月刊 国民生活 2010年12月号

①特集 高齢者の暮らしをささえる
消費者情報 2010年9月号 (関西消費者協会) にも同様の特集がされています。
・買い物難民については最近もテレビで特集されています。スーパーマーケットの登場により身近な商店が消え、景気悪化とともに、スーパーも消え、買い物する店がなくなってしまった。私たち自身が引き起こした問題かもしれません。この問題を解決したいと思っている方も多いでしょうが、自分自身のことに精一杯です。まだまだ、状況は悪くなるのではないでしょうか。
・同時に高齢者の見守りの問題もあります。「さみしさ」が悪質商法を生み出している現実もあります。もっともっとほかの人に目を向けてあげられる余裕が欲しいです。
・昭和40年代から50年代の日本人の「こころ」はどこへ行ったのでしょう、つぶやいてみました。

②チェックチェック苦情相談1
どちらをクーリング・オフ?二つの販売業者から配達されたカニ
・かにを注文した半月後に入荷が早まるという電話があり代引き配達し食べた1週間後にかにが配達された。配達日変更は別の業者だった。
・偶然か、グルかは不明だが最終的に返金された。
・食品のクーリングオフ、食べてしまったという利得などを様々な法律から検討しています。

③チェックチェック苦情相談2
効果が分からないにもかかわらず高額な施術契約をさせた美容外科
・1本2万円の脂肪溶解注射の広告を見てクリニックに行ったが、8-9本を3回受ける必要があるといわれ高額なので断ったが、1時間ぐらい勧誘され7本2回の契約をし、1回目の注射をした。2回目のキャンセル希望と効果に疑問。
・位階目の施術代金を支払い、2回目の分はキャンセル。
・効果、医療契約、医療広告、クレジット会社への抗弁などを検討。
・美容関係のトラブルは多いです。はっきりいって、あやしい世界です。やせるためなら体にメスを入れても、あやしい健康食品を食べてもいいという世界。自己責任が大きくなります。自分の体ですので大切にしてほしいですね。

④暮らし注意報
「独立開業で高収入?」軽貨物運送の代理店契約
・仕事に必要だといわれて高額な入会金や軽自動車の購入をした。
・月収40万、仕事を確実に紹介するというセールストーク。
・昔からの典型パターンですね。
・広告、勧誘、書面の問題。業務提供誘引販売取引、消費者契約法などを検討。

⑤暮らしの判例
隣地住人による建築妨害が宅地の隠れた瑕疵に当たるとされた事例
・購入した土地に建物を建てようとしたら、隣人から日陰になるといわれ建築妨害された。実は隣人は暴力団関係者である可能性があった。
・目的物の通常の用途に対し重大な心理的欠陥があり、民法507条の瑕疵があるとした。
・隠れた瑕疵は物理的なものだけではなく、心理的なものも含まれるとした考え方です。

⑥消費者訴訟を学ぼう
誰が騙したのか-第三者の詐欺と抗弁権接続-
・65歳の年金生活者の就職の条件としてバイクを購入することとし、免許も持っていないのにバイク店でクレジット契約することになった。
・仕事も決まらず、業者へのバイクの引渡しを拒否していたが、クレジットが支払えなくなり、クレジット会社に抗弁したが、立て替え金請求訴訟を受けた。
・新車より高い価格で中古車を販売していたなど、事業者とバイク販売者は共謀しているのではという疑いがあった。
・地裁では敗訴。高裁で逆転勝訴。
・明らかな共謀の事実がないまま客観的な証拠で実質的に共謀があったとした。
※②~⑥の事例は様々な法律を解釈して問題点を追求していくという勉強になります。

国民生活センター http://www.kokusen.go.jp/ncac_index.html
月間 国民生活

月刊 消費者 (2010年11月号)

月刊消費者は一般消費者向けの雑誌なので、相談員のスキルアップに役立つ記事は少ないですが、今月号から2つ紹介します。

①特集「抜け穴をねらう悪質商法」
・年々進化する悪質商法に対して、特定商取引法や割賦販売法が改正されていますが、相談件数は減少せず、従来から相談の多い被害や新しい被害が発生しています。このような被害事例について紹介しています。
・日本消費者協会が実施した消費生活モニター400人へのアンケート調査の結果が紹介されています。一般の消費者の消費者問題に対する捕らえ方がうかがいしれます。

②生活ディスク「調停人養成トレーニング」
・東京司法書士会調停センターはADR機関として対話を重視した調停を行っています。
・3日間行われた調停人養成トレーニングの模様の一部が紹介されています。
・相談業務にも役立つポイントを抜粋します。
○発言の内容だけでなく姿勢などのボディランゲージも重要な要素
○相手が話しているときは、よく聞き割り込まない
○調停人は判断せず、当事者自身が解決策を探す役割であることを説明する
○自分の価値観、倫理、人生観などを当事者に押し付けない
○相手と自分の考えや意見が一致しないとき、一致を求めると、説得、教養のコミュニケーションになりがち
○必ずしも相手と自分は一致しなくても受け入れることができると、深いコミュニケーション、違いを重視したコミュニケーションができる

日本消費者協会 http://www.jca-web.org/
月刊 消費者

携帯電話 その2 スマートフォンへの転換

最近の携帯電話会社によるニュースリリースやテレビなどでも目にするようになりましたが、携帯電話は大きな転換期を迎えています。
スマートフォンへの転換です。
新製品はスマートフォン一色です。

そもそもスマートフォンと従来の携帯電話(以下、携帯電話と呼びます)とは何が違うのでしょうか。
大きな違いといえば、基本的には携帯専用メールアドレスが使用できないこと(今は別の仕組みで使えるようになってきてはいますが、あくまでも別の仕組みです)と携帯電話専用のサイトを見ることができないことです。
要はスマートフォンはパソコンだということです。

携帯電話でしか見れないサイトを閲覧できたとしても会員登録できません。
携帯電話の場合、メールアドレスや個体識別番号など個人情報に近い情報が吐き出されているため、事業者にとっては商売しやすいのです。それゆえ、パソコンよりも出会い系サイトやワンクリック詐欺のターゲットになりやすいのです。また、携帯電話だと高い確率でメールを閲覧してもらえるの、メールアドレスを登録することで多くの特典を受けることもできるのが特徴です。

携帯電話でパソコンと同じWebサイトをみることができる従来の仕組みは「PCサイトビューアー」です。各社とも定額上限が1000~2000円程度高い設定になっています。
それ以前では、WILCOMのZEROという機種がスマートフォンの走りで、一部マニアには人気でした。

なぜ、普及しなかったかというと、PCサイトは情報量が多く、パケットが大量に必要で、なおかつ、通信速度や高速で処理できる性能も必要です。
それが第3世代(3G)以上の通信の実現と、手軽で安価なWi-Fi(無線)の出現と、何よりも技術革新により小さい端末に多くの機能が装備されることにより、スマートフォンが表舞台に出始めました。

その背景として私が考えるのは、従来の携帯電話のビジネスモデルは限界に来ていて新しいビジネスモデルを構築しなければ利益を上げて生き残れなくなってきたのではないのではないかと思ってます。
携帯電話会社間の通信料の競争と、端末価格と通信料とが切り離されたこと、そして、通話料さえも無料通話の幅が広がってきて利益があげにくくなってきている。
ソフトバンクが早い段階で今後はスマートフォンの時代であるとし、i-phoneに力を入れた結果、業績や契約件数などで一気に成功したことも他社の脅威になったのでしょう。
i-phoneは発売当初こそ問題が多く一部のユーザーのアイテムだったのですが、i-phone3GSが発売されるころから一般化し、アプリなどの斬新な機能や、無料のWi-Fiスポット(マクドナルドなど)の普及など、一部ユーザーから一般のユーザーのアイテムへと変貌しました。

今後はスマートフォンの機能競争や価格競争なども予想され、相談員としては、スマートフォンの知識をある程度つけておく必要があると思います。

次回は、相談員としてスマートフォンで押さえておきたいポイントとどんな苦情相談が寄せられそうかということについて書きたいと思います。

※参考として、6月30日に書いた記事、「音声収入からデータ通信収入へ(日経産業新聞2010/6/30)」も参考にしてください。

(平成22年11月8日 初稿)
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