覚えのないメール

覚えのないところからメールが来て困っています。
登録した覚えのないサイトからメールが来るのですが、など
オンラインサービス関係の相談の中でのやりとりの1コマです。

相談員として、どう回答したらいいでしょうか?
みなさまは、どう回答していますか?

「分からない」というところが正しい認識かもしれませんが、少し不親切ですね。
そこで、「どこかの企業からもれることもありますからね」という回答をする場合もあるかもしれませんが、関心しません。
なぜならと、悪意を持って流出させて犯人がいるかもしれないということを消費者センターが認めているようなものです。
使用しているアドレスが限定されたものだと、そこしか原因が考えられなくなってしまいますよね。
すると、消費者センターから、そこの事業者を指導しろ、訴えろ、などにも発展しかねません
そのまま相談が永遠と続くことにもなります。
正しい知識を持って、いくつかの可能性としての答を提示してあげましょう。

スパムメールはどこから来るの?

①簡単なアドレスだと無差別に送られてくる
事業者は機械的にパソコンで組み合わせてアドレスを生成しているので、組み合わせにくいアドレスを使用する。
費用がかからないので何十万のアドレスでもすぐに作成でき、あて先不明で戻ってこなければ、存在するアドレスとして登録される。
これを防ぐには、長いアドレス、_(アンダーバー)などの記号を使ったアドレス等を使用する
②メールマガジンなどの何らかの会員登録によるもの
規約の中に関連サイトからの広告メールが配信される、関連サイトに情報提供する、などの事項がある場合がある。
この場合、業者がアドレスを流出させたのではなく、認識しないまま、アドレスの提供に同意しているものである。
これを「悪意を持って流出されたもの」と混同してしまうかもしれないので要注意です。
③悪意を持って収集、流出させる場合
何らかのサイトの業者が悪意を持って流出させた場合が、これに当たります。
この場合、アドレスの流出の拡大を防ぐのは困難になります。
また、流出元を突き止めるのも困難ですし、分かったとしても告発できるかどうかも不明確です。
登録用にフリーアドレスを使用するなの対策が有効です。
④第3者による登録
メールマガジンを購読したり、出会い系サイトに登録した場合にポイントがもらえる場合があります。
それを逆手にとって、勝手に他人のアドレスを使用して登録します。
普通に登録しても本人ではないのでポイントを得ることはできません。
そこで、自分が開設したサイトなどからアフィリエイト広告などを通じて登録します。
すると、アフィリエイトによる報酬を手にすることができます。
ちなみに、出会い系サイトは1件1000円から2000円というところが多いですね。

以上の可能性が考えられます。
したがって、覚えのないメールは、自分自身が原因となっている場合もあるし、悪意の場合もあります。
まあ、適正に使用すれば、悪用されることは少ないと思います。
相談者への回答としては、④は一般の相談者には理解されにくいと思いますので、①②③の可能性を相談者に回答してあげると親切だと思います。
そして、アドレスの使い分けやフリーアドレスの活用についても助言してあげたらいいのではないでしょうか。
また、メールソフトの振り分け機能、スパムメール登録機能などを利用することも一つですね。
ただし、スパムメールも送信者を次々に変えながら送ってくるので、迷惑設定にしてもきりがなく、結局アドレスを変更するのが一番かもしれません。
次々に送信者のアドレスを変えて送ってくるの使われるのは、ヤフーのフリーメールのパターンが多いですね。
また、出会い系サイトのオリジナルドメインからのメールも多いです。
ちなみに以前、自分のアドレスから自分あてにスパムメールが送られてくるという相談もありましたが、送信者のアドレスを変更すること自体、ツールを使えば簡単です。

携帯電話へのスパムメールは、アドレスを変更するのが一番ですが、変更できない事情が多いので、送信元がPCメールであれば、PCを受信しない設定、もしくはドメイン拒否設定、もしくは受信するメールだけ許可設定にするなどの携帯電話の設定から対策は可能です。
設定の方法はショップに相談してくださいとするのが最適だと思います。
ちなみに、送信元がPCアドレスではなく携帯アドレスだったらどうするのか。
最近は携帯アドレスからのスパムメールも少なくなりましたが、この場合は個別に拒否設定するぐらいしか有効策はありませんので、アドレスを変更するほかはないかもしれません。

応用編として、フリーアドレスを使い分けて、かつメルマガのIDもそれぞれ微妙に変化させておくと、スパムの出会い系サイトの名前がIDになっていることがあり、流出元を特定することもできます。ときどき、間違った名前で登録していたら、スパムメールが間違った名前で送られてきて、流出元はそこしか考えられないという相談もあります。

最後にもう一度ポイントを繰り返しますと
覚えのないメールに対しての回答の中に
個人情報が流出したと大げさにしては消費者の不信感や疑念が増すだけです。
相談が永遠と続くことにもなりかねません。
また、流出という表現は正確でないかもしれません。
なぜなら、懸賞サイトの登録時に提携サイトからのメールの受信を承諾するとの規約に合意している場合があるからです。
うかつな表現をすると、相談者から揚げ足取りをされてしまうことがあるので注意してください。

覚えのないもの その1

この請求覚えがないのですが
覚えのない郵便が届いたのですが
などなど、消費者センターには覚えのないものの問い合わせが結構あります。
今回は、この覚えのないものに対する考え方と対応法についてメモします。

「携帯電話の覚えのない電話料金・パッケト料金」

携帯電話が普及し始めた頃、3~4年ほど前でしょうか、多かった相談です。

クローン携帯は基本的には存在しません。しかし、相談者はクローン携帯に違いがないといいます。
家族も誰も使っていないといいます。
誤請求に違いない。
携帯電話会社は何も対応してくれず、使ったものは払えという。
納得できない。
消費者のいうことは聞いてくれないので消費者センターから言ってほしい。
などなど。

この正体は、ずばり、覚えのある請求です。
このような相談に対する対応は、使っているという形跡を探してあげることです。

まず、携帯電話自身の履歴を確認する。
請求書の電話番号を確認する。
ネットの接続先のリストや生アドレスを手順に従って請求する。
それらの書類から、どんなサイトにつながっているかを推測する。
ニューズ番組だったり情報番組だったり、ゲームのアプリだったり。
そして、携帯の管理方法を聞く。
家族と共用していないか聞く。
家族の趣味嗜好と番組を比較する。
特に子どもが使ってそうな番組か確認する。
子どもは最初は使っていないと必ず言います。
犯人探しをすると真実は見えてきません。

そうすると、「あっ!」という反応が出ることがあります。

私は基本的に「覚えのない請求」はないと思います。
単に「使った覚えがない」だけで、実は使っているのだと思います。
いかに、使っている形跡を探してあげることが相談員の実力の見せ所ではないかと感じます。

(平成23年6月20日 初稿)
Copyright c 2010-2011 消費生活相談員スキルアップ講座 窶錀 All Rights Reserved

携帯電話 その2 スマートフォンへの転換

最近の携帯電話会社によるニュースリリースやテレビなどでも目にするようになりましたが、携帯電話は大きな転換期を迎えています。
スマートフォンへの転換です。
新製品はスマートフォン一色です。

そもそもスマートフォンと従来の携帯電話(以下、携帯電話と呼びます)とは何が違うのでしょうか。
大きな違いといえば、基本的には携帯専用メールアドレスが使用できないこと(今は別の仕組みで使えるようになってきてはいますが、あくまでも別の仕組みです)と携帯電話専用のサイトを見ることができないことです。
要はスマートフォンはパソコンだということです。

携帯電話でしか見れないサイトを閲覧できたとしても会員登録できません。
携帯電話の場合、メールアドレスや個体識別番号など個人情報に近い情報が吐き出されているため、事業者にとっては商売しやすいのです。それゆえ、パソコンよりも出会い系サイトやワンクリック詐欺のターゲットになりやすいのです。また、携帯電話だと高い確率でメールを閲覧してもらえるの、メールアドレスを登録することで多くの特典を受けることもできるのが特徴です。

携帯電話でパソコンと同じWebサイトをみることができる従来の仕組みは「PCサイトビューアー」です。各社とも定額上限が1000~2000円程度高い設定になっています。
それ以前では、WILCOMのZEROという機種がスマートフォンの走りで、一部マニアには人気でした。

なぜ、普及しなかったかというと、PCサイトは情報量が多く、パケットが大量に必要で、なおかつ、通信速度や高速で処理できる性能も必要です。
それが第3世代(3G)以上の通信の実現と、手軽で安価なWi-Fi(無線)の出現と、何よりも技術革新により小さい端末に多くの機能が装備されることにより、スマートフォンが表舞台に出始めました。

その背景として私が考えるのは、従来の携帯電話のビジネスモデルは限界に来ていて新しいビジネスモデルを構築しなければ利益を上げて生き残れなくなってきたのではないのではないかと思ってます。
携帯電話会社間の通信料の競争と、端末価格と通信料とが切り離されたこと、そして、通話料さえも無料通話の幅が広がってきて利益があげにくくなってきている。
ソフトバンクが早い段階で今後はスマートフォンの時代であるとし、i-phoneに力を入れた結果、業績や契約件数などで一気に成功したことも他社の脅威になったのでしょう。
i-phoneは発売当初こそ問題が多く一部のユーザーのアイテムだったのですが、i-phone3GSが発売されるころから一般化し、アプリなどの斬新な機能や、無料のWi-Fiスポット(マクドナルドなど)の普及など、一部ユーザーから一般のユーザーのアイテムへと変貌しました。

今後はスマートフォンの機能競争や価格競争なども予想され、相談員としては、スマートフォンの知識をある程度つけておく必要があると思います。

次回は、相談員としてスマートフォンで押さえておきたいポイントとどんな苦情相談が寄せられそうかということについて書きたいと思います。

※参考として、6月30日に書いた記事、「音声収入からデータ通信収入へ(日経産業新聞2010/6/30)」も参考にしてください。

(平成22年11月8日 初稿)
Copyright c 2010- 消費生活相談員スキルアップ講座 窶錀 All Rights Reserved