あなたは相談員という職業をどう思ってますか?

仕事を始めるときには、「こんな仕事がしたい」と思って入社したものの、「思ってたものではなかった」「実力がなかった」、「就職さえできない」など個人個人には様々な仕事に対する事情があると思います。

消費者センターの相談員というのは、なかなか新卒で仕事につくものではありませんし、待遇もパート並が多く、中途で仕事につかれる方が大半ではないかと思います。しかし、基本的には、「相談員」になりたいと希望してなったのではないでしょうか。

実際になってみて現実とのギャップはどうでしたか?
きつい仕事だと思いますか?
今の待遇では割に合わないと思ってますか?
ほかに仕事があれば、やめたいですか?

そもそも、相談員になりたかった動機は何でしょうか。

誘われたから、パートを探していたから、役所関係だから、など消極的な理由の方もおられると思います。
また、相談員になったけど、自分には向いていないが生活のためには仕方がない、やってみたけどもうやりたくはない、など消極的な方向へ行ってしまう方も少なくないと思います。向き不向きもあります。
消極的な方がこのサイトを見られても勉強になるどころか、私との間に大きなギャップが生じることになると思います。

一方、困っている消費者を助けてあげたい。悪質商法は許せない、社会貢献したい、など、「相談員」としての仕事内容に魅力を感じ、相談員になった積極的な理由の方もおられると思います。

相談員の仕事は難しいと思います。日本人の価値観も変わっており、コミュニケーションの面において、ますます難しくなっています。
罵声を浴びせられ精神的につらいこともあります。大変な職業だと思います。
そのような環境の中、より的確(適格)な相談対応を求められていますし、それに答える必要もあります。

相談員という仕事は、とても「やりがい」のある仕事であることは確かです。
社会の最先端を走っているので、とても面白い世界です。

このサイトは「相談員」として積極的に本当にスキルアップをしたいという思いを持った方の手助けになればと思い開設しました。
また、自分自身のステップアップの礎として、将来的に自分がどうしていきたいのかということも視野にいれています。
このサイトがどういう道をたどるのかは、相談員のみなさま次第だと思います。

きつい仕事ではあるけれど、しっかり手順を踏まえて判断し、上手にコミュニケートする能力を向上させていけば、きつい度合いはどんどん減少していくと思います。
逆に、努力をしなければ、きつい仕事が、よりきつくなり、ほかの相談員との差が開いていきます。
スキルアップはそうそう簡単にはできません。
毎日の積み重ねと、正しい効率的な勉強と、心構えが必要です。
そうはいっても、なかなか自分ではできないし、職場でも忙しくてできません。本当に現場で実務的に役立つ研修も少ないです。
また、1人または少数の相談員の職場、行政職員の理解のない職場、研修などとんでもないという職場、予算がない職場など、スキルアップしたいのにどうしたらいいのかわからない相談員もおられると思います。

このサイトで、私と一緒に、リアルに少しづつ学んでいきませんか。
そして、本格的な会員サイトとなったときには、「文殊の知恵」となつかはわかりませんが、同じ志を持った全国の相談員がコミュニケートできるような仕組みも考えています。私自身もみなさんの前でお話したいと思っています。

ぜひ、相談員という職業に「ほこり」をもって積極的に仕事に取り組んでください。

(平成22年10月11日 初稿)

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専門用語を分かりやすく伝える

消費生活にかかわる専門用語は数多くあります。
消費者との相談対応の中で、これらの専門用語を分かりやすく伝えることが大切です。

と、当たり前のことを書きましたが、本音は違います。

『専門用語を使うなよ!』ということです。

相談員自身が当たり前のように消費者に対して専門用語を使っていることを自覚してください。

たとえば
「特商法」・・・特商法では~は禁止されているから~です。
「抗弁書」・・・まず、カード会社に抗弁書を書いてください。
「特別送達」・・・本物の裁判所の場合は特別送達で郵送されます。

これらの用語は、消費者センターの中の相談員や職員では当たり前のように使っている言葉ですし、当たり前に使ってもかまわないと思います。逆に、当たり前に使えなければ修行不足です。
しかし、消費者に対して、当たり前のように、無意識に使った覚えはありませんか。
第3者から見ればよくわかりますが、相談員自身が自覚していない場合が多く見受けられますし、指摘したとしても改善されないことも多いです。

消費者センターに相談に来る消費者の知識レベルを考えてください。
なぜ、消費者センターがあるか?
事業者との知識・情報レベルに圧倒的な差があるからこそ法律がありセンターがあるのです。
これらの言葉を知っている消費者であれば被害にあうことも少ないでしょうし自力で解決できることも多いと思います。

不安になって相談に来ているのです。
聞いたこともない専門用語が出てくれば、悪質業者にだまされたときと同じ記憶がよみがえります。

それでは、相談員のみなさま、消費者に分かりやすく伝えるには、この3つをどう説明したらよいでしょうか、考えてください。
私の答えは、この文章の最後に書きます。

最近、池上彰の書籍が大量に売られており、しかも多くの年代が購入しているようです。
テレビでもおなじみの難しい社会問題などを分かりやすく説明しています。
分かりやすく説明するということを。いざ、自分がやるとなると難しいですよね。
非常に重要なスキルですので、相談員としての消費者との言葉のやり取りを思い返してください。

答え
あくまでも私だったら、こう置き換えます。
「特商法」・・・訪問販売に関する法律
「抗弁書」・・・請求を一時的に止めてもらう依頼書
「特別送達」・・・はんこが必要な書留郵便
一字一句正確である必要はなく、イメージが消費者に伝わることが重要だと思います。

(平成22年8月1日 初稿)

相談対応の醍醐味は契約よりも商品

消費者センターへの相談内容は大きく分けて
契約に関すること
商品に関すること
の2つに分けられると思います。

商品の苦情、たとえばクリーニングや電気製品などの相談を受けたときに、
「あー、いやだな。ややこしそう。」
と思ったことはありませんか。

そのとおりですね。
商品の相談というのは確かに難しいと思います。
なぜでしょうか?

契約に関する相談というのは、
解約したいなど、目標が単純です。
基本的に法律に基づいており、それに従っているかどうか、また正しく解釈しているか、などを照らし合わせることになり、答えが決まっていて、流れが一本です
困ることはといえば、「言った」「言わない」ぐらいですね(この「言った」「言わない」の対応も難しいといえば難しいです。)

それに対して、「商品」に関する相談というのは、
欠陥クレームであったり、品質クレームであったり、製品事故であったり、正義を訴えるものであったり、します。
また、消費者の要望も、交換、返品、無償修理、原因究明、製品改良など多様です。
つまり、契約のように流れが一本ではなく、多くの選択肢があるのです。
当然ながら、その選択肢ごとに対応も変わっていきますし、消費者センターとして、単なる交渉か、商品テストが必要か、緊急対応か、などの要素も加味する必要があります。
また、商品に関する最新の知識も持ち合わせていなければなりません。

それだけに、相談員の柔軟な対応能力のスキルが如実にあらわれます。
商品に関する相談に上手く対応できてこそ一人前の相談員です。
契約に関する相談では、どの相談員が対応しても基本的には同じ答えになります。
しかし、商品に関する相談では、相談員により、解決したとしても同じ答えになるとは限りません。

特に、いろいろな対応方法があるからこそ、論理的に考える能力が必要となります。

本講座では、「コミュニケーション能力」と同じぐらいに重要な「論理的な考え方(ロジカルシンキング)」につ いても解説していきたいと思います。
「スキル=技術」はその気になれば訓練により必ず身につけることができます。だから、「技術」というのです。

商品に関するの相談ほど、相談員としての醍醐味を感じるのことができるのではないでしょうか。

(平成22年7月19日 初稿)