の機体を案内してくださったのです。

「どうして個室がつくれないのですか? ファーストクラスはそもそも個室でしょう?

「いえ、ファーストクラスでも、音はどうにもできません。個室のようにみえても、上部空間はオーブンなんです。これは、『離陸及び着陸のために着席可能なすべての乗客用座席とすべての乗客用非常脱出出口とのあいだには、いかなる避難経路(通路、交差路及び座席列間の通路を含む)も横切るような扉を装備してはならない』という航空法の規定によるものです。これは、万一の際に避難の妨げとなるものがあってはならないという、お客さまの安全を守るための規定なんです」

ええ? ファーストクラスに乗ったことないから知らなかったよ。でもそれ、何十年も前につくられた規定でしょ? いまは機内にシャワーがある航空会社もある。安全性を担保した航空法改正の議論をしてもいいのでは。

「知らなかった」では振り上げたこぶしを降ろせないので、あげあし取りで「でもそれ、何十年も前につくられた規定でしょ?」と反論し、「安全性を担保した航空法改正の議論をしてもいいのでは。」と要求している。
⇒これは議論の焦点を大きなものにすりかえていくという手法です。結局、JALの担当者に法律改正せよと要求しているようなものです。相談現場でもよくあるパターンですよね。「おっしゃられることは分かりました。法律の問題ですので国に要望は伝えておきます」という返答になるんですけどね。

引用⑤

(要望)「じゃあ乗客マナーの告知は? 電車内の携帯電話のマナーとかも、みんなで大騒ぎしてつくられたじゃない? 機内誌とかワイドショーとか使って議論しようよ」というと、
(大人な対応)「お子さまをお連れの方には、機内でのマナーをまとめた『mama&baby』という冊子をお渡しし、ご協力をお願いしています」との回答。
いやあ、そんなのみたことないし。
(あげあし取り)それであの現実なわけじゃないですか。お母さんだけでなく、みんなで話さないと。
(個人の考え方)だいたい私は、病気治療のための搬送とか、引っ越しとか、のっぴきならない事情でもないのに、乳飲み子を飛行機に乗せるのってどうかと思うわけよ。
(個人の勝手な解釈)冊子をみると「生後8日目から乗れる」と書いてあるけど、気圧の変化とか、大人でもつらいのに大丈夫なの? あの泣き叫んでいた赤ちゃんは、つらくて怖かったんだと思うよ。
(要望)泣きやまない場合もあるんだし、マナー的に、まず親が「2歳くらいまでは乗せないほうがいいかもね」くらいのコトを考えたらいいと思う。
そういうと、
(大人な対応)「公共交通機関である私どもから、乳幼児のご搭乗を規制することはできません」とのご回答。

(個人の考え方)周りに迷惑をかける可能性があることは乗客のほうで考えて、遠慮するべきだよね。
(個人の考え方)あと、医者である私の亭主いわく、親のほうが、たとえば子供の健康に害のない抗アレルギー剤など、その子に合った眠気を誘う薬を用いるなどの工夫はできるかも、とのこと。でも、そういう議論も情報もないから、こんなことになるんじゃない? 昔、子供が遠足で観光バスに乗るとき、ビニール袋と酔い止めの薬をもたせるのは常識だったはず。
(個人の考え方)飛行機自体が乗り物として歴史が浅いんだもの。その搭乗マナーや機体の工夫について、議論すべき余地はまだまだあるはず。

個人的な考え方を根拠に、「すべき」論が続いています。これも個人の考え方がどれだけ支持されるかという問題になります。
ついには、医者の夫が言っている薬の話まで持ち出しています(このような不確実な話を出すのは公人としては問題です)。
自分のクレームが法律上問題がなかったり、間違っていたり、こぶしを下げられない状況を打破するために、行き着く先が「すべき論」というよくあるパターンですね。

「赤ちゃんの泣き声は騒音か」 その2(解説)

前回の記事を必ず読んだ上で、今回の記事を読み進めてください。
「赤ちゃんの泣き声は騒音か」 その1 2012年12月3日(月)

前回(その1)の記事の一部を再掲します
再生JALの心意気/さかもと未明(漫画家)
PHP Biz Online 衆知(Voice) 11月19日(月)12時52分配信
◆飛行機の搭乗マナーは守られてる?◆
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20121119-00000002-voice-pol

Yahoo! JAPAN ニュース(http://headlines.yahoo.co.jp/hl)から引用

再生JALの心意気/さかもと未明(漫画家)PHP Biz Online 衆知(Voice) 11月19日(月)12時52分配信

この話を読むと、相談現場を知っていれば、「対応に苦労する消費者」と同じ雰囲気がすると直感的に感じ取れるのではないでしょうか。
もちろん、これをJALへの苦情として消費者センターに相談が持ち込まれることも十分ありえますし、同様の事例も考えられます。
そのときに、どう対応しますか?

ここで、ちょっとした課題演習の問題を出したいと思います。

この記事を読んで、相談現場と共通することを論理的に解説し、評価してください。
また、この相談を受けたとしたら相談員としてどのように対応し、相談者に回答しますか?
ヒント:WEB連載【相談対応の流れと必要なスキル】を参考に相談内容のポイントとなる箇所を箇条書きに抜き出して考える

その2で私の考え方を書きたいと思います。

ポイント
・相談内容を「事実」と「感情」とそれらからくる「要望(要求)」とに分けて考える
・「事実」というのは誰から見ても変わらないもの→コントロールすることができない→法令(ルール・きまりごと)に基づくものかを判断する
・「感情」というのは人によって変わっていくもの→コントロールすることができる(賛否が分かれる)
・「事実」や「感情」から発生した「要望(要求)」は、すぐに対応できるものか法律改正までの大きな問題かを見極める。
・「要望(要求)」が法令に基づくことや法令にに違反すること、非常識なものの場合は淡々と対応する。相手の「要望(要求)」は認めないが、そう感じている感情を受け入れてあげ、何らかの行動をとることで納得を得る。
・何らかの行動とは、例えば国の管轄する部署に伝えておきます、PIO-NETに入力して全国の消費者センターで情報を共有します、などこちらに負担がかからないことを上手く納得してもらえるように説明する。

結果として今回のJALの対応は大人な対応で、コミュニケーションの基本ともいえると思います。

以下に、本文を順番に引用しながら解説したいと思います。なお、私の目的はこの方を批判することではなく、相談員としての立場でどう考えて行動すべきかという教材として活用しています。リアルな話は非常に参考になります。ただし、かなり辛口に評価していますが、他意はありませんのでご了承ください。


◆飛行機の搭乗マナーは守られてる?◆

引用①

「あなたとこれ以上、話しても埒が明きません。かたちだけ、『申し訳ございません、努力してまいります』とか頭を下げても、どうせ何もしないでしょ? 私は、頭を下げさせて溜飲を下げて終わり、なんてことでは納得しません。クレームをつける以上は、自分の名前を出して責任をもちます。だから結果を出してほしい」

できないことやその場で判断できないことを要望(要求)する典型的な対応の難しい人と考えます。
元公務員とか元学校の先生とか元有名企業の技術者だとか、社会的地位のあったプライドの高い人、特に退職後の男性に該当することが多いかもしれません。
(退職した人がなぜこのようなクレーマーになるのかは理由があるのですが、それはクレーマー対応のシリーズで説明したいと思います)
よくあるパターンとして、肩書きをちらつかせる、自分がやってきた実績を示す。求めてもいないのに、肩書きの並んだ名刺を出す。
「私はクレーマーではなく社会的な地位のある人間だ。私の言うことは正しいので、それを認めなさい。社会人の先輩である私が未熟なあなたに教えてあげる。むしろ感謝しなさい」というところですね(上から目線が多い)。
また、こちら側の身分の高い責任者が対応することに満足感を持ちます。

ここで、JALの
「かたちだけ、『申し訳ございません、努力してまいります』とか頭を下げても」
というJALの側の返答には2種類あると思います。
一つは「単純に能力のない担当者の対応」、もう一つは「すべて見通した上での対応」です。
今回は後者の方でしょう。
⇒こちらがいくら正しい話をしても、あげあしを取ったりして、絶対に認めないので、とにかく、相手の話を否定しない。否定しないが正しくないものは認めない。あげあしを取られないように余計なことは言わない。最後に相手を認める部分を探してあげる。

JALの以下の対応がこれに当たります。この記事でのJALの発言を抜粋してみましたが、すべてがそれに該当します。
引用記事の中に答えはすべて出ていますね。見る人が見たらとすぐに全体像が分かりますね。
・「私どもとしましては、すべてのお客さまに快適にお過ごしいただけるよう、精いっぱい努力させていただいております」
・「お子さまをお連れの方には、機内でのマナーをまとめた『mama&baby』という冊子をお渡しし、ご協力をお願いしています」
・「いえ、ファーストクラスでも、音はどうにもできません。個室のようにみえても、・・・(中略)・・・という航空法の規定によるものです。これは、万一の際に避難の妨げとなるものがあってはならないという、お客さまの安全を守るための規定なんです」
・「公共交通機関である私どもから、乳幼児のご搭乗を規制することはできません」
相手を認めてあげる部分が以下になります。こぶしを下げるタイミングを探しているという感じですね。
・「なんていうことを私的には発信していこうと思うんですが、こんなクレーマーでも、また乗せてくれる?」。そういったら、「ぜひ!」といってくださいました。

この冒頭の部分でほとんどの答が出ていると思います。

引用②

その赤ちゃんは、たぶん1歳くらい。どうしてそんな体力が、と思うくらいに離陸から泣き叫び通しだった。

この部分は本題とは異なりますので雑談として読んでください。
赤ちゃんが泣くのは仕事だ。当たり前だといいます。その理由の一つとして、発育発達の過程で赤ちゃんは泣くことによってコアを鍛えているのです。横隔膜や腹筋をトレーニングしているのです。話すことができないので泣くことで自分の意思を伝えようとします。おなかがすいているのか、オムツが濡れて気持ち悪いのか、お母さん・お父さんは、泣き方によって赤ちゃんの意思を汲み取ることができるのです(できない場合は親としてできるようにつめなければなりません)。
ちなみに、みなさまも床に仰向けに寝転んで膝を三角にし、両手をおなかにおいて、大きな声で1から10まで数えてください。これはれっきとしたコアトレーニングのメニューになります。

携帯電話の大手家電量販店での比較 その2

抱き合わせ販売
携帯電話を購入しに来た消費者に、電話とあわせて「データー端末(例えばポケットWI-FIなど)」を強引に販売する事例が多発しましたが、最近は、スマートフォンとデーター端末を同時に販売する手法が問題になっています。WI-FIならどこでも速度が速いという売り文句で毎月の費用も今と変わりませんとの触れ込みです。かなり勘違いさせるやり方で消費者センターにも多くの相談が寄せられていると思います。
これたよく似た手法で、スマートフォンと0円フィーチャーフォンを同時に契約すると端末が大幅割引になるというものです。
これらは一見してお得に思えますが、毎月のランニングコストがいくらになるのかということをしっかり考えなければ余計な出費になります。
このことに気づいて解約しようにも「2年縛り」があるのでそう簡単ではありません。
みなさまも覚えのある事例だと思います。
量販店ではキャリアが同じ売り場で競争し、売ることに執念を燃やしているので、注意が必要です。
細かいプランについては別途解説します。

結論として私のおすすめ
キャリアごとのキャッシュバックの傾向は前回までに説明しましたので、私のおすすめはエディオンです。また、auならヤマダ電機も熱いです。今シーズンはまだまだこれからですが、auはヤマダ電機で、最新機種無料、MNP4万円の商品券などが昨年の12月ごろから始まっていました。
そして、エディオンは基本的にエディオンカードのポイントでのキャッシュバックとなります。
エディオンカードは年会費が1000円程度必要ですので、少しハードルがあります。
エディオンは毎月得点ポイントが変わってきます。
全くない月もあればドコモでMNP40000ポイントというのもあります。
最新機種が0円だったら買いですが、1つ前のモデルはほとんど0円なので、それを選択するのがおすすめです。
ヤマダ電機もキャッシュバックが少なくても最新機種が期間限定でMNP0円とかになったりしますので、特にauはねらい目かもしれません。

私の体験
ちょうど年度末に3台分が2年契約の更新に当たりました。エディオンでは昨年は2-3月まで40000ポイント(4月からは25000ポイント、今は0ポイント)でしたので、子どもの分も合わせて3台分のauをドコモにMNPして12万ポイントを獲得しました。オプションは最初の1ヶ月の無料分だけでした。MNP手数料、新規事務手数料、1台のみ1日を残し中途解約したので解約手数料が必要でしたが、それをはるかに上回る12万円分の特典でした。この3台はスマートフォンではなく普通の携帯ですが、すべて高機能の最新携帯でした。さらに、すべて学割を適用させて毎月の基本料金を無料にさせています。WEBを使わず家族通話と使い放題のメールだけなので、315円(imode)+7円(ユニバーサル料金)×3台で毎月1000円でおつりがきます。2年間のトータルの支払額を考えてもキャリアは赤字ですね。つまり、キャリアからお金をもらって3台の携帯電話をただで使わせてもらっているということになります。2年更新時にMNPにするか、学割がなくなる3年満了時に中途解約するかはそのときの相場次第です。学割は一度使うと2回目は使えないという場合がありますので情勢を見守ります。

最後に
スマートフォンが出現してから、現金ばら撒きのようなキャンペーンが繰り広げられているのは、前回までに説明したように、パケット定額、しかも上限の定額契約がもれなくついてくるので、確実に一定の収益を見込めるというところにあります。
一番大事なことは、毎月のランニングコストがいくらになるのかということをトータルで考える必要があります。

ここまではお得に購入するヒントを解説しました。
次回からは、契約方法や契約プランなどの複雑な料金体系について解説したいと思います。

この記事にはコメントを記入することができます。コメントを記入するには記事のタイトルかコメントリンクをクリックして単独で記事を表示してください。