REPORT JARO 2012年2月号

「REPORT JARO」は公益社団法人 日本広告審査機構が毎月発行している企業向けの情報誌です。
日本広告審査機構
http://www.jaro.or.jp/
企業向け情報>刊行物「REPORT JARO」
http://www.jaro.or.jp/kigyou/report_jaro/index.html

以前は「REPORT JARO」にはあまり興味がなかったのですが、昨年あたりから注目して読んでいます。
その理由として、消費者問題として広告に関することが注目されているからです。
消費者庁でも景表法の広告についてのガイドラインが示されていますし、「おせち」や「口コミ」などに関する事件が発生し、社会的にも注目を浴びています。
「REPORT JARO」の記事も、そのような広告のあり方に関するものが増えてきました。
大手の企業に関する記事も多いので業界スタンダードを知る機会にはなると思います。

2月号から気になる記事を紹介したいと思います。
詳細は情報誌をご覧ください

①LEGAL MIND「分かりやすい・比べやすい『めやす賃料表示』の役割」
財団法人日本賃貸住宅管理協会

・平成22年10月から開始した「めやす賃料表示」について紹介しています。
財団法人日本賃貸住宅管理協会 http://www.jpm.jp/
トップページ ≫ めやす賃料表示について http://www.jpm.jp/sta/
※相談現場では、ここまで突っ込んで話をすることはないかもしれませんね。

②広告研究講座
「企業の消費者対応の役割と戦略」
花王 生活者コミュニケーションセンター長 鈴木哲氏

消費者の声を「よきモノづくり」に生かす
・企業理念「花王ウェイ」のもとで
・消費者相談を支えるサポート体制
・「聴く」だけでなく「訊く」ことも」
・かび取り剤使用時の安全性を高める
・シャンプー容器にきざみ
・ファンづくりの活動
・悪い情報ほど正確に報告
※講演要旨が掲載されていますが、サブタイトルを読むだけで花王の歴史と特徴が分かります。その中で、【「聴く」だけでなく「訊く」ことも」】については相談現場でも共通性を感じる内容になっていますので、別途記事にしたいと思います。

③九州JAROの会
「ヤフーの広告審査の現状と広告・表示の留意点」
ヤフー 法務本部リスクマネジメント部広告審査担当 權野紀子氏

12月号にもヤフーの記事が掲載されていましたが、今回も同じような内容です。
・独特なネット広告のチェック体制
・広告掲載基準はすでに30版
・審査範囲は広告の目的から判断
・苦情は広告適正化の貴重な情報
・社会情勢に応じて柔軟に対応
→ヤフーの広告の2本柱が「ディスプレイ広告」と「リスティング広告」である
「ディスプレイ広告」・・・文字と画像が一体となっている「バナー広告」
「リスティング広告」・・・お客様の行動に応じて広告を出すもので、「スポンサードサーチ」と興味関心連動型広告の 「インタレストマッチ」
それぞれの特徴とどのような審査をするのかがまとめられていますので、この2種類(3種類)の違いを覚えてほしいと思います。

新聞勧誘で特商法違反容疑で逮捕

NHK NEWSWeb
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120220/t10013162101000.html

新聞勧誘巡り販売店の4人逮捕
2月20日 22時28分
無償で途中解約ができるクーリングオフの書面を出さずに大学生に新聞を購読する契約を結ばせたり、無理に契約を迫ったりしたなどとして、京都市の読売新聞の販売店の男ら4人が特定商取引法違反の疑いで逮捕されました。逮捕されたのは京都市北区にある読売新聞販売店を経営する高橋早人容疑者(52)と販売員の男ら合わせて4人です。
警察によりますと、高橋容疑者らは、去年4月から12月にかけて京都市内の大学生5人の家を訪れ、クーリングオフの書面を出さずに新聞を購読する契約を結ばせたり、無理に契約を迫ったりしたなどとして、特定商取引法違反の疑いが持たれています。
警察によりますと、4人は、クーリングオフに関する説明を省いた学生向けの文書を用意し、「名前を書くだけでいい。すぐ済むだろう」などと強い口調で迫ったり、扉を強くたたいて面会を要求したりしていたということです。
調べに対してたか橋容疑者ら3人は大筋で容疑を認めていますが、39歳の元販売員の男1人は「覚えていない」と供述し、容疑を否認しているということです。
同じ時期に京都市消費生活総合センターに読売新聞の勧誘に関する相談が57件寄せられていたということで、警察が関連を調べています。
販売店の経営者らが逮捕されたことについて、読売新聞大阪本社・広報宣伝部は「当社と取引関係にある販売店の代表や従業員らが逮捕されたことを重く受け止めます。販売店に対しては、より一層の法令順守と従業員教育の徹底を求めていきます」というコメントを出しました。

新聞勧誘のトラブルは相変わらず相談件数が多いですね。
パターンとしてはどこのセンターでも同じでしょう
ただし、新聞販売競争の少ない地方や習慣的に昔ながらの町では長期契約ではなく、景品のない月極め契約が主体となると思います。
・景品をつけて2年程度の長期契約
・すでに契約がある場合は、その契約が終わる数年先からの2年契約を現時点で勧誘
・ひどければ5年や10年の長期契約も
・複数紙の契約を結ばせる
・勝手に契約書を書く
・契約書を渡さない
・高齢者にありえない長期契約を結ばせる
・規約を超える景品の提供
・他の訪問を語っての勧誘
・強引な手口
などなど

基本的には景品をもらっているので、景品を返還して合意解約になるという斡旋になりますが、過去の話となると覚えていなかったり、書類が残っていなかったり、返還を拒否したり、といろいろありますね。

逮捕されたのは読売新聞ですね。
とだけ書いておきます。

対象者が高齢者ではなく大学生というのが気にかかります。
最近の若者はNHKと同じように納得していなくても根負けして契約してしまうのでしょうか。

京都府警は特商法違反に対して積極的に動いており全国でも有数でしょう。
特商法違反容疑で逮捕という記事がでれば、京都府警であることが多いですね。
先日の「4クリック詐欺」サイト運営者5人逮捕、も京都府警でした。
地元の消費者センターにとっては頼もしい存在ですね。
京都市のセンターでの苦情相談の状況を調べていることから、もっと広がるかもしれません。

ただし、根本的な解決にはならないような気がします。
強引な手口とはいえ、どんな実損害が出ているのかなと感じます。
書面を渡して景品をもらってという認識があった上で、支払えなくなったというパターンもあるからです。
まあ、勧誘手口に関しては、みなさまもご承知だと思います。
ケーブルテレビもよくにたものですね。
具体的な事例や手口については国民生活センターでの公表記事や各地のセンターでの公表記事に山ほどありますので参考にしてください。

さてさて、私が実家暮らしのときは長期契約で景品がもらえることさえ知りませんでした。せいぜい、招待チケットをもらったぐらいです。今住んでいるところは激しい競争があります。新聞社によって違いますが、私は一番激しく勧誘するところと2年契約しています。1年経過したら次の2年の勧誘をしてきます。本当は地元紙が読みたいのですが、ここが景品の条件が一番いいので、立場上よろしくはないと思いつつ自分のこととなると契約してしまいます。賢い消費者というのでしょうか微妙なところです。2年ごとの契約というのは今の携帯電話とほとんど同じようなものですね。
ちなみにこっそり書くと、2年契約で「商品券2万円、洗剤1年分、5000円相当のカタログ商品」が景品です。
友人の地区の「半年無料の半年契約」というのが個人的にはベストだと思います。
新聞って意外に高いですよね。これだけ高ければ若者の新聞離れも仕方がないような気がします。
そして、今やネットでニュースがリアルの見れますし、スマートフォンでは産経新聞が丸ごと無料で読めるアプリもあります。

カンブリア宮殿 仏壇のはせがわ (2012年2月16日)

カンブリア宮殿
2012年2月16日放送
http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/list/list20120216.html
時代を捉える変革力とぶれない信念だけが勝利を生む
ゲスト
はせがわ 会長
長谷川 裕一(はせがわ・ひろかず)氏

動画のページ→http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/dogatch.html
カンブリア宮殿→http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/
テレビ東京系列 毎週木曜日 22時~
※テレビ放映の内容と動画配信の内容は若干異なります

仏壇という特殊な世界に革命を起こした会社の話です。
・従来の仏壇はとても高価だった。職人が設計図もなしに経験で手作りしていたことが要因である。そこで、設計図を作るなどのマニュアル化を行い、製作日数を半減にするなどにより、価格に大幅に下げることができ、身近に購入できるようにした。
・客を待つのではなく、災害現場に出向いて営業するという常識破りを行った。突然、肉親をなくされた方には拠り所としての仏壇が必要であるとの信念があるからである。

などなど、ビジネスの世界や人とのコミュニケーションの重要性など感心しながら見ていましたが、ここでもあの言葉が出てきましたので、今回紹介したかったのです。
相談現場でも通じる言葉です。

(動画#5の5分過ぎぐらいから)
社員に徹底している4つの禁句
・ありません
・知りません
・わかりません
・できません本当にないのか、本当にできないのか
「お客様に何とかしてあげたい」という思いがあれば、できないことはない一番大切なのは自分の身をいとわない
無意識のうちに体が動く、めんどくさいという発想はない
話し上手よりも聞き上手

相談現場でも、安易に4つの禁句を使っていませんか?
役割的にできないことは当然ありますが、相談員は、「それをできる方向に変化させてあげて、やってあげる」ことが大切です。
無茶な要求のように思えても、一時的な怒りの状態になっているのであって、スタンダードな第三者の考え方を示してあげて、できるだけ要望に沿う形で消費者センターがあっせんしてあげることが重要ではないかと思います。慰謝料の話が出てきたら、法律相談に振るのではなく、なぜ慰謝料という話が出てきたのか、本当に慰謝料が欲しいのか?単に怒りの表現がうまくできないので慰謝料と言ってるだけで、本音は違うのではないか?ということを、しっかりコミュニケーションの中で信頼を得て聞き取ることです。意外にもなんでもない話だったということも少なくありません。
トラブルにあった相談者に何とかしてあげたいということを最優先に考えることが大事だと思います。
今回の放送で、そういう考え方を再認識しました。