季刊ダイレクトセリング 125号(2014年1月発行) その1

「公益社団法人 日本訪問販売協会」が「季刊ダイレクトセリング」という広報誌を発行しています。
JADMAニューズは月刊なので忘れませんが、こちらは季刊なので久々に気づいてチェックしてみました。

125号でなかなか強烈かつ行政にもありがちな事例が紹介されていましたので、ぜひ考えていただきたいです。

この広報誌はWEBから最新号が閲覧できます(バックナンバーは有料です)。
公益社団法人 日本訪問販売協会
http://www.jdsa.or.jp/
季刊ダイレクトセリング
http://www.jdsa.or.jp/www/jigyo/shuppan-02/mokuji-10.html
季刊ダイレクトセリング 125号(2014年1月発行) ※次号が発行されるまでの公開ですので今のうちに(たまたま前号が残ったままです)
http://www.jdsa.or.jp/www/jigyo/shuppan-02/ds/ds125.pdf

特別インタビュー
石ヶ休剛志 経済産業省商務流通保安グループ消費経済企画室長
ダイレクトセリングの現在と可能性
消費税増税など激動が予測される平成26年の幕開けに当たり、石ヶ休氏に日本経済におけるダイレクトセリングの可能性や強み、そしてダイレクトセリング業界が今後取り組むべき課題についてお聞きした。(聞き手:編集部)

この記事から一部抜粋して紹介します。

顧客満足を高めるコミュニケーション品質の確保

石ヶ休 そのときに求められるのは、顧客満足が高められるような販売員のコミュニケーション品質の確保でしょう。
 各企業で取り組まれていると思いますが、協会として一定レベル以上の販売員を認証することでバックアップするようなやり方も考えられるのではないでしょうか。
――法律に関する資格講座は、既に協会で実施しているのですが、法的知識に加えて、マナーや社会常識的な知識、教養を確認したり補ったりすることで、力のある販売員を育成することができそうです。教える側の養成も含めて考えたい課題です。
石ヶ休 人材育成にあたっては、どういった人物像を求め、スキルとしては何が必要になるのかを明確にしておくことが大切でしょう。
 コミュニケーション品質は、どういう要素に分けられるのか、どの要素でどこまで達すればよしとするのか。漠然とコミュニケーションというのではなく、要素に分けてレベルを要求しないとうまくいかない。難しいですが、重要な課題ではありますね。
 コミュニケーション品質向上講座ができたら、それはすごいことです。難しいことだけに、成功したら大きなインパクトがあります。検討の価値があると思います。
――人物像としては「もう一度会ってみたい」と思われる人になろう、あの人からもう一度話を聞きたいといわれるような人になろう、という目標を提示しています。
社会に何を与えるかというヴィジョンを明確に持っている企業には、そういう人が集まりやすいと分析しています。
 特定商取引の法的知識、マナーや社会常識に加え、文化的な素養、趣味の領域で得意な分野があれば高品質のコミュニケーションにつながり、強みになると思います。
お客さんが大切にしている趣味の分野の話題で、それなりの素養を持って一定レベル以上の会話が成り立つコミュニケーションができたら、歓迎され、また話をしたいと思ってもらえるでしょう。
必ずしも同じ分野でなくても、何かひとつ得意な分野を持つ人は、他の人が大切にしている分野に対しても敬意を払って話をきくことができます。
こういう品質の高いコミュニケーションができれば、例えて言えばデパートの外商のように、レベルの高い顧客をつかむことができます。もっとも、企業側にはそういうレベルの高い販売員を迎え入れることができるような状況や環境の整備が求められますけれども。検討する価値はあると思います。
石ヶ休 そうしたハイクオリティのダイレクトセリングができれば、顧客満足度も極めて高いでしょう。

経産省の役人との半紙ですね。訪販協としてはがんばっていることを主張したいでしょうが、人材の理想を言えばきりがないです。
ほかの世界でも同様ですが、それを実現しようとする動きがなかなかないんですよね。
消費者行政の世界でも理念にどう現実を追いつかせるかが課題です。
最近、消費者行政の人材育成の話をなかなか聞きませんね。
今は景表法を都道府県におろすための人材育成に力を入れているようです。

高品質のコミュニケーションの訪問販売で思い出すのが、名古屋のヤナセで3日に1台外車を売るカリスマディーラーで、テレビでもよく紹介されます。
東海テレビ「スタイルプラス」東海仕事人列伝『 3日に1台BMWを売る男 舘野文誉 』http://tokai-tv.com/styleplus/old/new/070318/index.html
まさに、これに該当する人材でしょうが、なかなかそこまでにいたるのは簡単ではありません。

訪販業界でも問題のある商材には人材養成よりも契約を取りに行くセールストークです。販売員も短いサイクルで回ります。使い捨てのようなものです。
一方、本当の良い商材を正しく販売する業者が生き残るのでしょうが、そんな商材は少ないし、人材養成したとしても、訪販業界は悪質業者の影響で打撃を受けているし、最悪、不招請勧誘の禁止にまで行く可能性もあります。ネット通販の影響もあります。今までのやり方では縮小する一方でしょう。
訪販業界の未来は、新しいビジネスモデルを確立することがキーポイントです。
新しいビジネスモデルこそ、ここでいう人材が作り出すのかもしれませんね。
それよりも、訪販業界として、もっとやるべきことがあるでしょうと、高齢者の被害が減らない現状に思います。

私たちは、人材育成の理念を見る聞くだけでなく、実際に少しづつでも、意識して実行していくことが大切です。
スキルアップ講座で会費を支払っても勉強するという意欲は、人材育成のスキルアップの真っ只中にいることになります。
それだけでも、すばらしいことだと思います。こつこつとスキルアップ講座の記事を読み、考えていく中で育っていくものだと思います。
先日紹介した「相談員に求められる能力」は遠い理想論かもしれませんが、一歩づつでも近づいていくと思います。

本題は、事例紹介だったのですが、長くなりそうなので次回にします。
ちなみに事例の題材は「15年前の契約に不満を持ち、示談後も繰返し行政機関等へ苦情をいう消費者。どのように対応すべきか」です。
これは深いですね。よかったら事前予習しておいてください。

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通話録音は法的に問題ないのか?(日本流通産業新聞より)

業界紙で「日本流通産業新聞」というのが週に1回発行されています。
業界向けに特商法などの解説や問題点、法律Q&Aなどが掲載されています。
特に特商法のエキスパート弁護士の法律Q&Aは事業者向けに解説されており、知らなかったことの発見にもつながり行政サイドからも勉強になるのでいつも読んでいます。

日本流通産業新聞社 日流ウェブ
http://www.bci.co.jp/
日本流通産業新聞バックナンバー
http://www.bci.co.jp/ryutsu/latest_edition/back_number_edition/index.html
日本流通産業新聞 2013年2月21日号

「通話録音は法的に問題ないのでしょうか?」

質問
・化粧品の通販会社で今年からコールセンターでのお客様との会話を録音する方針である
・お客様の許可を得ないで録音することは可能か
・ほかの会社で録音前にガイダンスを流すところがあるが事前の予告は必要か
・必要ならば、HPでよいのかガイダンスにすべきなのか
回答
・会社がお客様に無断で通話録音することを禁止する法律はない。許可を受けないで録音しても問題はない。
・通話内容から個人を識別できる場合は「個人情報」に該当するので、個人情報保護法を守って運用することが必要なので、録音内容は個人情報と考えるべき。
・経産省の見解では、HPで個人情報の利用目的(契約内容の確認、オペレーターのサービス向上など)を公表することは今回の運用に当たって絶対に必要だが、情報取得の方法(通話録音すること)まで記載したりガイダンスを流したりすることは法的に必要とされていない。
・無断の録音は不意打ち的要素が強いので、その旨をHPに記載しておくことが望ましいし、通話前にガイダンスを流せばもっと良い。
・「言いがかり」を避けるためにも、ガイダンスを流すことが有効。
・トラブルがあって、言った言わないになって消費生活センターが介入した場合に、通話内容を裏付けるメリットはあるが、センターが会社の味方をするかというとそういうことはない。

・最近、メーカーに問い合わせ電話をすると、録音する旨のガイダンスを流すところが増えてきました。
・言った言わないの争いを避ける意味で有効ですが、あまり良い印象は感じませんね。また、録音していること自体が苦情として消費者センターに持ち込まれることもあります。
・録音の法的見解については、ご存知かもしれませんが、上記回答のとおりです。黙って録音しても問題はありません。あっせんにおいても録音内容を確認して回答してくる事業者も少なくありません。その場合、録音されていることを消費者が知らない場合も多いですね。
・消費者センターの電話も録音したらどうかという議論はあります。ただし、行政だけあって、かなり難しい問題です。きちんと取り組んでいる自治体であれば、条例等の規則によって、録音する場合は個人情報として公文書に記録して、通話データも厳重な保管が決められたりします。事前の予告は不要ですが、予告するように運用している場合もあります。録画に関しても同様でしょう。個人のレコーダーを使えば私物を使ったということで問題になるかもしれませんので、組織として録音装置を準備する必要がありますし、電話録音の場合は高額な費用がかかったりします。現実には難しい場合があるので、相談員は聞き取った内容をしっかりメモして記録しておく必要があります。条例があっても、実際に録音しているところは少ないのではないかと思います。
・回答の最後に消費者センターの話が出てきましたが、あくまでも通話内容は事実確認であって、言葉そのものが意思表示に当たるとは限らないと思います。感情的になって思っていないことを表意する事もありますし、誘導される場合もあります。それは、相談者や事業者や相談員も同じです。上手く言葉で表現できなかった場合にあげあしをとられたりすることは日常的でしょう。それは認めつつも、間違って伝わっているのであれば、しっかり謝罪して訂正することが大切です。「上手く伝わらなくて申し訳ありませんでした。それは...という意味です。勘違いさせて申し訳ありません。」私は素直に謝ります。録音内容は表面的な事実を明確にするには違いありませんが、そのなかから本当の隠れた真意を汲み取ることが重要だと思います。

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マルチのクーリングオフで会員向けセミナー参加費用の返金は必要か?

業界紙で「日本流通産業新聞」というのが週に1回発行されています。
業界向けに特商法などの解説や問題点、法律Q&Aなどが掲載されています。
特に特商法のエキスパート弁護士の法律Q&Aは事業者向けに解説されており、知らなかったことの発見にもつながり行政サイドからも勉強になるのでいつも読んでいます。

日本流通産業新聞社 日流ウェブ
http://www.bci.co.jp/
日本流通産業新聞バックナンバー
http://www.bci.co.jp/ryutsu/latest_edition/back_number_edition/index.html
日本流通産業新聞 2013年2月14日号

「会員向けセミナー費用の返金は必要か?」

質問
・ネットワークビジネスのお客様対応を担当
・入会した会員にはまず、関係会社が運営する温泉付きの保養施設でセミナーを受けてもらう。料理や温泉つきで参加費1万円。参加費を上回る経費が必要。
・期間内にクーリングオフのお客に商品代金のほかセミナー代金も全額返せと言われている。料理も酒もふんだんに召し上がってエンジョイされていたお客である。
・あまりにも不当だと思うが全額返金は必要でしょうか?
・また、参加費を請求することはできないでしょうか?
回答
・結論は、全費用がクーリングオフの対象になる
・連鎖販売取引のクーリングオフは、入会してからお客が会社に支払った全ての費用が、使用したかどうかを問わず、クーリングオフの対象となる。
・期間内のセミナーについても、当然、返金対象になり、宴会で食べた料理や宿泊費なども同様で、全額を返すことが法的に必要とされる。
・ただし、その上で、会社側から、「使用利益」としてお客に実損を請求することは理論的には可能であり、経産省も認めている。
・とはいっても、クーリングオフで返すお金から差し引くことは法的には許されないので、まずは全額を返金して、その上で実損分(今回は1万円が上限)の請求を改めてするというのが法律に従った方法。
・そうすると、今回のような図々しい客が1万円を支払ってくる可能性は限りなくゼロに近い。督促しても支払わなければ裁判を起こすしかないが、1万円で裁判を起こしていたら経費倒れになる。また、そうすれば消費生活センターに行って、あることないことを言うリスクもある。多くの企業は「請求を諦める」という方針を採っている。
→最後に、「クーリングオフ期間内の豪華なセミナーは止めるか、今回のような事例は「万引きにあったようなもの」として諦めるかでしょうね。」と締めくくられています。

私も不勉強で、このような事例を始めて知りました。マルチ業者に対して悪意を持ってつけいる隙があるということでしょうね。最後の「万引き」のコメントはよろしくないですね。クーリングオフの権利は法律で正当なものですし、それで消費者を悪人扱いするのなら、しっかり仕様利益として費用請求して裁判までするという姿勢をすべきだと思います。

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