マズローの欲求5段階説 その1

「マズローの欲求5段階説」は、自己実現理論とよばれ、アメリカ合衆国の心理学者・アブラハム・マズローが、「人間は自己実現に向かって絶えず成長する生きものである」と仮定し、人間の欲求を5段階の階層で理論化したものです。
「人間の欲求は5段階のピラミッドのように構成されていて、低階層の欲求が充たされると、より高次の階層の欲求を欲するというもの」で聞いたことがある方もおられると思います。
モチベーション(動機付け・やる気)理論の一つでもあります。

私は10年ほど前にこの話を聞いたことがあるのですが、単にこの理論の説明だけだったので、他人事でした。
しかし、これを自分の仕事に対するモチベーション・意欲・やる気・将来どうしたいのかなどを意識したところ、この理論の考え方がより身近になりました。
そして、これを読まれている相談員の皆さんがピラミッドのどの段階にいるかということを考えることで、スキルアップへのモチベーションにつながるのではないかと考えています。

「マズローの欲求5段階説」については様々なサイトで解説されていますが、ピラミッド型の図が有名ですね。

第 1 段階: 生理的欲求 (Physiological needs)
・生命維持のための食事・睡眠・排泄等の本能的・根源的な欲求
・ この欲求が満たされない場合、人間は生きていくことができなくなる。
第 2 段階: 安全の欲求 (Safety needs)
・安全性・経済的安定性・良い健康状態・良い暮らしの水準など、予測可能で、秩序だった状態を得ようとする欲求
・病気や不慮の事故などに対するセーフティ・ネットなども、これを満たす要因に含まれる。
・ この欲求を満たすために一生涯を費やす人が、世界にはたくさんいる。
第 3 段階: 社会的欲求 (Love Belonging needs)/所属と愛の欲求(social need/love and belonging)
・情緒的な人間関係・他者に受け入れられている、どこかに所属しているという感覚
・この欲求が満たされない時、人は孤独感や社会的不安を感じやすくなり、鬱状態になりやすくなる。
・この欲求が十分に満たされている場合、生理的欲求や安全の欲求を克服することがある。
第 4 段階: 自我の欲求 (Esteem needs)/承認(尊重)の欲求(esteem)
・自分が集団から価値ある存在と認められ、尊重されることを求める欲求
・尊重のレベルには二つある。
・低いレベルの尊重欲求は、他者からの尊敬、地位への渇望、名声、利権、注目などを得ることによって満たすことができる。マズローは、この低い尊重のレベルにとどまり続けることは危険だとしている。
・高いレベルの尊重欲求は、自己尊重感、技術や能力の習得、自己信頼感、自立性などを得ることで満たされ、他人からの評価よりも、自分自身の評価が重視される。
第 5 段階: 自己実現の欲求 (Self-actualization needs)
・自分の持つ能力や可能性を最大限発揮し、具現化したいと思う欲求。すべての行動の動機が、この欲求に帰結されるようになる。

また、それぞれの欲求をまとめた考え方もあります。
・基本的欲求:第 1 段階: 生理的欲求 (Physiological needs)+第 2 段階: 安全の欲求 (Safety needs)
・帰属欲求:第 3 段階: 社会的欲求 (Love Belonging needs)
・自我欲求:第 4 段階: 自我の欲求 (Esteem needs)+第 5 段階: 自己実現の欲求 (Self-actualization needs)

・物質的欲求→基本的欲求
・精神的欲求→帰属欲求+自我欲求

さらに、マズローは晩年、5段階の欲求階層の上に、さらにもう一つの段階、「自己超越」(self-transcendence) の段階があると発表しております

< ウィキペディア等を参考にしました>
※キャリアウィングの(http://www.career-wing.jp/document/document06.pdf)の表が分かりやすくまとめられています。具体的な表現になっているので、こちらをもとに解説していきたいと思います。

次回は、この「マズローの欲求5段階説」を相談員という仕事とスキルアップに結び付けて考えたいと思います。

自己投資してますか?

スキルアップの方法の一つとして、本を読んだり、講習会・研修会・セミナーに参加したりすることがあげられます。
以前にもお話したことがありますが、本は図書館で借りると費用がかからず非常に便利です。
(本を読みましょう https://soudanskill.com/20100705/47.html
話し方などのコミュニケーションに関する本は今昔を問わず、役立つものが多いです。
しかし、最新の情報を得ようとすると、図書館にはまだ置いてなかったり、予約待ちであったり、図書館に置くような対象の本ではなかったりする場合があります。

逐条解説などの法律関係の本や月刊国民生活などの雑誌を、職場で買ってもらえるように要望したり、職場で買ってもらって本を読んだりすることもあります。
職場で購入してもらえない場合は、自分で購入するしかありませんが、買わなかった場合は結局読まないことになります。
職場にある本だけで十分なスキルアップにつながるかといえば、なかなか難しいです。
そこで、本当に必要な本は自費で購入することをおすすめします。
なぜなら、自分の本であれば書き込みやマーカーで線を引くことも可能です。
そして、何よりも、自費で購入すれば、積極的に読むということです。
職場で買ってもらった本は、なかなか読まないのが実際のところです。
有効な自己投資と考えてください。

たとえば、「平成21年度版 特定商取引法に関する法律の解説」は3,300円です。
前回発行は平成16年版ですので5年ぶりの発行です。
特定商取引法は相談員にとっては一番関係する法律です。
職場で買ってもらうのもいいですが、自費で購入し、使いたおしてください。
3,300円は高いですか?安いですか?
私は安い投資だと思います。

講習会や研修会やセミナーなどの参加についてはどうでしょうか。
「職場で行かせてくれるのなら参加する」というスタンスでしょうか。
本当にスキルアップにつながるのであれば、自費参加することも選択肢に入れてください。
自費であれば何が何でもものにしなければと思い、意欲的になります。

お金をだせばスキルアップするかといえば、そうとは限りません。
必要なものにお金を出して、さらに「努力」を付け加え、スキルアップにつなげます。
それらが上手く絡み合うかどうかは様々です。
私も趣味の分野で参加費・新幹線代・宿泊費を自費で支払い参加したこともあります。
そうすれば、どれだけ必死に自分のものにしようとするか。

人間というものは、自分のお金の出費という痛みを伴わなければ、なかなか学習できない生き物なんです。

健康食品や健康器具、浄水器、ミネラルウォーター、バッグやアクセサリーなどの高級品など、対象に費やす金額の価値観の個人差だと思います。
同じ1000円の本を購入しても、個人個人の姿勢や努力により、1000円以上の価値になることもあれば、0円の価値になることもあり、成果は異なります。

消費者問題の世界のスピードはとても速く、油断していると取り残されてしまいます。
ぜひとも自己投資を惜しまずスキルアップにつなげてほしいと思います。

追伸ですが
このスキルアップ講座は将来的には有料の会員制にしたいと思ってます。
会費は1ヶ月1000円程度を予定しています。
1ヶ月1000円という会費は高いと思いますか、それとも安いと思いますか。
個人個人により価値観は異なると思います。

重要なことは、同じものでも、いかに有効に活用していくか、ということです。
待っているだけで、自動的にスキルアップすることはありません。
スキルアップは、誰かにしてもらうのではなく、自分でするものです。
そのために自己投資することはスキルアップへの近道になります。

なんとなくすごしていると、あっという間に時間はすぎていきます。
私自身もこのサイトを4月に開設して7ヶ月が経過しました。
本当はやっておかなければならないことがたくさんあったのですが、できないまま時間だけが経過しています。

日々努力、日々勉強。

(平成22年11月1日 初稿)
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研修を受講するときの姿勢

姿勢といっても、「背筋を伸ばしなさい」という姿勢ではなく、どういう気持ちで受講するかという心構えのことです。
ちなみに、そちらの姿勢も大切ですので別の機会で書きたいと思います。

スキルアップのための研修を受講すれば、スキルがアップするのかといえばそうではありません。
スキルは他人にアップしてもらうのではなくて、自分でアップさせるものです。

特に、外部講師による応対研修などを受けた場合は、当然、相談現場とは異なるシチュエーションとなります。
そうした場合
「そんなの現実的ではない。」
「そんな対応できるわけない。」
「全然役に立たなかった。」
「もっとまともな講師を呼んでほしい。」
と思うことがあるでしょう。

そのように思う相談員は、このサイトの対象外です。きつい言い方をすると、スキルアップは望めません。
おそらく、日常でも、他人のアドバイスには耳を傾けない類でしょう。
自覚していなくても第3者からみれば手に取るようにわかります。
私が同じ研修を受けていれば、私自身、スキルアップのヒントをたくさんもらったと思います。

普通に考えればわかることです。
どんなにすぐれた外部講師でも、相談現場を再現して、ドンピシャのロールプレーイングが再現できるわけがないのです。
本当は内部の事情がわかっている内部講師が一番適任です。
しかし、適任者がいないから外部講師を依頼しているわけで、内部でできないものが外部ですぐにできるほど相談業務の世界は簡単ではないと思います。
それを、すべて外部講師ができると相談員が期待してしまうのでギャップが大きくなるのです。
また、研修内容を否定することは、講師自身をも否定してしまいます。
講師に感謝の気持ちがなければ、社会人としての素養に疑念を抱きます。
実はあなた自身も否定されていることに気付いて発言を慎重にするべきです。

講師は、その分野(たとえば応対方法や話し方や聴き方やロジカルシンキングなど)のスキルを持っています。
しかし、現場にはいないので現場の状況は伝聞や想像でしかわかりません。
一方、内部の人は、現場を知っているけど、講師としてのスキルを持ち合わせていません。
一番いいのは内部の人が講師としてのスキルを身につければいいのです。
しかし、現実には、そういう人材はいません。

全く同じ研修を受けても、受けるほうの姿勢(心がまえ)で全く異なる結果(効果)になります。
研修を受けて得たヒントから、自分の現場で応用して活かす、という作業が必要なのです。
研修内容の10のうち7役立つ場合もありますが。1の場合もあります。0ということはあまりないでしょう。
1の場合は「1しか役立たない」ではなく、「1でも役立つことを得ることができてよかった」と思うことが重要なのです。
そして、それを積み重ねていきます。
せっかく用意された研修です。少しでも多くのヒントを持ち帰ることを心がけてください。
最初に書いた相談現場とは全くかけ離れていることでも、実はつながっているのです。
つながっていることに気付かない相談員に問題があるのです。

他人を批判するばかりではなく、自分自身に目を向けてください。
その姿勢が第3者からは手に取るようにわかり評価されています。
誰も指摘してくれません。
それゆえ、不必要な人材のレッテルをこっそり貼られてしまいます。

スキルアップ講座の「心がまえ」のカテゴリーの内容を本当に理解し実践するためには「プライド」を捨てる覚悟も必要です。
そうそう簡単に自分自身の今までをを否定することを許さないと思います。
しかし、心がけを変化させるだけで、スキルアップのヒントはどんどん向こうから近づいてくれるのです。
毎日は、あっという間に進んでいきます。
日々勉強。
高いモチベーションを維持し続けること。
冷静に自分を見つめること。
自分にどんな能力が不足していて、どんなことをすれば学べるのかを模索すること。

今日、この瞬間から、スキルアップのヒントを売る貴重な機会である「研修を受講するときの姿勢」を変化させていただくことを期待します。

(平成22年10月14日 初稿)

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