お母さんの手

今日、スーパーで子供の頭を手の平で叩いているところをみました。
お母さんが挙げる手を見て子どもがびくびくしていました。

お母さん、その手は子供をやさしく包み込んであげる手じゃないの?
少し悲しい気持ちになりました。

でも、私たちが思っているような常識は本当は常識ではないのかもしれません。
そんな悲しい事件がたくさん発生しています。

人と犬を一緒にするのもなんですが、飼い犬にとって飼い主の手が、ほめてなでてくれるうれしい手になるのか、たたかれる怖い手になるのかは飼い主次第です。

一瞬の激しい感情が、すべてをぶち壊すことがあります。
相談現場では感情のもつれからくるトラブルが非常に増えています。
一度こぶしをあげると、なかなかおろすことができなくなります。
本当はちょっとした気持ちの行き違いがあっただけなのに。

相談業務も大変です。

さみしい世の中になりました。

「都内相談員にアンケート」の記事より

「ニッポン消費者新聞」の9月1日号に、「TOKYO消費者行政充実ネット」という組織が、都内の消費生活相談員すべてを対象にアンケートをした結果のダイジェストが掲載されていました。

一部抜粋

対象人数262人、回答数140人、回収率53.4%
70%の相談員が週3-4日までの非常勤を希望
困難な相談に対しての専門機関の回答に対して80%が満足。
問い合わせた相談員の知識・経験によって感じ方が違うと分析
弁護士への評価が最も高かった。
専門的知識が求められる「自動車」[旅行]「土地・建物」「製品事故関連」などの業界団体の評価が高い。

66.4%がメンタルヘルスが必要
相談業務では精神的負担が大きい
相談員の精神的ストレスをどう改善するか重要な課題と指摘

勤務先のセンターや担当職員への要望
担当職員に対し、レベルアップ・スキルアップを求める意見が最も多かった
報酬アップ、雇用の安定

消費者行政の充実化について
相談員の増員、窓口開設日の増加、専任職員の配置など

私の感想です
このアンケートの位置づけがどうなのかは不明ですが、回収率が53.4%というのに対して、相談業務に対する意識の低さを感じます。ただし、このアンケート自体に胡散臭さを持っていて意図的に回答していないのならそうとも限りませんが、真剣に相談員の声を活用するのなら100%近い回答を取ってこそと思います。それとも、何も期待していないし、流れに身を任せているだけなので、興味がないだけでしょうか。
回収率についてコメントする私も私ですね。

報酬アップ・雇用の安定を望みながら、週3-4日までの非常勤を希望というのはどうなんでしょうか、予想外です。一般的には常勤化の流れだと思うのですが。

専門機関への問い合わせは、突き詰めれば、それ自体が難しいスキルを必要とします。
相談の中身、問題点を理解していなければ、正確な問い合わせはできないし、的確な回答が得られないからです。
また、それにも増して、専門的知識の助言を受けた後のあっせん方針や説明も大切なスキルですね。

「相談業務では精神的負担が大きい」のは当然です。しかし、これは相談員に限ったことではなく、ノルマのある歩合制の営業など多くの仕事に付きまとうものです。
また、相談員自身のスキルによっても精神的負担が異なると思います。
ストレスを改善するには、外的な環境や体制整備のほか、内的な要因としてストレスをためない・ためることのない対応スキルを身につけることだと思います。

「専任職員の配置」は一部の自治体では専門職がありますが、なかなか難しいですね。
担当職員のレベルアップ・スキルアップが可能かどうかは疑問です。
行政職員と相談員との温度差は都市部より地方のほうが大きいと思います。

実際のアンケート結果の報告が入手できておらず、すべてを読んでいませんし、記事の書き方にもよるので、分からない部分もあります。

少し後ろ向きな書き方になってしまったのですが、第3者的に素直に感想を書いてみました。
もちろん全国の相談員の気持ちは、今回の結果と同じとは限りませんし、このアンケートの回答者も様々な意見があったと思います。
みなさまは、どうですか。

※会員用サイトであれば、この記事についてコメント欄で意見交換をしたいところですが、申し訳ありませんが書きっぱなしになります。

相談員のコーチとしての存在

「このサイトの今後について」で、私が目指していることについて説明してきましたが、最後に補足しておくことがあります。
何度か書いたことはありますが、私がこのサイトを主催しているからといって、私自身が絶対的な存在であるとは思っていません。
そして、私の考えがすべて正しいとも思っておりません。
意見が違っても当然ですし、考え方や方法もたくさんあると思います。
とはいえ、経験からは多くのスタンダードを示すことができます。
そこから、正解を導き出すためのヒントを多く示すことができるのが強みであると考えています。
また、第3者の目からの助言は、迷いの生じた相談員を冷静な状態に引き戻すこともできるのではと思ったりもします。

私のスタイルとして、知識については教える部分もあるとは思いますが、技術については「教える(ティーチング)」というよりも、「コーチング」により、相談員自身が答を導き出せるようになってもらうことを目標にしています。

相談員が消費者のコーチであるように、私は相談員のコーチであることを目指しています。
ティーチする人はティーチする内容についてティーチされる人よりも基本的には能力が高い存在でなければならないと思います(学校の教師と生徒の関係=上下関係)。
しかし、コーチする人はコーチする内容についてはコーチされる人のほうが能力が高いこともあります(スポーツ選手とコーチの関係=コーチの競技能力が選手よりも高くはないが、コーチのアドバイスによって選手の能力が向上する=対等の関係)。

したがって、私は相談員とは対等の立場、コーディネーターとして、相談員のそばにいて、能力向上のためのヒントや気付きを示す存在でありたいと思っています。

ちなみに、消費生活センターは弁護士と提携していることが多く、処理の困難な事例について助言を求めていることもあると思います。
もちろん法律的な判断は大切だと思いますが、あくまでも、解釈論の話で、法律的に結論が出た=相談はあっせん解決する、にはならず、現場対応するにはかけはなれた助言の場合もありますし、その結果を導き出すためのプロセスや実際に相談者に伝えたり納得させたりするための現場対応についてまで、言及されることはあまりないのではないかと思います。
そういう面から考えると、弁護士は「法律知識についてティーチする人」ではないかと思いますし、私の活動とは全く異なるものだと考えています。

どちらかというと、国民生活センターの相談ダイヤルによる相談員の支援に近いのではと思います。
ただし、大きな組織がやっているので当然「強み」や「弱み」があり、公的であるがための限界もあるのではないかと思ったりします。その限界については、実際に感じた経験があるかもしれません。

このように、消費生活センターや相談員をバックアップする体制は、様々な形で存在します。積極的に利用しているかどうかは自治体によって格差があると思います。
私の目指すものは、それらのバックアップ体制と対抗するものではなく、バックアップ体制を構成する要素の一つと考えています。