相談対応の醍醐味は契約よりも商品
消費者センターへの相談内容は大きく分けて
契約に関すること
商品に関すること
の2つに分けられると思います。
商品の苦情、たとえばクリーニングや電気製品などの相談を受けたときに、
「あー、いやだな。ややこしそう。」
と思ったことはありませんか。
そのとおりですね。
商品の相談というのは確かに難しいと思います。
なぜでしょうか?
契約に関する相談というのは、
解約したいなど、目標が単純です。
基本的に法律に基づいており、それに従っているかどうか、また正しく解釈しているか、などを照らし合わせることになり、答えが決まっていて、流れが一本です。
困ることはといえば、「言った」「言わない」ぐらいですね(この「言った」「言わない」の対応も難しいといえば難しいです。)
それに対して、「商品」に関する相談というのは、
欠陥クレームであったり、品質クレームであったり、製品事故であったり、正義を訴えるものであったり、します。
また、消費者の要望も、交換、返品、無償修理、原因究明、製品改良など多様です。
つまり、契約のように流れが一本ではなく、多くの選択肢があるのです。
当然ながら、その選択肢ごとに対応も変わっていきますし、消費者センターとして、単なる交渉か、商品テストが必要か、緊急対応か、などの要素も加味する必要があります。
また、商品に関する最新の知識も持ち合わせていなければなりません。
それだけに、相談員の柔軟な対応能力のスキルが如実にあらわれます。
商品に関する相談に上手く対応できてこそ一人前の相談員です。
契約に関する相談では、どの相談員が対応しても基本的には同じ答えになります。
しかし、商品に関する相談では、相談員により、解決したとしても同じ答えになるとは限りません。
特に、いろいろな対応方法があるからこそ、論理的に考える能力が必要となります。
本講座では、「コミュニケーション能力」と同じぐらいに重要な「論理的な考え方(ロジカルシンキング)」につ いても解説していきたいと思います。
「スキル=技術」はその気になれば訓練により必ず身につけることができます。だから、「技術」というのです。
商品に関するの相談ほど、相談員としての醍醐味を感じるのことができるのではないでしょうか。
(平成22年7月19日 初稿)