月刊 国民生活 2012年4月号(最終号)

ついに、月刊国民生活が雑誌形式の最終号を迎えることになりました。
国民生活センターとともに歩んだ消費者問題の歴史ともいえるものであり、最終号でその歴史が特集されています。
もともと「国民生活」と「たしかな目」が統合されて今の「月刊国民生活」となったのは記憶に新しいことです。
充実した内容であったのは疑うまでもありません。
しかし、内容がよければ継続できるものではないことは、競争社会では当然のことです。
3000部程度に落ち込んでいては問題を指摘されるのはあたりまえでしょう。
そのあたりの努力が足らなかったからこそ休刊になってしまったと思います。
そして、鏡のように国民生活センターも統合される動きになっています。
根本的な改革をしないければ体質は変わることはないでしょう。

新聞が今でも生き残っているように、WEB形式に移っても紙媒体の優位性はあると思います。
今後、国民生活が無料のWEB形式になりますが、無料であるがゆえに、スタート時点で赤字ということになります。
だんだんと先細っていくような懸念がありますが、今後も、注目していきたいと思います。

①特集 消費者問題を振り返る-『国民生活』が伝えてきたもの-
(1)消費者問題等年表
「消費者問題と世の中の動き」と制定された法律を網羅している「消費者行政等」の年表を並べて消費者問題の歴史が一覧になっています。勉強になりますね。保存版です。
(2)識者が語る『国民生活』
・惜しまれる休刊-次にどう引き継ぐか-
・『国民生活』の意義-消費生活相談の現場から-
・『国民生活』が伝えてきたもの-消費者運動の力の支え-
・「生身の生活」を伝えた40年 消費者の苦悶、どう共有化
・『国民生活』が伝えてきたこと-企業の消費者対応部門の立場から-
・激動の40年!信頼できる情報誌とともに
・【取材記事】『国民生活』の歩み
→今後の問題として、インターネットで必要な情報にアクセスすることは、手元にある書籍で調べるよりも手間がかかることは多い。雑誌や書籍であれば通勤途中でも持ち歩ける。情報弱者に対して十分な支援を、等のメッセージがこめられています。
※雑誌形式がいいというのはそのとおりです。黒字事業であれば誰も文句を言わないでしょうね。それが現実です。では、雑誌形式を継続する代わりに1冊5000円にしたら皆さんは喜んで買うでしょうか。理想と現実のギャップを放置した国センにも責任はあると思います。

②法キャンパス【暮らしの法律Q&A】
「火事の損害賠償はどこまで?」
・隣家の家事で類焼した場合に隣家に対して損害賠償請求できるのか?
・放火など隣家の住人に故意も過失もない場合は損害賠償請求はできない。
・放火とうでない場合も、一般の不法行為責任と異なり、隣家の住人に故意または重過失がある場合に限られる。
・失火責任法で責任を限定している。
など
※知らないことだったので勉強になります。

③事例で学ぶインターネット取引
「クレジットカード決済代行業者」
・ECネットワークの原田さんによる執筆4回の最終回です。
・事例を元に決済代行業者の仕組みと対応方法について解説されています。
※出会い系サイトやアダルトサイトの被害にあった場合にカード決済をしていることが多いですが、最近は対応について定型化されていますので、初期のころの困難さに比べたらやりやすいですね。

④【クリーニングの基礎知識】
「消費者とクリーニングの苦情」
・約2年間にわたって連載されてきたクリーニングの最終回です。
※クリーニングの苦情はPIO-NETでも昔から商品の上位に入っている相談です。
組合員か非組合員か、どこで検査をするのか、メーカーの責任、常識力など問題は目白押しです。
消費者、クリーニング業者、メーカー、検査所、センターとそれぞれの立場の考え方にGAPがあるので簡単に解決できないというのが現実です。
相談員にとってクリーニングの相談は避けては通れないものです。
経験値が大きくものを言うかもしれませんね。

⑤【知っておきたい相談周辺の基礎知識】
「パケット定額サービス」
・パケット定額サービスが登場してきた背景
・段階性定額と完全定額
・標準設定の料金プランも登場
※どの記事でも「スマートフォンは完全定額にするべき」と書かれていますが、そうでない方法も選択しにはあるということを別の機会に記事にしたいと思います。

国民生活センターHP
月刊国民生活4月号
http://www.kokusen.go.jp/book/data/gko.html

ジャドマニューズ 2012年3月号

「ジャドマニューズ」の最新号・バックナンバーは、HPで閲覧できます。
http://www.jadma.org/jadma_news/index.html

「通販110番」の記事から一部紹介し、コメントします。

通販110番消費者相談編
「無用なトラブルを生んだ顧客対応」

事例「クリーニングでボタンが割れた!謝罪もなく、責任をとろうとしない!」
・1年前に通販購入のカーディガンをクリーニングに出すとボタン4個が割れたので、同じボタンがほしくて通販会社に問い合わせた。
・クリーニング店と話がしたい。1年分の購入記録しかないので確認できない、といわれた。
→購入履歴の対応の再確認と商品を引き取りボタンを探したいとのことになったが、相談者が購入店舗を間違っていたことがわかった。そちらの通販会社では最初に謝罪とボタンを探すとの回答があった。対応の違いに不満が残った。
→110番のコメント「最初の顧客対応時に顧客の気持ちに沿った丁寧な対応をしていれば、今回のような無用なトラブルは避けられたはず」
※要は苦情の初期対応として、「苦情を認めるのではなく、自社製品で不快な思いをさせたという謝罪をまず最初にする」という基本ができていなかったために火がついたパターンですね。消費者センター的に考えると、どちらかというとクリーニング苦情になりますが、クリーニング店と話ができないのなら、販売店のサービスに依存することにもなります。日本人は、とにかく「気持ち」の問題で解決することも多いのでコミュニケーションが重要ですね。

通販110番事業者相談編
拡大損害事例とその対応方法

事例1「ふたの開いた米ビツに破損した鏡の破片が混入」
・大型鏡が商品購入時に破損していたようで開梱時に鏡の破片が飛び散り、そばのふたの開いた米ビツに混入した可能性がある
・何らかの保証を求められている
・同様苦情があり梱包形態を見直し中だった
→顧客の開梱状況の確認が必要で、返品交換以上の対応には慎重になるべき。事業者が顧客に丁寧に対応したところ、返品対応でおさまった。

事例2「背もたれのささくれでニットウェアを傷めた!」
・天然藤ダイニングチェアで、大型鏡が商品購入時に破損していたようで開梱時に鏡の破片が飛び散り、そばのふたの開いた米ビツに混入した可能性がある
・何らかの保証を求められている
・同様苦情があり梱包形態を見直し中だった
→顧客の開梱状況の確認が必要で、返品交換以上の対応には慎重になるべき。事業者が顧客に丁寧に対応したところ、返品対応でおさまった。

※普通の消費者が事業者の対応のまずさにクレーマーに変貌していくことはよくある話です。こうなれば、こぶしの下げどころが分からないので泥沼にもなってしまいます。毅然とした対応もいいのですが、事業者にも非がある場合は、クレーマーにならないための初期対応が重要ですね。

「相談室長より」というコメントが参考になります。以下に抜粋します。


顧客対応時に重要な「三現主義」

顧客対応時に重要なことは、申し出者の要求が「理に適った要求」であるのか、「理不尽な要求」であるのかを的確に判断することです。前者については言うまでもなく企業として真摯に受け止め、誠意をもって対応することが必要です。しかし、後者は「社会通念上、許容される範囲を超えたもの」として、毅然とした姿勢が求められます。
「三現主義」という、マネージメント用語があります。「三現」とは現場・現物・現実のことで、原因やその後の処理を検討する際の基本的な3要素といわれています。要は、状況を正確に把握するため、事故発生時の状況を多角的に、かつできるだけ詳細に聞き取り、矛盾点や記憶違いを見極めることが、何よりも大切であり、その結果として適切な判断を下すことが可能になると考えます

社団法人 日本通信販売協会 HP http://www.jadma.org/
会報誌(JADMA NEWS) http://www.jadma.org/jadma_news/index.html

NACS通信販売報告書

日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会(通称NACS)は「NACSウィークエンド・テレホン」として東京と大阪で週末相談を受けているほか、テーマを決めて毎年秋にスポットで電話110番事業を実施しています。
平成23年度は「通信販売トラブルなんでも110番」を11/5・6に東京と大阪で実施し183件の相談を全国から受け付けました。
その110番の概要はネットでも閲覧できますが、相談内容だけが掲載されていて助言内容が掲載されていません。
報告書本体には、助言も含めた相談概要や一口メモとして法律や相談機関などが開設されており、一口メモを読むだけでも通信販売を中心とした相談対応の原則を知ることができ勉強になります。この一口メモは参考資料として大いに活用できます。
この報告書は全国の消費生活センターにも送付(2/11付)されていると思いますので、改めて紹介します。
NACS HP
http://www.nacs.or.jp
TOP>委員会>消費者相談・ADR委員会
3.110番事業
http://www.nacs.or.jp/iinkai/shohishasodan.html
概要版
http://www.nacs.or.jp/katudou/110.html
過去の110番の概要は
top>消費者相談(ウィークエンド・テレホン)>なんでも110番
http://www.nacs.or.jp/katudou/110.html
「各110番の報告書は、別途作成しています。 入手希望の方は、ウイークエンドテレホン(消費者相談室)まで、ご連絡ください。」とあるのでお持ちでない地方のセンターの場合は連絡してみてはどうでしょうか。

私が知らなかった窓口が一口メモにありましたので紹介します

一口メモ:【商標権・偽ブランド(模倣品)問題について】
並行輸入品の偽者についての相談窓口
「ブランド110番」日本流通自主管理協会(平成22年に法務大臣より認証)

HPを調べてみました。
日本流通自主管理協会 HP
http://www.aacd.gr.jp/pc/index.html
消費者Q&Aセンター
AACD消費者Q&Aセンターでは、一般消費者の皆さまが入手した並行輸入ブランド品を安心してご使用いただくために、ご相談・問い合わせに対応しております。また、入手した商品にご不安がある場合には、協会独自の基準をもとに「基準内・基準外」の判定(※注)をしております。 どうぞ、お気軽にお電話ください。
http://www.aacd.gr.jp/pc/adr/index.php
ADR・ブランド110番
消費者/業者の方で、購入した/販売した ブランド品の真贋を巡る疑義・不安などが原因となっているトラブルの解決を図りたい方に・・・
http://www.aacd.gr.jp/pc/adr/index.php
手続きの流れ(フローチャート)
http://www.aacd.gr.jp/pc/adr/page.php?segment2=5&segment3=2&page_id=1926
※今までは、申し出るとすれば警察ぐらいしか思いつかなかったので、並行輸入品であれば、紹介先になるのではないかと感じました。