WEB版 国民生活 2014年6月号

月刊国民生活が書籍から無料のWEB版になって2年が経過しました。
みなさん、読んでますか?
書籍版でセンターに送付されていたときは回覧されてきたときに必ず読んでいましたが、WEB版になり自分で読みに行くという自発的な行動はすぐに忘れてしまいますね。
今の国民生活も冊子にして送付されているようですが、何のためにWEB版になったのかと思いますが気にせず読みましょう。

国民生活センターHP トップページ > 研修・資料・相談員資格 >
国民生活 http://www.kokusen.go.jp/wko/index.html

さて、6月号の特集は「地方消費者行政と消費生活相談」です。 3本の記事が掲載されています。
相談現場に関係する話なのでぜひ読んでください。
それぞれの記事についてコメントしたいと思います。

2014年6月号【No.23】(2014年6月16日発行)

特集 地方消費者行政と消費生活相談
1 地方消費者行政と消費生活センターの役割[PDF形式](386KB)
【執筆者】田口 義明(名古屋経済大学教授、消費者問題研究所所長)
2 充実した体制をめざして[PDF形式](863KB)
【執筆者】三角 登志美(熊本県環境生活部県民生活局消費生活課 課長補佐(消費者支援))
3 相談員に尋ねる聴き取りの基本[PDF形式](267KB)
【協力】独立行政法人国民生活センター 相談情報部 【文】独立行政法人国民生活センター 広報部

消費者庁の発足、地方消費者行政活性化基金の創設により、地方消費者行政の充実・強化が図られています。地方消費者行政と消費生活センターの歴史と現状を解説するとともに、積極的に県内市町村の相談体制の整備を図っている熊本県の取り組みを紹介します。さらに、当センター相談員にインタビューし消費生活相談の聴き取りの基本についてQ&Aにまとめました。

1 地方消費者行政と消費生活センターの役割
前半部分に地方消費者行政の歴史がうまくまとめられています。相談員試験の受験者には参考になりますね。
特に、消費者保護基本法の改正から消費者庁の発足、消費者安全法での消費生活センターの位置づけなど大きな転換期があったことが分かります。
それと同時に、地方消費者行政活性化基金により、ハード面とソフト面で「集中・強化」されました。
その結果、消費生活センターが大幅に増加し、相談員も増員されましたが、課題も残されたことを、「集中育成・強化期間の成果と課題」でまとめています。

本題はここからです。後半では今後どうなるのかということに言及されていますが、消費生活センターの役割と課題として「都道府県と市町村の役割分担」と「相談業務の質的向上」と「相談員の資質・能力の向上」の3つがあげられています。
読んでみると、結局、基金を使って相談窓口を整備してハードの面ではある程度目的を達することができたけど、人材育成などの質の向上の面では課題が多く残されたということです。
「仏作って魂入れず」というのでしょうか、基金が始まったときから私が懸念していた通りになりました。とにかく、相談窓口を作ることが緊急ミッションでしたので、人材は後回しになるのは仕方がありません。基金ジャブジャブの3年間が勝負でしたが、基金を使うことが目的になった感もあります。
私の感じたところでは、相談員への集中支援という施策は基金で終了したのではないでしょうか。あとは、それぞれの自治体がやってくださいよ、ということですね。予算もそれぞれで措置して。
その後、相談員から行政職員の資質の向上に移行しましたが、課題を残したまま、それも終わりかけていますね。
今後、相談員は受身にならず自発的にスキルアップをしていく必要性があるように感じます。
ただし、相談員資格の見直しにより新しい資格制度ができたときに、ならかの山がくるような気がします。それがラストチャンスかもしれません。
そういう質の向上に関して私が何らかの形で関与できたらいいなあと思っています。

2 充実した体制をめざして
熊本県の相談員育成と相談窓口充実のために取り組んだことが紹介されています。基金を使って取り組んだ事例です。うらやましいと思う相談員もいるでしょうし、事例として紹介されていないだけでほかの自治体でも同じような取り組みがされているかもしれませんね。実質的な中身の評価と効果や継続性について、私は中の人ではないので良く知りませんが、今現在どうなっているか気になります。
相談員へのサポートが充実しているのか、このサイトへの熊本県からのアクセスはとても少ないです。

ちなみに、平成24年7月の「地方消費者行政の充実・強化のための指針」(取組事例集)でも紹介されています。

3 相談員に尋ねる聴き取りの基本
国センの編集の人が国センの相談員に尋ねるという形です。
マニュアル的なものになっていますので確認しておいてください。
当然基本の入り口なので、応用やバリエーションがたくさんあります。マニュアルどおりにいかないこともあります。
そこは経験と勉強がものをいいます。

※今回の特集を読んでみて、今後の課題への取り組みは思ったほど、うまく進んでいないように感じます。前途多難ですね。

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難苦情対応事例 後半(季刊ダイレクトセリング125号)

事例
「15年前の契約に不満を持ち、示談後も繰返し行政機関等へ苦情をいう消費者。どのように対応すべきか」
の解説の続きです。
前回は事例に書いている対応方法について、感情の面で対応をしなければ、消費者の主張に沿う何らかの対応をしたとしても、同じことが繰り返されますと説明しました。
今回は、具体的に5つあげた感情について分析し、法的手段以外の対応方法について考えたいと思います。
といっても、法的手段を実行となると、なかなか現実的ではないですし、今回の事例に対してのベストチョイスではない気がします。

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難苦情対応事例 前半(季刊ダイレクトセリング125号)

季刊ダイレクトセリング
http://www.jdsa.or.jp/www/jigyo/shuppan-02/mokuji-10.html
季刊ダイレクトセリング 125号(2014年1月発行) ※次号が発行されるまでの公開ですので今のうちに(たまたま前号が残ったままです)
http://www.jdsa.or.jp/www/jigyo/shuppan-02/ds/ds125.pdf

前回の続きです。

事例
「15年前の契約に不満を持ち、示談後も繰返し行政機関等へ苦情をいう消費者。どのように対応すべきか」
内容
男性の相談者からの申出は、15年くらい前から、1〜3年の間隔をあけて続いている。毎回、必ず、初めに自分の電話番号を言い、一方的に折返しの電話を求める。折返しの電話をしないと催促の電話が度々かかってきた。一度、相談者から電話があると、伝えるべき結果は同じであっても、とりあえずは応対せざるを得ない状況にある。申出の金額は、その都度違うが、内容はほぼ同じであった。1997年の父親の複数のリフォーム契約に関するもので、雨漏り対策として窓の木枠をアルミ製に交換した120万円の契約についての話が中心である。その契約から約8年後の2005年に、相談者から「8年前、父が夜12時ごろまで居座られ、120万円のリフォーム契約をした。工事が杜撰である。訪販協に何度も相談したが、その後の対応がない。経産省にも相談したが同じ。警視庁に申し出たら『悪質商法。被害届が出れば、捜査する』と言われた。このままであれば、警視庁に被害届を出さなければならない」という電話があった。それ以降も、2010年、2011年、2012年に、同じようなクレームの電話がかかってきた。
当社は、2005年頃から何度も相談社宅に行き、2007年には示談書を交わして30万円程を返金したが、その後、相談者は「示談書のサインは自分ではない」などと言い出した。そこで、当社としては、「警察でも、裁判でも受けてたつので、行ってください」と伝えているが、相談者は、思い出したように、訪販協や各関係省庁に苦情を申出ている。相談者は、例えば、「国交省の弁護士が契約は無効だと言った」などと話していたので、国交省の窓口に確認したこところ、「相談者が言うような回答はしていない。こちらに電話をされても困る。やめてほしいと相談者に伝えてほしい」と言われた。また、以前には、当社の代表電話に電話をかけてきて、「社長を出せ!」と大声を出したりした。当社としても、これ以上は放置できないので、相談者に、「当社の顧問弁護士から回答書を送るようにする」と話したところ、相談者は「弁護士から文書が送られるのは迷惑だ」と言っていた。

この事例は、そのまま行政にもあてはまりますし、センターに関係の深い家電メーカーなどの事業者にも当てはまります。
いわゆる、「お客さん」です。
今回の事例は事業者としての対応ですが、行政としての対応は、かなり異なる場合がありますね。
常連になってほしくないですが、そうはいかないのがこの世界です。
今回は、事例にある解説に、行政(=消費者センター)だったらどうなるのかということを考えたいと思います。
さらに、今回の相談者が何を目的としているのかという本質的なことについても考えたいと思います。

ちなみに、今回の事例はクレーム対応のケーススタディに使いたい事例ですので、個人的に保存版にして、パワーポイントでケーススタディの研修資料にしておこうと思っています。
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