消費者情報 2013年4月号 (関西消費者協会)

今月号から気になる記事を紹介します。

①特集 こんなときどうする窶・I若者の「消費者とらぶるQ&A」
・巻頭インタビュー 消費者トラブルと知っておきたい法知識
・やさしく読み解く「契約」のはなし  弁護士 上田孝治
→契約の解消・・・契約の無効、契約の取消し、契約の解除(約定解除・法定解除・合意解除)
※契約について分かりやすく説明されています。その中でも、今一度契約の解消について復習してみましょう。
・こんなときどうする窶・I若者の「消費者とらぶる」Q&A  編集部
→ワンクリック請求(アダルト情報サイト)、無料商法(出会い系サイト)、サクラサイト商法(出会い系サイト)、売買契約(スマートフォン・機種変更)、デート商法(アクセサリー)、マルチ商法(商品一般)、キャッチセールス(モデルスカウト商法)、キャッチセールス(美容エステ)、美容医療サービス(二重まぶたの手術)、美容医療サービス(包茎手術)
※若者をターゲットにしたおなじみの消費者やトラブルです
・若者世代の契約トラブル 縲恪ナ近の傾向と対策縲怐@ 国民生活センター

②ネット漂流 Vol.10 「アプリは情報を囲い込む」
・スマートフォンでアプリを提供すると”データが囲い込める”のがメリット。
・ユーザーのスマートフォンの中にあるアプリの種類を知れば「趣味趣向」がわかる。
・アプリで集めた情報を紐づけると詳細な個人情報が出来上がる。
・位置情報が付いたままの写真であれば、居場所が特定できてしまう。
※インターネットの普及で個人情報の紐付けが簡単にできるようになりました。特に実名SNSであれば詳細に個人の趣味・趣向・行動・経歴を特定することができてしまうという現実です。その現実からのがれることはできないと思うので、それを前提にネット利用をしています。ただし、記事にもあるように何も知らない子どもたちは個人情報を撒き散らしているといっても過言ではありませんね。大人になって大失敗するより、今のうちに小さい失敗を経験しておくのも一つの方法かもしれません。実際に、携帯電話のメルアド変更の通知をCCで送ってしまう子どもは少なくありませんね。

③判例に学ぶ
「日本放送協会(NHK)の受信料について5年の短期時効が認められた事例 平成24年2月29日
東京高裁判決
・放送法64条1項「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」
・NHKの受信料債権について、民法169条により5年の短期消滅時効を認めた
・民法173条の短期消滅時効(2年)の主張は採用しない
※NHKの受信料トラブルは消費者センターでも相談は多く、基本は放送法に則っています。しかし、最近はNHKが契約に当たって脅迫的な言動を起こしていることがトラブルになっています。5年の短期事項が認められたものの、もっと根本的な改革が必要だと思います。
個人的には、実質的には広く国民から徴収することになるので、全額税金でまかなって徴収事務の経費を節減するほうが効率的でトラブルも避けれると思います。

次号予告として『地方消費者行政活性化基金の効果と評価(仮))』です。これは注目ですね。でも、建前論で終わりそうな気がします。

あとがき
関西消費者協会は4月1日から公益財団法人に移行しました。
『消費者情報』は、さらに内容の充実を図ってまいります。
今後とも、読者のみなさまのご理解とご支援をどうぞよろしくお願い申しあげます。

 

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関西消費者協会 http://kanshokyo.jp/hp/
消費者情報 2013年4月号
kansho201304

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消費者情報 2013年3月号 (関西消費者協会)

今月号から気になる記事を紹介します。

①特集「霊感商法」を読む
・「霊感商法」事案の特色と対策
→霊感商法の歴史的経緯と問題点を明らかにし、その法的救済手段について解説する。
・信教の自由と違法性のカラクリ 統一教会による霊感商法
→統一教会によって大金を奪われ人生を破壊された人は数知れない。宗教活動に名を借りて行われてきた「霊感商法」の全体像を探る。
・「霊感・開運商法・占い被害110番」から見た消費者被害の現状と対策
→霊感・開運商法における消費者被害の典型的事案を紹介し、規制状況とその対策について報告する。
・開運商法の事例と対策
→開運ブレスレットの購入をきっかけに次々と開運商品を売りつける手口に注意窶・I
・「占いサイト」と子どもたちの危険な関係(IT情報技術推進ネットワーク代表 篠原嘉一)
→子どもたちの心に忍び寄る「占いサイト」の裏側では、親の知らない怖い世界が展開している。
いともカンタンに個人情報が手に入る、満たされない心と占い、「神待ち」という魔手

・悪徳商法に通底するマインドコントロールの恐ろしさ
・相談スキルアップ窶・I霊感商法トラブルに関する聞き取りとあっせん
※開運グッズが新聞や新聞広告、雑誌にあふれています。「お守り」レベルの考え方だったら許容範囲ですが、今回特集されている次々商法や宗教に身をささげるレベルにまでなると問題です。ネットの普及や手口の巧妙化により、その境界線が判断できないような事例が増えています。

②判例に学ぶ
「動機の錯誤による連帯保証契約の無効を認めた事例」平成24年5月24日東京地裁判決

・兄のビルの融資の連帯保証契約をする際に、ビルの資産価値を過大に説明し、債務が払えなくてもビルを売却すれば連帯保証人に請求は来ないとして銀行と契約をした。兄が履行できなくなったが、ビルの資産価値は当初から低く、連帯保証人に保証債務の履行を迫られた。
→銀行の説明により、保証人になったのは、銀行の説明により請求がこないと考えて契約したので、この契約の動機となった銀行の説明が誤認(不実告知・不利益事実の不告知)に当たるとして、「表示された動機に錯誤があったから要素の錯誤により無効である」と判断した。
※民法の錯誤無効を勉強する場合の「要素の錯誤」と「動機の錯誤」の違いについて勉強になるので、ぜひじっくり読んでみてください。

③現場からの情報 【相談】通販サイトの有料会員窶蘀!?
・通販サイトで書籍を購入した際にクレジットカードの明細に覚えのない会費の請求がされていた。
・確認したところ1回につき500円かかる当日配送サービスが無料で何でも受けることができる会員制度があり、その年会費が3900円だった。
・相談者に確認したところ、購入時に当日無料配送を利用したとのことだったが、有料との表示はなかったとのこと。
・キャンセルをしなければ1ヵ月後には有料会員になるとの説明が申し込み画面とは別のヘルプにあったり分かりにくい表示だった。
・これらを指摘したところ返金された。
※いわゆる最初の1ヶ月が無料になる「お試し会員」のことですね。キャンセルしなければ有料会員に移行してしまうので、レンタルDVDのネット会員サービスでもよくあります。今回のような問題のある業者は別として、ごくごく自然にこのような会員方式が存在しますので、同種の相談があった場合は、どのような制度になっているのか、解約方法などの説明表示は分かりやすいかを確認する必要があります。

④ネット漂流 Vol.9 「『LINE』で荒れる子どもたち」
・最近、「LINE]を起因とするトラブルの相談が学校現場で急増している。
・ラインは何より手軽に利用開始できることで会員を確保している。
・ラインをダウンロードする際に「電話帳のデータを利用する」を承諾すると、登録している電話番号がライン側に送られ、相手がラインを利用した時点で紐づくため、昔付き合っていた元彼まで再びつながりを持ってしまう。おまけにこの繋がりは切れない。
・ラインが起因して校内でのゴタゴタが増えているのはこのためだ。電話帳という限られた範囲の中で繋がり合う為小さな範囲でトラブルがおきているのだ。
※通勤電車で見かける女子学生はみんなラインをやってますね。私はやっていないので分からないことが多いのですが、ネットのサービスは初期設定で個人情報をばらまくような設定になっていることがあるので、設定変更するなど注意が必要です。この初期設定というのはフリーミアムならではの商法ですね。

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消費者情報 2013年3月号
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消費者情報 2013年1月号 (関西消費者協会)

今月号から気になる記事を紹介します。

①特集 健康食品と消費者問題
・日本人の健康志向と「健康食品」
・健康食品とは
→「健康関連食品の位置づけと表示」として、一般食品、栄養機能食品、特定保健用食品、特別用途食品、医薬品を図表にしたもので、健康食品を語る場合に必ず登場するものです。知識としては頻出ですが、現場では活用する機会はほとんどありません。法律改正が時々あるので、たまにはチェックしておいてください。
・フードファディズムと「健康食品」
→「フードファディズム」という言葉は最近ときどき耳にしますので、一度目にしておいてください。
「フードファディズム」とは、食べものや栄養が健康や病気へ与える影響を過大に評価したり信奉すること。
例えば、テレビでダイエット効果のある食品が紹介されると大流行する。微量に存在する有害物質をあたかも健康に影響があるように言い募る。

・健康食品の表示等の在り方について  消費者委員会におけるヒアリングでの検討事項
・「いわゆる健康食品」による健康被害の傾向と対応
・健康食品をめぐる消費者問題
→健康不安や健康願望に付け込む悪質業者の販売トラブルやマルチ商法での定番商品などについて解説しています。
・相談スキルアップ窶・I 健康食品トラブルに関する聞き取りとあっせん
・健康食品関連年表

②2012年消費者関連出来事
→2012年に何があったのかがよく分かります。

③2012年消費者関連法律
→16本の法律が紹介されています。ぜひ確認しておいてください。

④判例に学ぶ
「書面公布・説明のない「定期借家契約」の効力を否定した最高裁判決」平成24年9月13日判決

→借地借家法では借家人を保護する強行規定がありますが、定期借家契約をすれば更新を拒否することができます。その場合、契約書で必ず説明し認識してもらうことを必要としており、定期借家の契約書がなければ事前に話をしていても無効であるとした判決です。
詳しくは最高裁判例HPへ
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=82539&hanreiKbn=02

建物明渡請求事件 平成24年09月13日

判示事項
借地借家法38条2項所定の書面が賃借人の認識にかかわらず契約書とは別個独立の書面であることの要否
裁判要旨
借地借家法38条2項所定の書面は,賃借人が,その契約に係る賃貸借は契約の更新がなく,期間の満了により終了すると認識しているか否かにかかわらず,契約書とは別個独立の書面であることを要する。
参照法条
借地借家法38条

⑤ネット漂流 Vol.8 「端末を持たない子ども」
・子どもにネット接続できるゲーム機を一方的にダメと与えないことがあるが、今の子どもはネットを通じてお互いに連絡を取り合っている。ゲーム機がないと子供同士の人間関係で苦労することがあり子どもが苦しんでいる。そのような状況を大人は理解する必要がある。
※結局は使い方のルールを作ることが大切だと思います。ソシアルゲームで子どもが大金を使うのも、事前に親としっかり話し合いルールを作らないことに原因があると思います。しかし、親は子どもに買い与えるだけという場合が少なくありません。親もそこまで詳しくないこともありますし、情報リテラシーの力の格差も社会問題だと思います。

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消費者情報 2013年1月号
kansho201301

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