相談員資格の検討会 中間報告 解説 その3

5.相談員資格における必要な知識・技能の担保

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消費生活相談は、相談者に対して適切な助言・適切な情報提供を行うとともに、消費者と事業者との間で生じた消費者トラブルの解決を図り、さらには、関係機関との連携等により消費者被害の拡大防止・未然防止にまでつなげていくものである。

相談員に必要な能力として項目ごとに羅列されています。
これらの能力が相談員に必要で、新たな試験制度で取り入れたいいうことです。
すべてを満たすような相談員は現職でもそんなにいないのではないでしょうか。
それを入り口の試験で確認する基準というのが不明確ですし、中途半端にしても意味がないと思います。
個々の能力については別の機会に取り上げたいと思いますが、国が求める能力を抜粋します。

(1) 消費生活相談員に求められる知識とその担保

(1) 消費生活相談員に求められる知識とその担保

【消費者問題に関する法律知識】
消費生活相談員には、消費者と事業者との間のトラブルの解決に当たって、消費者問題に関する幅広い法律知識が求められる。また、法律そのものの知識だけでなく、立法の趣旨・理念や課題についても十分に理解した上で、適切な助言やあっせんにより消費者トラブルを適切に解決に導くことが求められる。
【商品・サービスや生活に関する知識】
また、消費生活相談員は、こうした消費者トラブルを解決するとともに、商品・サービスの内容や生活に関する相談に対応する必要があるため、消費者問題に関する法律知識とあわせて、商品・サービスや消費生活に関する幅広い知識を持つこと、及び消費者問題の背景にある社会経済状況の変化や取引や決済等の国際化の状況を把握することが求められる。
【関連分野や家計管理等に関する知識】
さらに、多重債務問題などの相談については、相談者の生活再建にまで繋げていくことも重要な役割であり、このためには、生活支援のための貸付制度等の福祉制度を始めとする関連分野に関する知識が必要となるとともに、生活再建に向けたアドバイス等のための家計管理や債務整理に関する基礎知識等も求められる。
【行政法規や行政組織等に関する知識】
また、受けた相談をもとに関係機関と調整して、事業者指導や法執行に繋げ、被害の再発防止・拡大防止に結びつけるためには、個別業法などの行政法規に関する知識が求められるとともに、行政においてどの部署がどのような業務を行っているか、意思決定はどのように行われるかといった行政組織に関する知識等も必要となる。

このように、消費生活相談を行う上で、消費生活相談員には、消費者問題に関する法律知識、商品・サービスや生活に関する知識、さらには、福祉などの関連分野や、行政一般に関する知識も求められる。

このため、相談員資格においては、こうした内容を含めた知識について試験において確認すべきである。

(2)消費生活相談員に求められる技能とその担保

(2)消費生活相談員に求められる技能とその担保
【ヒアリング力】
消費生活相談においては、不安を抱えて相談にくる相談者の話に真摯に耳を傾け、話を上手に引き出すとともに、問題点を的確に整理し、相談内容を十分に聴き取ることが求められる。また、あっせんを適切に行うためには、相談内容だけでなく、相談者の属性やおかれている状況、相談の背景となっている事情についても把握することが必要となる。
【コミュニケーションスキル・交渉力】
また、あっせんにおいては、相談内容を的確に分析し、それを基に事業者の様々な問題点等を指摘し、事業者との間で粘り強く交渉を重ねる高い交渉力も不可欠である。さらに、場合によっては、過大な要求をする消費者に対して説得して紛争解決に努めるといったことも必要となる。
このため、消費生活相談員には、相談者に対して適切に対応するためのコミュニケーションスキルや事業者との間で粘り強く交渉にあたる力が求められる。
【法令を活用する技能】
さらに、消費生活相談員は、受けた相談の内容に応じて適切な解決を図る必要があり、そのためには、単に法律知識を知っているだけでなく、法令の趣旨や理念も十分に踏まえて、消費者トラブル解決のために法令を活用する技能が求められる。
【文章作成力】
また、消費生活相談員が相談で得た情報については、他の消費生活相談員との間で共有し、全体としての相談対応力の向上に繋げるとともに、事業者に対する指導等により消費者被害の拡大防止・未然防止に結び付けることが必要である。そのため、消費生活相談員は、相談内容や処理結果等を的確に文章にして、他の消費生活相談員や消費生活センターと共有するためにPIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)に入力したり、法執行や事業者指導等を行う部局に情報提供することが必要である。
【関係部局等に対する積極的な問題提起】
さらに、消費生活相談員は、情報を提供するだけでなく、消費者被害の拡大防止・未然防止に向けて関係部局と連携・調整する必要がある場合や、消費者被害の防止・救済のための法令や制度等に問題点がある場合には、積極的に問題提起していくことが求められる。

このように、消費生活相談を行う上で、消費生活相談員には、知識はもとより、コミュニケーションスキル、ヒアリング力、交渉力、法律の活用力、文章作成力などの実践的な技能も求められることから、資格制度においては、試験内容にこうした技能を問う問題や実務に即した問題を取り入れたり、これらの技能を担保する仕組とすることが必要である。

(3) 消費生活相談員に必要な技能の担保方法

技能面を担保する方法については、資格付与に当たって、試験合格後に講習受講又は実務修習を課すことや、試験合格とあわせて一定期間の実務経験を要件として、登録する手続をとることなどが考えられる。

この部分が矛盾です。技能面については試験で確認する必要があるとしながら、技能面を担保するには合格後に何らかの方法をとるという説明になっています。結局は合格後に技能面の担保を講じるのであれば試験で精査する必要はないと思います。

【実務修習の課題】
実務修習については、実際に消費生活相談を行っている独立行政法人国民生活センターや自治体、消費者団体などの協力を得ることが前提となるが、これを受け入れる場合には大きな負担となるため、そうした観点から実現可能であるかどうかが課題となる。
【講習受講の課題】
一方、講習受講については、技能等を十分に身につけるにはある程度の期間が必要となると考えられるが、講習をどのような体制で実施するか、相談員資格を取得しようとする者、特に現職の消費生活相談員がそうした講習を受講できるかといった点が課題となる。
【実務経験要件の課題】
また、一定期間の実務経験を資格付与の要件とする場合、試験に合格しただけの者を消費生活センター等が受け入れるという制度が今回の資格の考え方と合わないのではないか、現に消費生活センター等で消費生活相談員として従事している者以外の者が相談員資格を取得することが難しくなるのではないか、実務経験を認める相談の場として消費生活センター以外にどのようなところをその対象とするかといった点が課題となる。

これらの課題がもっとも議論すべきポイントではないでしょうか。
要するに、コミュニケーション能力等の技能をどのようにして学ぶかというところです。
ここでは試験合格者に対する最初の研修を現場でできないかという提案がされていますが、現場の自治体では下記のとおり負担が大きく難しいと思います。理想ばかり求めても結論は出ないと思います。また、現職相談員も技能に関する研修は必須でしょうが、なかなかその場がありません。
基金導入後の研修でも知識面での研修はたくさん開催されましたが、技能面での研修は少ないというのは、開催が容易ではないという問題があるからでしょう。(この技能研修の問題点については、このサイトの開設時からのテーマです。)

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上記(2)で述べたように、消費生活相談の質の確保・向上のためには、消費生活相談員が実践的技能を身につけることが不可欠であり、相談員資格においてこれを担保することが必要である。一方、技能を担保する方法にはそれぞれ上記のような課題があることから、今後、自治体の意見等を十分に踏まえて検討することが必要であるが、講習に実務的要素を取り入れるなどの工夫をするとともに、こうした講習受講や実務経験要件など複数の方法の中からの選択を可能とする仕組とすることが現実的ではないかと考えられる。

(4)試験・講習の内容等の法令への規定

相談員資格を法律に位置付けるに当たっては、相談員資格がどのような知識・技能を担保するものであるかを明確にする観点から、試験や講習の内容等を法令に規定すべきである。

法律にまで規定する必要があるのかなと疑問です。
(つづく)

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