理不尽や不条理の中で生きる

社会をにぎわしているニュース。
理不尽や不条理なことばかり。

理不尽や不条理は許せない。

多くの人はそう思うでしょう。
しかし、ふと自分の人生を振り返ってください。
理不尽や不条理の壁にぶち当たったとき、それが理不尽や不条理だという理由でとめることができたでしょうか。

私たちは常に理不尽や不条理の中で生きているのです。
そこからのがれることはできないのです。
いかに、理不尽や不条理と付き合っていくかということが大切です。

リーマンショックだからといって内定を取り消される
就職氷河期だからといって、就職難になる
ゆとり世代だといわれて、後ろ指を差される
クラブの1年年下だからといって、先輩の使い走りをさせられる
能力のない上司の職務命令に従わなければならない
出身大学のランクで人を判断される
年下というだけで上から目線で見られる

消費者にきちんと説明しても納得せず、相談員の能力がないとののしられる
法律に違反しているのに応じない事業者がほえたてる
弱者であるお年寄りがだまされる
相談員という職業は身分保証もなく雇い止めもあり報酬も少ない

社会の中、組織の中は理不尽だらけ、不条理だらけです

このような理不尽や不条理は常につきまといます。
声を上げることも大事ですが、それに固執すると精神的にまいってきます。
理不尽や不条理から逃げていては、前へ進めません。
すばやく考え方を切り替える頭を持つことも一つの能力です。

精神的にまいってきたときに、その原因となるものは、もともと避けることができたものでしょうか?
どちらにしろ避けることができないのなら、うまくつきあってみましょう。

メンタルケアが必要なのは相談者だけではありません。
相談員にもメンタルケアが必要です。
話を聞いてもらいだけでも、癒されます。
地方の相談員や1人職場の相談員、職員との関係が良くない相談員など
環境面で恵まれていない相談員も少なくありません。
「話を聞く、共感する」
それだけでも十分かもしれません。
このサイトが独り立ちしたなら、相談員へのケアもできないかなあと考えたりします。

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相談員の能力の査定

前回の続きです

新人相談員、ベテラン相談員、転職組相談員など相談員になった経緯は様々です。そして、相談員は一定のカリキュラムで育成された職種ではないので、その能力も千差万別です。
この専門化育成カリキュラムがないところが、相談員の資質の向上が果たせない要因になっているのではないかと思います。

それはさておき、相談員の能力を測る簡単な考え方を紹介します。
ベテラン相談員が必ずしも能力の高い相談員とは限らないことがわかると思います。

相談員資格の見直しの検討会でも相談員の能力について言及しています。
それは、相談員の能力は、「知識」と「技能」が重要であるということです。
従来の「知識」偏重から「技能」の向上に目が向いたわけです。
技能の大きな柱は「コミュニケーション能力」です。

今回、私は相談員の能力の目安を「知識」と「伝える能力」で説明したいと思います。

「知識」と「伝える能力」は掛け算で考えます。
たとえば、Aさんが、ある分野の知識レベルが100だったとします。
しかし、Bさんは80の知識レベルしかありません。
すると知識ではBさんよりAさんのほうが優れているとなります。
では、相談者にとってはBさんよりAさんのほうが対応満足度の高い信頼できる相談員になるのでしょうか。
そうとは限らないです。
これが対人能力の必要な仕事の妙技であります。
Aさんは100の知識レベルでしたが、相談者に伝える力は70%でした。
Bさんは80の知識レベルでしたが、相談者に伝える力は90%でした。
するとAさんが相談者に伝えることができたのは100×70%の70の知識で、Bさんは80×90%の72の知識です。したがって、BさんのほうがAさんよりも多くの知識を相談者に伝えることができました。その結果、AさんよりもBさんのほうが相談者にとって満足度の高い相談員ということになります。
最終的に、2人の能力を査定したところ、AさんよりもBさんのほうが能力は高いということです。
(72と70はわずかな差ですが、一種のたとえ話と捉えてください)

同じパターンで、Aさんのある分野の知識レベルが160だったとします。すると、Bさんの知識レベル80の2倍となり、表面的にはAさんのほうが2倍の能力があるように見えます。
しかし、実際にその相談で必要な知識は100でした。残りの60はその相談では必要のない知識でした。しかし、Aさんはその60の知識も伝えようとしました。すると、相談者はどうなるでしょうか。
長い時間をかけて必要のないことまで説明されて、どうすればよいか分からなくなります。

単純に伝える力を%として考えましたが、これを「人当たり」と置き換えてもいいと思います。

私の言いたいことが伝わったでしょうか?
相談員に必要な能力は「コミュニケーション能力」です。
知識は足し算で増やすことができます。これは、経験年数にもある程度比例します。誰もが努力すれば知識レベルを上げることは可能です。知識レベルが高ければ能力も高いと錯覚しがちです。ただし、ある一定レベル以上の知識は当然ながら必要です。
一方、コミュニケーション能力というのはその人の人格そのものです。加減乗除で図れるものではありません。性格的なものですので、簡単には変えることはできません。
私は、「相談員の能力=コミュニケーション能力」だと思っています。
相談現場で「話を聞いてあげるだけで解決する」「一般常識で十分対応できる」という知識レベルとは関係のない相談も少なくないのではないでしょうか。
このコミュニケーション能力は人付き合いをすれば分かってきますので、比較的短期間で評価することができます。
いくら大学教授や弁護士並みの知識があっても、コミュニケーション能力のない相談員は必要ありません。
あなたは、どのタイプですか?
あなたの職場のほかの相談員はどうですか?

相談員の資質の向上のための研修がたくさん開催されていますが、コミュニケーション能力が向上していますか?

コミュニケーション能力の向上を真に願っている相談員は少なくないと思います。

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相談業務はコーチング

「名選手、名監督にあらず」という言葉があります。
現役時代にすばらしいものをもって活躍していた選手が、今度は指導する側である監督や、コーチになったときに、あまり、芳しい成績を残せないケースが多いことから、このような言葉が生まれたようです。

最近は、柔道での暴力、高校部活動での体罰、少し前には大相撲での暴行など、指導者の資質が問われる事件が続いています。

同様の問題は日本社会に広く根付いている問題であり、一朝一夕に解決することはないと思います。この件について語りだすと無限に続くのでおいておきます。

日本人は伝統的に、また、民族的にコーチングが不得意であることからきていると思います。
身近なコーチングである「子育て」も上手くいかないことが少なくありません。

コーチングには様々な定義の解説がありますが、「相手の自発的行動を促し、問題解決や成長する手助けをしてあげること」だと思います。

ティーチングは自分の知識や技術を相手に伝えることが目的であり、教えたこと以上のことを相手に伝える必要はありません。したがって、教えられた側はティーチャー以上の知識レベルになることはできません。そうなるためには自分自身で努力しなければなりません。
一方、コーチングは、相手の目標を達成するための方法や道筋を教えるのであり、成果をあげるかどうかは本人次第です。したがって、コーチ自身の持つ知識や技術レベルとは関係ありません(もちろんもってるにこしたことはありません)。スポーツで考えると簡単であり、スポーツの経験がないコーチや監督でも選手は成果を上げていますし、世界記録を持っている選手のコーチが選手より速いわけはありませんからね。

コーチングというのは、突き詰めれば、レベルの高いスキルです。

消費生活相談というのは、相談員が積極的に事業者と交渉しあっせんすることもありますが、本質的には相談員が消費者に解決方法を伝える「助言」が基本となっています。一種のコーチングですね。したがって、コーチングのスキルが重要となるのです。このコーチングには、コミュニケーションスキルが欠かせません。
いくら相談員に知識があっても相手にうまく伝えることができなければ役に立ちません。
私がコミュニケーション能力が重要であると主張しているのは、コーチングの本質がコミュニケーションスキルのあるからです。そして、相談員の能力もこれで評価することができます。

次回は相談員の能力を判断する目安について書きたいと思います。

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