消費者庁長官の記者会見(9月26日分)

重要度:高
※行政資料の重要度を個人的に分類

消費者庁のHPに、週に1回、消費者庁長官の記者会見の要旨が公表されています。
今回は前半の「消費者安全調査委員会」について重要度が高いという位置付けにしました。
「消費者安全調査委員会」については次回の個別の記事で取り上げます。

消費者庁HP
http://www.caa.go.jp/
トップページの新着情報からでもリンクしています。
トップ > 活動について > 大臣等記者会見
http://www.caa.go.jp/action/kaiken/index.html

阿南消費者庁長官記者会見要旨
(平成24年9月26日(水)14:00~14:21 於)消費者庁6階記者会見室)
http://www.caa.go.jp/action/kaiken/c/120926c_kaiken.html
消費者安全調査委員会の設置及び第1回消費者安全調査委員会の開催、介護ベッド手すりに係る死亡事故が相次いでいることについて
1.発言要旨抜粋

今日は私から2点発表したいと思います。
まず1点目ですが、消費者安全調査委員会の設置と第1回の消費者安全調査委員会の開催についてです。
まず、改正消費者安全法の施行によって、10月1日に消費者安全調査委員会が設置されることになります。消費者安全調査委員会は、生命又は身体の被害に係る消費者事故等の原因を究明し、その発生又は拡大の防止を図ることを目的として設置する機関であります。消費者庁は、消費者安全調査委員会の知見を活用して、より一層消費者安全の確保に努めてまいりたいと考えております。
10月1日ですが、事故調査室内に専用の相談窓口を開設いたします。事故等原因調査等の申出を希望する方からの電話相談の受付を開始いたします。
なお、第1回目の消費者安全調査委員会ですが、会合を10月3日に開催する予定です。その会合においては、まず冒頭に委員長を互選いただきます。それに続いて議題ですが、4つあります。まず、調査委員会の議事の手続その他調査委員会の運営に必要な事項を定めた調査委員会の運営規程。2つ目には、部会の設置など基本的な組織に関することです。3つ目は、消費者安全法に基づき事故等の原因調査等の申出を受け付ける際の申出書の様式についてです。4つ目は、調査対象の選定指針を審議していただくことになります。
もう1点です。介護ベッドの手すりによる死亡事故が相次いでいることについてです。
これまで事業者、そして厚生労働省、経済産業省、消費者庁等が介護ベッド用手すりのすき間に首や手足を挟み込む危険があること、手すり等のすき間を埋める対策などについて、注意喚起ですとか点検依頼を行ってまいりましたけれども、介護ベッド用手すりにかかわる事故が引き続き起きています。
このように事業者や関係省庁が注意喚起等を行ってきたにもかかわらず事故が発生しているという状況を踏まえ、今まで行った注意喚起、そして点検依頼がきちんと在宅等の介護されている現場に届いているのかなどについて、消費者庁自ら調査することといたします。また、消費者庁として今後も地方消費者行政担当部署や消費生活センターなどと連携し、消費者に対して更なる注意喚起や点検依頼を行ってまいりたいと思っております。さらに、注意喚起や点検依頼の情報については、啓発材料として、消費者教育ポータルサイトにも掲載する予定でございます。

2.質疑応答(抜粋)


読売新聞、崎田と言いますが、事故調のことで何点かなんですけれども、相談窓口を設置する、受付開始というのは、10月1日からすぐに受け付けるという意味ですか。

はい、10月1日から受け付けます。

ということは、その前に相談窓口の電話番号とかを周知するということですか。

はい、そうです。
電話番号を申し上げます。03-3507-9268です。

何時からなんですか。

受付時間が10時から17時です。3人体制で行います。

もう一つ、調査対象の選定指針、これをもう少し具体的にお願いします。

調査対象の選定指針の具体的な内容については、安全課はおりますでしょうか。
消費者安全課
ここにつきましては、国会審議における附帯決議においてもそういった選定指針を定めることとされたところでありまして、その中では例えば公共性、被害の程度、単一事故の規模、多発性といったものが書かれておりますので、そういったことも踏まえて委員会の場で審議していただくことを考えております。

そうしたら、具体的に調査、何をするかというところまで決めるわけではないということですか。

指針に基づいて選定するということになります。お申出いただいた事故ですとか、消費者庁に寄せられてきます事故情報などの通知があります。その中から選定していくということになります。

とりあえず調査するというのは、テーマを決めるということですか。

委員会で、その選定する基準を決めるということになります。

基準を決めた後に、実際に調査するテーマまで、個別の案件まで決めるという意味ですか。

個別の案件は、その指針に基づいて、何を取り上げていこうかということを決めることになりますが、まず第1回目はその指針を決めていただくということになります。

指針を決めるにとどまると。

はい、そうです。

実際の調査を、個別案件を決めるとすると、いつ頃になるのでしょうか。

それ以降になりますね。

第2回目以降。

はい、そうです。

11月以降という意味ですか。

いえ、もっと早目に開催できると思いますけれども。

そうですか。月1回の開始じゃなかったでしたか。
消費者安全課
そこは委員の先生方の日程で、10月中にできるかどうかはまだ分かりませんけれども。

委員会ができた時に、委員会開催の時に、個別案件も決まるということでしょうか。

そうなります。

この記者会見でテーマとは全く関係ない質問が出ましたが、なかなかするどい質問ですので紹介します。
全く記者のいうとおりですね。
(消費者情報10月号の記事で紹介したパッケージガチャが該当しますね)
これについても別途ソシアルゲームの解説で取り上げたいと思います。


週刊東洋経済の二階堂と申します。
今日の話題からまたそれてしまうんですけれども、ソーシャルゲームについてお伺いしたいんですけれども、以前も一度お伺いしたいんですけれども、コンプガチャ廃止以降の新しい商法によって、ユーザーが更に射幸心を煽られているというような事例がやはりあるのが実態なんですけれども、事業会社のほうでも、別にコンプガチャがなくても、幾らでも煽ることは可能だというような話もほうぼうで聞くんですけれども、これは絵合わせに該当しないから、そのままでいいのかというのは、よくないんじゃないかなと思っていまして、そこは消費者庁さんとしてのお考えというのを改めてお伺いしたいんですけれども。

カード合わせについては、今はやられていません。そのようなことがあれば、また規制の対象となります。今相談として多いのは、新しい課金方法に関するものが非常に多数寄せられていまして、カード合わせに対する具体的な指摘があるものはないです。ですから、消費者庁としては引き続き情報把握に努めて、カード合わせについては、厳正に処分をするという形にしています。
また、このゲームの運営事業者がこれまで以上に課金、収益を上げているといった批判などの苦情も含め、多数の情報が寄せられております。これらの情報は内容としては、課金方法に対する批判ということですので、これについて消費者庁が運営していますインターネット消費者取引連絡会において議論しております。業界のほうは自主的に未成年者のユーザーへの課金上限額を設定するなどの対策を行っていると承知しておりますけれども、引き続き連絡会の運営などを通じて情報把握をしたいと思いますし、事業者が自主的に取組を行うための環境をつくっていくことから始めたいと思っております。

相談員資格の検討会 中間報告 解説 その4

これ以降については特記すべきことはありませんので項目と簡単な説明をさせていただきます。
詳しくは、報告書本文をご覧ください。


6.相談員資格に係る更新・研修制度等

(1)相談員資格に係る更新制度
資格制度に更新制度を設けるとともに、更新に当たっての講習受講等により資格取得者の知識・技能について継続的に維持・更新を図る仕組とすべきである。
(2)資格を保有していない相談員に対する研修等

結局はどのような研修をするかという問題に集約されます。


7.相談員資格付与の主体
これも具体的な資格制度の先が見えないと決められないと思います。


8.3資格保有者等に係る措置

新たな資格の創設に当たっては、資格の水準を維持しつつも、現に消費生活相談が行われている現場において混乱が生じることがないよう、希望に応じて新たな資格を円滑に取得することを可能にする措置を講じる必要がある。

(1) 3資格保有者に係る措置
(2) 3資格を保有していない現職の相談員に係る措置
(3)3資格を保有している現職の相談員
新しい資格が創設されたときに、新しい試験も実施されることを前提に、現職は一部試験項目の減免をすべきではないかということです。現職は十分に能力があるからという理由からですが本当に十分に能力があるのでしょうか。能力に問題のある相談員もいると思いますし、自分で自分の能力に自信がなく向上したいと思っている相談員もいると思います。一律対応には無理があると思います。
また、3資格を持っていない相談員の首を切らずに新資格に移行させたいという思いがあるようですが、それって本当に信頼される資格になるのでしょうか。
このあたりは触れたくないところでしょうが、根深い問題かもしれません。


9.人材養成のための取組
(1)研修等に対する国の支援

消費生活相談について全国的な水準の確保と質の向上を図るためには、消費生活相談員に対する資格更新のための研修等を含めた継続的な研修を始め、資格取得促進のための講習等の自治体や消費者団体の取組についても、国として支援等を行っていくことが必要である。

(2)資格取得を促進するための措置

一方で、今回の相談員資格は、消費生活相談員が有すべき知識・技能等を担保し、消費生活相談員全体に取得することが求められるベースとなる資格であり、消費生活相談の質の確保・向上のためには、これを消費生活相談員全体に普及させていくことが極めて重要である。

新しい資格制度は、現職の相談員も含め全員が取得するべき資格にしたいという意向があるということです。


10.今後の課題
(1)より高度な知見や専門性などが求められる消費生活相談に適切に対応するために必要な資格
(2)消費生活相談以外の消費者問題等に関する活動を担う専門家の育成等


11.結び
まとめというよりも、別項目の特記事項として、「相談員のの処遇改善」について書かれています。
これは、検討会の最後の方で、現場の声として、「この制度ができたら雇い止めがなくなって処遇改善されるのか」という声に対して追加されたものです。
当然リンクしていないことは明白だと思います。だからこそ、単純に負担になる制度改革には声を上げるべきだと思います。

以上で中間報告書の解説は終わります。
次回は最後として、この問題についてどうすればいいのかという私の考えを再度まとめたいと思います。

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相談員資格の検討会 中間報告 解説 その3

5.相談員資格における必要な知識・技能の担保

17ページ

消費生活相談は、相談者に対して適切な助言・適切な情報提供を行うとともに、消費者と事業者との間で生じた消費者トラブルの解決を図り、さらには、関係機関との連携等により消費者被害の拡大防止・未然防止にまでつなげていくものである。

相談員に必要な能力として項目ごとに羅列されています。
これらの能力が相談員に必要で、新たな試験制度で取り入れたいいうことです。
すべてを満たすような相談員は現職でもそんなにいないのではないでしょうか。
それを入り口の試験で確認する基準というのが不明確ですし、中途半端にしても意味がないと思います。
個々の能力については別の機会に取り上げたいと思いますが、国が求める能力を抜粋します。

(1) 消費生活相談員に求められる知識とその担保

(1) 消費生活相談員に求められる知識とその担保

【消費者問題に関する法律知識】
消費生活相談員には、消費者と事業者との間のトラブルの解決に当たって、消費者問題に関する幅広い法律知識が求められる。また、法律そのものの知識だけでなく、立法の趣旨・理念や課題についても十分に理解した上で、適切な助言やあっせんにより消費者トラブルを適切に解決に導くことが求められる。
【商品・サービスや生活に関する知識】
また、消費生活相談員は、こうした消費者トラブルを解決するとともに、商品・サービスの内容や生活に関する相談に対応する必要があるため、消費者問題に関する法律知識とあわせて、商品・サービスや消費生活に関する幅広い知識を持つこと、及び消費者問題の背景にある社会経済状況の変化や取引や決済等の国際化の状況を把握することが求められる。
【関連分野や家計管理等に関する知識】
さらに、多重債務問題などの相談については、相談者の生活再建にまで繋げていくことも重要な役割であり、このためには、生活支援のための貸付制度等の福祉制度を始めとする関連分野に関する知識が必要となるとともに、生活再建に向けたアドバイス等のための家計管理や債務整理に関する基礎知識等も求められる。
【行政法規や行政組織等に関する知識】
また、受けた相談をもとに関係機関と調整して、事業者指導や法執行に繋げ、被害の再発防止・拡大防止に結びつけるためには、個別業法などの行政法規に関する知識が求められるとともに、行政においてどの部署がどのような業務を行っているか、意思決定はどのように行われるかといった行政組織に関する知識等も必要となる。

このように、消費生活相談を行う上で、消費生活相談員には、消費者問題に関する法律知識、商品・サービスや生活に関する知識、さらには、福祉などの関連分野や、行政一般に関する知識も求められる。

このため、相談員資格においては、こうした内容を含めた知識について試験において確認すべきである。

(2)消費生活相談員に求められる技能とその担保

(2)消費生活相談員に求められる技能とその担保
【ヒアリング力】
消費生活相談においては、不安を抱えて相談にくる相談者の話に真摯に耳を傾け、話を上手に引き出すとともに、問題点を的確に整理し、相談内容を十分に聴き取ることが求められる。また、あっせんを適切に行うためには、相談内容だけでなく、相談者の属性やおかれている状況、相談の背景となっている事情についても把握することが必要となる。
【コミュニケーションスキル・交渉力】
また、あっせんにおいては、相談内容を的確に分析し、それを基に事業者の様々な問題点等を指摘し、事業者との間で粘り強く交渉を重ねる高い交渉力も不可欠である。さらに、場合によっては、過大な要求をする消費者に対して説得して紛争解決に努めるといったことも必要となる。
このため、消費生活相談員には、相談者に対して適切に対応するためのコミュニケーションスキルや事業者との間で粘り強く交渉にあたる力が求められる。
【法令を活用する技能】
さらに、消費生活相談員は、受けた相談の内容に応じて適切な解決を図る必要があり、そのためには、単に法律知識を知っているだけでなく、法令の趣旨や理念も十分に踏まえて、消費者トラブル解決のために法令を活用する技能が求められる。
【文章作成力】
また、消費生活相談員が相談で得た情報については、他の消費生活相談員との間で共有し、全体としての相談対応力の向上に繋げるとともに、事業者に対する指導等により消費者被害の拡大防止・未然防止に結び付けることが必要である。そのため、消費生活相談員は、相談内容や処理結果等を的確に文章にして、他の消費生活相談員や消費生活センターと共有するためにPIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)に入力したり、法執行や事業者指導等を行う部局に情報提供することが必要である。
【関係部局等に対する積極的な問題提起】
さらに、消費生活相談員は、情報を提供するだけでなく、消費者被害の拡大防止・未然防止に向けて関係部局と連携・調整する必要がある場合や、消費者被害の防止・救済のための法令や制度等に問題点がある場合には、積極的に問題提起していくことが求められる。

このように、消費生活相談を行う上で、消費生活相談員には、知識はもとより、コミュニケーションスキル、ヒアリング力、交渉力、法律の活用力、文章作成力などの実践的な技能も求められることから、資格制度においては、試験内容にこうした技能を問う問題や実務に即した問題を取り入れたり、これらの技能を担保する仕組とすることが必要である。

(3) 消費生活相談員に必要な技能の担保方法

技能面を担保する方法については、資格付与に当たって、試験合格後に講習受講又は実務修習を課すことや、試験合格とあわせて一定期間の実務経験を要件として、登録する手続をとることなどが考えられる。

この部分が矛盾です。技能面については試験で確認する必要があるとしながら、技能面を担保するには合格後に何らかの方法をとるという説明になっています。結局は合格後に技能面の担保を講じるのであれば試験で精査する必要はないと思います。

【実務修習の課題】
実務修習については、実際に消費生活相談を行っている独立行政法人国民生活センターや自治体、消費者団体などの協力を得ることが前提となるが、これを受け入れる場合には大きな負担となるため、そうした観点から実現可能であるかどうかが課題となる。
【講習受講の課題】
一方、講習受講については、技能等を十分に身につけるにはある程度の期間が必要となると考えられるが、講習をどのような体制で実施するか、相談員資格を取得しようとする者、特に現職の消費生活相談員がそうした講習を受講できるかといった点が課題となる。
【実務経験要件の課題】
また、一定期間の実務経験を資格付与の要件とする場合、試験に合格しただけの者を消費生活センター等が受け入れるという制度が今回の資格の考え方と合わないのではないか、現に消費生活センター等で消費生活相談員として従事している者以外の者が相談員資格を取得することが難しくなるのではないか、実務経験を認める相談の場として消費生活センター以外にどのようなところをその対象とするかといった点が課題となる。

これらの課題がもっとも議論すべきポイントではないでしょうか。
要するに、コミュニケーション能力等の技能をどのようにして学ぶかというところです。
ここでは試験合格者に対する最初の研修を現場でできないかという提案がされていますが、現場の自治体では下記のとおり負担が大きく難しいと思います。理想ばかり求めても結論は出ないと思います。また、現職相談員も技能に関する研修は必須でしょうが、なかなかその場がありません。
基金導入後の研修でも知識面での研修はたくさん開催されましたが、技能面での研修は少ないというのは、開催が容易ではないという問題があるからでしょう。(この技能研修の問題点については、このサイトの開設時からのテーマです。)

21ページ

上記(2)で述べたように、消費生活相談の質の確保・向上のためには、消費生活相談員が実践的技能を身につけることが不可欠であり、相談員資格においてこれを担保することが必要である。一方、技能を担保する方法にはそれぞれ上記のような課題があることから、今後、自治体の意見等を十分に踏まえて検討することが必要であるが、講習に実務的要素を取り入れるなどの工夫をするとともに、こうした講習受講や実務経験要件など複数の方法の中からの選択を可能とする仕組とすることが現実的ではないかと考えられる。

(4)試験・講習の内容等の法令への規定

相談員資格を法律に位置付けるに当たっては、相談員資格がどのような知識・技能を担保するものであるかを明確にする観点から、試験や講習の内容等を法令に規定すべきである。

法律にまで規定する必要があるのかなと疑問です。
(つづく)

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